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第2043回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年9月Bプログラム 聴きどころ

武満徹《3つの映画音楽》は、N響が今年5月のヨーロッパ公演で演奏した楽曲。国内のシーズンはじめにツアーの成果とともに新たなスタートを切ろうというルイージの意欲を感じさせる。そして、いまは名作とされるベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》であるが、その魅力を人々に気づかせるきっかけとなったのはメンデルスゾーン指揮の演奏会であった。そのメンデルスゾーンが異国イタリアでチャレンジした《交響曲第4番》を、ルイージ×N響はどう届けてくれるのだろうか。

(西田紘子)

PROGRAM曲目

武満 徹/3つの映画音楽

武満徹(1930~1996)は、1950年代から最晩年の1990年代まで、生涯にわたって映画音楽を手がけた。戦後の現代音楽作曲家は映画音楽というジャンルにかかわることが少なくなかったとはいえ、武満の功績は本数や国際的知名度の点で群を抜いている。本人も大の映画マニアとして知られており、「映画は音楽である」という趣旨の発言も残している。
本作は、晩年に、これまで作曲した複数の映画音楽から一部を抜粋してまとめた組曲である。具体的には、ボクサーのドキュメンタリーである勅使河原宏監督『ホゼー・トレス』(1959)より〈訓練と休息の音楽〉、広島への原爆投下から生き残った人々を描いた今村昌平監督『黒い雨』(1989)より〈葬送の音楽〉、やけどを負った男が他人の顔を手に入れる勅使河原宏監督『他人の顔』(1966)より〈ワルツ〉の3曲からなる。すべて弦楽オーケストラ編成である。これら3つの映画はとくに関連性はなく、作曲家自身にとって意義深い楽曲を、「演奏会用」という新たな文脈で再構成したものと考えられる。スイスの音楽祭のために編まれた。
訓練と休息の音楽〉にはジャズ的要素があり(作曲当初はジャズバンド編成だったという)、〈葬送の音楽〉はより浮遊的であるがゆえに緊迫感を持続させる。〈ワルツ〉は短い中間部をもつ3部形式のなじみやすい書法。3曲を通して武満の音楽様式の変遷を垣間見るようである。

(西田紘子)

演奏時間:約12分
作曲年代:1994~1995年(編曲)
初演:1995年3月9日、スイスのグシュタード、ウィリアム・ボートンの指揮

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770~1827)が残したこの名作がどのように成立したのかについては、謎に包まれた部分が多い。1806~1807年のスケッチ帳でその構想があたためられたと推測されるが、《ピアノ協奏曲第4番》や《交響曲第4番》など中期傑作の母体ともなったこのスケッチ帳は、残念ながら失われている。確実なのは、この協奏曲が当時の売れっ子ヴァイオリン奏者フランツ・クレメントに触発されて生まれたこと。なぜなら、自筆譜に「お情けでクレメントに(par Clemenza pour Clement)」というダジャレが書きこまれているからである。
ベートーヴェンは、未完の《ヴァイオリン協奏曲》(WoO5)や《ロマンス》(作品40、50)をとおして、以前からヴァイオリンを主役とした作品に挑戦していた。とはいえ、5作あるピアノ協奏曲とは対照的に、ヴァイオリン協奏曲は1作しか完成させていない。
カール・チェルニーによれば、1806年暮れの演奏会に間に合うようにと11月下旬ころから大慌てで書き進められ、初演直前になんとか仕上げられた。音楽の流れが理解しづらかったためか、初演の評判は芳しくなかった。ウィーンの批評(1807年1月)では、パッセージは独創的で多彩で喝采を呼んだ反面、曲の筋道がズタズタになることもあったと綴(つづ)られている。
そのせいか、初演後にベートーヴェンは独奏パートを改良し、1808年に出版されたパート譜は初演時とは異なる改訂版となった。今日よく知られているのは改訂版のほうだ。作品の評価が上がるきっかけとなったのは、初演からおよそ40年後の1844年。メンデルスゾーン指揮、ヨーゼフ・ヨアヒム独奏による演奏会である。
第1楽章(アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ニ長調、4/4拍子)はティンパニの連打で始まる。随所に現れるこの音型が、作品全体をまとめてくれる。第2楽章(ラルゲット、ト長調、4/4拍子)では弦楽器が主題を提示したあと、独奏ヴァイオリンが優美な旋律を装飾変奏してゆく。第3楽章(ロンド:アレグロ、ニ長調、6/8拍子)では、オクターヴ上行をはじめ第1楽章とモティーフを共有するロンド主題の合間に、対照的な性格の旋律が次々と挟まれる。

(西田紘子)

演奏時間:約50分
作曲年代:1806年秋
初演:1806年12月23日、アン・デア・ウィーン劇場にて、フランツ・クレメントの独奏

メンデルスゾーン/交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

1830年10月から1831年7月まで、フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809~1847)は、3年におよぶ大旅行の一環で南国イタリアに滞在した。ゲーテをはじめ多くのドイツ人がイタリアの風土や文化に刺激を受けてきたが、この作曲家も例外ではない。滞在中に家族に宛てた手紙は、開放的な気分にあふれている。
それらの手紙のなかで本作は「イタリア交響曲」と呼ばれている。その構想は、早くも1830年11月の手紙にみつかる。翌年1831年2月の手紙では「作曲がまた軌道に乗りはじめて、イタリア交響曲はかなり進歩したよ。これまででいちばん陽気な楽曲になると思う、とくに終楽章は。アダージョ楽章はまだなにも定まっていないけど、ナポリで書くつもり」と、意気揚々とした様子。
とはいえ、本作が仕上げられたのは、1832年11月にロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲を委嘱されてからである。当時、ベルリンで心身不調に陥っていた作曲家は、ロンドンに旅立てることを喜び、「数日後に作曲を再開し、近いうちに完成させます」と依頼を快諾した。
1833年5月に行われたロンドンでの初演は、すでに作曲者の名が知られていたこともあって、あたたかく受けいれられた。初演の批評では、第1楽章がゆったりした序奏なしにすぐに躍動して始まったことや、終楽章が(長調ではなく)短調で始まる独特なものであったことなどが報告されている。第2楽章はアンコールを求められた。
翌年6月、友人イグナーツ・モシェレスの指揮により再びロンドンで演奏されたが、フィルハーモニック協会との権利関係などもあって、ドイツではすぐに演奏機会に恵まれなかった。そのあいだに作曲家は、周囲と相談しながら第2楽章から第4楽章までの改訂を試みている。ドイツで初めて演奏されたのはようやく1849年のこと。
上述のプライベートな手紙とは異なり、作曲家が公の場で本作に「イタリア」という語を用いることはなかった。この交響曲を特定の具体的な土地と関連づけて解釈されることを避けたかったのかもしれない。
第1楽章(アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ長調、6/8拍子)はシンプルなようでいて細部に意外性もある。冒頭の和声変化に驚いた知人もいたようだ。第2楽章(アンダンテ・コン・モート、ニ短調、4/4拍子)は対位法的に編みこまれて古風さを漂わせる。第3楽章(コン・モート・モデラート、イ長調、3/4拍子)では、メヌエット部とトリオ部が弦楽器と管楽器で効果的に対比される。第4楽章(プレスト、イ短調、4/4拍子)にはイタリアの民俗舞踊「サルタレロ」の語が付されている。こうして第3楽章と第4楽章は、同じ「舞踊」でありながらその違いが強調される。

(西田紘子)

演奏時間:約27分
作曲年代:1830年末~1831年4月、1832年11月~1833年3月、1834年6月に改訂
初演:1833年5月13日、ロンドンのフィルハーモニック協会、作曲者自身の指揮

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

イタリア・ジェノヴァ出身。2001年にN響と初めて共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演でマーラー《一千人の交響曲》を指揮した。2024年には台湾公演を率い、翌2025年5月にはアムステルダム・コンセルトヘボウでの「マーラー・フェスティバル」、「プラハの春音楽祭」、「ドレスデン音楽祭」への参加を含むヨーロッパ公演を成功に導いた。なおN響は「マーラー・フェスティバル」に参加したアジア最初のオーケストラとなり、《交響曲第3番》《同第4番》の演奏は評論家から称賛を集めた。
現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者およびダラス交響楽団音楽監督。またチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団プリンシパル・コンダクターおよびチーフ・コンダクター、スイス・ロマンド管弦楽団芸術監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者、グラーツ交響楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのプーリア州マルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督、トリノを本拠とするRAI国立交響楽団の名誉指揮者も務めている。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなど最高峰のオーケストラ、歌劇場、音楽祭に定期的に客演している。
録音ではデンマーク国立交響楽団との『ニルセン交響曲全集』が2023年にオーストラリアのライムライト賞とイタリアのアッビアーティ賞を受賞し、その第1集は『グラモフォン』誌の年間最優秀録音賞に選ばれた。またメトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のDVDはグラミー賞を受賞した。NHK交響楽団との初CD『ブルックナー/交響曲第8番(初稿)』は、2025年5月にリリースされた。
彼は優れた作曲家、調香師でもある。

マリア・ドゥエニャスさんの画像 ヴァイオリンマリア・ドゥエニャス

2021年のユーディ・メニューイン国際コンクールで優勝し、聴衆賞も獲得したドゥエニャスは、その技術力だけでなく芸術的な成熟度も高い注目を集めているスペインのヴァイオリニストだ。2002年グラナダ生まれの彼女は6歳でヴァイオリンを始め、奨学金を得て2014年にドレスデンに留学。さらに2016年からはウィーン市立音楽芸術大学、およびグラーツ国立音楽大学でボリス・クシュニールに師事した。
これまでロサンゼルス・フィルハーモニック、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団など欧米の主要なオーケストラに客演、マンフレート・ホーネック、ヤニック・ネゼ・セガン、パーヴォ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテットなどの世界的指揮者と共演を重ねている。
ドイツの老舗レーベルの専属アーティストとしてすでにベートーヴェン《ヴァイオリン協奏曲》をリリースしたが、作曲家でもある彼女はここで自作のカデンツァを披露した。ほかにパガニーニ《奇想曲》など続々と録音を発表。現在はドイツ音楽財団貸与の1774年製ニコロ・ガリアーノおよび日本音楽財団貸与の1710年製ストラディヴァリウス「カンポセリーチェ」を使用している。N響とは今回が初共演。

[片桐卓也/音楽評論家]

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TICKETチケット

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年7月23日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年7月27日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円
ユースチケット 6,000円 5,000円 4,000円 3,250円 2,750円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

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29歳以下の方へのお得なチケットです。
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年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

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主催:NHK / NHK交響楽団

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