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第2049回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年11月Cプログラム 聴きどころ

モーリス・ラヴェル(1875〜1937)の生誕150年にあたる今年にふさわしいオール・ラヴェル・プログラムである。特筆すべきはメインの《ダフニスとクロエ》が本来の合唱付きで演奏されること。この合唱は歌詞をもたず、いわば楽器のひとつとして扱われている。ラヴェルはディアギレフの求めに応じて合唱抜きの管弦楽版を作ったものの、合唱が作品の重要な構成要素だと考え、主要な上演においては合唱を加えるよう求めていた。ラヴェルが思い描いた音の世界を存分に味わいたい。

(井上さつき)

PROGRAM曲目

― ラヴェル生誕150年 ―

ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ

原曲は1899年、ラヴェルがパリ音楽院在学中に作曲したピアノ曲で、芸術愛好家として有名なポリニャック大公妃に捧(ささ)げられている。典雅な旋律と斬新な和音が印象的なこの作品は、作曲者自身が意外に感じるほどの好評を得た。1910年にラヴェル自身で管弦楽編曲され、以来、オーケストラ曲としても広く親しまれている。
パヴァーヌとはスペイン起源の宮廷舞曲で、ラヴェルはこの種の様式化された舞曲を好んで用いた。「亡き王女のための」という題名はいわくありげだが、フランス語の響きに惹(ひ)かれて命名したらしい。ラヴェルは1925年6月にパリのエコール・ノルマル音楽院で開かれた公開レッスンで「題名に必要以上の重要性を与えないように」と警告し、「これは亡くなった王女の葬送の哀歌ではなく、その昔、ベラスケスが描いたような、スペインの宮廷で、王女が踊ったようなパヴァーヌを喚起するものです」と述べた。
管弦楽編曲版は小規模なオーケストラのために書かれ、薄く透けるようなオーケストレーションがなされ、哀愁を帯びた典雅な雰囲気がただよう。冒頭、ホルン独奏によって、パヴァーヌ主題が提示される。弦楽器は最初から最後まで弱音器がつけられ、ヴェールのかかったような音色を奏で、ピチカートが、ギターの爪弾きのような効果を出している。
楽曲はロンド風の形式をとっている。パヴァーヌ主題のあいだに、2つのエピソード主題がはさまれ、エピソード主題はそれぞれ変化を加えられながら繰り返される。

(井上さつき)

演奏時間:約6分
作曲年代:[原曲]1899年 [管弦楽編曲]1910年
初演:[原曲]1902年4月5日、フランスのパリ、プレイエル・ホール(国民音楽協会)にて、リカルド・ビニェスのピアノ [管弦楽編曲版]1911年2月27日、イギリスのマンチェスターでのジェントルメンズ・コンサートにて、ヘンリー・ウッド指揮

ラヴェル/組曲「クープランの墓」

原曲はラヴェルが1914年から1917年にかけて作曲したピアノ組曲である。フランスの古典舞曲の形式に基づき、〈前奏曲〉〈フーガ〉〈フォルラーヌ〉〈リゴードン〉〈メヌエット〉そして〈トッカータ〉の全6曲となっている。この組曲は1914年7月に〈フォルラーヌ〉から書きはじめられた。しかし、そこで第1次世界大戦が始まる。8月1日フランスで総動員令が出され、3日にはドイツがフランスに宣戦布告。ラヴェルは志願してトラック輸送兵となり、1916年激戦地ヴェルダンに赴く。その後、健康を害して一時帰休となり、静養中の1917年11月にこの作品をノルマンディーの知人の屋敷で完成させた。当初は「フランス組曲」と題されていたが、のちに「クープランの墓」と名づけられ、6曲それぞれが大戦で戦死した友人、知人たちの思い出に捧(ささ)げられた。題名のクープランはヴェルサイユ楽派の巨匠フランソワ・クープランを指しているが、ラヴェル自身はこの作品について、クープランに対する個人的な賛辞というよりは18世紀フランス音楽へのオマージュであると述べている。
ピアノ組曲は1919年に初演された。同年、ラヴェルは曲集から4曲を選び、管弦楽用に編曲した。その際、ラヴェルは曲順を入れ替えて、〈前奏曲〉〈フォルラーヌ〉〈メヌエット〉〈リゴードン〉という並びにした。このように並び順を変えたことで、曲は活気あるハ長調の〈リゴードン〉によって、華やかに締めくくられることになった。管弦楽化により、作品に鮮やかな色彩がほどこされ、新しい魅力が生まれている。管弦楽版の初演は1920年に行われた。
第1曲〈前奏曲〉フランスのクラヴサン(チェンバロ)音楽を思い起こさせる無窮動風の音楽。
第2曲〈フォルラーヌ〉フォルラーヌは北イタリア起源の舞曲で、フランスの宮廷で好んで用いられた。ラヴェルはクープランの室内楽曲《王宮の合奏曲集》第4番の〈フォルラーヌ〉を編曲して研究し、その要素である付点リズムを活用して、洗練された味わいのある1曲に仕上げている。
第3曲〈メヌエット〉優美で典雅なメヌエットである。中間部のミュゼットは素朴な民謡風。
第4曲〈リゴードン〉リゴードンは南フランス起源の舞曲。躍動的な主部と、穏やかで牧歌的な中間部が対照的である。

(井上さつき)

演奏時間:約17分
作曲年代:[原曲]1914~1917年 [管弦楽編曲]1919年
初演:[管弦楽編曲版]1920年2月28日、コンセール・パドルーの演奏会にて、ルネ・バトン指揮

ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」 (全曲)*

《ダフニスとクロエ》は、ラヴェルがバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を率いるセルゲイ・ディアギレフ(1872〜1929)の依頼を受けて作曲したバレエ音楽。ロシア出身の辣腕プロデューサー、ディアギレフが主宰したバレエ・リュスの舞台は、踊り手、振付、音楽、美術すべてにわたって、当代一流の芸術家たちを集めたことで知られる。「天才を見つける天才」といわれたディアギレフはストラヴィンスキーをはじめとする気鋭の作曲家たちに次々に新作を依頼したが、ラヴェルもそのひとりだった。1909年、ラヴェルはバレエ・ダンサー兼振付師のミハイル・フォーキンが3世紀頃のギリシアの作家ロンゴスの叙情詩を基に書いた台本によるバレエ《ダフニスとクロエ》に着手した。しかし作曲は難航し、初演は1912年にようやく行われた。
全体は1幕3部からなる。
第1部 パンの神(牧神パン)とニンフの祭壇の前:若い男女が祭壇に供え物をして礼拝していると、羊飼いのダフニスとクロエが登場する。牛飼いのドルコンがクロエに言い寄り、ダフニスは嫉妬する。ダフニスとドルコンは踊りで勝負し、勝った方がクロエの接吻(せっぷん)を受けることにする。ドルコンのぎこちない踊りに対し、優しく軽やかに踊るダフニス。彼はクロエから約束の熱い接吻を受けて恍惚(こうこつ)となる。しかし、その後、海賊が来襲し、クロエはさらわれてしまう。それを知って絶望するダフニス。そこに3人のニンフが現れて倒れているダフニスに気づき、彼を蘇生(そせい)させ、パンの神に祈らせる。するとパンの神が姿を現わす。〈夜想曲〉に続いて、ア・カペラの合唱による〈間奏曲〉が始まる。
第2部 海賊ブリュアクシスの陣営:ダイナミックな〈戦いの踊り〉が始まる。海賊の首領の前に連れて来られたクロエは、踊りながら、脱出の機会をうかがうが失敗し、あわやというところで、突然パンの神の巨大な幻影が現れ、海賊たちは逃げ去ってしまう。
第3部 第1部と同じ祭壇の前:〈夜明け〉の音楽の後、ダフニスとクロエの感動的な再会となる。老羊飼いが、パンの神はかつて愛したシリンクスの思い出ゆえに、クロエを助けたのだと説明する。そこで、ダフニスとクロエはパンの神とシリンクスの恋をまねた〈無言劇〉を演じる。祭壇の前で、2人は愛を誓い、パンの神とニンフを讃(たた)えて〈全員の踊り〉が熱狂的に踊られる。
聴きどころは多いが、特に有名なのは第3部の〈夜明け〉の部分で、静かな情景から、しだいに明るくなっていく様子が精妙なオーケストレーションによって表現されるところ。さまざまな鳥の鳴き声が喚起され、やがてゆったりとした主題が現れ、再会を果たした恋人たちの姿を描き、波のように動く管弦楽の伴奏は合唱と溶け合う。また、〈無言劇〉ではパンの神が奏でる笛の音をフルートが表現するが、このパッセージは、近代のフルート独奏のもっとも有名な例のひとつである。
ラヴェルはこのバレエにもとづいて2つの組曲を編んだ。第2組曲が特にポピュラーだが、全曲版もオーケストラ・コンサートやバレエ公演のレパートリーとして定着している。

(井上さつき)

演奏時間:約56分
作曲年代:1909~1912年
初演:1912年6月8日、シャトレ劇場にて、ピエール・モントゥー指揮。美術と衣装はレオン・バクスト、振付はミハイル・フォーキン。配役はダフニスがヴァスラフ・ニジンスキー、クロエがタマーラ・カルサヴィナなど

ARTISTS出演者

シャルル・デュトワさんの画像 指揮シャルル・デュトワ

1936年ローザンヌ生まれ、ローザンヌ音楽院やジュネーヴ音楽院で勉強し、またアンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団のリハーサルを見学して指揮の実際について学ぶ。各地の楽団や歌劇場での活動で頭角を現したあと、1977年にモントリオール交響楽団の音楽監督に就任、瞬く間に同団の演奏レベルを引き上げて世界的なオーケストラに育て上げ、2002年までこのポストを務め上げた。一方で1991年から10年間にわたってフランス国立管弦楽団の音楽監督を兼任、その後もフィラデルフィア管弦楽団やロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者などを歴任した。
N響には1987年9月に初登場し、その後数回の共演を経て1996年に常任指揮者に就任、1998年からは音楽監督として同団の発展に努め、2003年に名誉音楽監督となって以降も定期的に客演を行なった。多彩かつ澄明な響きと精緻な造形を追求する彼の音楽作りが、N響の音色のパレットを豊かにし、N響に洗練美をもたらした功績は大きい。
2017年12月の定期のあと、しばらく共演が途絶えたが、昨年NHK音楽祭で久々にN響を振って名演を聴かせた。8年ぶりの定期公演登場となる今回はメシアン、ホルスト、ラヴェルといった彼の真価が存分に発揮されるような曲目が並ぶ。演奏時点で89歳を迎えているデュトワだが、彼らしい精度の高い明晰(めいせき)な指揮で健在ぶりを披露してくれることだろう。

[寺西基之/音楽評論家]

二期会合唱団*さんの画像 合唱二期会合唱団*

日本で最初のプロフェッショナルのオペラ合唱団。1952年に旗揚げされた声楽家団体「二期会」の第2回オペラ公演《マルタ》(1953)において結成され、それ以後、東京二期会オペラのすべての合唱を担当している。
合唱団のメンバーは、2700名を超える二期会会員・準会員から公演ごとに組織され、高水準の歌唱力、オペラ出演で鍛えられた演技力、合唱団としての高いアンサンブル能力と豊かな声量によって、日本を代表する合唱団として各方面から高い信頼を得ている。
オペラ公演以外にも、オーケストラ公演や青少年のための音楽鑑賞教室などに多数出演。N響定期公演への出演回数も多く、ウラディーミル・アシュケナージ指揮のモーツァルト《レクイエム》(2005)、アンドレ・プレヴィン指揮のブラームス《ドイツ・レクイエム》(2011)、ネルロ・サンティの指揮では、《ボエーム》(2007)、《アイーダ》(2010)、《シモン・ボッカネグラ》(2013)で共演。シャルル・デュトワとは、ストラヴィンスキー《夜鳴きうぐいす》とラヴェル《こどもと魔法》(2012)以来の共演となる。

[柴辻純子/音楽評論家]

TICKETチケット

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Cプログラム

第2049回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年7月23日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年7月27日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 13,000円 11,000円 8,500円 7,000円 5,600円 3,500円
ユースチケット 6,500円 5,200円 4,000円 3,500円 2,000円 1,700円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

お問い合わせ・
お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

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