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- 第2040回 定期公演 Bプログラム
※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2025年6月Bプログラム 聴きどころ
しかし、ブルックナーの《交響曲第6番》が、彼のほかの交響曲と比べて演奏の機会に恵まれないのはなぜなのだろう? どの楽章も性格がはっきりしていて耳に残りやすいし、ブルックナーにしてはコンパクトだから、プログラムを独占してしまうこともない(おかげで今回はイベールの協奏曲も楽しめる)。それに、多くの音楽ファンを困惑させる、ナントカ稿やらナンチャラ版やらといった話とも無縁である。つまりそれは、ブルックナーがもともと思い描いていた交響的世界を、そのまま追体験できるということだ。
ヴァイオリンが刻むリズムに乗って、さあ、《第6番》の世界へといざ進まん!
(池上健一郎)
PROGRAM曲目
イベール/フルート協奏曲
ジャック・イベール(1890~1962)は、生涯におよそ120の作品を残した、20世紀前半を代表するフランスの作曲家である。いわゆる「六人組」には属していないが、その一員であるオネゲルやミヨーとはパリ音楽院でともに学び、卒業後も交流があった。第1次世界大戦の終結後、本格的に活動をスタートさせると、1927年に初演された一幕物のオペラ・ブッファ《アンジェリーク》で大成功を収め、その地位を不動のものとした。
《フルート協奏曲》は、20世紀を代表するフルート奏者マルセル・モイーズ(1889~1984)のために作曲された。ちなみに、初演の際に指揮を務めたフィリップ・ゴーベールもまた一流のフルート奏者であった。小編成のオーケストラで、3楽章合わせても20分程度と、規模こそ小さめだが、ソリストに高度な技術と表現力を要求する難曲でもある。
第1楽章 鋭い不協和音で勢いよく始まると、フルートがすぐさま軽やかで少しおどけたような主題を奏でる。その後いったん落ち着くも、再びフルートが動きだすと、音楽はいっそう活気を帯びてゆく。
第2楽章 フルートが奏でる息の長い旋律を、弦楽器が柔らかい響きで包み込む。音楽がひと盛りあがりしたあとの、フルートとソロ・ヴァイオリンの甘美な絡み合いは必聴。
第3楽章 リズミカルでエネルギッシュなフィナーレ。タイミングを微妙にずらすような和音の三連打が、推進力あふれる音楽に心地よいアクセントを添える。中盤に差しかかってフルートの独奏が始まると、太陽が輝く日中から月夜に場面転換したかのように曲調が一変する。終盤には、フルートの技巧が凝縮された長大なカデンツァも待っている。
(池上健一郎)
演奏時間:約19分
作曲年代:1932~1933年
初演:1934年2月25日、パリ、フィリップ・ゴーベール指揮、マルセル・モイーズ独奏
ブルックナー/交響曲 第6番 イ長調
アントン・ブルックナー(1824~1896)が、長年務めていたリンツ大聖堂のオルガニスト職を辞してウィーンに移住したのが1868年のこと。以後、お蔵入りになったものも含めて、ほとんど毎年のように新しい交響曲を作曲し続けた。しかし、1876年に《交響曲第5番》を書きあげると、創作の手をいったん止めて、それまでに作曲した交響曲作品の大規模な改訂に集中することになる。およそ3年におよぶ「沈黙」ののち、ブルックナーは《弦楽五重奏曲》の作曲を経て、再び交響曲の創作に向かいはじめる。こうして書きあげられたのが《交響曲第6番》である。第1楽章に着手したのは1879年夏。その後、《交響曲第4番》の改訂などもあって中断したが、スイスへの休暇旅行の帰りに立ち寄った地元ザンクトフローリアンで作曲を再開、1881年9月に全楽章の完成に至った。
本作は、それまでの記念碑的な長大さを誇る作品群とは一線を画した、比較的コンパクトで凝縮された構成を持つ。その意味で、ブルックナーが新たな一面を見せた作品といえるだろう。しかし、当時はほとんど脚光を浴びることがなく、1883年に行われた初演でも、取りあげられたのは第2楽章と第3楽章のみ。生前には、全曲の演奏も楽譜の出版も叶わなかった。こうした事情もあって、作曲当初の姿のままこんにちまで伝えられている、ブルックナーとしては珍しい交響曲作品である。
第1楽章 マエストーソ。予感と緊張をはらんだ冒頭の静けさは、オーケストラの爆発によって打ち破られる。力強く刻まれるリズムに支えられた勇壮な曲調は、さながら大軍の行進のようだ。
第2楽章 アダージョ:非常に厳かに。葬送音楽風のアダージョ。悲痛な主題に重ねられるオーボエの嘆きの歌が印象的だ(この旋律は、性格を変えて第4楽章にも登場する)。死や魂の浄化のイメージを呼び起こす厳かな音楽は、最終的には安らかな響きへと行き着く。
第3楽章 スケルツォ:速くなく─トリオ:ゆっくりと。第1楽章と共鳴するような、力強いスケルツォ。穏やかなトリオ(中間部)にも、勇ましいホルンのモティーフが鳴り響く。
第4楽章 終曲:動きをもって、しかし速すぎず。あてもなくさまようような旋律から始まるも、金管楽器のリズムに誘われて勝利の響きが解き放たれる。いっぽう、対位法的に紡がれてゆく副次主題は、気がつけばワーグナー風の旋律に姿を変える。終盤には第1楽章冒頭の楽想が戻ってきて、輝かしいクライマックスを作りだす。
(池上健一郎)
演奏時間:約60分
作曲年代:1879~1881年
初演:1883年2月11日、ウィーン(第2、3楽章のみ)ヴィルヘルム・ヤーン指揮。1901年3月14日、シュトゥットガルト(全曲初演)カール・ポーリヒ指揮
ARTISTS出演者
指揮フアンホ・メナ
フアンホ・メナはスペイン・バスク地方の出身で、現在もこの地に居を構える。バスクはエスニシティや文化が特殊な地域として、またラヴェルの故郷(ただし同じバスクでもラヴェルはフランス側)としても有名だ。そんなバックグラウンドもありメナはラヴェルをはじめ、スペイン、フランスやラテン・アメリカの作曲家をレパートリーの核としてきた。しかしキャリアの深まりと共に幅は大きく広がり、2016年にはスペイン国家音楽賞も受賞、同国を代表する巨匠のひとりとして歩み始めている。スペイン・ビルバオ交響楽団の芸術監督を務めた後(1999〜2008年)、2011年からはBBCフィルハーモニックの首席指揮者の任に当たった(〜2018年)。このポストによって知名度を国際的に広げ、またお国もののみならず、シューベルトやブルックナーといったシンフォニックなレパートリーでも評価を固めた。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする世界中の名門オーケストラにもくり返し客演している。
N響には2017年に初登場、2021年にも再度登壇しているが、いずれもラテン、フランス系のプログラムだった。今回はイベールにブルックナーを組み合わせ、チェリビダッケにも師事したメナが骨太のシンフォニーで真価を問う。《交響曲第6番》はすでにBBCフィルと録音もしている得意曲。録音では端正ですっきり伸びやかにまとめているが、独墺圏の交響曲演奏に伝統を持つN響との共演はいかに。
[江藤光紀/音楽評論家]
フルートカール・ハインツ・シュッツ
オーストリア、インスブルック生まれ。オーストリアのフォアアールベルク州立音楽院でエヴァ・アムスラーに師事した後、スイスのバーゼルで彼女の師であるオーレル・ニコレにつく。その後、フランスで学びたいと思い、リヨン国立高等音楽院でフィリップ・ベルノルドに師事して、自らの音楽の領域を広げた。1998年のカール・ニルセン国際音楽コンクールと1999年のクラクフ国際フルート・コンクールで優勝。シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団を経て、2011年、ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団し、2015年からウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席フルート奏者を務めている。ウィーン・フィルの定期演奏会では、ブーレーズの《メモリアル》やモーツァルトの《フルート協奏曲第1番》で独奏を担った。アンサンブル・ウィーン・ベルリン、ウィーン・リング・アンサンブルのメンバー。
NHK交響楽団とは2015年と2017年に共演。今回は、イベールの《フルート協奏曲》を演奏する。ドイツ・オーストリア音楽だけでなくフランス音楽も得意とするシュッツだけに、魅力的な演奏が期待される。
[山田治生/音楽評論家]
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | |
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一般 | 12,000円 | 10,000円 | 8,000円 | 6,500円 | 5,500円 |
ユースチケット | 6,000円 | 5,000円 | 4,000円 | 3,250円 | 2,750円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
ユースチケット
29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]