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定期公演 2024-2025シーズンBプログラム
第2024回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年11月Bプログラム 聴きどころ

本日の演奏会では、贅沢(ぜいたく)にもチャイコフスキーの協奏曲、スロボデニュークがCDを出しているプロコフィエフの《石の花》およびストラヴィンスキーの《3楽章の交響曲》という、ロシア音楽の魅力たっぷりのプログラムを聴くことができる。きっとどの曲でも、あふれ出る率直な美しさやパワーに、私たちは圧倒されることだろう。

(菊間史織)

PROGRAM曲目

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

憂いをまとう優雅で爽やかなメロディ、ロシアやウクライナの元気な踊りなど、チャイコフスキーが得意な音楽表現にあふれた本作は、ヴァイオリン協奏曲の名曲のひとつに数えられている。作曲は1878年。ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840~1893)がサンクトペテルブルク音楽院に入学し、翌年音楽家への転身を決意して、歴史の浅いロシアのクラシック音楽界に貢献しはじめてから15年がたっていた。
1878年3月、スイスのクラランに滞在するチャイコフスキーのもとに、エドゥアール・ラロの《スペイン交響曲》を含む沢山の楽譜を持ってきたのは、彼の「男友達」のヴァイオリニスト、ヨシフ・コーテクだ。当時チャイコフスキーは、世間体のためにした女性との結婚に耐えきれず、外国に逃亡し、お気に入りの人たちだけに囲まれて創作の世界に没頭していた。ラロの曲をコーテクと一緒に弾いたチャイコフスキーは、その新鮮な和声やリズムに驚き、非常に急ピッチで本作を書くのである。
初演の独奏者として、チャイコフスキーは当初、名ヴァイオリニストのレオポルト・アウアーを希望していた。だが最終的には1881年12月、アドルフ・ブロツキーが独奏者をつとめ、ウィーンで初演された。
第1楽章 ニ長調。ソナタ形式。序奏に続いて、同音をはずんで2度鳴らす音型が特徴的な第1主題、少し憂いのニュアンスを含んだ第2主題が、独奏から登場。技巧が披露されたあと、ようやく第1主題が管弦楽によって勇壮に提示される。展開部の最後にカデンツァが入る。
第2楽章 「カンツォネッタ」と題されている。ト短調。3部形式の、優美で物悲しい歌。クララン滞在の合間に旅行したイタリアの思い出だとも言われる。アタッカで第3楽章へ。
第3楽章 ニ長調。《くるみ割り人形》のトレパークと同じリズムをもつ、ロシア、ウクライナの2拍子の踊り。速弾きのきわめて魅力的なヴァイオリン独奏が披露される。ロンド・ソナタ形式で、悠々とした第2主題もまた美しい。

(菊間史織)

演奏時間:約35分
作曲年代:1878年
初演:1881年12月4日、ハンス・リヒター指揮、アドルフ・ブロツキーによるヴァイオリン独奏、ウィーン

プロコフィエフ/バレエ音楽「石の花」─「銅山の女王」「結婚組曲」

1918年にロシアから欧米に出て、1930年代半ばに帰国したセルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953)は、1948年にソ連体制から厳しく批判された作曲家のひとりとなり、恐るべき攻撃にさらされる。ただでさえ、彼は3年前の脳挫傷以来ひどく健康を害していた。そんな中、汚名返上をめざし、愛する若き妻ミーラと手を取り合い、演出家のラヴロフスキーも交えて作曲をはじめたのがバレエ《石の花》だった。原作はバジョーフの説話集である。
〈銅山の女王〉は、バレエ冒頭(プロローグ)で流れる音楽だ。女王はウラル山脈の鉱物を守る精霊で、孔雀(くじゃく)石で出来た艶やかな緑色の服を着て、その美貌により出会った男たちを不幸にする。彼女は人間たちを受け入れつつ、非道な管理人や貴族には懲罰を与える。彼女の庭には、真の「美」を具現化した石の花が咲いている。主人公の彫刻家ダニーロは、この花を見るために女王に引き寄せられるわけである。プロコフィエフが苦心して着想した旋律は、女王の崇高さを見事に表現している。それは演奏によって、ひたすら気高く強く聞こえることもあれば、悠久の山の神々の余裕として聞こえることもある。
ダニーロは、石の花、そして女王に心惹(ひ)かれながらも、カテリーナという村娘と婚約している。彼らの婚約の儀式をめぐる踊りは、当時体制から求められていた民族色を打ち出すのに都合がよかったので、バレエの中でひとつの重点が置かれている。プロコフィエフはバレエ初演の許可が出るまでの間(初演は彼の没後の1954年)、1951年にバレエ音楽からラジオ放送のための3つの組曲を編んだ。《結婚組曲》はそのひとつだ。各曲の登場の順番はバレエとは異なる。第1曲〈恋の踊り〉はダニーロの主題および〈叙情的デュエット〉の音楽。第2曲は〈婚約者の女友だちの踊り〉と題されているがバレエ中の〈ダニーロの踊り〉だ。第3曲は〈乙女たちの踊り〉。第4曲〈儀式の踊り〉は、伝統的な結婚前の儀礼として花嫁が女友達に見送られる歌。第5曲〈結婚の踊り〉は民俗舞踊の「輪舞」であり、『イワン雷帝』の映画音楽で使われた白鳥の歌の再利用である。

(菊間史織)

演奏時間:約21分
作曲年代:《石の花》1948〜1953年 《結婚組曲》1951年
初演:《石の花》1954年2月12日、ユーリ・ファイエルの指揮、ボリショイ劇場 《結婚組曲》1951年12月12日、サムイル・サモスードの指揮、モスクワ

ストラヴィンスキー/3楽章の交響曲

ロシアからパリに移住し、さらに第2次世界大戦時、アメリカに移住したイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882~1971)は、1942~1945年にアメリカで《3楽章の交響曲》を書いた。委嘱元はニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団。1943年に委嘱されたが採用されなかった『聖処女』の映画音楽や、やはり使われなかった戦争映像のための音楽も、本作に組み込まれた。
ストラヴィンスキーのよく響く、格好の良い音楽を聴くと、本作の標題性を考慮する必要はないとも感じる。実際、初演時(1946年1月)の曲目解説で、作曲者本人もこの曲を絶対音楽と呼んでいる。だが、のちにストラヴィンスキーは本作を「戦争交響曲」と呼び、種明かしをする。それが聴取の多少の手がかりになるだろう。
第1楽章 本楽章の形式については諸説あるが、一息に駆け上がる序奏、オクターヴ跳躍するホルンの主題、《春の祭典》を思わせる新鮮なリズムと半音階的なピアノが際立つ主題が存在し、移ろっていく点で、かなり自由なソナタ形式に近いと思われる。作曲者はのちにティンパニのルンバのリズムと戦車の動きを関連付けたほか、中間部を日中戦争時の焦土作戦で土を掘る中国人の映像のための音楽として説明した。
第2楽章 アンダンテ。もとは映画『聖処女』で聖母マリアの幻の登場を描くための音楽で、やさしく情感豊かな楽章。楽器編成は小さく、ハープの音が際立つ。ニ長調の主部はリズムの崩れが小気味よく、中間部の前後は柔らかなパッセージで区切られている。アタッカで7小節の「間奏曲」、次楽章へ。
第3楽章 コン・モート。作曲者が言及した「グースステップ」(膝を曲げない軍隊の行進)が想起されるマーチに、2度音程の強調からはじまるリズミカルな部分が対置される。「変わり目」となるのがピアノ、トロンボーン、ハープによるフーガ。作曲者が作品完成後に語ったプロットによれば、フーガも結末の「商業的すぎるかもしれない」ポップな和音も、連合国の勝利と関連する。

(菊間史織)

演奏時間:約22分
作曲年代:1942~1945年
初演:1946年1月24日、作曲者自身の指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団(現ニューヨーク・フィルハーモニック)

[アンコール曲]
11/21:J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV 1004 – 「サラバンド」
11/22:エルンスト/シューベルトの「魔王」による大奇想曲 作品26
ヴァイオリン:ニキータ・ボリソグレブスキー

 

はじめてのクラシック
「イーゴリ・ストラヴィンスキー」


ARTISTS出演者

ディマ・スロボデニュークさんの画像 指揮ディマ・スロボデニューク

フィンランドの指揮者ディマ・スロボデニュークは、現在、彼の世代でもっとも注目すべき指揮者のひとりとして、世界的に活躍している。
1975年、モスクワに生まれ、シベリウス音楽院でウクライナ出身のヴァイオリニスト、オルガ・パルホメンコに師事し、2001年に同音楽院を卒業。そこで同時にレイフ・セーゲルスタム、アッツォ・アルミラ、ヨルマ・パヌラから指揮を学んだほか、イリヤ・ムーシンやエサ・ペッカ・サロネンにも師事している。スロボデニュークは、2013年から2022年までガリシア交響楽団(スペイン)音楽監督、2016年から2021年まではラハティ交響楽団(フィンランド)首席指揮者、およびラハティ・シベリウス音楽祭の芸術監督を務めた。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団など、世界各地の著名なオーケストラに招かれ、好評を博している。ロシアや北欧の音楽に定評があるが、レパートリーは広く、同時代の作曲家の作品の演奏にも積極的に取り組んでいる。NHK交響楽団とは2019年7月にN響「夏」で初共演しているが、定期公演への出演は今回が初となる。

[増田良介/音楽評論家]

ニキータ・ボリソグレブスキーさんの画像 ヴァイオリンニキータ・ボリソグレブスキー

チャイコフスキー(モスクワ)、エリーザベト(ブリュッセル)、フリッツ・クライスラー(ウィーン)、シベリウス(ヘルシンキ)、モントリオール、モンテカルロなど、数々の国際コンクールに優勝・入賞後も研鑽(けんさん)を怠らず、レパートリーという名の翼を広げてきた現代のトップアーティストのひとり─それが1985年ロシア出身のニキータ・ボリソグレブスキーだ。
モスクワ音楽院でエドゥアルド・グラチらに学んだあと、ベルギーのエリーザベト王妃音楽大学でオーギュスタン・デュメイに、ドイツのクロンベルク・アカデミーでアナ・チュマチェンコに教えを受けた。
ファン憧れの名曲に腕をふるういっぽう、イザイ、メトネルの秘曲をレコーディング。近年はウィーン・コンツェルトハウスのアーティスト・イン・レジデンスに迎えられたほか、アトリウム弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者としてサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンでベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を披露した。NHK交響楽団とは2017年7月にチャイコフスキーの協奏曲で初共演、2019年12月の定期公演Cプログラムではグラズノフの協奏曲を弾いた。

[奥田佳道/音楽評論家]

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TICKETチケット

定期公演 2024-2025シーズン
Bプログラム

第2024回 定期公演 Bプログラム

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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年7月31日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年8月4日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 12,000円 10,000円 8,000円 6,500円 5,500円
ユースチケット 6,000円 5,000円 4,000円 3,250円 2,750円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

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29歳以下の方へのお得なチケットです。
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定期会員券
発売開始日

年間会員券
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

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主催:NHK / NHK交響楽団

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