ページの本文へ

  1. ホーム
  2. コンサート情報
  3. 定期公演 2024-2025シーズン
  4. Cプログラム
  5. 第2029回 定期公演 Cプログラム

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2029回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
Googleマップ 座席表

※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2025年1月Cプログラム 聴きどころ

過去を学び、現在に生かす。ごく当たり前のようだが、そんな作曲の仕方を最初に試みた人物が19世紀後半に生きたブラームスである。彼はほとんど学者といってもよい手つきでバッハから古典派にいたる作品を徹底的に勉強し、それらの作品の出版にも力を尽くした。一方、20世紀に生きたストラヴィンスキーにとって、「過去」は単なるパッチワークの素材に他ならない。本日のプログラムで注目されるのは、こうした二種の過去への姿勢ということになろう。

(沼野雄司)

PROGRAM曲目

ストラヴィンスキー/組曲「プルチネッラ」

やや乱暴な言い方になるが、この《プルチネッラ》はニセの素材を基にした、ニセの18世紀音楽である。こうした方法論を扱う手管にかけて、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882〜1971)の右にでるものはいない。
1918年、ロシア・バレエ団を率いる興行師ディアギレフは、ドメニコ・スカルラッティの音楽を用いたバレエが思わぬ成功をおさめたことから、今度はジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710〜1736)の作品を蘇(よみがえ)らせることを思いつく。彼は持ち前の行動力でナポリの音楽院と大英博物館から楽譜を探し出すと、さっそくストラヴィンスキーに編曲を持ちかけた。その「民衆的、スペイン的で異国風」の音楽に心を惹かれたストラヴィンスキーは、─舞台装置をピカソ、振り付けをマシーンが担当することもあってか─快く依頼を引き受けたのだった。
ただし、ペルゴレージに「プルチネッラ」という作品があるわけではなく、全体はディアギレフが探してきた小曲を、勝手につなげたものである。編曲に際しては、時としてかなり斬新な和声が付されていたり、ストラヴィンスキーによる創作部分が含まれていたりもするのだが、原曲の主旋律と低音はほぼそのまま生かされている。ゆえにちょっと聴くとバロック音楽のようでありながら、注意してみると「じわじわ」と妙なところが浮かびあがってくるという仕掛け。ニセの18世紀音楽なのだ。
1920年にバレエ曲が完成したあと、1922年に彼は全体を管弦楽組曲に仕立て直し、アメリカに渡ったのちの1947年、おもに版権料を得るために再度細かい修正を行った。
さて、さらに面白いのは、初演の時点ではペルゴレージ作と信じられていた原曲の大部分が、その後、他の作曲家(ほぼ同時代のイタリアの作曲家)のものであることが判明した点だ。なにしろ、もっとも有名な第1曲からして、実はガッロという作曲家の作品なのである。ペルゴレージ自身が書いたのは11曲中、第2曲、第3曲a、第7曲、第8曲aの4曲のみ。
かくして《プルチネッラ》は、二重のニセに包まれた─しかし実に魅力的な─音楽として我々の眼前に置かれることになったわけである。

(沼野雄司)

演奏時間:約24分
作曲年代:[バレエ版]1920年完成 [管弦楽組曲版]1922年
初演:[バレエ版]1920年5月15日、エルネスト・アンセルメ指揮、ロシア・バレエ団、パリ・オペラ座 [組曲版]1922年12月22日、ピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団

ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68

ヨハネス・ブラームス(1833〜1897)が死去したのは1897年のこと。意外に「最近」なのである。
街にはベンツ社が開発したガソリン自動車が走っており、電話や蓄音機もすでに実用化されている。オリエント急行に乗れば、ウィーン〜パリ間はもとより、イスタンブールまで足を延ばすのも容易。音楽の世界を覗いてみると、ワーグナーやブルックナーの全作品はもちろん、マーラーの《交響曲第3番》、R. シュトラウスの《ツァラトゥストラはこう語った》、ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》、そしてシェーンベルクの初期歌曲やピアノ作品が、すでに世に出ている。
そう考えると、ブラームスという作曲家の置かれていた位置がよく分かるはずだ。
先に挙げた作曲家たちが必死で「未来」に目を向けていたのに対して、ブラームスは「過去」を徹底的に研究し、そこから次の道を見いだそうとしていた。その最初の成果が《交響曲第1番》である。
完成は1876年。ハンスリックによる初演評が面白い。「……ブラームスは、感性の美しさを犠牲にしてまでも偉大なるもの、厳粛なるもの、重々しいもの、あるいは複雑なものをいささか好みすぎるようである。私たちは最高の対位法的技術ばかりではなく、心はやる陽光も欲しいと思う」。なるほど、この交響曲は尋常ではない重苦しさに包まれているが、それはまさに過去を背負い、そしてそこから脱しようとする必死の努力ゆえといえよう。
第1楽章冒頭で、まずは誰もが驚く。ティンパニの連打の上で、弦楽器が半音階で上昇するという斬新な趣向。しかし一方で、激烈な展開部のなかでも、優しい旋律が現れるのがブラームス流だ。3部形式をとる第2楽章は、150曲以上のリートを残した作曲者ならではの緩徐楽章(この楽章は初演時にはロンド的な形式をとっていたという)。第3楽章は、クラリネットがリードする素朴な音楽だが、スケルツォとメヌエットの両方の性格を持っているあたりに工夫があろう。
そして第4楽章、重苦しい序奏のあとに「歓喜」の主題が現れ、壮大な凱歌を奏でる。ベートーヴェンの《第9》との類似が指摘されることもあるが、例えば同時代のブルッフ《交響曲第2番》でもまったく同様の趣向が用いられている。してみると重要なのは旋律の類似ではなく、「最後に満を持して雄大な旋律が現れ、全編の結論を提示する」という終楽章の役割なのだ。かくして交響曲は大団円に達して全曲を閉じる。

(沼野雄司)


演奏時間:約45分
作曲年代:1876年完成
初演:1876年11月4日、カールスルーエ、オットー・デッソフ指揮、カールスルーエ宮廷管弦楽団

ARTISTS出演者

トゥガン・ソヒエフさんの画像 指揮トゥガン・ソヒエフ

2025年もトゥガン・ソヒエフとともに、N響の新しい年が始まる。2008年を皮切りに客演を重ね、近年は格段に緊密な信頼関係のもと多彩な音楽冒険をくり広げている。2022年春にボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル管弦楽団の音楽監督をともに辞任した彼が、N響の指揮台に3年ぶりに立ったのが2023年1月。翌年1月にもフランス、ロシア、ドイツの3様のプログラムを鮮明に実らせた。
ソヒエフはいま40代、コンサートにオペラに精力的な活躍を続けている。1977年にソヴィエト連邦下のウラジカフカスに生まれ、サンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシン、ユーリ・テミルカーノフに指揮を学んだ。ロシア音楽でのパッションやダイナミズム、フランス音楽に顕著な洗練や色彩だけでなく、2010年代にベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者も務めたように、独墺音楽の綿密な構築にも腕を揮(ふる)う。2023年11月にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、2024年11月にはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とも来日した。
今シーズンもひき続き3つのプログラムを指揮。これまでN響と練り上げてきた作曲家を主として、ムソルグスキーとストラヴィンスキーでは初共演。ロシアや東欧出身の作曲家に重点を置くとともに、コロナ禍で叶(かな)わなかったブラームスの《交響曲第1番》にいよいよ臨む。熱く雄渾(ゆうこん)な年明けが期待される。

[青澤隆明/音楽評論家]

MOVIEムービー

2025年1月定期公演 Cプログラムについて

DOWNLOADダウンロード

TICKETチケット

定期公演 2024-2025シーズン
Cプログラム

第2029回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年10月17日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年10月23日(水)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 11,000円 9,500円 7,600円 6,000円 5,000円 3,000円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,800円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

シーズン会員券(WINTER)
2024年10月15日(火)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年10月10日(木)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

閉じる
公演カレンダーを閉じる