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第2060回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年4月Aプログラム 聴きどころ

本日のプログラムには、強烈なコントラストを備えた2曲が並ぶ。片や「ウィーン古典派」を代表するヨーゼフ・ハイドンによる《チェロ協奏曲第1番》、片やロマン派後期の作風を色濃く映すアントン・ブルックナーによる《交響曲第9番》である。古典派/ロマン派という時代様式のほかにも、創作初期/晩年、長調/短調、簡潔/長大、軽快/重厚、明澄/鬱屈、宮廷/市民、完成/未完のように、相反する特徴を探してゆけば枚挙に暇がないほどだ。数多のコントラストにより、それぞれの個性が際立って聴こえてくるに違いない。

(髙松佑介)

PROGRAM曲目

ハイドン/チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob. VIIb–1

ヨーゼフ・ハイドン(1732~1809)は、いわゆる古典派の音楽様式を確立した作曲家として知られる。彼はヨーロッパ社会の転換期を生きた人物で、活躍し始めたのは市民社会へと舵(かじ)を切る前の時代である。その頃の音楽家たちにとって重要な仕事は王侯貴族などの特権階級や教会から得るものであり、注文に応じて演奏機会や音楽趣味などに合った曲を提供する“職人”的な役割を担っていた。こうした社会背景の中、ハイドンは1761年からアイゼンシュタットの名門貴族エステルハージ侯爵家の音楽文化を30年以上にわたって牽引(けんいん)した。
《チェロ協奏曲第1番ハ長調》は、エステルハージ家に仕え始めた頃、1762~1765年の間に作曲されたとみられる。独奏者にはハイドンの推薦で約1か月遅れて同じ楽団にやって来た首席チェリストのヨーゼフ・フランツ・ワイゲル(1740~1820)を想定し、エステルハージ家での何らかの機会に合わせて書かれたと考えられている。ワイゲルはその後1769年からウィーンに拠点を移し、ケルントナートーア劇場やハプスブルク家の宮廷楽団で卓越したチェリストとして活躍することになる。ウィーンへの移籍後もハイドンと親しい関係を続けたようだ。
本作はハイドンの初期の様式的特徴をもった軽やかで華やかな協奏曲で、急緩急の3つの楽章で構成される。
第1楽章はバロック時代の協奏曲に典型的なリトルネルロ形式の特徴が色濃く表れており、大まかには合奏によるリトルネルロと、独奏を中心とする自由なエピソードが交互に現れる構成と聴き取れる。しかし同時に近代的な協奏ソナタ形式も重ね合わされており、展開部のイ短調のセクションは跳躍音程を多く含み、ドラマティックかつ叙情的だ。
第2楽章はゆったりとしたヘ長調のアダージョで、弦楽器のみで演奏される。ABA′という3つの部分からなり、歌うような息の長い旋律が特徴的だ。
第3楽章はハ長調の快活なフィナーレ。リトルネルロ形式より協奏ソナタ形式が前面に押し出されているが、属調の主題も冒頭主題から派生している。それゆえ疾風怒濤(どとう)の曲想を貫きつつ、さながら万華鏡を回してゆくかのような展開をみせる。

(髙松佑介)

演奏時間:約24分
作曲年代:1762~1765年の間と推定
初演:おそらくエステルハージ宮廷にて

ブルックナー/交響曲 第9番 ニ短調

1790年、君主の代替わりによってエステルハージ家の楽団が解散状態になり、ハイドンは自由な活動ができるようになる。そこで演奏会興行師ヨハン・ペーター・ザロモン(1745~1815)の招きに応じて1791~1795年に2回のロンドン旅行を行い、公開演奏会のために交響曲を創作・指揮して絶大な人気を得た。当時ロンドンではすでに音楽が一般市民へと広まり、近代的なコンサート文化や音楽ビジネスが形成されていたのである。
このように19世紀はヨーロッパで市民社会が花開く時期にあたる。ウィーンはロンドンより遅れてはいたものの、1812年に「楽友協会」という団体が生まれるなど音楽が市民に普及していった。こうした背景から大規模なコンサートホールが必要になり、1870年に落成したのが有名な楽友協会ホールである。
ちょうどその頃、ウィーンを拠点にして交響曲創作に勤(いそ)しんだのがアントン・ブルックナー(1824~1896)だ。奇しくもキリスト教社会では神の力が揺らぐ頃、世紀末へと向かう不安の時代に、オーケストラの大いなる響きに身を委ねるような大規模な交響曲を9つ世に出した作曲家である。
本日演奏される《第9番》は、ブルックナーによる最後の交響曲である。1887年8月12日に最初のスケッチを始めたものの、前作《第8番》の抜本的な改訂を余儀なくされ、《第1番》《第3番》《第4番》にも改訂を施したことで作曲が中断する。1891年4月から再び《第9番》に取り組み、1894年11月30日に3つの楽章を完成させるが、1895年5月24日に着手したフィナーレは未完のまま亡くなってしまった。
本作はベートーヴェンの《第9》と同じニ短調を主調とするものの、完成した3つの楽章にはニ短調と衝突する和音が印象的に出現するよう配されており、散りばめられた不協和な要素が本作を特徴づけている。これらは全体の伏線となって第4楽章で解決に向かう構想だったとみられるが、本日は現代の多くの演奏と同様に完成した冒頭3楽章のみ、ノヴァーク版に基づいて演奏される。
第1楽章は、テンポの異なる3つの調領域によるソナタ形式で書かれている(荘重に、神秘的に・ニ短調/より遅く・イ長調/モデラート・ニ短調)。冒頭は発想標語にあるように「神秘的」にニ短調で始まるが、間もなくして「変ホ」音が意味深に鳴り響く。主音の「ニ」と半音でぶつかるこの音は、強奏で主要主題が提示される際にも、ニ短調からニ長調へと向かう主題の中央で亀裂を生じさせるなど、楽曲展開のうえで重要な役割を果たす。
第2楽章のスケルツォは、幕開けのファンファーレが不穏な和音で形成されている。ニ短調の属和音の派生形として説明されるが、聴き紛(まご)うことなき不協和な和音である。中間のトリオ部では推進力をもった嬰へ長調となる。
第3楽章は長大なアダージョ楽章。作品全体の主調であるニ短調とぶつかるホ長調を取り、冒頭から長調らしからぬロ音―ハ音の痛々しい跳躍が現れる。大まかにはこの主要主題と温かみのある副次主題が交互に現れる構造となっているが、後半でクライマックスを形作るのは、不協和を極めた痛切な和音と総休止による断絶だ。結尾ではホ長調を取り戻し、《交響曲第7番》の主要主題を暗示するホルンの響きで安寧に終わる。
ブルックナーは本作が自身の最後の作品になると予感しており、「愛する神に」捧(ささ)げようとしたとの証言も遺(のこ)されている(たとえば第3楽章の副次主題には《ミサ曲ニ短調》の「ミゼレーレ〔憐(あわ)れみたまえ〕」との動機的関連がある)。対照的なハイドン作品のあと、そこかしこに不協和な衝突を抱えたまま宙づりになった本作において、この祈るような結尾は聴く者にせめてものカタルシスをもたらしてくれるだろうか。

(髙松佑介)

演奏時間:約64分
作曲年代:1887年8月12日~1894年11月30日(最初のスケッチから第3楽章の完成まで)
初演:1903年2月11日、ウィーン、フェルディナント・レーヴェ指揮、ウィーン・コンサート協会オーケストラ(ただしレーヴェによる変更を伴う)

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

イタリア・ジェノヴァ出身。2001年にN響と初めて共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演でマーラー《一千人の交響曲》を指揮した。2024年には台湾公演を率い、翌2025年5月にはアムステルダム・コンセルトヘボウでの「マーラー・フェスティバル」、「プラハの春音楽祭」、「ドレスデン音楽祭」への参加を含むヨーロッパ公演を成功に導いた。なおN響は「マーラー・フェスティバル」に参加したアジア最初のオーケストラとなり、《交響曲第3番》《同第4番》の演奏は評論家から称賛を集めた。2028年9月に桂冠名誉指揮者に就任する。
現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者およびダラス交響楽団音楽監督。またチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団プリンシパル・コンダクターおよびチーフ・コンダクター、スイス・ロマンド管弦楽団芸術監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者、グラーツ交響楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのプーリア州マルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督、トリノを本拠とするRAI国立交響楽団の名誉指揮者も務めている。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなど最高峰のオーケストラ、歌劇場、音楽祭に定期的に客演している。
録音ではデンマーク国立交響楽団との『ニルセン交響曲全集』が2023年にオーストラリアのライムライト賞とイタリアのアッビアーティ賞を受賞し、その第1集は『グラモフォン』誌の年間最優秀録音賞に選ばれた。またメトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のDVDはグラミー賞を受賞した。NHK交響楽団との初CD『ブルックナー/交響曲第8番(初稿)』は、2025年5月にリリースされた。
彼は優れた作曲家、調香師でもある。

ヤン・フォーグラーさんの画像 チェロヤン・フォーグラー

1964年に東ベルリン(当時)で生まれたヤン・フォーグラーはチェリストであった父からチェロの最初の手ほどきを受けた。さらにヨーゼフ・シュワブ、ハインリヒ・シフ、ジークフリート・パルムといった著名なチェリストの元で研鑽(けんさん)を積み、史上最年少でドレスデン歌劇場管弦楽団の首席チェリストとなった。1997年までそこで活躍し、その後はソロとしての活動を始めた。ニューヨークに居を移し、アメリカとヨーロッパで精力的に活躍。一方で2008年からはドレスデン音楽祭の監督を務め、他にも室内楽の音楽祭の芸術監督も務めている。
欧米の多くのトップ・オーケストラと共演を重ねてもいるが、現代ドイツを代表する作曲家であるイェルク・ヴィトマンは彼のためにチェロと女声とオーケストラによる協奏曲を書き、それも各地で演奏している。フォーグラーは録音も盛んに行っており、個性的なテーマによるアルバムはそれぞれが高く評価されてきた。
NHK交響楽団とは2025年ヨーロッパ・ツアー内のドレスデン音楽祭にて初めて共演し、好評を博した。今回は、そこで取り上げたハイドンの《チェロ協奏曲第1番》を東京でも披露する貴重な機会となるので、注目したい。

[片桐卓也/音楽評論家]

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TICKETチケット

定期公演
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第2060回 定期公演 Aプログラム

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2026年2月19日(木)10:00am
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一般発売日:2026年2月23日(月・祝)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 11,000円 9,500円 7,600円 6,000円 5,000円 3,000円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,800円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

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29歳以下の方へのお得なチケットです。
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定期会員券
発売開始日

年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

シーズン会員券(SPRING)
2026年2月14日(土)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年2月10日(火)10:00am

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BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2060回 定期公演 Aプログラム」

2026年4月30日(木) 7:35PM~ 9:15PM

曲目: ハイドン/チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob. VIIb–1
ブルックナー/交響曲 第9番 ニ短調

指揮:ファビオ・ルイージ

チェロ:ヤン・フォーグラー

収録:2026年4月11日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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