※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2026年9月Cプログラム 聴きどころ
N響創立100年を記念するシリーズが始動する。大正時代に走り出してから、楽団の骨格をつちかってきた特別な存在がベートーヴェンだ。その記念すべき幕開けは《第1番》と《第3番「英雄」》。管楽器の新しい使い方で当時の耳を驚かせた初期作から、音楽史に革命をもたらした大作へ。現在のルイージ×N響をとおし、「いま」「100年前」「200年前」を横断してみよう。
(西田紘子)
PROGRAM曲目
― N響100年特別企画 ベートーヴェン交響曲全曲演奏1 ―
ベートーヴェン/交響曲 第1番 ハ長調 作品21
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770~1827)が初の交響曲を完成させ、初演したのは29歳のとき。残されている史料は少ないものの、スケッチなどをたどると、彼が交響曲というジャンルに乗り出そうとした跡は1795年にさかのぼる。「初めての交響曲」を前に、5年あまり試行錯誤を重ねていたことはまちがいない。
1800年4月、自身の企画による公開演奏会「アカデミー」で披露された本作を、当時の人々はどう受けとめたのか。半年後の10月15日に発刊された音楽雑誌『総合音楽新聞』の評論は、興奮と戸惑いを伝える。「技巧、新しさ、着想の豊かさに満ちている」と評価する一方で、こう釘(くぎ)を刺す──「ただ、管楽器が多用されすぎていて、本来のオーケストラ音楽というよりはハルモニームジーク(管楽合奏)のようであった」と。2本のクラリネットを含む二管編成が標準となった現代の私たちの耳からすれば、当時の耳が受けた衝撃を物語る貴重な証言だ。
ここでいう「管楽器の多用」とは、たんに演奏時間の長さという「量」の問題にとどまらない。重要なメロディやリズムの核を担い、弦楽器とたくみに協働するという「質」の点でも、管楽器(そしてティンパニ)に注目してほしい。たとえば第1楽章の展開部の終わりでは、管楽器と弦楽器が、異なるモティーフでかけ合う箇所があり、対等な対話を感じさせる。
ちなみに、この日のアカデミーのほかのプログラムは次のとおり。モーツァルトの大交響曲、ハイドンの《オラトリオ「天地創造」》からの抜粋、ベートーヴェンのピアノ協奏曲と《七重奏曲》(作品20)と即興演奏が並んだ。どの楽曲かを正確に記さないうえに色んなジャンルが混ざったこの「ごたまぜ」プログラムも、現代の演奏会文化とはちがって面白い。評判がもっともよかったのは《七重奏曲》だったようだ。
当時は新鮮だった響きも、後世の耳にはそうではないこともある。たとえば30歳以上離れたベルリオーズにとって、この《第1番》は保守的に感じられた。中期以降のベートーヴェンがみせた実験精神に比べれば、豊かな着想を認めつつも本作に物足りなさを覚えている。
1800年の初演から226年を経た2026年に、19世紀の扉をおしあけたこの交響曲を聴くこと。私たちの耳が、200年前の響きを「いま」へと呼び覚ます媒体となる。
第1楽章 アダージョ・モルト、ハ長調、4分の4拍子─アレグロ・コン・ブリオ、2分の2拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・モート、ヘ長調、8分の3拍子。ソナタ形式。
第3楽章 メヌエット:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ、ハ長調、4分の3拍子。3部形式。
第4楽章 終曲:アダージョ、ハ長調、4分の2拍子─アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ、4分の2拍子。ソナタ形式。
(西田紘子)
演奏時間:約28分
作曲年代:1799~1800年
初演:1800年4月2日、ウィーンの宮廷劇場
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
《第1番》は演奏会(アカデミー)のラストに初演された。いっぽう、この《第3番》についてベートーヴェンは、1806年10月に美術工芸社から出版された初版パート譜の序文で次のように述べている──「この交響曲は通常よりもあえて長く書かれているため、アカデミーの終わりよりもはじめに近いところで、序曲やアリア、あるいは協奏曲のすぐあとに演奏されなければならない。なぜなら、プログラムのあまりあとのほうで聴かれると、前の演目によってすでに疲れている聴衆にとって、この曲ならではの意図された効果を失ってしまうからだ」。たしかに《第1番》の第1楽章がおよそ300小節であるのに対し、《第3番》の第1楽章は700小節近くに達しており、交響曲がいかにそれまでとは異なる聴き方を求めるジャンルへと変化したかがわかる。
ふたたびベルリオーズの言を借りると、「私はこのようなスタイルの音楽、これほど純粋で高貴な表現でもって一貫して悲嘆が伝えられている例をほとんど知らない」と感嘆している。感情表出の点でも新局面を切り拓(ひら)いたといえる。
初演当時の耳はもっと驚いたようだ。第1楽章で再現部に入る直前、ホルンが先走って主題を再現しているように聴こえる箇所がある(第394小節)。初演リハーサル時、これを奏者のミスだと勘違いした弟子フェルディナント・リースは、「ひどいホルン奏者だ! 小節を数えられないのか」と叫び、ベートーヴェンの怒りを買ったという。身近な人間でさえ、不協和音や予期せぬ展開をしかける作曲者の意図はなかなか見抜けなかった。
初版パート譜の表紙に記された「英雄的交響曲 ある偉大な人物〔un grand Uomo〕の思い出を記念して作曲された」という題字からは、「ある」という不定冠詞を用いることで個人の特定を避ける意図が読みとれる。皇帝として戴冠する前のナポレオンを指すとか、ベートーヴェンが愛してやまない古代ギリシア・ローマにさかのぼる「英雄的なもの」というイメージを指すとか、さまざまな仮説が示されてきた。
ここにもうひとり、英雄の名を加えておこう。終楽章は、ソプラノ主題とバス主題の2つが変奏される凝った形式をとる。この主題は、《バレエ音楽「プロメテウスの創造物」》(作品43)の最終曲に由来する。プロメテウスは、天から火を盗んで人間に文明をもたらした代わりに神の拷問に耐えた古代ギリシアの犠牲的な英雄だ。1802年のピアノ曲《15の変奏曲とフーガ》(作品35)でもこの主題を用いていることから、プロメテウスは作曲者をはじめ当時の人々にとって革命的なイメージを担っていたのだろう。
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ、変ホ長調、4分の3拍子。ソナタ形式。
第2楽章 葬送行進曲:アダージョ・アッサイ、ハ短調、4分の2拍子。自由な3部形式。
第3楽章 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ─トリオ、変ホ長調、4分の3拍子。3部形式。
第4楽章 終曲:アレグロ・モルト、変ホ長調、4分の2拍子。自由な変奏曲形式。
(西田紘子)
演奏時間:約50分
作曲年代:1803年~1804年初頭
初演:1805年4月7日、アン・デア・ウィーン劇場
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
イタリア・ジェノヴァ出身。2001年にN響と初めて共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演でマーラー《一千人の交響曲》を指揮した。2024年には台湾公演を率い、翌2025年5月にはアムステルダム・コンセルトヘボウでの「マーラー・フェスティバル」、「プラハの春音楽祭」、「ドレスデン音楽祭」への参加を含むヨーロッパ公演を成功に導いた。なおN響は「マーラー・フェスティバル」に参加したアジア最初のオーケストラとなり、《交響曲第3番》《同第4番》の演奏は評論家から称賛を集めた。2028年9月に桂冠名誉指揮者に就任する。
現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者およびダラス交響楽団音楽監督。またチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団プリンシパル・コンダクターおよびチーフ・コンダクター、スイス・ロマンド管弦楽団芸術監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者、グラーツ交響楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのプーリア州マルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督、トリノを本拠とするRAI国立交響楽団の名誉指揮者も務めている。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなど最高峰のオーケストラ、歌劇場、音楽祭に定期的に客演している。
録音ではデンマーク国立交響楽団との『ニルセン交響曲全集』が2023年にオーストラリアのライムライト賞とイタリアのアッビアーティ賞を受賞し、その第1集は『グラモフォン』誌の年間最優秀録音賞に選ばれた。またメトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のDVDはグラミー賞を受賞した。NHK交響楽団との第2弾のディスク『マーラー:交響曲第5番』は、2026年9月にリリースされる。
彼は優れた作曲家、調香師でもある。
料金
| S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般 | 12,000円 | 10,000円 | 8,000円 | 6,500円 | 5,500円 | 3,300円 |
| ユースチケット | 6,000円 | 5,000円 | 3,600円 | 3,250円 | 1,900円 | 1,600円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2026年7月12日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年7月5日(日)10:00am]



