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定期公演 2024-2025シーズンBプログラム
第2026回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年12月Bプログラム 聴きどころ

今回のプログラムは、スラヴ音楽の多彩な魅力を存分に堪能させてくれる。まず、スメタナの《「売られた花嫁」序曲》は、軽快なリズムとメロディでボヘミアの活気を伝え、続くラフマニノフの《ピアノ協奏曲第3番》は、ロシアの情感と壮大さをヴィルトゥオーゾのピアノで展開する。そして、ラヴェルの精緻なオーケストレーションによって新たな命を吹き込まれたムソルグスキーの《展覧会の絵》は、ロシアの土壌と西欧の洗練が見事に融合した響きを奏でる。

(高橋健一郎)

PROGRAM曲目

スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲

チェコ国民楽派の祖と称されるベドルジヒ・スメタナ(1824〜1884)の2作目のオペラ《売られた花嫁》は、チェコ・オペラの最高傑作のひとつとされる。ストーリーは以下の通り。村娘マルジェンカには恋人イェニークがいたが、両親は地主ミーハの息子ヴァシェックと結婚させようとする。結婚仲介人がイェニークに大金を示してマルジェンカから手を引くよう要求すると、イェニークは「マルジェンカはミーハの息子以外とは結婚しない」という条件をつけて承諾。村人たちは恋人を売ったイェニークを非難するが、実はイェニークがミーハの先妻の子だと判明する。こうして、恋人たちはめでたく結ばれる。この明るくユーモラスな物語の中には、当時の農村生活や風俗が色濃く反映されている。
スメタナは「安易な民謡の引用」を嫌ったことで知られ、このオペラにおいても音楽のフォークロア的要素の使用は最小限にとどめている。それでいて、全体的に軽快で快活なリズムと旋律がボヘミアの地方色をはっきり伝えているように感じられる点が、「国民オペラ」たる所以であろう。
〈序曲〉はオペラ全体の中でも特に有名な部分であり、その軽やかでエネルギッシュなリズムが特徴である。独立した演奏会用作品としても人気が高く、しばしば取り上げられる。冒頭の生き生きとした主題が活気に満ちた雰囲気を作り出し、2分の2拍子の急速なテンポで進んでいく。弦楽器の対位法的な扱いが随所に見られ、緻密なアンサンブルが求められるのも特徴的である。

(高橋健一郎)

演奏時間:約7分
作曲年代:1863年から1866年。その後改訂が施され、1870年9月に決定稿が完成
初演:1866年5月30日、プラハのチェコ仮劇場にて、作曲者自身の指揮による。決定稿による上演は、1870年9月25日、同劇場にて

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30

1909年、セルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943)は初めてのアメリカ演奏旅行に向けてこの協奏曲を作曲し、同年11月にニューヨークで自らピアノを演奏して初演を行い、見事な成功を収めた。この作品は名ピアニスト、ヨーゼフ・ホフマンに献呈されている。ロシアの聖歌を思わせる主題が全楽章を統一的に結びつける一方、華麗なピアノ技法が展開されている点で、《第2番》との共通点が見られるが、構成の洗練度は《第3番》でさらに高まっている。斬新なモダニズム音楽が注目を集め始めた時代に、ロシア音楽の伝統的な層の中からモティーフを掘り起こし、それを華麗なピアニズムと結びつけることで自分の道を貫いたラフマニノフの傑作である。
第1楽章 アレグロ・マ・ノン・タント、自由なソナタ形式。控えめな動きで狭い音程間を行き来する第1主題に関して、古い聖歌の旋律との類似性が指摘されている。それに対して、作曲者自身は民謡や聖歌からの借用ではなく、ただ「歌い手が歌うように旋律を歌わせたかった」と述べている。ラフマニノフが子供のころから親しみ、体に染み込んでいた聖歌のイントネーションが無意識に引き出されたのだろうか。夢見心地のような歌謡的な第2主題も、対旋律と絡み合いながら、ロシア民謡を連想させる壮大な景色を描く。
第2楽章〈間奏曲〉 アダージョ、3部形式(変奏曲)。優美でメランコリックな主題がさまざまに変奏されていく。中間部では軽快なリズムとなり、ワルツが優しく奏でられるが、ここで第1楽章の第1主題を連想させる楽想が見え隠れする。
第3楽章〈終曲〉 アラ・ブレーヴェ、自由なソナタ形式。第2楽章の終盤の勢いのまま、切れ目なく始まる。第1主題はロシア正教の復活祭の賛歌を思わせる華やかさをもち、そのエネルギーに突き動かされるかのように音楽が疾走する。展開部では第1楽章第2主題を基にした楽想が現れ、きらびやかなピアノの高音域、鋭いリズムで高揚感を強め、さらに再現部から終曲部分にかけての絢爛(けんらん)豪華な音の洪水が聴く者を圧倒する。

(高橋健一郎)

演奏時間:約41分
作曲年代:1909年
初演:1909年11月28日、ラフマニノフ自身のピアノ、ウォルター・ダムロッシュ指揮、ニューヨーク交響楽団、ニューヨークのカーネギー・ホールにて

ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」

原曲はロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキー(1839~1881)が友人の建築家・デザイナーであるガルトマンの遺作展の印象をもとにピアノ独奏曲として作曲したもの。〈プロムナード〉と10曲からなる。〈プロムナード〉は展覧会を歩くムソルグスキー自身を表し、冒頭のほか、第1、第2、第4曲のあとに奏される(なお、ラヴェル版では削除されているが、原曲では第6曲のあとにも挿入される)。五音音階の旋律と不規則な拍子や不安定な調性をもち、ロシア民謡を思い起こさせる。
第1曲〈ノーム〉は、地の精の奇妙な姿と陰鬱な感情を描き、第2曲〈古い城〉では中世の吟遊詩人の淡々とした歌が流れる。第3曲〈チュイルリーの庭〉は、パリのチュイルリー庭園で子供たちが騒ぐ場面を伝える。
第4曲〈ブィドロ〉のタイトルはポーランド語で家畜の牛を意味し、この曲も牛車の重々しい動きを表していると考えられるが、比喩的に「虐げられた人々」を描いているという説もある。第5曲〈卵のからをつけたひなの踊り〉はバレエの衣装デザインを基にした曲で、子供たちが卵の殻をつけた衣装を着て駆け回る様子が描写される。第6曲〈サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ〉は、金持ちと貧者という対照的なユダヤ人の2枚の絵に基づいており、木管と弦の低音がゴールデンベルクを、トランペットのせわしない音型がシュミイレを表すとされる。
第7曲〈リモージュの市場〉は、フランスの市場の女性達のおしゃべりを音楽化したもの。第8曲〈カタコンブ〉は、ガルトマンがカタコンブ(地下墓地)を訪れる場面を和音の連続で表す。後半は「死者の言葉による死者との対話」と名付けられ、ガルトマンの魂がムソルグスキーに呼び掛け、頭蓋骨が光を放ち始めるという。第9曲〈バーバ・ヤガーの小屋〉は、スラブの昔話に登場する「バーバ・ヤガー」の小屋を模した時計のスケッチを基にする。箒(ほうき)に乗って飛び回り、子供たちを追い回すバーバ・ヤガーの姿が見えるような曲である。
終曲の第10曲〈キエフの大きな門〉は、キエフの門の再建計画のデザイン案に基づく。絵には古代ロシアの教会が描かれ、それに呼応するように曲の中でロシア聖歌の旋律や教会の鐘が鳴る。最後は〈プロムナード〉の旋律が鐘の音の中に溶け込みながら響き渡り、まるでムソルグスキー自身が絵の中に入り込んだかのようである。
この組曲はスラブの神話やキリスト教、フランス、ユダヤ世界など、ロシア文化の多面性を伝えるテーマに彩られている。作曲家の死後しばらく忘れられていたが、1922年、クーセヴィツキーの委嘱によりモーリス・ラヴェル(1875〜1937)がオーケストレーションを施し、その結果、土着的で素朴な響きを持つ原曲に、色鮮やかで華やかな響きが加わり、世界的な人気を獲得するに至った。

(高橋健一郎)

演奏時間:約35分
作曲年代:原曲は1874年、編曲は1922年
初演:1922年10月19日、セルゲイ・クーセヴィツキー指揮、パリ・オペラ座にて

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2024年8月にはN響台湾ツアーを率い、2025年5月には「マーラー・フェスティバル」(アムステルダム・コンセルトヘボウ)への招待に合わせて行われるヨーロッパツアーで指揮を務める。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。

ネルソン・ゲルナーさんの画像 ピアノネルソン・ゲルナー

1969年、アルゼンチンのサンペドロ生まれ。1986年、ブエノスアイレスのフランツ・リスト国際コンクールで第1位となり、これをきっかけに受けた奨学金でジュネーヴ音楽院に留学、1990年にはジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝した。長年ジュネーヴを拠点としながら世界の一流ホールでリサイタルを行い、また著名オーケストラと共演を重ねている。室内楽奏者としても精力的で、マルタ・アルゲリッチらと定期的に共演するほか、2024–25シーズンはニン・フェン、エドガー・モローと新たに結成したトリオでヨーロッパ各地をまわる。
アーティスティック・アドバイザリー委員を務めるワルシャワのフレデリック・ショパン研究所からはユニークなレパートリーによる録音を数多くリリース。そのほかの録音とともに、ディアパゾンドールをはじめ数々の賞に選出されている。
今回はかつて録音した音源も高く評価されているラフマニノフの《ピアノ協奏曲第3番》を演奏、エネルギッシュかつ情熱的な音楽に期待できそうだ。

[高坂はる香/音楽ライター]

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TICKETチケット

定期公演 2024-2025シーズン
Bプログラム

第2026回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年10月17日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年10月23日(水)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円
ユースチケット 6,000円 5,000円 4,000円 3,250円 2,750円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

お問い合わせ・
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BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2026回 定期公演 Bプログラム」

2024年12月20日(金) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30
ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」

指揮:ファビオ・ルイージ

ピアノ:ネルソン・ゲルナー

収録:2024年12月5日 サントリーホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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