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定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2016回 定期公演 Aプログラム

― ブルックナー生誕200年 ―

NHKホール
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※本公演は1曲のみの演奏のため休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年9月Aプログラム 聴きどころ

2024–25シーズンの幕開けとして首席指揮者ファビオ・ルイージが選んだのは、まさに9月に生誕200年を迎えたアントン・ブルックナー(1824~1896)が最後に完成させた交響曲、《第8番ハ短調》である。しかも今回は、ブルックナーが純粋に彼の音楽的志向を追求して完成させた「初稿」と呼ばれる形態を取り上げる。この稿(バージョン)は作曲者が納得する出来に仕上がっていたものの、第三者の見解を取り入れて改訂が施されたため、今日に至るまで上演の機会が多くない。数々の指揮者と《第8番》を共演してきたN響にとっても初稿での演奏は初めてとのこと、貴重な機会に期待が高まる公演だ。

(髙松佑介)

PROGRAM曲目

ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

アントン・ブルックナーが「交響曲作曲家(シンフォニカー)」としての栄誉を得るまでには、長い道のりが待ち受けていた。オーストリア帝国リンツ郊外の小村アンスフェルデンに1824年に生まれたブルックナーは、オルガン演奏の才能により頭角を現し、三十代にはリンツで教会オルガニストの職を得た。すでに教会音楽などは手がけていたが、この頃ジモン・ゼヒターとオットー・キツラーのもとで基礎から作曲の修練を積み、四十を間近にして交響曲創作に打ち込むこととなる。
ブルックナーは1868年から拠点をウィーンに移し、音楽院教授や宮廷オルガニストなどを務めながら、番号の付いた交響曲を生涯で9つ遺した。最初の頃はベートーヴェンの短調交響曲《第5番》と《第9番》を念頭に置いたかのように、ハ短調とニ短調に照準を定めている(《第1番ハ短調》《無効 ニ短調》〔いわゆる「第0番」〕《第2番ハ短調》《第3番ニ短調》)。しかし思い望むような喝采を浴びるには長い年月を要した。彼は《第4番》から《第7番》までの交響曲を長調で書き、御年六十を過ぎたころ《第7番》で国際的な成功を収め、ようやく「交響曲作曲家」としての名声を手にしたのである。ここでブルックナーは初心に立ち返ったのだろうか、《第8番》と《第9番》を再びハ短調とニ短調で創作し、後者は絶筆となった。
このようにしてブルックナーは、1884年夏に《第8番ハ短調》に着手した。1885年夏には全楽章のスケッチを終え、その最後に「ハレルヤ!」と書き込むとともに、特にフィナーレは「生涯で最も意味深い楽章」であると弟子フランツ・シャルクに自負を伝えている。1887年夏に初稿が完成した際には、《第7番》を成功に導いた「芸術上の父」と慕う指揮者ヘルマン・レーヴィに喜びを書簡で伝え、演奏してもらうべく総譜を送った。この時おそらく、ベートーヴェンという偉大な先達によって刻印された「ハ短調交響曲」に初期の頃とは異なる角度から再び挑んだ成果として、確かな手応えを感じていたに違いない。
だが、レーヴィからの返事は作曲者の期待に反して、この曲が理解できず演奏は困難、というものだった。落胆したブルックナーは改訂に着手し、本作は1890年に第2稿として姿を変えることとなった。とりわけ、第2楽章トリオ部の書き換えや第3・4楽章の短縮、そして輝かしいハ長調の出現を最終楽章まで取っておく措置などが大きな変更点である。ブルックナーは、この新稿で最初に初演を依頼した指揮者フェリックス・ワインガルトナーに宛てて、「フィナーレは確実に短縮するようどうかお願いします。なぜならそれは長すぎますし、のちの時代にのみ、しかも友人や専門家たちの間で通用するものですから」(1891年1月27日付)と書き送っている。この書簡からは、作曲者が当時の受容を念頭に置いて改訂に向き合っていたという事実だけでなく、短縮しない形態も、のちに通用する時代が来ると信じていたことも読み取れる。
この交響曲を特徴づけるのは、大伽藍(だいがらん)にも比類される荘厳さである。なかでも緩徐楽章は30分近い演奏時間を要するほど長大だ。楽曲の精神的深遠さを描き出す重心となるこの楽章は、通例の第2楽章ではなく第3楽章に置かれており、さらには続く最終楽章も、《第7番》のそれと比べて倍の小節数を有し、緩徐楽章と同じ「厳かにFeierlich」の発想標語が付されている。改訂稿で第1楽章の再現部に「厳かに」の指示が追加されたことも考慮し、楽曲全体に厳かな「祝典Feier」の性格を認める向きもあるほどである。なお、弟子アウグスト・ストラーダルの回想によると作曲者は1886年夏に、第1楽章の終結部は弔鐘の模倣、スケルツォは「ドイツのミヒェル」(ドイツ国民を象徴する質朴な人物像のこと)、第4楽章の冒頭はオーストリアとロシアの両皇帝の会談の際に騎行するコサック、力強い管楽器の主題は両皇帝を表していると語ったという。
第1楽章はブルックナーの典型どおり、性格の異なる3つの主題によるソナタ形式で書かれている(第1主題部:ハ短調、第2主題部:ト長調、第3主題部:変ホ短調)。冒頭2小節のトレモロに続き、低弦によって静かに提示される第1主題は、それに含まれる4分音符2つ+3連符の動機が第2主題と呼応するのみならず、この楽章やほかの楽章においてたびたび回帰し、ファンファーレとして高揚を支えるなど交響曲全体の統一に貢献する。楽章末はハ長調となり、《第7番》までの交響曲と同じように高らかに幕となる(第2稿では対照的に、ハ短調のまま静かに終わる)。
第2楽章はスケルツォ楽章。一定のリズムを執拗(しつよう)に反復しながら転調によって色合いを変化させてゆく主部に、甘美なトリオ部が挟まれるという大きく3つの部分からなる。
第3楽章は壮大な緩徐楽章。2つの主題が交互に現れる5部分の形式を取り、ハープが独特の彩りを添える。冒頭主題が現れるたびに高揚を重ね、3回目ではワーグナーの《ニーベルングの指環》に登場する「ジークフリートの動機」を暗示する形で第1楽章の第1主題が回帰し、転調の末に高らかなハ長調の頂点に辿(たど)り着いたあと、静かな結尾部で楽章を閉じる(第2稿では頂点が変ホ長調に置かれる)。
フィナーレの第4楽章もまた壮大な楽章である。木管を2本ずつ用いていた第3楽章までに対し、木管を各1本追加して音響の密度を増強しているのも特徴だ(改訂稿では全楽章が3管編成となる)。切迫感の強い第1主題部、歌うような第2主題部、マーチ風の第3主題部という3つの主題から成るソナタ形式を取る。結尾部では高揚のあとにハ長調に到達し、その煌(きら)めく響きの中で全ての楽章の主要主題が重ね合わさることによって交響曲が締めくくられる。


(髙松佑介)

演奏時間:約93分
作曲年代:1884年7月~1887年8月(初稿)、1889年5月~1890年3月改訂
初演:[改訂稿]1892年12月18日、ウィーン [初稿全曲]1973年9月2日、ロンドン

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2024年8月にはN響台湾ツアーを率い、2025年5月には「マーラー・フェスティバル」(アムステルダム・コンセルトヘボウ)への招待に合わせて行われるヨーロッパツアーで指揮を務める。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。

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TICKETチケット

定期公演 2024-2025シーズン
Aプログラム

第2016回 定期公演
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NHKホール
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年7月31日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年8月4日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 11,000円 9,500円 7,600円 6,000円 5,000円 3,000円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,800円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
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定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2024年7月15日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年7月7日(日)10:00am]

お問い合わせ・
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BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2016回 定期公演 Aプログラム」

2024年10月 3日(木) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

指揮:ファビオ・ルイージ

収録:2024年9月14日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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