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第2074回 定期公演 Aプログラム

※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年11月Aプログラム 聴きどころ

絶賛された2025年1月のショスタコーヴィチ《交響曲第7番「レニングラード」》につづき、今回、ソヒエフ/N響が挑むのは、“戦争三部作”の続編となる《第8番》だ。世界中で戦火の絶えない今こそ、戦争の悲劇を告発したこの作品を取り上げる意味は大きい。若きプロコフィエフの叙情的名作との組み合わせの妙味も、ぜひお楽しみいただきたい。

(千葉 潤)

PROGRAM曲目

プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第1番ニ長調 作品19

大胆な不協和音や無機的なオスティナートを駆使して、ロシア・モダニズムをリードしたセルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953)。だが彼も、人生では恋の悩み多きひとりの若者であり、叙情性溢(あふ)れる本作の着想は、彼の大恋愛と関連している。お相手はサンクトペテルブルクの裕福な家の娘ニーナ・メシチェルスカヤ。2人は結婚を考えるが、折悪しく第1次世界大戦が勃発。将来のためにロシア・バレエ団の興行主ディアギレフとの関係を強めたいプロコフィエフは、ニーナを“略奪”してヨーロッパへの逃避行を計画するが、彼女の両親の妨害によって挫折し、その後、2人の関係は急速に冷めていった。ほろ苦い青春の思い出は、この協奏曲の最初と最後に奏される“夢見るような”独奏ヴァイオリンが優しく伝えている。
第1楽章 アンダンティーノ、ニ長調、8分の6拍子。“夢見るように”と指示された第1主題と、“語るように”と指示されたプロコフィエフ好みのメカニックな第2主題によるソナタ形式。
第2楽章 スケルツォ:ヴィヴァチッシモ、ホ短調、4分の4拍子。作曲者自身が「スケルツォの中のスケルツォ」と豪語した楽章。ヴァイオリンの超絶技巧が目まぐるしく駆使される。
第3楽章 モデラート、ト短調、4分の4拍子。ラプソディックな主要主題とより律動的な副主題が交互に発展するが、最後は第1楽章主題が再現され、夢幻のなかに消えていく。

(千葉 潤)

演奏時間:約23分
作曲年代:1915~1917年
初演:1923年10月18日、セルゲイ・クーセヴィツキー指揮、マルセル・ダリューの独奏、パリ・オペラ座管弦楽団、パリ

ショスタコーヴィチ/交響曲 第8番 ハ短調 作品65

今年、生誕120年を迎えた作曲家ドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906~1975)の音楽は、彼が生涯を送った激動のソ連史と密接に結びついている。特に、独ソ戦時代に書かれた《交響曲第7番》から《第9番》はソ連国民の年代記ともいうべき内容をもち、《第7番》が英雄的な愛国主義の表明、《第9番》が戦後のスターリン神格化への面当てだとすれば、《第8番》は、戦争の非人間性を芸術的な手法で表現した音楽の鎮魂碑である。
本作は、独ソ戦の分岐点といわれるスターリングラードでのソ連軍の勝利をきっかけに、国内が反転攻勢に沸く1943年夏に約2か月で完成された。この間、ショスタコーヴィチは、戦争の恐怖やファシストの残虐行為を収めたニュース映画を毎日のように見ており、戦争の惨禍を目の当たりにしたショックは、この曲全体の悲劇的な音調のみならず、要所に現れる打楽器の威圧的なクレッシェンドや、銃声や爆撃の音響描写にまで深く浸透している。他方、全楽章は基本動機(ド・シ・ド、またはド・レ・ド)によって統一され、第3楽章から第5楽章までは続けて演奏されるなど、交響曲としての一貫性や物語性も強固だ。特筆すべきは、バロック的なトッカータやパッサカリアから、軍楽隊や世俗音楽のパロディ、マーラー的な破局や諦念の表現など、多様な様式を折衷したショスタコーヴィチの豊かな音楽性であり、それらが混然一体となって、この曲に叙事詩としての風格を与えている。
しかしながら、時流に反した悲劇性や辛辣性が仇(あだ)となって、その評判は芳しくなく、1948年のジダーノフ批判以降は、事実上の演奏禁止となった。公的な謝罪を余儀なくされたショスタコーヴィチだったが、翌年12月の友人への手紙には、なおもこう記していた。「私は総譜を最初から最後まで読み直しましたが、その質の高さに驚きました。このような作品を創ったことを誇りに思うし、幸福です」。畢竟(ひっきょう)、どんな状況にあっても真実を直視し、誠実に表現する芸術家は存在する。その勇気こそが、この力強い作品を生み出したことを忘れてはならないだろう。
第1楽章 アダージョ─アレグロ・ノン・トロッポ─アダージョ、ハ短調、4分の4拍子、序奏と第1主題、4分の5拍子の第2主題によるソナタ形式。全曲の約3分の1を占める長大な楽章であり、中央のアレグロの前後をアダージョが囲む独特の構成をもつ。展開部では叙情的な主要主題が金管中心の狂暴な行進曲と化し、胸を抉(えぐ)るような壮絶なドラマを繰り広げる。強烈なクレッシェンドで序奏が再現されたあと、緊迫した空気を一瞬で鎮静するイングリッシュ・ホルンのソロが効果的である。
第2楽章 アレグレット、変ニ長調、4分の4拍子、スケルツォ風の行進曲。世俗音楽のグロテスクなパロディであり、行進曲の主題前半は、戦前のドイツで流行したフォックストロット《ロザムンデ》への仄(ほの)めかしである。他方、中間部では、半音ずつ上下に広がっていく無機質な主題が、さまざまな楽器で対位法的に展開される。滑稽だった行進曲が次第に狂躁(きょうそう)の度を増し、やがて中間部主題の荒れ狂うフガートに至る再現部は、陽気な日常がいつの間にか恐ろしいファシズムへと変わっていく現代社会の見事なカリカチュアとなっている。
第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ、ホ短調、2分の2拍子、3部形式。主部は剝き出しのユニゾンによるトッカータであり、その上から基本動機を変形した主題が爆撃さながらに下行する。独奏トランペットで始まる中間部のギャロップは、軍楽隊のグロテスクなパロディだろうか。切迫したクレッシェンドが切れ目なく次楽章を導き出す。
第4楽章 ラルゴ、嬰ト短調、4分の4拍子。殺伐としたトッカータにつづくのは厳粛なパッサカリアの葬送行進曲であり、11回目の変奏のあと澄み切ったハ長調に到達する(ショスタコーヴィチは、「この長調に私がどれほどの血を流したことか」と語ったという)。
第5楽章 アレグレット、ハ長調、4分の3拍子。ファゴットが朗らかにロンド主題を提示するが、展開部では大規模なフガートに発展し、やがて悲劇を呼び覚ますように第1楽章の序奏が回帰する。次第に室内楽的な響きに移行しながら2つのエピソードが逆順で再現され、最後は基本動機をつぶやきながら、静かに消えて行く。

(千葉 潤)

演奏時間:約60分
作曲年代:1943年7月2日から9月9日
初演:1943年11月4日、エフゲーニ・ムラヴィンスキー指揮、ソ連国立交響楽団、モスクワ

ARTISTS出演者

トゥガン・ソヒエフさんの画像 指揮トゥガン・ソヒエフ

1977年、旧ソビエト連邦・北オセチアのウラジカフカス生まれ。サンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンに師事、ユーリ・テルミカーノフにも学んだ。20代前半から頭角を現し、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ボリショイ劇場等の首席指揮者や音楽監督を歴任。オペラとオーケストラ両分野で目覚ましい活躍をみせる。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団など世界の名だたるオーケストラに客演を続け、2026–27シーズンからスイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者・アーティスティック・アドバイザーに就任。また、2027年元旦恒例のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートを指揮することが発表されている。
NHK交響楽団とは、2008年以来、定期的に共演を重ね、2023年から毎年客演し、厚い信頼関係を築いてきた。11月A・Bプログラムは、ソヒエフがその伝統を継承するロシアのレパートリー。Aプログラムは戦時下ロシアにおけるショスタコーヴィチの苦悩を、Bプログラムはチャイコフスキーとラフマニノフのロマンティシズムと洗練を、オーケストラを細部まで緻密にコントロールしながら描き出す。Cプログラムは、近年N響と取り組み始めているベートーヴェンの交響曲。ゆるぎない指揮が構築性と旋律美を際立たせた充実の演奏となるだろう。

[柴辻純子/音楽評論家]

神尾真由子さんの画像 ヴァイオリン神尾真由子

4歳よりヴァイオリンを始める。10代から世界各地のコンクールで入賞を続け、2000年にニューヨークへ留学。ジュリアード音楽院プレカレッジでドロシー・ディレイ、川崎雅夫に師事した。2002年には日本に戻り、桐朋女子高等学校で原田幸一郎に、さらにチューリヒ音楽演劇大学でザハール・ブロンにも師事した。2004年に第1回ダヴィッド・オイストラフ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、2007年には第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝した。
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団、BBC交響楽団など世界の一流オーケストラと共演してきた。NHK交響楽団とは2020年11月公演で原田慶太楼の指揮によりバーバー《ヴァイオリン協奏曲》を披露。同年にはバッハ《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ》の全曲録音をリリースした。第13回出光音楽賞など受賞歴も多数。指導者としても認められており、現在、東京音楽大学教授である。宗次コレクションより貸与されたストラディヴァリウス「Rubinoff」(1731年製)を使用。ソヒエフと共演するプロコフィエフで、その豊かな音楽性を示してくれるだろう。

[片桐卓也/音楽評論家]

TICKETチケット

定期公演
Aプログラム

第2074回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2026年7月22日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2026年7月26日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円 3,300円
ユースチケット 6,000円 5,000円 3,600円 3,250円 1,900円 1,600円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2026年7月12日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年7月5日(日)10:00am

お問い合わせ・
お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

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