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第2054回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※本公演は1曲のみの演奏のため休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年1月Aプログラム 聴きどころ

超人的なリズム感覚に裏打ちされたしなやかな身のこなしに加え、目、表情、全身の表現を用いてオーケストラから思い通りの音色を引き出す能力において、いま、トゥガン・ソヒエフの右に出る指揮者はいない。N響が毎年、この類い希(まれ)なマエストロとの共演を待ち望み、ともに音楽の歓びを分かち合う姿を、聴き手もまた待ちわびている。マーラーによる、一幕のオペラにも似た波瀾(はらん)万丈の大作。指揮者とオーケストラが繰り出す情報量に、聴き手も押し流されてしまうに違いない。

(広瀬大介)

PROGRAM曲目

マーラー/交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」

すでにウィーン宮廷歌劇場の指揮者・音楽監督として、日々の上演と管理業務に忙殺されていたグスタフ・マーラー(1860~1911)。そんなマーラーが作曲家として創作に勤(いそ)しむことができるのは、夏休みの数か月のみだった。1900年、オーストリア南部・クラーゲンフルト近郊、ヴェルター湖南岸の集落マイヤーニックにただ一部屋の作曲小屋を作ったマーラーは、ここで夏休みの作曲を続けた(1907年まで)。
《交響曲第6番》に取り組んだのは1903年と1904年。1903年7月はじめには同地に到着し、8月27日まで滞在して第1~3楽章を完成させた。1904年は6月21日に到着し、8月末まで滞在して、《交響曲第6番》の第4楽章を作り上げた(この年にはほかにも、歌曲《亡き子をしのぶ歌》の2曲と《交響曲第7番》の第2・4楽章を作っている)。1906年5月27日、ドイツ・エッセンで本作が初演された際は、この驚異的な長さの新作交響曲に対して、賛美者と反対者がそれぞれに論陣を張ったという。話題をさらう党派的な争いは、まさにワーグナーのそれを彷彿(ほうふつ)とさせよう。
この作品に付される「悲劇的」という標題が、マーラー自身の命名によるものかどうかは不明とされるが、それでも本作に、なんらかの標題性を読み取ろうとする試みは初演当時から続いていた。本作を、主人公が意のままにならぬ世界と戦って、最後に倒される悲劇、と説いたパウル・ベッカー(音楽学者)だけではない。妻アルマ・マーラー自身が、この作品はのちのマーラーの運命を先取りしている、と標題的解釈の余地を与えようとした。ちょうどこの頃、マーラーよりも4歳若いシュトラウスは、標題性に富む交響詩を数多く発表していた。シュトラウスをライバル視していたアルマは、1899年に初演され、マーラーも当然その存在を知っていた交響詩《英雄の生涯》を念頭に、同様の要素がマーラーの同時期の作品にも込められていた、と主張したかったのかもしれない。
たしかに本作の第1楽章ならば、標題性をそこに見出そうとするのはさほど難しくない。行進曲調にはじまる第1主題が戦場へと向かう男性(マーラー)、20世紀初頭においてもかなり感傷的に響いたであろう第2主題がそれを支える女性(アルマ)、という、《英雄の生涯》にも似た図式は容易に成り立ちそうだ。トランペットが、イ長調主和音(長三和音)からイ短調主和音(短三和音)のモティーフ、つまり運命の暗転を各所で執拗(しつよう)に演奏するのも描写的で、この手法はマーラーの《交響曲第5番》をはじめそれまでの作品から引き継がれている。ランダムに鳴らされるカウベルの音は、シュトラウス《ドン・キホーテ》(1898年初演)に触発されたと言えなくはなさそうだ。
中間楽章はスケルツォ、アンダンテ・モデラートの順で演奏されてきたが、今回は、最新の国際マーラー協会の校訂意見(ラインホルト・クービック)に従うかたちで、第2楽章がアンダンテ・モデラート、第3楽章がスケルツォ、の順で演奏される。指揮者トゥガン・ソヒエフも主張するとおり、スケルツォ主題には第1楽章第1主題との共通点が見出せるため、これをフィナーレの直前においてあらためて強調したい、という主張には一定の説得力がある。
一方で、スケルツォが第1楽章のイ短調を引き継いで同じ調ではじまること、アンダンテ・モデラートが変ホ長調で閉じられた後、フィナーレの冒頭が同じフラット3つの調号ではじまっていることを考えると、旧来の曲順(スケルツォ→アンダンテ・モデラート)で演奏するほうが前後の楽章とは調的にも自然につながっている。さまざまな要素を踏まえた上で、演奏現場では今後も双方の可能性が探られることだろう。
フィナーレ、第4楽章では、冒頭の序奏主題(オペラの幕が開くかのような音楽的効果をもたらす)に続き、第1楽章を思い起こさせる行進曲的な第1主題、木管による軽快な第2主題を中心に音楽的格闘が果てしなく続いてゆく。本作の代名詞ともいうべき知名度を獲得している木製ハンマーの2回の打撃は、銅鑼とともに鳴らされることで聴覚的にはもちろん、むしろ視覚的なインパクトを与えることに主眼があるのだろう。最後の最後、30分にも及ぶこの楽章の喧噪(けんそう)が静まり返る中、金管楽器による断末魔のような第1主題、運命の宣告のごとく叩(たた)きつけられるイ短調主和音と付随するティンパニのリズムを聴けば、これに「英雄の死」という標題を与えたくなる誘惑には、だれもが逆らえないはずである。

(広瀬大介)

演奏時間:約80分
作曲年代:1903~1904年
初演:1906年5月27日、エッセン、作曲者自身の指揮

ARTISTS出演者

トゥガン・ソヒエフさんの画像 指揮トゥガン・ソヒエフ

現在、どこの楽団のシェフでもないフリーランスの立場ながら、世界最高峰のオーケストラや歌劇場との共演が続いている。2025年は、1月にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会に登場し、3月にはウィーン国立歌劇場で新演出のチャイコフスキー《イオランタ》を指揮した。6月にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の初夏恒例のシェーンブルン宮殿での「サマー・ナイト・コンサート」を任され、9月にはウィーン・フィルの定期演奏会に出演。
1977年、旧ソビエト連邦・北オセチアのウラジカフカスに生まれた。サンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンに師事し、ユーリ・テミルカーノフにも学ぶ。これまでに、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ボリショイ劇場などの首席指揮者や音楽監督を歴任。
NHK交響楽団には、2008年の初共演以来、2013年、2016年(1月と10月)、2017年、2019年(1月と10月)、2023年、2024年、2025年1月というように、近年は、コロナ禍の時期を除いて、ほぼ毎シーズン客演している。今回は、サンクトペテルブルク音楽院で学んだ彼の最も得意とする、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、リムスキー・コルサコフ、ストラヴィンスキーらのロシア音楽が披露される。また、N響では初めてマーラーを取り上げ、《交響曲第6番》を指揮するのも注目である。

[山田治生/音楽評論家]

MOVIEムービー

トゥガン・ソヒエフ/満を持してN響と挑むマーラー《交響曲第6番》

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第2054回 定期公演 Aプログラム

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年10月22日(水)10:00am
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一般発売日:2025年10月26日(日)10:00am

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料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 11,000円 9,500円 7,600円 6,000円 5,000円 3,000円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,800円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
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※未就学児のご入場はお断りしています。
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2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

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2025年10月17日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年10月14日(火)10:00am

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主催:NHK / NHK交響楽団

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