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第2072回 定期公演 Aプログラム

※本公演は1曲のみの演奏のため休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年10月Aプログラム 聴きどころ

「対位法の傑作(マイスターヴェルク)」─ブルックナーは、自作の《交響曲第5番》をこう呼んだという。もっとも、たとえ本人がそう呼ばなかったとしても、遅かれ早かれ誰かがそう呼び始めたに違いない。無骨な旋律の断片をもとに、高度な対位法の技術を駆使して巨大な交響曲を構築してゆくさまは、まさに熟練の職人(マイスター)の手になる仕事(ヴェルク)そのものだ。
だが、職人技というだけでは説明がつかない「特別な瞬間」に出会えるのもまた、この作曲家の大きな魅力である。この交響曲には、〈ブルックナー〉が詰まっている。

(池上健一郎)

PROGRAM曲目

ブルックナー/交響曲 第5番 変ロ長調

アントン・ブルックナー(1824~1896)が、リンツの大聖堂オルガニストの座を辞して、交響曲作家としての成功を摑(つか)むべくウィーンに拠点を移したのは1868年9月のこと。すでに40代もなかばに差しかかっていた「オールドルーキー」ではあったが、移住後の創作熱は目を見張るものがあり、のちにお蔵入りとなった通称《第0番》(1869)を皮切りに、《第2番》(1872)、《第3番》(1873)、《第4番》(1874)、そして《第5番》(1876)と、一気呵成(かせい)に新作を書きあげてゆく。長大なフーガで締めくくられる《交響曲第5番》は、この創作の波の掉尾(ちょうび)を飾る大作である。1876年5月16日にいったんの完成を見たあと、ブルックナーは1877年5月から翌年にかけて修正を施し、その際にバス・テューバを新たに編成に加えている。
この交響曲が対位法の技術を駆使した「アカデミック」な作品となった背景には、きわめて現実的な理由があったようだ。作曲家として不遇続きだったうえに、聖アンナ師範学校の教師の座も失って金銭的にも苦境に陥ったブルックナーは、当時ウィーン大学に対して、音楽理論講座を新設し、自身を教員として採用するよう執拗(しつよう)なまでに懇願していた。その目的は、新たな収入源を確保すると同時に、ウィーンでの社会的地位を高めるためである。金銭と地位に対するこうした執着ぶりは、信心深くて謙虚なイメージで語られがちな作曲家像とはまるで相容れないが、これもまたブルックナーという人物が持つひとつの顔である。
ともあれ、大学への就職活動が、《第5番》作曲の大きな動機となった可能性が高い。理論的知識と作曲能力の、音楽による証明書というわけである。完成した作品が、ウィーン大学の件でブルックナーに便宜を図った当時の教育大臣カール・フォン・シュトレーマイヤーに献呈されている事実も、そうした背景を物語っている。ただし、動機がいくら打算的だからといっても、それで作品の価値が減じるわけではないことは、念のため言い添えておこう。
《第5番》は、1887年4月20日に、四手ピアノ編曲版で披露はされたものの、オーケストラによる全曲初演が実現したのは、作曲から20年近くが経った1894年4月9日のこと。しかし、この時ブルックナーはすでに高齢で健康状態もすぐれなかったため、グラーツの地で行われたこの演奏会に立ち会うことは叶(かな)わなかった。
第1楽章 バスの歩みとともに始まる厳粛な響きは、唐突な金管楽器群のファンファーレによって打ち破られ、輝かしいコラールへと一変する。静謐(せいひつ)な祈りと高らかな神の讃美(さんび)という、交響曲全体をとおして幾度も往来する二極が冒頭で象徴的に示される。その後、大きな高揚の末に姿を現す、どこかミステリアスな旋律がソナタ形式の主要主題。この主題の断片は、第1楽章をつうじて繰り返されるだけでなく、第4楽章の終盤でも高らかに回帰する。
第2楽章 宗教的な響きに満ちた美しいアダージョ。空虚で影を帯びたオーボエの甘い旋律と、弦楽器群が奏でる広がりをもった主題が交互に展開されてゆき、やがて輝かしい頂点へと至る。
第3楽章 無骨にリズムを刻むスケルツォのあいまに、愛嬌(あいきょう)のあるレントラーが顔をのぞかせる。宗教的な雰囲気からは一転して世俗的な性格の音楽だが、ブルックナーは中間楽章を一対として構想しており、冒頭の弦楽器群の動きは、テンポこそ異なるものの第2楽章冒頭と同じである。
第4楽章 ソナタ形式の枠組みの中で、複雑なフーガが展開される。これまでの3つの楽章を回想するという、ベートーヴェンの《第9》終楽章を思わせる手法で始まる。そこに茶々を入れるかのように挿入されるクラリネットのおどけた旋律は、低弦楽器に引き継がれた瞬間、シリアスなフーガ主題へと表情を変える。音楽がひととおり収まったあと、金管楽器群がたっぷりと間を取って奏でるコラールが、ふたつ目のフーガ主題。これが第一の主題とも結びついて二重フーガへと発展してゆく。最終盤には第1楽章の主要主題も回帰し、交響曲全体を締めくくる壮大なフィナーレが形成される。

(池上健一郎)

演奏時間:約75分
作曲年代:1875年2月14日~1876年5月16日、1877年5月18日~1878年1月4日(改訂)
初演:[ヨーゼフ・シャルク編曲による四手ピアノ版]1887年4月20日、ウィーン [フランツ・シャルクによる改変版]1894年4月9日、グラーツ [オリジナル稿]1935年10月23日、ミュンヘン

ARTISTS出演者

マティアス・バーメルト※さんの画像 指揮マティアス・バーメルト※

1942年、スイスに生まれた重鎮指揮者のひとり。作曲家でもある。ダルムシュタット、パリでブーレーズやシュトックハウゼンに師事し、自身の作風にも影響を受けた。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席オーボエ奏者を経て指揮者に転向。アメリカでセル、ストコフスキーの薫陶を受け、マゼール時代のクリーヴランド管弦楽団で専属指揮者を務めた。
1977年母国のバーゼル放送交響楽団の音楽監督に就任(任期は1983年まで)。その後ルツェルン音楽祭の監督、ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズの音楽監督等を歴任し、2018〜2024年には札幌交響楽団の首席指揮者を務めた。また、欧米やアジアの主要オーケストラに多数客演し、80枚以上のCD録音も残している。
N響とは2000年のMusic Tomorrowで初共演を果たし、2003年、2005年にも客演。今回は2007年4月(定期公演A・Cプログラム)以来19年半ぶりの共演となる。N響ではこれまでハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス等のドイツ・オーストリア音楽でとりわけ充実した演奏を展開しているだけに、2005年の《第6番》以来となるブルックナーの交響曲への期待は大きく、誠実さと剛直さを併せ持った指揮ぶりや新しい音楽への対応力の高さからも、清新で懐が深い《交響曲第5番》を聴かせてくれるに違いない。

[柴田克彦/音楽評論家]

※当初出演予定のヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)から変更いたします。

TICKETチケット

定期公演
Aプログラム

第2072回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2026年7月22日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2026年7月26日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 15,000円 12,500円 10,000円 8,000円 6,500円 4,500円
ユースチケット 7,000円 6,000円 5,000円 4,000円 3,000円 2,000円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2026年7月12日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年7月5日(日)10:00am

お問い合わせ・
お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

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