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第2056回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年1月Bプログラム 聴きどころ

ロシア出身の指揮者として、この国から産まれた音楽作品を演奏し続けるトゥガン・ソヒエフが今回選んだプログラムは非常に興味深い。自らロシアの闇と向き合ったムソルグスキー、自分と大切な人とソ連のために曲を書いたショスタコーヴィチ、放浪を好みながらソ連に対応したプロコフィエフ。三者三様の生き様にも思いを馳(は)せることができる、3曲の名作を楽しみたい。

(菊間史織)

PROGRAM曲目

ムソルグスキー(ショスタコーヴィチ編)/歌劇「ホヴァンシチナ」─前奏曲「モスクワ川の夜明け」

モデスト・ムソルグスキー(1839~1881)は、貴族出身ながらロシアの民衆運動に共鳴し、土地の言葉と強く結びつく音楽を意識的に書いた作曲家である。酒依存や変人といった印象を当時から持たれていたが、彼の作品からは強いこだわりや高い志が感じられる。
〈モスクワ川の夜明け〉は彼の晩年の国民的音楽劇、《ホヴァンシチナ》の前奏曲である。このオペラは未完で、大部分のオーケストレーションが手つかずの状態で遺(のこ)された。現在は、ムソルグスキーの没後に仲間のリムスキー・コルサコフが補筆完成させ1886年に初演した版か、このショスタコーヴィチ版が用いられることが多い。後者は1931年刊行のムソルグスキーのヴォーカルスコアにもとづき、1958年にオーケストレーションが施されたものだ。
《ホヴァンシチナ》では17世紀の銃兵隊の反乱を中心に、ピョートル大帝の西欧化政策や正教会の典礼改革に対するロシアの人びとの抵抗が描かれている。前奏曲では、転調・変奏とともに繰り返される明澄なメロディが、ときに短調となり、ときに教会の鐘の音をあらわす強烈な和音にのせられる。これをヨーロッパ的秩序と古く土地に根ざしたものの並存と捉えるなら、まるでロシアという国を象徴するかのような曲である。ソ連時代の真っ只中(ただなか)にこのオペラの映画化のためになされたショスタコーヴィチのオーケストレーションは、楽器編成の拡大による重厚さや、弦楽器やチェレスタの響きによるおとぎ話的な雰囲気が特徴的である。

(菊間史織)

演奏時間:約5分
作曲年代:[原曲オペラ(未完)]1872~1880年 [ショスタコーヴィチ編曲版]オペラの映画化のために1958年編曲
初演:[ショスタコーヴィチ編曲版]1959年に映画上映。エフゲーニ・スヴェトラーノフ指揮、ボリショイ劇場管弦楽団

ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 作品102

ドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906~1975)は、ソ連という特殊な国で成功を収めた作曲家である。独特の美学により「形式主義」や前衛的な音楽が嫌われるようになったこの国で、彼も1936年と1948年に体制側からの悪名高い批判に晒(さら)されている。
彼の《ピアノ協奏曲第1番》は1933年に作曲された。そのだいぶあと、《ピアノ協奏曲第2番》は1957年2月に完成している。作曲開始時期はわかっていない。モスクワ音楽院付属中央音楽学校の最終学年で学ぶ息子マキシムに献呈され、教育的な意義を目的に書かれている。初演はマキシムの19歳の誕生日に、マキシム本人を独奏者として行われ、大きな成功を収めた。なお、同じ時期に1905年の革命を扱った《交響曲第11番》が書かれており、国を意識した曲作りはスターリン没後のこの時期も続いていたわけである。
マキシムのための作品としてはほかに《2台のピアノのためのコンチェルティーノ》(1953)もあるが、シンプルで可愛らしい《ピアノ協奏曲第2番》からは、息子への配慮や愛情、誇りがより強く伝わってくる。1954年に母が病死し、1956年夏には父ショスタコーヴィチが若い共産党員と結婚したマキシムの状況を踏まえれば、なおさらである。
第1楽章を開始するのはショスタコーヴィチらしい節回しで、これはコーダで回想されることになる。すぐに、こどもっぽい快活さをもった行進曲的な第1主題、小太鼓と同音連打が特徴的な推移部の主題、対照的に哀愁漂うニ短調の第2主題が呈示され、管弦楽とピアノの爆音をきっかけとする展開部で折り重なっていく。第2主題がfffで奏でられると、カデンツァ、再現部へと進む。
第2楽章は、ハ短調の舞曲(サラバンド)的な主題と、分散和音に伴奏された美しい主題の交代で成り立っている。前者は息子の母ニーナを悼むようにもきこえる。
第3楽章は、裏拍に推進力がある2拍子の主題、心躍る民族的な8分の7拍子の主題、ピアノ学習者にはお馴染(なじ)みのハノンの指の練習曲の引用という3つの主題をもっている。

(菊間史織)

演奏時間:約18分
作曲年代:1957年完成
初演:1957年5月10日、マキシム・ショスタコーヴィチ独奏、ニコライ・アノーソフ指揮、ソビエト国立交響楽団、モスクワ音楽院大ホール

プロコフィエフ/交響曲 第5番 変ロ長調 作品100

セルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953)は、想像力あふれる音楽で、さまざまな国の聴衆を魅了した作曲家である。現ウクライナの村に入植したロシア人農業技師の家に生まれ、ロシア革命期に欧米に出て、1930年代半ばにソ連に帰国した。
1941年に独ソ戦が勃発すると、モスクワ近郊に住んでいたプロコフィエフも空襲を経験し、ほかの芸術家とともにコーカサス方面に疎開した。彼はこの戦時期の非現実的な時間を享受し、オペラ《戦争と平和》をはじめ創作に没頭した。だが《戦争と平和》は民族性が足りないとして、なかなか検閲側から認められていなかった。
独ソ戦も終わりに近づく1944年夏、ショスタコーヴィチらほかの作曲家たちとともにイヴァノヴォ近郊の「創作の家」に滞在していたプロコフィエフは、当時のソ連にふさわしい交響曲たるものを、作品100として、気合を入れて書いた。第1楽章のピアノ譜完成時にすでに仲間たちからは称賛された。第1楽章は特に叙事詩的で、ソ連の美学に叶(かな)う英雄的な雰囲気をもつ。だが、不安と隣り合わせの日常を連想させる第2楽章、個人的で繊細な感情を想起させる第3楽章にこそ、プロコフィエフの本領が発揮されていると言える。彼自身は「この交響曲の基本的な思想である人間の魂の勝利を伝えようとした」と述べている。初演では、赤軍の進撃を祝う砲声が遠くから聞こえていた。
第1楽章はソナタ形式で、語り上げられるなかで付点リズムの素材が強調されていく。冒頭は低音とファの五度音程が民族的だが、なお本作は全楽章がファからはじまる。展開部は短め。ピアノとティンパニが主音を保持する、重厚で記念碑的なコーダがつく。
第2楽章はスケルツォで、主部は不協和音程が不吉なメロディの部分と、小太鼓とタンブリンをともなう部分からなる。バレエ音楽《ロメオとジュリエット》の使われなかったモティーフが再利用されている。中間部はオリエンタルな香りもするワルツ。
第3楽章では、撮影中断となった映画音楽《スペードの女王》から、軍人ゲルマンと伯爵夫人の娘リーザのいびつな恋がはじまる場面の音楽が主要主題として使われている。ゲルマンはトランプの「3、7、1」という秘密の数字を伯爵夫人の亡霊から聞き、邪悪な賭博の世界で破滅していくのだが、最後に先の運命的な場面の音楽が想起されるという構成が、本楽章にも反映している。
第4楽章では、まず第1楽章の主題が回想されるが、第1楽章よりもずっと柔らかだ。複数の主題が折り重なるロンド形式。

(菊間史織)

演奏時間:約45分
作曲年代:1944年
初演:1945年1月13日、作曲者自身の指揮、ソビエト国立交響楽団、モスクワ音楽院大ホール

ARTISTS出演者

トゥガン・ソヒエフさんの画像 指揮トゥガン・ソヒエフ

現在、どこの楽団のシェフでもないフリーランスの立場ながら、世界最高峰のオーケストラや歌劇場との共演が続いている。2025年は、1月にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会に登場し、3月にはウィーン国立歌劇場で新演出のチャイコフスキー《イオランタ》を指揮した。6月にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の初夏恒例のシェーンブルン宮殿での「サマー・ナイト・コンサート」を任され、9月にはウィーン・フィルの定期演奏会に出演。
1977年、旧ソビエト連邦・北オセチアのウラジカフカスに生まれた。サンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンに師事し、ユーリ・テミルカーノフにも学ぶ。これまでに、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ボリショイ劇場などの首席指揮者や音楽監督を歴任。
NHK交響楽団には、2008年の初共演以来、2013年、2016年(1月と10月)、2017年、2019年(1月と10月)、2023年、2024年、2025年1月というように、近年は、コロナ禍の時期を除いて、ほぼ毎シーズン客演している。今回は、サンクトペテルブルク音楽院で学んだ彼の最も得意とする、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、リムスキー・コルサコフ、ストラヴィンスキーらのロシア音楽が披露される。また、N響では初めてマーラーを取り上げ、《交響曲第6番》を指揮するのも注目である。

[山田治生/音楽評論家]

松田華音さんの画像 ピアノ松田華音

香川県高松市生まれ。6歳よりモスクワに渡り、エレナ・ペトロヴナ・イワノワ、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、エリソ・ヴィルサラーゼに師事。モスクワ市立グネーシン音楽学校を経て、モスクワ音楽院に日本人初となるロシア政府特別奨学生として入学、2019年首席で卒業した。2021年モスクワ音楽院大学院を修了。8歳でオーケストラと初めて共演して以来、ロシア・ナショナル管弦楽団、マリインスキー歌劇場管弦楽団、プラハ交響楽団などと演奏を行っている。N響との初共演は、2018年のラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》(指揮・高関健)で、それ以後も、伊福部昭の《リトミカ・オスティナータ》、チャイコフスキーの《ピアノ協奏曲第1番》などを演奏した。モスクワで研鑽(けんさん)を積んだ経験を生かし、とりわけロシア音楽でその高い表現力を発揮。ドイツ名門レーベルからのムソルグスキーの《展覧会の絵》や、チャイコフスキーの《四季》などの録音がある。今回の定期公演で弾くのはショスタコーヴィチの《ピアノ協奏曲第2番》。その華麗なテクニックで、作品のもつ諧謔(かいぎゃく)性を鮮やかに引き出してくれるはずだ。

[鈴木淳史/音楽評論家]

MOVIEムービー

トゥガン・ソヒエフ/ショスタコーヴィチ、プロコフィエフを語る

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年10月22日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年10月26日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円
ユースチケット 6,000円 5,000円 4,000円 3,250円 2,750円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

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29歳以下の方へのお得なチケットです。
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発売開始日

年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

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主催:NHK / NHK交響楽団

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