※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2026年6月Cプログラム 聴きどころ
ジャン・シベリウス(1865〜1957)とセルゲイ・ラフマニノフ(1873〜1943)は、無調や十二音技法といった20世紀音楽の新しい潮流に与(くみ)せず、民族性に根ざした調性的な音楽を書き続けたという点で共通している。そのため彼らの音楽は時代遅れとされたこともあったが、英国などを中心に再評価が進み、現在では世界中で広く演奏されている。本日は、その英国で長年活躍し、シベリウスやラフマニノフの演奏で高い評価を受けてきた尾高忠明の指揮で、彼らの傑作3曲を聴くことができる。
(増田良介)
PROGRAM曲目
シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
《アンダンテ・フェスティーヴォ》(祝祭的アンダンテ)は、1922年、ある製材工場の25周年を祝うための作品として依頼され、まずは弦楽四重奏のために作曲された。このときはアマチュアの弦楽四重奏団によって初演されたのだが、その後は、1929年に作曲者の姪(めい)の結婚式において、2つの弦楽四重奏団によって演奏されたのを除くと、ほぼ忘れられていた。
さて、1938年、ほぼ隠居状態にあったシベリウスはひとつの依頼を受ける。翌年にニューヨークで開催される万国博覧会のために、シベリウスに自作を指揮してもらい、それを大西洋を越えて短波で中継し、アメリカで放送したいという内容だ。依頼してきたのは、シベリウスの崇拝者だった音楽評論家で、この博覧会の音楽監督を務めていたオーリン・ダウンズだった。ラジオを聴くのが好きだったシベリウスはこれを承諾する。弦楽オーケストラのための編曲はこのときに行われたとみられるが、姪の結婚式のときに、すでにある程度は原曲に手を加えていたという推測もある。
1939年1月1日、73歳のシベリウスはフィンランド放送交響楽団を指揮してこの編曲を演奏した。なお、彼が指揮をするのは約10年ぶりで、これが最後の機会となった。このときの録音は残っていて、CDなどで聴くことができるが、これはシベリウスの指揮が聴ける唯一の録音だ。
(増田良介)
演奏時間:約5分
作曲年代:[弦楽四重奏版]1922年 [弦楽オーケストラ版]1938年
初演:[弦楽四重奏版]1922年12月28日、エイノ・フレドリクソン(ヴァイオリン)、オラヴィ・ヴァンティネン(ヴァイオリン)、パーヴォ・ケサニエミ(ヴィオラ)、オンニ・フレドリクソン(チェロ) [弦楽オーケストラ版]1939年1月1日、作曲者自身の指揮、フィンランド放送交響楽団
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
シベリウスは、若いころにヴァイオリニストを目指していたこともあり、ヴァイオリン協奏曲を書きたいという希望を早くから持っていた。しかし本格的に作曲に取りかかったのは1902年のことだった。その後、途中で、劇音楽《クオレマ》のための中断などがあったが、1904年初頭には全曲が完成した。最終段階での没頭ぶりについては、シベリウス夫人が次のように回想している。「ヤンネ[シベリウスの愛称]はいつも燃えていました(私も!)。そして今回はまた「持てる者の悩み」がありました。頭に旋律があふれ、めまいがするほどだったのです。彼は一晩中起きていて、信じられないほど美しく弾いて、そのすばらしい旋律から離れられないのです……」
だが、1904年2月に行われた初演は、独奏者の技術不足もあり、失敗に終わる。そこでシベリウスは改訂を行うのだが、これは、第1楽章の2つあったカデンツァをひとつにするなど、かなり大規模なものだった。改訂版は、1905年10月にベルリンにおいて、シベリウスのよき理解者だったリヒャルト・シュトラウスの指揮、王立プロイセン宮廷楽団(現在のベルリン国立歌劇場管弦楽団)、同楽団のコンサートマスターだったカレル(カール)・ハリールの独奏で初演され、今度は成功を収めた。
第1楽章(アレグロ・モデラート)は3つの主題を持つソナタ形式。通常は楽章の後半にあるカデンツァが楽章中央に置かれて、そのまま展開部を兼ねていたり、再現部でも主題が大きく展開されながら再現するなど、さまざまな独創的アイデアが盛り込まれている。第2楽章(アダージョ・ディ・モルト)は3部形式。美しい旋律が歌われるロマンス風の楽章。改訂前の初演時から好評で、初稿と改訂稿で最も差異が少ない。第3楽章(アレグロ、マ・ノン・タント)はロンド形式。躍動的な舞曲風の音楽で、ヴァイオリンの高度な技巧が使われている。
(増田良介)
演奏時間:約35分
作曲年代:[初稿]1904年完成 [改訂稿]1905年改訂
初演:[初稿]1904年2月8日、ヴィクトル・ノヴァチェクの独奏、作曲者自身の指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニック [改訂稿]1905年10月19日、カレル・ハリルのヴァイオリン独奏、リヒャルト・シュトラウス指揮、王立プロイセン宮廷楽団
ラフマニノフ/交響曲 第3番 イ短調 作品44
1918年1月、ラフマニノフは革命後の混乱を逃れてロシアを出たが、アメリカに暮らすようになった彼は、なかなか本格的な作曲活動を再開することができなかった。1926年に《ピアノ協奏曲第4番》で作曲に復帰してからも、ピアニストとしての多忙な活動や、祖国を離れて創作意欲が減退したことなどから、ロシア時代に比べると、作曲のペースは極端に落ちてしまった。その後、彼はロシアに帰ることはなく、1943年にアメリカで世を去るが、アメリカでの25年間に残した作品は、編曲などを除けば、わずか6曲にすぎない。《交響曲第3番》はその5番目、つまり彼の全作品のうちで最後から2番目の作品にあたる。
《交響曲第3番》は、1935年5月頃に着手され、翌年6月に完成した。1936年11月に行われた初演は、失敗でもなかったが大成功でもなかったようだ。しかしラフマニノフはこの曲に強い愛着を持っており、自分の最高傑作のひとつと考えていた。1939年、彼は自らフィラデルフィア管弦楽団を指揮してこの曲の録音を行っている。
《交響曲第1番》や《第2番》が4楽章構成だったのに対し、《第3番》は、急─緩─急の3楽章構成を取る。スケルツォを欠く形だが、第2楽章の途中には急速な部分があり、実質的にスケルツォが融合されていると見ることもできる。
第1楽章(レント─アレグロ・モデラート)。寒々とした短い序奏に始まる。聖歌の断片のような序奏の音型は第2、3楽章にも現れて、全曲に統一感を与えている。序奏に続くイ短調の第1主題と、チェロの歌うホ長調の第2主題に基づくソナタ形式の楽章で、再現部では、両主題が提示部よりもずっとノスタルジックな表情とともに歌われるのが印象的だ。楽章の最後は、弦が静かに奏する序奏主題によって閉じられる。
第2楽章(アダージョ・マ・ノン・トロッポ─アレグロ・ヴィヴァーチェ)。ハープのアルペッジョに伴われてホルンが歌う旋律で始まる。吟遊詩人の歌を思わせるこの旋律は、第1楽章序奏に基づいている。続いて独奏ヴァイオリンが、下降音型が特徴的な主要主題を歌い始める。途中、テンポが速くなり、スケルツォ風の中間部となるが、最後に楽章の前半部分が短く再現される。
第3楽章(アレグロ)は自由な形式のフィナーレ。華やかな開始に続き、いくつかの主題が提示されたあと、フーガを核とする中間部に入る。その後冒頭の主題が復帰し、高揚して全曲を締めくくる。楽章の後半には、ラフマニノフがこだわりを持っていた、ドシドラシソララという〈怒りの日〉の旋律も現れる。
(増田良介)
演奏時間:約41分
作曲年代:1935~1936年
初演:1936年11月6日、レオポルド・ストコフスキー指揮、フィラデルフィア管弦楽団
ARTISTS出演者
指揮尾高忠明
戦後のわが国の楽界を支えてきた指揮者たちが鬼籍に入るなか、尾高忠明は日本を代表する指揮者として長らく活動を続けている重鎮である。1947年生まれの尾高とN響とのつながりは、1971年4月3日のラジオ・テレビコンサートでの初共演から始まる。プログラムはシベリウスの《組曲「カレリア」》とチャイコフスキーの《交響曲第4番》。以後半世紀以上にわたりN響にしばしば登場し、多彩なプログラムで聴衆を楽しませてきた。2010年よりN響正指揮者をつとめる尾高の今定期のプログラムは前半がシベリウス作品2曲。まず《アンダンテ・フェスティーヴォ》は彼が好んで取り上げてきた洒脱(しゃだつ)な1曲である。続くシベリウスの《ヴァイオリン協奏曲》を弾くのは2011年生まれのHIMARI。尾高との歳の差は60年以上になる。N響定期に何度も登場している名協奏曲だが、ソリスト、指揮者が異なると新たな発見が生まれる。勢いのある新鋭を支える老練なタクトに期待したい。古典から現代まで幅広いレパートリーを誇っており、2000年には英国エルガー協会より日本人初のエルガー・メダルを授与されるなど英国音楽の第一人者としても知られる尾高だが、ロシア音楽も彼の十八番(おはこ)である。ラフマニノフの《交響曲第3番》のロシア的なノスタルジーの表現と輝かしい響きに彩られた作風をどのように聴かせてくれるか楽しみにしたい。
[伊藤制子/音楽学・音楽評論]
ヴァイオリンHIMARI
音楽ファン憧れのステージで創造の喜びを分かち合っている。2025年3月はセバスティアン・ヴァイグレ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とヴィエニャフスキの《ヴァイオリン協奏曲第1番》を、2026年2月にはヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮シカゴ交響楽団とブルッフの《ヴァイオリン協奏曲第1番》を奏でた。今回、尾高忠明指揮NHK交響楽団とシベリウスの協奏曲に尽くした後も、米タングルウッド音楽祭に出演。アントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団の日本ツアーに同行し、来春にはアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団のカーネギーホール公演に招かれ、プロコフィエフの《ヴァイオリン協奏曲第2番》を弾く。
2011年、音楽一家の生まれ(母はヴァイオリニストの吉田恭子)。原田幸一郎、小栗まち絵に学ぶ。江副記念リクルート財団第52回奨学生。フィラデルフィアのカーティス音楽院でアイダ・カヴァフィアンに師事している。コンクール受賞歴は枚挙にいとまがない。N響とは2023年にパガニーニの《ヴァイオリン協奏曲第1番》で共演、定期公演への出演は今回が初めてとなる。求心的な音楽がNHKホールを満たすことだろう。使用楽器は、1732年製グァルネリ・デル・ジェス「フェルニ」。
[奥田佳道/音楽評論家]
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料金
| S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般 | 10,000円 | 8,500円 | 6,500円 | 5,400円 | 4,300円 | 2,200円 |
| ユースチケット | 5,000円 | 4,000円 | 3,100円 | 2,550円 | 1,500円 | 1,000円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am]
シーズン会員券(SPRING)
2026年2月14日(土)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年2月10日(火)10:00am]





