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第2053回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年12月Cプログラム 聴きどころ

ショパンとニルセン。生きた場所も時代も異なるが、それぞれに祖国の音楽的発展に大きく寄与した作曲家たちである。彼らの代表作を取り上げた本日の演奏会は、両者が作品を通して体現しようとした「祖国への想い」を深く味わうことのできる絶好の機会となるだろう。とりわけショパンのピアノ協奏曲は、この秋にワルシャワで開催されたコンクールの覇者による演奏だ。どのようなショパン像を見せてくれるのか、期待が膨らむ。

(重川真紀)

PROGRAM曲目

ショパン/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21

フレデリック・フランソワ・ショパン(1810~1849)は、故郷ワルシャワで過ごした最後の年である1830年に2つのピアノ協奏曲を書き上げた。本日演奏される《第2番》は、彼の1作目の協奏曲だが、出版された時期の都合で、番号付けが成立順序と逆になっている。
前年のウィーンでの公開演奏会で成功を収め、ピアニスト=作曲家としての一歩を踏み出したショパンにとって、自作のピアノ協奏曲は不可欠なものだった。そこで書き上げたのが、叙情的な旋律とその装飾的な変奏によってピアノの魅力を最大限に活(い)かす、いわゆる「ブリランテ様式」の協奏曲である。ショパンのピアノ曲は、19世紀前半のヨーロッパで人気を博したベルカント・オペラの歌唱にしばしば喩(たと)えられるが、この協奏曲でもオペラ・アリアを思わせるような流麗かつ技巧的なパッセージが、終始ピアノによって「歌われる」。その分、管弦楽は二次的にならざるを得ないのだが、初演後の批評によれば「どの「トゥッティ」も最良のバランスを保って作曲され、目立たないながらも必然性をもってソロ・パートと結びついている」と好意的に受け止められたようだ。初演に先立ち、自宅で2度の試演会を行ったというエピソードが示す通り、初めて手がけた協奏曲にかける若きヴィルトゥオーソの意気込みが感じられる作品である。
全体は3つの楽章からなる。第1楽章(マエストーソ)はソナタ形式に則っているが、2つの主要主題(へ短調と変イ長調)が提示部と再現部で同じ調性で現れるなど、調の組み立ては定石どおりではない。第2楽章(ラルゲット)は、ショパンいわく「理想の人」の思い出から生まれた緩徐楽章。ピアノが叙情的な旋律をノクターン風に奏する。なお、ここで言われる「理想の人」は、当時音楽院で声楽を学んでいたコンスタンツィア・グワトコフスカとされることが多いが、真相はわかっていない。第3楽章(アレグロ・ヴィヴァーチェ)は、マズルカ風の諸主題による躍動感に満ちた音楽。なかでも弦のコル・レーニョ(弓の木部で弦をたたく)を伴う中間部は、野趣に富んでいる。後半、ホルンがこの主題を奏でるところから曲はコーダに入り、ピアノの無窮動的なパッセージとともに華やかに終わる。

(重川真紀)

演奏時間:約32分
作曲年代:1829~1830年
初演:1830年3月17日、ワルシャワ、テアトル・ナロドーヴィ(国民劇場)にて、作曲家自身の独奏、カロル・クルピンスキ指揮

ニルセン/交響曲 第4番 作品29 「不滅」

デンマークの作曲家カール・ニルセン(1865~1931)は生涯で6つの交響曲を書いた。それらの作品には、独自の世界観にもとづくユニークなタイトルが付されているのだが、《第4番》もニルセン自身によって「Det Uudslukkelige」と名付けられている。日本では「不滅」と訳されるが、厳密にいえば「滅ぼし得ざるもの」という意味だ。
このタイトルが何を示唆するのかは、作曲家自身の言葉がその手がかりとなるだろう。友人宛の手紙(1914年7月24日付)には、着手してまもないこの交響曲について次のようにある。「(《第4番》は)我々が生と呼ぶ概念、あるいはむしろそのもっとも中心的な意味においての「生」から人が感じとり、考え出すすべてのものを表すものになるだろう。つまり、生きて動こうとする意志を持つものすべてのことだ。そのすべてがこの概念の中に含まれうる。そして、ほかの芸術以上に、音楽とは生命の表出なのだ」
ニルセンがこれほど強く「生」にこだわったのには、同年に勃発した第1次世界大戦とそれに伴う祖国の危機や、家庭・仕事でのさまざまな問題などが背景にあったようだ。楽曲の特徴をなす猛烈なエネルギーの噴出は、あるいは現実世界の闘争や、彼の内面世界の葛藤を象徴しているのかもしれない。おそらく、ニルセンにとってそれらすべては「生」と結びつくものであり、彼の考えでは音楽こそ「生」そのもの、さらに言えば「生」と同じく「不滅」の、言いかえれば「滅ぼし得ざるもの」だったのだ。
曲は4つの部分からなるが、ひとつながりの単一楽章のような形になっている。ニルセンによれば、「ひたすら生命と運動、それもさまざまな、非常にさまざまな、でもまとまりがあって、あたかもひとつの流れの中で大きなひとつの動きとして常に流れていくようなもの」が作品の原型だという。
第1部はソナタ形式のアレグロ楽章に相当し、2つの主要主題が順に提示される。第1主題は調性感が薄く、モティーフに内在するリズムや運動性が推進力となっているのに対し、イ長調の第2主題は三度音程からなる穏やかで旋律的なもの。曲は断片的な動機の集合体からなる展開部を経て2つの主題が回帰する再現部に入る。続く第2部は木管楽器が中心となる牧歌的な音楽で、ニルセンの故郷フューン島の情景を思い起こさせる。中間部では、ヴァイオリンのピチカートを背景にして舞曲風の素朴な旋律が登場する。緩徐楽章に相当する第3部は、弦楽器が奏する哀歌にティンパニが呼応しながら曲が進んでいくが、3連符の連続からなる新たな動機によってしばしば中断される。弦楽器の細かいパッセージに続く第4部は晴れやかな3拍子の音楽で始まる。曲は2組のティンパニが怒濤(どとう)の連打で繰り広げる「対決」を経て、再び登場した第1部の第2主題でクライマックスを築いたのち輝かしく閉じられる。
1916年に完成されたこの作品は、その驚くべき音楽的構成と類例のない表現力の強さで、彼の代表作のひとつとしてのみならず、デンマーク文化遺産のひとつにも数えられている。

(重川真紀)

演奏時間:約36分
作曲年代:1914~1916年
初演:1916年2月1日、コペンハーゲン音楽協会にて。作曲家自身の指揮

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

イタリア・ジェノヴァ出身。2001年にN響と初めて共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演でマーラー《一千人の交響曲》を指揮した。2024年には台湾公演を率い、翌2025年5月にはアムステルダム・コンセルトヘボウでの「マーラー・フェスティバル」、「プラハの春音楽祭」、「ドレスデン音楽祭」への参加を含むヨーロッパ公演を成功に導いた。なおN響は「マーラー・フェスティバル」に参加したアジア最初のオーケストラとなり、《交響曲第3番》《同第4番》の演奏は評論家から称賛を集めた。
現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者およびダラス交響楽団音楽監督。またチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団プリンシパル・コンダクターおよびチーフ・コンダクター、スイス・ロマンド管弦楽団芸術監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者、グラーツ交響楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのプーリア州マルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督、トリノを本拠とするRAI国立交響楽団の名誉指揮者も務めている。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなど最高峰のオーケストラ、歌劇場、音楽祭に定期的に客演している。
録音ではデンマーク国立交響楽団との『ニルセン交響曲全集』が2023年にオーストラリアのライムライト賞とイタリアのアッビアーティ賞を受賞し、その第1集は『グラモフォン』誌の年間最優秀録音賞に選ばれた。またメトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のDVDはグラミー賞を受賞した。NHK交響楽団との初CD『ブルックナー/交響曲第8番(初稿)』は、2025年5月にリリースされた。
彼は優れた作曲家、調香師でもある。

エリック・ルー(第19回ショパン国際ピアノコンクール優勝者)さんの画像 ピアノエリック・ルー(第19回ショパン国際ピアノコンクール優勝者)

2025年、第19回ショパン国際ピアノコンクールで優勝。1997年アメリカ合衆国マサチューセッツ州生まれ。これまでにロバート・マクドナルド、ダン・タイ・ソンらに師事した。2015年に17歳という若さで挑んだ第17回ショパン国際コンクールでは第4位に入賞、2018年に20歳で臨んだリーズ国際ピアノコンクールでは優勝を果たした。以来、各国の一流オーケストラや指揮者と共演し、主要ホールでのリサイタルやアルバム・リリースも重ねている。近年ではムーティ指揮シカゴ交響楽団、オールソップ指揮ロンドン交響楽団、アール・リー指揮ボストン交響楽団などと共演し、上海交響楽団とBBCプロムスに出演。その知的で詩情に満ちた解釈により、唯一無二の存在感を放つピアニストとして認められる中、真摯な姿勢で臨んだ今回のコンクールでは、圧倒的に多彩な音色を響かせ、その確かな芸術性が際立った。コンクールのファイナルで演奏したショパンの《ピアノ協奏曲第2番》を、今回はルイージ指揮N響との共演により、緻密で立体的な表現で聴かせてくれることだろう。

[飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター]

MOVIEムービー

ファビオ・ルイージ/ニルセンとの出会い、《交響曲第4番「不滅」》について

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TICKETチケット

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第2053回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年10月22日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年10月26日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 11,000円 9,500円 7,600円 6,000円 5,000円 3,000円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,800円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am
シーズン会員券(WINTER)
2025年10月17日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年10月14日(火)10:00am

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主催:NHK / NHK交響楽団

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