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重要なお知らせ
※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2024年12月Cプログラム 聴きどころ
19世紀におけるヨーロッパ音楽の諸相を知りたいと思えば、ひとりフランツ・リスト(1811~1886)の生涯とその業績を追いかければ事足りると云(い)われるほど、この音楽家の活躍は群を抜いている。一般的には超絶技巧を駆使するピアニストとしてのイメージが先行しているのだろうが、むしろ、オーケストラ音楽を手がけ始めた以降の後半生が抜群に面白い。あらゆる土地とひととの縁をつなぎ、次代の音楽をもたらしたリストの実像が、N響とルイージの手によってあらたに蘇(よみがえ)る。
(広瀬大介)
PROGRAM曲目
リスト/交響詩「タッソー」
1848年、リストはヨーロッパ中を駆け巡るピアニストとしてのキャリアを終え、ヴァイマール宮廷劇場の楽長に就任した。ワーグナー作品をはじめとする新作オペラの初演と指揮を積極的に手がけ、ヴァイマールは当時の先進的な音楽の発信地として重きを成すに至る。
作曲家としても、リストはエクトル・ベルリオーズに出逢って以来培ってきた、新しい管弦楽曲の可能性を開拓し、13曲の交響詩、2曲の交響曲を生み出した。《タッソー》は2作目の交響詩にあたる。1849年はゲーテの生誕100年にあたり、ヴァイマールで上演されたゲーテの戯曲『トルクヴァート・タッソー』の序曲として作曲・初演された(その後1850〜1851年、1854年に改訂)。
もっとも、リストは、このトルクヴァート・タッソーという16世紀に活躍したイタリアの詩人が直面した葛藤、精神病を患った点、それらをより劇的に描き出しているバイロン卿の詩『タッソーの嘆き』からも着想を得たと語っており、ゲーテの戯曲だけに注目していたわけではない。リストは本作に「嘆きと勝利 lamento e trionfo」という副題をつけており、タッソーが代表作『解放されたエルサレム』を書き上げつつも精神的に苦しんだ姿を通じて、ベートーヴェン的な「苦悩から勝利へ」という概念を、単一楽章という新しいかたちでまとめあげた。リスト自身は、全体を(苦悩と勝利の2つではなく)3つに分けうる、と説明しており、それぞれが詩人ゆかりの地、ヴェネツィア、フェラーラ、ローマに対応している。特定の出来事よりも巡礼の旅の精神的な遍歴を交響的に描くことによって、独自の標題音楽の理念を確立させている。
(広瀬大介)
演奏時間:約19分
作曲年代:1847〜1849年(その後1850〜1851年、1854年に改訂)
初演:1849年8月28日、ヴァイマール、作曲者自身の指揮、ゲーテの戯曲《トルクヴァート・タッソー》の序曲として
リスト/ファウスト交響曲*
リストがゲーテによる畢生(ひっせい)の大作『ファウスト』への興味を抱いたのは、ベルリオーズによる勧めがきっかけだった。1830年、パリでの《幻想交響曲》初演に立ち会ったリストは、知り合ったばかりのベルリオーズの新作を激賞し、原曲に忠実なピアノ編曲まで作成するほどの入れ込みを見せた。おそらくはこの《幻想交響曲》こそが、リストにおける新しい標題音楽への出発点となり、その理想をいつかは『ファウスト』への付曲で具現化したい、と想いを巡らせたのではあるまいか(当時は第1部だけが出版されていた。第2部は作家の死の年、1832年に出版される)。
『ファウスト』に心奪われたのがリストだけではないことは、音楽史における錚々(そうそう)たる作曲家たちが証明してくれる。そのうちのひとり、リヒャルト・ワーグナーは、1839年、ベルリオーズの(《幻想交響曲》ではなく)《ロメオとジュリエット》に感銘を受け、『ファウスト』で交響曲を書くと決意したが、やがて《リエンツィ》以降のオペラ諸作に時間を奪われ、この構想は唯一《ファウスト序曲》として結実した。リストはこの序曲を1852年5月11日、ヴァイマールで指揮する。ベルリオーズの《ファウストの劫罰(ごうばつ)》にも刺激を受けたリストはいよいよ長年の懸案を解決すべく作曲にとりかかり、1854年8月から10月のわずか2か月で初稿が完成。その後、オーケストレーションが拡大され、第3楽章終結部のテノール独唱・合唱が書き加えられた。
1857年9月5日、ヴァイマールで初演された際は、ゲーテとシラーを顕彰する記念碑の除幕式と相まって、大きな熱狂とともに迎えられたという。この作品があらゆる意味での恩人・ベルリオーズに献呈されたのは、ある意味当然とも言えるだろう。その後も作品には手が加えられ、現在演奏される改訂稿が完成したのは1880年のことだった。リストにとって、本作が特別な意味を持っていたことが偲ばれる。
この「交響曲」は、単一楽章を基本とする「交響詩」とは明確に性格を異にしており、その規模も大きい。急緩急の3つの楽章から成るが、もとの作品のストーリーをそのまま追いかけるというよりは、主要な登場人物、ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスの3人をそれぞれの楽章に割り当て、その性格を描くという趣が強い。増三和音の3つの構成音を半音ずつずらしながら4回用いることで、1オクターヴに含まれる12音をすべて使いきる第1楽章の主要主題は、ファウストの晦渋(かいじゅう)な性格、あるいはその叡知(えいち)を同時に表しているのだろう。グレートヒェンの柔らかな主題に彩られた第2楽章は、リストが手がけたもっとも美しい楽想のひとつ。これらの主題が戯画的・露悪的に変形する第3楽章によって、そのふたりを嘲笑するかのようなメフィストフェレスの活躍が描かれるも(《幻想交響曲》第5楽章の影響が顕著)、最後に加えられた第2部のクライマックス「神秘の合唱」によって、崇高な大団円へと導かれる。
(広瀬大介)
演奏時間:約65分
作曲年代:1854〜1857年、1880年改訂稿完成
初演:1857年9月5日、ヴァイマール、作曲者自身の指揮
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2024年8月にはN響台湾ツアーを率い、2025年5月には「マーラー・フェスティバル」(アムステルダム・コンセルトヘボウ)への招待に合わせて行われるヨーロッパツアーで指揮を務める。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。
テノールクリストファー・ヴェントリス* ※
イギリス出身のテノール。最高峰のワーグナー歌手として知られ、特に当たり役の《ワルキューレ》ジークムント、《パルシファル》タイトルロールで、バイロイト祝祭劇場、ウィーン国立歌劇場をはじめ、世界の主要歌劇場への出演を重ねる。直近では今年10月、ファビオ・ルイージが音楽監督を務めるダラス交響楽団で、ルイージ自身のタクトにより行われた《ニーベルングの指環》全曲上演のジークムント役を歌った。ほかにもブリテン《ピーター・グライムズ》タイトルロール、ベルク《ヴォツェック》鼓手長、ワイル《マハゴニー市の興亡》ジミー・マホーニー、ヤナーチェク《イェヌーファ》ラツァなどで成功を収めている。またミラノ・スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、チューリヒ歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン国立歌劇場、パリ国立オペラ、メトロポリタン歌劇場などの舞台に立ち、ハイティンク、ヤノフスキ、ビシュコフ、ラトル、ルイージ、ティーレマン、ウェルザー・メスト、ネゼ・セガン、ネルソンスらの指揮者と共演してきた。N響とは今回が初共演。
男声合唱東京オペラシンガーズ*
1992年、「世界的水準のコーラスを」という故小澤征爾氏の要請を受けて、東京を中心に活動する中堅、若手声楽家によって結成。同年から「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)、2004年から「東京・春・音楽祭」に継続的に出演してきた。また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(サイモン・ラトル、小澤征爾指揮)、シカゴ交響楽団(リッカルド・ムーティ指揮)、バイエルン国立歌劇場(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮)など、海外オーケストラ、歌劇場の来日公演でも共演。海外での評価も高く、エディンバラ音楽祭(1999年)、上海国際芸術祭(2018年)、上海交響楽団演奏会(2019年)、北京国際芸術祭「相約北京」(2020年)に出演した。
N響とは、2009年にオラトリオ《天地創造》で初共演。以来、年末のベートーヴェン《第9》公演をはじめ、共演を重ねている。N響が登場する「東京・春・音楽祭」の「ワーグナー・シリーズ」には第1回(2010年)から出演。2024年3月、マレク・ヤノフスキ指揮の《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式)では強靭(きょうじん)な合唱で存在感を示した。《ファウスト交響曲》でも迫力の合唱を聴かせてくれるだろう。
[柴辻純子/音楽評論家]
※当初出演予定のジェームズ・マッコークル(テノール)から変更いたします。
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 13,000円 | 11,000円 | 8,500円 | 7,000円 | 5,600円 | 3,500円 |
ユースチケット | 6,500円 | 5,200円 | 4,000円 | 3,500円 | 2,000円 | 1,700円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]
シーズン会員券(WINTER)
2024年10月15日(火)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年10月10日(木)10:00am]