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第2045回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年10月Bプログラム 聴きどころ

ノルウェーのグリーグ、デンマークのニルセン、フィンランドのシベリウスという、ブロムシュテットのルーツである北欧の作曲家の作品によるプログラム。いずれも作曲家たちがすでに数々の傑作を世に送り出し、名実ともに充実していた時期に、さらに新たな道を探求して書かれた作品である。彼らをこよなく敬愛するブロムシュテットによる演奏は、きっと想像を超える感動を与えてくれるだろう。

(小林ひかり)

PROGRAM曲目

グリーグ/組曲「ホルベアの時代から」 作品40

ルズヴィ・ホルベア(1684~1754)は啓蒙(けいもう)時代の作家で、エドヴァルト・グリーグ(1843~1907)と同じノルウェー西部のベルゲンの出身である。ホルベアが生きた時代はデンマークとノルウェーが国王を同じくする同君連合の関係にあり、ホルベアはおもにコペンハーゲンで活動したため、両国の文学の祖として称えられている。《ホルベアの時代から》は、この作家の生誕200年を記念して、もともとはピアノ独奏のために書かれ、ノルウェー人ピアニスト、エリカ・ニッセンに献呈された。副題に「古い様式による組曲」とある。クープラン、ラモー、J. S. バッハの作品にあるようなフランス舞曲など、ホルベアと同時代のバロック音楽の様式を借りて、グリーグはロマン主義の語法を用いて優雅でユニークな組曲を書いた。その作曲が行われたのは1884年の夏、ハルダンゲル地方のロフトフース。山々とフィヨルドに囲まれたその村にグリーグは以前住んだことがあり、その後も夏をここで過ごすことがあった。なお、弦楽合奏版は翌1885年に完成した。その組曲は次の5曲から成る。
第1曲 前奏曲 湧き出るような喜びと活気に満ちた音楽。原曲のピアノ独奏版では分散和音だったところを、弦楽合奏版ではリズミカルに刻まれる和音に変えたり、メロディを加えて響きをより豊かにしたりして、弦楽合奏にふさわしい書法になっている。
第2曲 サラバンド 2拍目にやや重みのある、ゆったりとした3拍子の舞曲。穏やかに始まるが、幾分動きが増す中間部では、チェロの独奏が登場し、続くトゥッティ(総奏)で劇的に高揚していく。
第3曲 ガヴォット─ミュゼット 17~18世紀フランスの宮廷舞踊風に優雅に始まる。ミュゼットの部分では、ミュゼットらしくバグパイプのような持続音を伴う。
第4曲 アリア この組曲中で唯一、短調を主調とする。発想記号に「宗教的に」とある。グリーグの叙情性が大いに発揮されている曲。
第5曲 リゴードン 急速なテンポで生き生きとした2拍子の舞曲。ヴァイオリン独奏とヴィオラ独奏による二重奏を他が伴奏する形で始まる。物悲しい気分の中間部を経て、快活に駆け抜けるように曲は閉じられる。

(小林ひかり)

演奏時間:約21分
作曲年代:[原曲(ピアノ独奏版)]1884年 [弦楽合奏版]1885年
初演:[原曲]1884年12月7日、ベルゲン、作曲者によるピアノ [弦楽合奏版]1885年3月15日、ベルゲン、作曲者による指揮

ニルセン/フルート協奏曲

カール・ニルセン(1865~1931)の《フルート協奏曲》は、彼が残した6つの交響曲よりもあとに書かれた後期の傑作である。その作曲の数年前、ニルセンは深い信頼を寄せるコペンハーゲン管楽五重奏団のために《管楽五重奏曲》(1922年完成)を書いた。そして彼はさらに、五重奏団のひとりひとりのために協奏曲を作曲することを約束したと言われている。まずクラリネットのために書こうと考えたが、フルートのためのアイデアの方が先行し、1926年の夏から秋にかけての短い期間に《フルート協奏曲》が作曲され、最初に完成した。これを献呈されたのはホルゲル・ギルベルト・イェスペルセン。彼が五重奏団のメンバーになるのは実は1927年頃だが、彼を念頭に置いて作曲され、初演では彼がソリストを務めた。ラヴェルやオネゲルも出席したというパリでのそのコンサートは、すべてニルセンの作品によるプログラムで、最新作《フルート協奏曲》の他に、《交響曲第5番》、《ヴァイオリン協奏曲》、劇付随音楽《アラジン》からの5曲なども演奏された。コンサートは好評だったものの、《フルート協奏曲》については賛否両論であった。ニルセンはより大きな終結部を新しく作曲し、その改訂版の初演を翌年1月にコペンハーゲンで行った。なお、1928年には《クラリネット協奏曲》を完成させるが、ニルセンの体調悪化のため、これが最後の大作となってしまった。
《フルート協奏曲》は伝統的な協奏曲とは異なり、2楽章から成る。またトランペットが登場せず、室内楽的で、各楽器の個性や、これらとフルート独奏との掛け合いが際立つのも特徴である。
第1楽章 冒頭は自由で幻想的。不安定な調性の中、モティーフが提示されていく。しばらくして落ち着き、オーケストラによって奏される主題はヘ長調で優しく歌うようである。独奏フルートはオーケストラや各楽器とのやり取りを経てカデンツァへ移行し、最後は開始と対照的に、変ト長調できわめて静かに終わる。
第2楽章 静けさを打ち破るように力強く始まるが、やがて静まり、子どものように無邪気な(ニルセンは演奏会の解説でこのように表現した)主題がフルート独奏によって奏される。これとアダージョで登場する嘆きのメロディが展開されていく。後半は行進曲のテンポになり、最後はバス・トロンボーンによるグリッサンド奏法を取り入れるなど、ユーモアをまじえながら軽快に終結する。

(小林ひかり)

演奏時間:約19分
作曲年代:1926年。1927年改訂
初演:1926年10月21日、パリ、コンサートホール・メゾン・ガヴォー(現サル・ガヴォー)にて、ホルゲル・ギルベルト・イェスペルセン独奏、エミール・テルマーニ(ニルセンの娘婿)指揮、パリ音楽院管弦楽団 [改訂版]1927年1月25日、コペンハーゲン、音楽協会にて、ホルゲル・ギルベルト・イェスペルセン独奏、作曲者による指揮

シベリウス/交響曲 第5番 変ホ長調 作品82

ジャン・シベリウス(1865~1957)の《交響曲第5番》は、彼の50歳の祝賀コンサートで発表すべく作曲された。その着想は1914年で、未曽有の大惨事をもたらした第1次世界大戦が勃発した年である。シベリウスは国外での公演や楽譜出版がままならなくなるなど、収入減少に見舞われていた。1915年の春、彼はヘルシンキの北に位置するヤルヴェンパーの自宅(妻の名にちなんでアイノラと名付けられた)周辺を散歩中のある体験を日記に綴(つづ)っている。「今日、11時10分前に16羽の白鳥を見た。人生最高の体験のひとつだ。(中略)白鳥たちは私の上をしばらく旋回し、煌(きら)めく銀のリボンのように太陽の靄(もや)の中へと消えていった。鳴き声は鶴のように木管楽器風、しかしトレモロはない。自然の神秘と人生の不安。第5交響曲フィナーレの主題だ……」(1915年4月21日)。さらに、親友でパトロンのアクセル・カルペランからシベリウスへの手紙には「比類ない白鳥讃歌(さんか)」という言葉があることから(1916年12月15日)、この体験と本作終楽章の主題が深い関わりを持つことは確かだとされている。
シベリウスの50歳の誕生日に行われた初演は大成功だったが、彼はそれに満足せず、大幅な修正を行う。目立った変更点を挙げれば、4楽章構成だった初稿の最初の2つの楽章をひとつにまとめた。また、第1楽章冒頭にホルンのメロディを加えた。それから、終楽章最後の6つの決然たる和音の間を無音の時間にした。一般に広く知られているのは最終稿であるが、このように《第5番》の大きな特徴であるところのいくつかは初稿には存在しなかった。初稿から最終稿完成までの間には、ロシア革命が起こり、フィンランドはロシアから独立し、それに伴う内戦のさなか、アイノラも赤衛隊による家宅捜索を受けた。さらに親友カルペランの死。《交響曲第5番》は、作曲家がさまざまな困難を経て完成させた作品なのである。
喉の腫瘍を患っていた頃、死への恐怖につきまとわれながら作曲した《交響曲第4番》(1911年完成)の悲愴(ひそう)感とは打って変わり、《第5番》は生の息吹と喜びをしみじみと感じさせる。
第1楽章 冒頭のホルンの呼びかけと木管楽器の応答は、澄み渡った光景が目に浮かぶかのよう。ここに本作品の多くの音楽素材が含まれている。第1楽章後半はスケルツォとなり、急速なテンポで活気を増していく。
第2楽章 まず管楽器、続いて弦楽器のピチカートのあとに、これと和やかに対話をするようにフルートの主題が現れる。変奏曲形式による3拍子の緩徐楽章である。
第3楽章 弦楽器主体の無窮動風の急速な部分に続いて、「白鳥の主題」とも呼ばれる、揺らめくような3拍子系の印象深い主題が登場する。ホルンによって奏されるこの主題に、木管楽器とチェロの伸びやかに歌うメロディが重なる。最後はトランペットが中心となってこの主題を奏し、壮大なクライマックスを築き上げていく。

(小林ひかり)

演奏時間:約30分
作曲年代:[初稿]1914~1915年 [第2稿]1916年 [最終稿]1917~1919年
初演:[初稿]1915年12月8日、ヘルシンキ大学講堂にて、作曲者による指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 [第2稿]1916年12月8日、トゥルク、作曲者による指揮、トゥルク音楽協会(現トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団) [最終稿]1919年11月24日、ヘルシンキ大学講堂にて、作曲者による指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[アンコール曲]
ドビュッシー/シリンクス
フルート:セバスティアン・ジャコー

 

はじめてのクラシック
「エドヴァルト・グリーグ」


ARTISTS出演者

ヘルベルト・ブロムシュテットさんの画像 指揮ヘルベルト・ブロムシュテット

現役で活躍する世界最高齢指揮者のひとり。1927年、スウェーデン人の両親の間にアメリカのマサチューセッツ州で生まれた。2歳からスウェーデンで育つ。ストックホルム王立音楽院、ウプサラ大学、ジュリアード音楽院などで学ぶ。タングルウッドではバーンスタインにも師事した。ノールショピング交響楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、デンマーク放送交響楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、北ドイツ放送交響楽団(現NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団などのオーケストラのシェフを歴任したあと、音楽監督や首席指揮者の役職には就かず、フリーの立場で指揮活動を行う。近年は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にも定期的に客演している。
NHK交響楽団とは1981年に初共演。1986年からN響名誉指揮者を務め、2016年に桂冠名誉指揮者となる。N響との親密な関係は40年以上続いている。今回取り上げるグリーグ、ニルセン、シベリウスらの北欧音楽の演奏は彼のライフ・ワークであり、メンデルスゾーンやブラームスらのドイツ音楽は彼の十八番のレパートリーといえる。なかでもメンデルスゾーンの《交響曲第2番「讃歌」》は、昨年のザルツブルク音楽祭でもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と演奏した。3つのプログラムでの巨匠の至芸が楽しみである。

[山田治生/音楽評論家]

セバスティアン・ジャコーさんの画像 フルートセバスティアン・ジャコー

1987年スイスのジュネーヴに生まれ、ジュネーヴ高等音楽院でジャック・ズーンに師事。2013年神戸国際フルートコンクール、2014年カール・ニルセン国際フルートコンクール、2015年ARDミュンヘン国際音楽コンクールのすべてで優勝を飾り、現代屈指のフルート奏者としての評価を確立した。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者を務めたほか、クラウディオ・アバドに招かれてマーラー室内管弦楽団やモーツァルト管弦楽団でも演奏。日本では、2008年から参加しているサイトウ・キネン・オーケストラの首席奏者としてお馴染みの存在となっている。また、ソリストとしてバイエルン放送交響楽団やミュンヘン室内管弦楽団をはじめ、多くの楽団と共演を重ね、幅広いレパートリーを持つ名手としてリサイタルや室内楽でも活躍。ブレーメン芸術大学で教鞭をとるなど、教育面にも力を注いでいる。
N響とは今回が初の共演。優勝したコンクールゆかりのニルセンの協奏曲における生気と躍動感に満ちたソロへの期待は大きい。

[柴田克彦/音楽評論家]

エヴァ・オリカイネンさんの画像 カバーコンダクターエヴァ・オリカイネン

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TICKETチケット

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Bプログラム

第2045回 定期公演
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年7月23日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年7月27日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円
ユースチケット 6,000円 5,000円 4,000円 3,250円 2,750円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2045回 定期公演 Bプログラム」

2025年10月30日(木) 7:35PM~ 9:15PM

曲目:グリーグ/組曲「ホルベアの時代から」 作品40
ニルセン/フルート協奏曲
シベリウス/交響曲 第5番 変ホ長調 作品82

このコンサートの詳細はこちら

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

フルート:セバスティアン・ジャコー

収録: 2025年10月9日 サントリーホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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