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定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2038回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年5月Cプログラム 聴きどころ

どこまでも転調できるのは、調性があるからだ。本日のメインはシュトラウスとドホナーニ。前衛の旗手たちが無調に向かった1910年代、2人はそれぞれ調性の世界にとどまり、既存の技法の可能性を追求した。面白いことに、シューベルトの序曲を含め、本日の曲目はいずれもどこかでモーツァルトの作品世界と関係している。そしてどれもハ長調で終わるので(見事な選曲!)、ここは腰をすえて、美しい響きと転調の妙を堪能してみてはいかがだろうか。

(太田峰夫)

PROGRAM曲目

シューベルト/「ロザムンデ」序曲

未完のオラトリオ《ラザルス》、同じく未完のオペラ《サクンタラー》など、1820年のフランツ・シューベルト(1797〜1828)はじつに多くの劇音楽に取り組んだ。ゲオルク・フォン・ホフマンの魔法劇『魔法の竪琴』(1820年8月初演)のための音楽もそのひとつで、この劇のために彼は序曲2曲、合唱6曲、メロドラマ(音楽つきの語り)6曲を書いている。
ウィーンの「魔法劇」は視覚的効果を伴う庶民的なジャンルで、過去にはモーツァルトが傑作《魔笛》(1791)を残している。《魔法の竪琴》も同じ伝統の延長線上にあったと考えられるが、同時代の評価は低かった。音楽や装置について好意的な意見はあったものの、筋が「退屈」で、8回の上演のあと、完全に忘れられてしまった。
ただ、シューベルト本人は第1幕への序曲の出来に満足していたらしく、3年後の1823年にヘルミーネ・フォン・シェジの劇《ロザムンデ》のための付随音楽を準備した際にこの曲を再利用している。それが連弾用に編曲されて1828年に世に出たことから、今日、本作は《「ロザムンデ」序曲》として親しまれている。
序奏はアンダンテ、4分の3拍子。冒頭の7つの和音は《魔法の竪琴》第1幕、女魔法使いを呼び出す場面のもの。のびやかな旋律が続き、ハ短調から変ホ長調、変ト長調へとつぎつぎに転調していく。主部はアレグロ・ヴィヴァーチェ、2分の2拍子、ハ長調。展開部を省略したソナタ形式で書かれており、最後はフォルティッシモ、8分の6拍子で華やかに閉じられる。

(太田峰夫)

演奏時間:約10分
作曲年代:1820年夏
初演:1820年8月19日、アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン

ドホナーニ/童謡(きらきら星)の主題による変奏曲 作品25*

「頭の中に大規模な変奏曲を書く構想があったので、それをもとに作曲できるような、なにか単純なモティーフを探しました。ロダンだって『考える人』をつくるとき、最初にモデルを選んだわけでは明らかになく、『考えること』をどう表現するかを熟考したでしょう。わたしはもちろんよろこんで、あの童謡のモティーフを選びました。この旋律がユーモアを活かす機会を与えてくれるからです。」
童謡《きらきら星》と言えば、モーツァルトのピアノ曲《「ママ、聞いてちょうだい」による変奏曲》(K. 265)の主題として有名だ。エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877〜1960)のような、当時の人気ピアニストがそれをもとに曲を書いたとなれば、あの旋律からどんな霊感を受けたかが当然、話題になるわけだが、本人は最晩年の1960年のインタヴューで、主題が出発点にあったわけではなかったことをあっさり認めている。別の談話でも「芸術音楽の場合、創作は旋律の創案からはじまるとはかぎらない」と述べているので、これは彼の創作観でもあるのだろう。
伝記作者バーリント・ヴァージョニによれば、ドホナーニは主題を決める前からすでにワルツ、コラール、オルゴール、フーガの変奏を含めるつもりだったという(第7変奏、第11変奏、第5変奏、終曲)。このヴァラエティの豊かさからも、彼が遊び心を大事にしていたことがうかがえるだろう。ベルリンで活躍していたキャリア前期を代表する、じつに楽しい作品だ。
全体は序奏、主題、11の変奏、終曲からなる。リスト風の第1変奏に対して第3変奏はブラームス風。第2変奏ではホルンの勇壮な響きを聞ける。第4変奏から第6変奏にかけてはピアノといくつかの楽器とのアンサンブル。ワルツ、行進曲、スケルツォ(第7変奏から第9変奏)のあとにテンポを落とし、パッサカリア(第10変奏)を経てコラール(第11変奏)で頂点に至る。終曲は目まぐるしいフガートではじまり、主題を今一度示したあと、華やかに終わる。

(太田峰夫)

演奏時間:約23分
作曲年代:1913〜1914年
初演:1914年2月17日、作曲者のピアノ、カール・パンツナー指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー会館

R. シュトラウス/歌劇「影のない女」による交響的幻想曲

「これはある魔法メルヘンで、2人の男性と2人の女性が対峙(たいじ)致します。[中略]色彩豊かなスペクタクルで、宮殿あり、みすぼらしい小屋あり、僧侶たちも、舟も、たいまつも、岩山の小道も、合唱も、子供たちも出てきます。[中略](それは)ちょうど《ばらの騎士》が《フィガロ》とある意味で関連しておりましたように、《魔笛》と関連しています。」(中島悠爾訳)
台本作者フーゴー・フォン・ホフマンスタールが《影のない女》の計画をリヒャルト・シュトラウス(1864〜1949)に打ち明けたのは1911年3月のことだった。テーマはおそらく不妊。霊界の大王カイコバードの娘は皇帝の妃になったが、影を持たない。しかし影を得られなければ、夫は石に変わり、自身も霊界に帰らなくてはならないため、彼女は影をもとめ、乳母とともに染物師の家に降りていく。シュトラウスは本作の作曲に3年近く取り組んだ。しかし観念的な台本と巨大な編成、社会情勢の影響で、このオペラはあまり成功にめぐまれなかったようだ。
《歌劇「影のない女」による交響的幻想曲》は1946年につくられた「編曲もの」である。敗戦で財産を失い、スイスに移住したシュトラウスが本作を書いた背景には、おそらく経済的な理由があった。終戦まもない当時、大規模オペラの上演は望めなかったが、管弦楽曲版ならば一定回数の演奏とそれに見合う収入が見込めたのだ。
編曲にあたり、シュトラウスは染物師夫妻を作品の主軸に据えた。冒頭でカイコバードの動機を3度示したあと、ニ長調の旋律が染色師バラクの善良な性格を描く。それからトリルのざわめきとともに、第1幕の終盤、乳母が「影を売れば贅沢(ぜいたく)ができる」とバラクの妻を誘惑する場面が続く。スケルツォ風の音楽は第2幕後半、妻が家出する場面からのもの。そのあとにトロンボーンが、バラクの愛の歌を歌う。「自分は影を売らなかった」という妻の告白を経て、さまざまな動機が多声的に展開、クライマックスとともに大団円の、皇帝、皇后、染物師夫妻による四重唱が再現される。

(太田峰夫)

演奏時間:約20分
作曲年代:[オペラ]1914〜1917年 [幻想曲]1946年
初演:[オペラ]1919年10月10日、フランツ・シャルク指揮、ウィーン国立歌劇場 [幻想曲]1947年6月26日、カール・ベーム指揮、ウィーン交響楽団、ウィーン・コンツェルトハウス大ホール

R. シュトラウス/歌劇「ばらの騎士」組曲

「提示部としての第1幕、そしてあの内省的な幕切れは素晴らしいものです。ところが第2幕にはこの第1幕とのコントラストとしてぜひともなければならぬもの、そして高揚が欠けているのです。[中略]第2幕が冴(さ)えないと、それだけでもうオペラは失敗です。いくら見事な第3幕があとに控えていようと、もはや救うことはできません。」(中島悠爾訳)
1909年7月9日、台本作者ホフマンスタールにあてた手紙の中でシュトラウスは《ばらの騎士》の台本について、こう述べている。台本作者が別の手紙で書いているように、筋の主軸は「太っちょの中年の、思い上がった求婚者(オックス男爵)が、娘(ゾフィー)の父親の愛顧は得たものの、若い美青年(オクタヴィアン)に蹴落とされてしまう」ことにあったが、第2幕の当初の案では求婚者と若い恋人たちとの対立があまり舞台映えするかたちで描かれていなかった。その点を変更するようにシュトラウスはせまったのだ。調整の結果、オクタヴィアンと男爵との決闘シーンや、男爵が小間使い(変装したオクタヴィアン)から恋文を受け取って悦に入る幕切れが加えられ、男爵の口ずさむワルツに大きな音楽的役割が与えられることとなった。このオペラが空前のヒット作となったのは、作り手たちのこうした細かい工夫によるところが大きい。
1945年に出版された《歌劇「ばらの騎士」組曲》は、オペラのダイジェストといった趣の音楽だ(編曲者はおそらくアルトゥール・ロジンスキ)。5部からなり、とくに第2幕から多くの音楽が取り入れられている。冒頭は第1幕導入をほぼそのまま引用。そこから第2幕に移り、ゾフィーのもとにオクタヴィアンが現れ、恋が芽生え、それが発覚するまでが描かれる。次が第2幕幕切れのワルツだ。それから第3幕の元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーによる有名な三重唱、後2者による二重唱が続き、最後にもう一度、男爵のワルツが演奏される。ただし、こちらは第3幕のスコアに基づくもので、響きがよりにぎやかだ。

(太田峰夫)

演奏時間:約22分
作曲年代:[オペラ]1909年〜1910年 [組曲]1945年
初演:[オペラ]1911年1月26日、エルンスト・フォン・シュフ指揮、ドレスデン宮廷歌劇場 [組曲]1946年9月28日、ハンス・スワロフスキー指揮、ウィーン交響楽団、ウィーン・コンツェルトハウス大ホール

ARTISTS出演者

ギエドレ・シュレキーテさんの画像 指揮ギエドレ・シュレキーテ

今回が、NHK交響楽団と初共演となるギエドレ・シュレキーテは、リトアニアのビリニュス生まれ。母国の作曲家チュルリョニスの名を冠した芸術大学で学んだ彼女は、グラーツ国立音楽大学やチューリヒ芸術大学などで指揮法の研鑽(けんさん)を重ね、いくつもの国際指揮者コンクールで入賞。2016年から2018年までクラーゲンフルト市立劇場の第1カペルマイスターを務め、2021年にリンツ・ブルックナー管弦楽団の首席客演指揮者に就任したという経歴の持ち主だ。
すでにフランクフルト歌劇場やバイエルン国立歌劇場などで新演出の歌劇の指揮をまかされ、2024-25年楽季にはウィーン国立歌劇場へのデビューやベルリン国立歌劇場への再登場など、オペラの分野で活躍しながら、コンサート指揮者としても積極的な活動を展開している。2021年に東京二期会のモーツァルト《歌劇「魔笛」》を指揮するために初来日し、2023年には読売日本交響楽団に客演。マルティナイティーテやシェルクシュニーテの作品をCDでリリースするなど、同時代の音楽も手がけている。
今回の定期公演には、R. シュトラウスの歌劇に基づく管弦楽曲、そしてピアノの名手であったドホナーニの佳作など、オーケストレーションの妙が愉しめる演目が並んでいる。機敏でしなやかな動きで的確にキューを出しながら、みずみずしく音楽を紡ぎ上げるシュレキーテの手腕に期待したい。

[満津岡信育/音楽評論家]

藤田真央*さんの画像 ピアノ藤田真央*

東京生まれ、26歳のピアニスト藤田真央は、東京音楽大学在学中の2017年に、スイスの権威あるクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し、併せて聴衆賞など複数の賞を受賞。2019年第16回チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門において第2位を受賞し、世界的な注目を集めた。シャイー、エッシェンバッハ、ネルソンス、デュトワ、ビシュコフといった著名指揮者、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団といった国内外の主要オーケストラとの共演を重ねている。また、ルツェルン音楽祭、ヴェルビエ音楽祭、エディンバラ国際音楽祭、BBCプロムスなどからの招聘(しょうへい)が相次ぐ。レパートリーは広く、天真爛漫(らんまん)なモーツァルトから、官能的なスクリャービンまで、緻密な解釈と確かな技術力によって鮮やかに表現する。親しみ深い主題が豊かに展開するドホナーニ作品を、藤田は色鮮やかに届けてくれることだろう。N響との共演は2021年以来4年ぶり。

[飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター]

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2025年2月26日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2025年3月2日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 10,000円 8,500円 6,500円 5,400円 4,300円 2,200円
ユースチケット 5,000円 4,000円 3,100円 2,550円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
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定期会員券
発売開始日

年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

シーズン会員券(SPRING)
2025年2月19日(水)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年2月13日(木)10:00am]

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主催:NHK / NHK交響楽団

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