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定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2031回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
Googleマップ 座席表

※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年2月Aプログラム 聴きどころ

ポペルカの出身国であるチェコにゆかりのある作品を並べたプログラム。しかも、超有名曲の羅列とは一線を画したコンセプトだ。19世紀的な西洋音楽…… さらにはそれを育んだヨーロッパの近代社会が限界に達するなかで、新時代を創出しようとした音楽家たちの想いの結晶である。しかも各曲とも、20世紀初頭まではチェコの一帯を支配していたオーストリア、さらにはドイツ語圏の影響を抜きには語れぬ作品に他ならない。

(小宮正安)

PROGRAM曲目

ツェムリンスキー/シンフォニエッタ 作品23

黄昏(たそがれ)の時代を迎えつつあったハプスブルク家のお膝元、オーストリア=ハンガリー帝国の都ウィーンに生まれ、「世紀末」あるいは「世紀転換期」の音楽文化の担い手となったアレクサンダー・ツェムリンスキー(1871~1942)。そんな彼が、ハプスブルク家の帝国も滅亡し、ナチス・ドイツの脅威が忍び寄るなか、1934年に手掛けたのが《シンフォニエッタ》である(なおツェムリンスキーは、そうした激動期の1911年から1927年にかけて、プラハの新ドイツ劇場の楽長を務めていた)。
一聴すればわかるように、そこにはツェムリンスキーが大きな影響を受けたマーラー(1860~1911)の交響曲にも通じる、濃厚な官能性や頽廃美(たいはいび)が溢(あふ)れている。自らの作品(《弦楽四重奏曲第2番》《メーテルリンク歌曲集》など)を引用することで、私小説的な性格を与える試みも、マーラーが交響曲でしばしばおこなっていたことだ。
ただしツェムリンスキーの場合、「シンフォニエッタ」つまり「小さな交響曲」というタイトルが示すように、交響曲の可能性を極限まで押し広げたマーラーとは異なっていた。咽(むせ)ぶがごとく芳醇(ほうじゅん)な響きのなかに、時折彼の弟子であったシェーンベルク(1874~1951)を彷彿(ほうふつ)させる怜悧(れいり)な現代性が、比較的小ぶりなオーケストラによってもたらされるのもその表れ。3つの楽章それぞれに、「きわめて活き活きと」「バラード:きわめてゆったりと、だが引きずらずに」「ロンド:きわめて活き活きと」と、耽美(たんび)的な沈潜よりも、ある程度以上のスピード感が求められている点も、時代の変化を明確に感じさせる。

(小宮正安)

演奏時間:約21分
作曲年代:1934年
初演:1935年2月19日、プラハ、ハインリヒ・ヤロヴェッツ指揮

R. シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11

マーラーやツェムリンスキーと並び、「世紀末/世紀転換期」の音楽の旗手となるリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)。ただしこの協奏曲は、そうした音楽の基となったワーグナー(1813~1883)からの影響を大いに発揮する以前の1882年から1883年にかけて作られ、モーツァルト(1756~1791)などのホルン協奏曲をも彷彿(ほうふつ)させる「保守的な」作品と言われることもある。
全編に溢(あふ)れる典雅な響きや、「アレグロ」「アンダンテ」「ロンド:アレグロ」という古典派以来の協奏曲の形式に則って書かれている点など、「天才少年」として鳴らしたR.シュトラウスが、「神童」モーツァルトの伝統に倣った若書きの作品とも捉えられるだろう。R.シュトラウスの父親自身が大のワーグナー嫌いで、保守的な音楽を好んだホルン奏者だった(彼自身、ホルン協奏曲を書いている)ことを考えると尚更である。
ただし、やがてワーグナーに傾倒し、交響詩をはじめ当時の音楽界から超モダンと見なされる作品を書くようになったR.シュトラウスだが、徐々にワーグナーの巨大すぎる影に悩み始めてゆく。またそれを打破する手段として、進歩進化を標榜(ひょうぼう)するワーグナーを生み出した19世紀的な価値観を離れ、当の19世紀がともすれば前近代として批判のやり玉にあげてきた18世紀、つまりモーツァルトの時代に彼は着目するようになっていった。折しも、世紀が変わった20世紀初頭の話である。となると、この《ホルン協奏曲》も、そうしたR.シュトラウスの新たな視点を、先取りするものだったのかもしれない。

(小宮正安)

演奏時間:約17分
作曲年代:1882~1883 年
初演:1885年3月4日、マイニンゲン、ハンス・フォン・ビューロー指揮、グスタフ・ラインホース独奏

ドヴォルザーク/交響詩「のばと」作品110

交響曲をはじめとするさまざまな作品で、壮年期にはチェコを代表する音楽家として押しも押されもせぬ世界的名声を築いていたアントニーン・ドヴォルザーク(1841~1904)。そんな彼が世紀転換期の1896年から1897年にかけて集中的に取り組んだ新たなジャンルこそ、R.シュトラウスなどの活躍により時代の最先端を行くと目されていた交響詩である。
なおドヴォルザークが書いた5つの交響詩中4曲は、エルベン(1811~1870)という人物が編んだ民話詩集『花束』(1853年初版)に依っている。エルベンは、歴史家であると同時にスラヴ文化圏の民話や民謡の収集家であり、さらにはロマン派の系譜に連なる文筆家でもあった。
《のばと》のストーリーと構成だが、1)葬送行進曲の調べに乗って若妻が夫の死を嘆いている(だが実のところ彼女は彼を毒殺したという過去を持つ)→2)彼女は別の若い男と出会い恋に落ちる→3)2人の結婚披露宴でボヘミア風の舞曲が演奏される→4)前夫の墓に詣でたところ、夫殺しの真相をのばとに暴露された若妻は自殺する→5)彼女の魂は超越的な力によって許され、浄化される、というもの。エルベンのオリジナルとは異なって、ドヴォルザークは終結部に独奏ヴァイオリンを用い、世の価値判断を超えて起こりうる人間存在の苦しみに対する許し、あるいは死のなかに明滅する愛の瞬間を描いた。それは後輩のマーラーなどが当時追い求めていた人生哲学を彷彿(ほうふつ)させ、ドヴォルザークも世紀末芸術に連なるひとりだったことを再認識させる。

(小宮正安)

演奏時間:約19分
作曲年代:1896年
初演:1898年3月20日、ブルノ、レオシュ・ヤナーチェク指揮

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

ドヴォルザーク自身が活躍した、プラハを中心地とするチェコの西部ボヘミア。それと対を成すのが、彼が手掛けた《交響詩「のばと」》の初演もおこなったレオシュ・ヤナーチェク(1854~1928)の本拠地、ブルノを中心地とするチェコの東部モラヴィアである。しかも世紀転換期を代表するチェコの音楽家として頭角をあらわしたヤナーチェクの場合、19世紀まではとかくボヘミアにのみ注目が集まりがちだった状況と一線を画し、モラヴィアの民謡や伝承に根差した作品を数多く手がけた。
《シンフォニエッタ》は、ヤナーチェク最晩年の1926年の作品。オーストリアの支配下から独立しようという機運が高まり始めた19世紀後半のチェコで創設された、愛国的かつ民主主義的な運動協会=ソコルからの委嘱を受けたのがきっかけだった。冒頭の楽章がファンファーレで始まり、この動機がさまざまな変奏を経て曲全体に張り巡らされているだけでなく、バンダも加わり全曲に活発な運動性が満ちているのも、その表れだ。またこうした経緯もあり、この作品はチェコの陸軍に捧(ささ)げることも考えられていた。
全体は5つの楽章から成っており、〈ファンファーレ〉〈城塞(ブルノ郊外のシュピルベルク城)〉〈修道院(ブルノの王妃の修道院)〉〈街路(古城に至る道)〉〈市庁舎(ブルノ旧市庁舎)〉という、第1次世界大戦後に誕生したチェコスロヴァキアの一翼を成すブルノのランドマークを彷彿(ほうふつ)させるタイトルが付けられていたこともある。ヤナーチェク自身の言によれば「今日の自由なチェコの人々を表現しようとした」当作品は、重厚壮大な19世紀型の交響曲とは異なる、弾けんばかりのエネルギーに溢(あふ)れた、新時代の小交響曲(シンフォニエッタ)に他ならなかった。

(小宮正安)

演奏時間:約23分
作曲年代:1926年
初演:1926年6月26日、プラハ、ヴァーツラフ・ターリヒ指揮

[アンコール曲]
2/8:ラデク・バボラーク/狩りのファンファーレ
2/9:ピアソラ/タンゴ・エチュード - No.4 "メディタティーヴォ"
ホルン:ラデク・バボラーク

 


はじめてのクラシック
「レオシュ・ヤナーチェク」


ARTISTS出演者

ペトル・ポペルカさんの画像 指揮ペトル・ポペルカ

現在、ヨーロッパとアメリカで旋風を巻き起こしているチェコ人指揮者だ。指揮者として活動を始めて5年ほどのあいだに、3つのオーケストラの首席指揮者を歴任。その実力から、さらなるステップアップも確実とされている。
1986年、プラハ生まれ。コントラバス奏者として、2010年から9年間、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の副首席を務めた。指揮活動を本格的に開始したのは2019年。以降、多くの著名オーケストラの指揮台に立ち、目覚ましい活躍を遂げた。2020年から2023年にはノルウェー放送管弦楽団の首席指揮者を務め、2022年からはプラハ放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就いている。今季からはウィーン交響楽団の首席指揮者も務める。
2022年、東京交響楽団へ客演して日本デビュー。短期間でオーケストラをひとつにまとめ、繊細にサウンドを作りつつも、スケール感もあふれる演奏が大きな評判を呼んだ。2024年にもプラハ放送交響楽団を率いて来日公演を行っている。
今回、2つの定期公演でNHK交響楽団との初共演を果たす。ツェムリンスキーとヤナーチェクによる《シンフォニエッタ》を軸にしたAプログラムでは、それぞれの作品のスタイルを明瞭に描き出してくれよう。モーツァルトとシューマンによるBプログラムでは、しっかりと組み立てられたバランスと、流れのよさから生まれる完成度の高い演奏が期待できるはずだ。

[鈴木淳史/音楽評論家]

ラデク・バボラークさんの画像 ホルンラデク・バボラーク

2018年9月定期公演でもNHK交響楽団と共演したホルン界の巨匠ラデク・バボラーク。1976年チェコ生まれで、8歳からホルンを学び、プラハ音楽院でベドジフ・ティルシャル教授に師事した。またたく間に各地のコンクールで優勝を重ねるようになり、1994年には難関ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、当時は「ホルンの神童」として世界的な注目を集めていた。その後、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等のソロ・ホルン奏者を歴任。ソリストとしてもベルリン・フィルはもちろん、ウィーン・フィル、バイエルン放送響等と共演、世界的な活躍を続けてきた。
室内楽のジャンルでもチェコの仲間たちと結成した木管五重奏団アフラートゥス・クインテットやバボラーク・アンサンブルで積極的な活動を行い、世界的な名手たちとさまざまな形で共演を重ねている。録音にも積極的で、各国のメジャーレーベルに膨大な録音を残している。また最近では指揮活動でも活躍し、日本ではサイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団等に客演。現在は山形交響楽団のミュージック・パートナーを務めている。

[片桐卓也/音楽評論家]

MOVIEムービー

2025年2月定期公演 Aプログラムについて

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TICKETチケット

定期公演 2024-2025シーズン
Aプログラム

第2031回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年10月17日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年10月23日(水)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 10,000円 8,500円 6,500円 5,400円 4,300円 2,200円
ユースチケット 5,000円 4,000円 3,100円 2,550円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

シーズン会員券(WINTER)
2024年10月15日(火)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年10月10日(木)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2031回 定期公演 Aプログラム」

2025年2月27日(木) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: ツェムリンスキー/シンフォニエッタ 作品23
R. シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11
ドヴォルザーク/交響詩「のばと」作品110
ヤナーチェク/シンフォニエッタ

指揮:ペトル・ポペルカ

ホルン:ラデク・バボラーク

収録:2025年2月8日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

後援:

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