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- 第2036回 定期公演 Aプログラム
※本公演は1曲のみの演奏のため休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2025年5月Aプログラム 聴きどころ
マーラーの《交響曲第3番》は、楽章によって長さも性格も極端に異なり、演奏時間も90分を優に超える破天荒な作品だ。内容面では、《第2番》《第4番》とともに民謡詩集『こどもの不思議な角笛』による歌曲群と有機的に結びついており、自然のうごめく原初の世界は、やがて神の高みを目指す人間の心象風景へと広がる。独唱、児童合唱、女声合唱が加わる大編成の本作。申し分のない聴き応えを堪能していただきたい。
(山本まり子)
PROGRAM曲目
― N響ヨーロッパ公演2025 プログラム ―
マーラー/交響曲 第3番 ニ短調
グスタフ・マーラー(1860〜1911)は1891年3月にブダペストのハンガリー王立歌劇場監督を辞したあと、1897年にウィーン宮廷歌劇場に移るまで、ハンブルク市立劇場(現ハンブルク国立歌劇場)の首席楽長の職にあった。指揮活動に加えて劇場運営に忙殺される中、1893年夏の休暇からは風光明媚(めいび)なオーストリアのアッター湖畔シュタインバッハで作曲に没頭するようになる。その環境は彼の創造力を搔(か)き立てた。《交響曲第3番》は《第2番》とともにそこで生まれた大作である。《第2番》が人の死と復活をテーマにしたのに対し、続く《第3番》と《第4番》では生きる喜びが表現されている。ライプツィヒ時代の1887年頃に見つけたドイツ民謡詩集『こどもの不思議な角笛』は、マーラーにピアノ歌曲という実りをもたらしたが、詩から呼び起こされる霊感は大自然を前にしてさらに膨らみ、互いに深く関わるオーケストラ付きの歌曲群と交響曲群へとつながった。
《交響曲第1番》が最初「交響詩」として構想されたとき、文学から刺激を受けて詳細な説明文が付されたように、あるいは《第2番》の第1楽章が《交響詩「葬礼」》として出発したときのように、マーラーは作曲の意図を事細かに言葉で説明する傾向があった。《第3番》でも「従来のありきたりの形式に依(よ)るところはなく、交響曲と呼ぶのにふさわしくない」と語り、音楽のコンセプトをヴァイオリン奏者バウアー・レヒナー、歌手ミルデンブルク、友人で物理学者のベルリーナー、音楽評論家マルシャルク、指揮者ワルターらに何度も書き送っている。それらは幾度となく変転したが、そのどれもが、自然のもとにおける人間の営みを表現している。「常に新しく変化を続ける内容が自ずとその形式を決定する」と表明したマーラーの思い通りに、《交響曲第3番》ではわきあがるイメージが音楽に沿って積み重ねられたのである。
例えば完成間近の段階ではこうだ。第1部「導入 牧神が目覚める」「第1楽章 夏が行進してくる」。第2部「第2楽章 野の花々が私に語ること」「第3楽章 森の動物たちが私に語ること」「第4楽章 人間が私に語ること」「第5楽章 天使が私に語ること」「第6楽章 愛が私に語ること」。当初の構想では第7楽章として「天上の生活」が続いていたが、のちに《第4番》の第4楽章へと移された。ともあれ、マーラーがよく行うように出版の際にすべての標題は取り払われてしまった。音楽的には、非常に長い両端楽章が4つの楽章を包み込む構成をとる。
第1楽章〈力強く、決然と〉はソナタ形式の枠組みをとりながら、多様な主題群が変容を続ける。8本のホルンによる主題で勇壮に始まり、行進曲を核としたスケールの大きな部分と、管楽器・弦楽器の独奏やアンサンブルによる繊細な部分が巨大な構成を織りなしていく。
第2楽章〈テンポ・ディ・メヌエット、とても穏やかに〉で素朴でのどかな野の風景が描かれ、第3楽章〈コモド・スケルツァンド、慌てないで〉では、『角笛』の歌曲《夏の交代》が言葉なしで登場する。季節の変わり目でカッコウがナイチンゲールにバトンタッチするという内容だ。2つのトリオで舞台外から響くポストホルンが悠久の時を感じさせる。
第4楽章〈きわめてゆるやかに、ミステリオーソ、一貫してppp〉で、アルト独唱がニーチェの著作『ツァラトゥストラはこう語った』の一節により人間に警告を発すると、第5楽章〈活発な速度で、表情は大胆に〉では、「ビムバム」と鐘を模した児童合唱に女声合唱が加わり、十戒を犯したペテロがイエスに懺悔(ざんげ)し許される場面が、『角笛』の詩によって歌われる。
切れ目なく第6楽章〈ゆるやかに、平静に、感情をこめて〉が弦楽合奏で開始。合奏の主題は変奏と展開を続ける。マーラーが「愛の中で頂点に達し、安らぎに満ちた解決を見つける」と語ったように、ニ短調で始まった混沌とした世界は、ニ長調で悠然と締めくくられる。
(山本まり子)
演奏時間:約100分
作曲年代:主に1895年と1896年の夏、オーストリア・アッター湖畔のシュタインバッハ
初演:[部分初演]第2楽章は1896年11月9日、ベルリン、ニキシュ指揮。第3、第6楽章は1897年3月9日、ベルリン、ワインガルトナー指揮 [全曲初演]1902年6月9日、クレーフェルトの音楽祭。マーラー指揮、クレーフェルト市立管弦楽団とケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の合同演奏。ルイーゼ・ゲラー・ヴォルター(アルト)、オラトリオ協会女声合唱団、聖アンナ児童合唱団
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2024年8月にはN響台湾ツアーを率い、2025年5月には「マーラー・フェスティバル」(アムステルダム・コンセルトヘボウ)、「プラハの春 音楽祭」、「ドレスデン音楽祭」への招待に合わせて行われるヨーロッパツアーで指揮を務める。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。2025年5月、N響との初めてのCD、ブルックナー《交響曲第8番》(初稿)をリリース予定。
メゾ・ソプラノオレシア・ペトロヴァ
力強く濃密な歌唱を聴かせるロシアのメゾ・ソプラノ歌手。レニングラード生まれ。サンクトペテルブルク音楽院卒業。2007年第13回チャイコフスキー国際コンクール声楽部門(女声)第2位。2012年第2回パリ・オペラ座コンクール第1位受賞。2007〜2016年サンクトペテルブルク音楽院オペラ・バレエ劇場のソリスト。2014年メトロポリタン歌劇場に《アンドレア・シェニエ》マデロン役でデビューした。2016年からミハイロフスキー劇場のソリスト。《仮面舞踏会》ウルリカ、《スペードの女王》伯爵夫人、《アイーダ》アムネリスの各役を演じた。これまでベルリン・ドイツ・オペラ、チューリヒ歌劇場、ハンブルク国立歌劇場、マドリード・レアル劇場などに出演。2017年からヴェローナ音楽祭に定期的に招かれる。2018年ボリショイ劇場に《スペードの女王》ポリーナ役でデビュー。2023年ロイヤル・オペラ・ハウスにアムネリス役でデビューした。
コンサートにも多数出演。ファビオ・ルイージ指揮のN響とは2022年9月ヴェルディ《レクイエム》、2023年12月マーラー《一千人の交響曲》に続く共演。2025年N響ヨーロッパ公演でも共演が予定される。今回も陰影に富む歌唱でマーラーの世界を描き出すだろう。
[柴辻純子/音楽評論家]
女声合唱東京オペラシンガーズ
1992年、「世界水準の合唱を」という故小澤征爾氏の要請を受けて、東京を中心に活動する中堅、若手声楽家によって結成。同年から「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)、2004年から「東京・春・音楽祭」に継続的に出演してきた。また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(サイモン・ラトル、小澤征爾指揮)、シカゴ交響楽団(リッカルド・ムーティ指揮)、バイエルン国立歌劇場(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮)など、海外オーケストラ、歌劇場の来日公演でも共演。海外での評価も高く、エディンバラ音楽祭(1999年)、上海国際芸術祭(2018年)、上海交響楽団演奏会(2019年)、北京国際芸術祭「相約北京」(2020年)に出演した。
N響とは、2009年にオラトリオ《天地創造》で初共演。以来、年末のベートーヴェン《第9》公演をはじめ、N響が登場する「東京・春・音楽祭」の「ワーグナー・シリーズ」には第1回(2010年)から出演。2024年12月、ファビオ・ルイージ指揮の《ファウスト交響曲》では崇高な男声合唱を聴かせた。
[柴辻純子/音楽評論家]
児童合唱NHK東京児童合唱団
1952年3月、「少年少女に豊かな心を」という願いから、NHKの教育番組と子ども番組の充実を目的として創立されたNHK東京児童合唱団(旧称・東京放送児童合唱団)は、NHKの放送出演はもとより、海外の合唱団との交流や国内の主要オーケストラと共演を重ねている。また、邦人作曲家への合唱作品の委嘱など、多くの作品を国内外に紹介。2022年には創立70周年を迎えた。
「コダーイ・ゾルタン生誕100年記念国際合唱コンクール」青少年部門第1位・総合部門グランプリなど国内外の多数のコンクールに入賞。2009年N響とともに「天皇・皇后両陛下ご成婚50周年ご即位20周年記念コンサート」に出演した。新国立劇場などオペラへの出演も多数。2024年には英国ロイヤル・オペラの日本公演《トゥーランドット》に参加した。N響定期公演へは1971年11月のジャン・フルネ指揮《ファウストの劫罰(ごうばつ)》にて初登場。最近では、2018年12月にチャイコフスキー《バレエ音楽「くるみ割り人形」》、2023年12月マーラー《一千人の交響曲》などで共演した。
[柴辻純子/音楽評論家]
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 15,000円 | 12,500円 | 10,000円 | 8,000円 | 6,500円 | 4,500円 |
ユースチケット | 7,000円 | 6,000円 | 5,000円 | 4,000円 | 3,000円 | 2,000円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]
シーズン会員券(SPRING)
2025年2月19日(水)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年2月13日(木)10:00am]