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定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2014回 定期公演 Cプログラム

NHKホール
Googleマップ 座席表

※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年6月Cプログラム 聴きどころ

19世紀末から両大戦間期にかけての数十年間は、今日の我々が思い浮かべる「フランス音楽」のイメージの根幹が形作られた時代であった。近代音楽史上のひとつの転換点となる第1次世界大戦前後、いわゆる「印象主義」音楽の確立から新古典主義の台頭やジャズの流行を経た1930年代初頭まで、各時期を彩る3つの作品を通して黄金期のフランス音楽のさまざまな貌(かお)を心ゆくまで堪能したい。

(神保夏子)

PROGRAM曲目

イベール/寄港地

第1次世界大戦への従軍を経て、1919年にフランスの作曲家の登竜門ローマ賞コンクールで大賞を獲得したジャック・イベール(1890〜1962)は、受賞者に課される提出作品のひとつとして、この交響組曲を留学先のローマで作曲した。ドビュッシーやラヴェルより一回り以上年下の彼は、1920年代に「印象主義以後」の音楽を模索したフランス六人組の作曲家たちと同世代にあたる。もっとも、ドビュッシーの死から4年後の1922年に作曲された本作は、色彩豊かな管弦楽法や絵画的な主題、独特の異国情緒などの点でこの大作曲家の遺産を受け継ぐものであり、「3つの交響的絵画」との副題もまたドビュッシーの《海》(「3つの交響的素描」)などの作品を思わせる。「旅をしていると、蛇つかいからごみごみした街並みまで、あらゆるものに興味が湧く」とはイベールの言。作中で描き出される地中海沿岸の異国の街の印象は、大戦中の海軍での経験や直近の新婚旅行での船旅などから得たものだろうか。
第1曲はイタリアのローマからパレルモへの旅。地中海の爽やかな風や波のうねりを思わせる音楽の合間に、南方風の陽気なリズムが聞こえてくる。第2曲では舞台は北アフリカのチュニスとネフタに移り、オーボエ・ソロによってアラビア風の異国情緒あふれる旋律が奏でられる。第3曲で描き出されるのはスペイン南東部のバレンシアだ。心浮き立つようなリズム、タンブリンとカスタネットの響き──。音楽は終盤に向けていっそう活気を増し、興奮の渦のなかで締めくくられる。

(神保夏子)

演奏時間:約14分
作曲年代:1922年
初演:1924年1月6日、ポール・パレー指揮、ラムルー管弦楽団、パリ

ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲

ドビュッシーとともに「印象主義」の枠に括られることもあるモーリス・ラヴェル(1875〜1937)だが、彼がドビュッシーの死後も20年近く生き、「印象主義以後」の音楽の新たな動向に敏感であったことは重要な事実だ。第1次世界大戦で右手を失ったウィーンのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱で作曲された本作は、ラヴェルの戦前の多くの作品にみられたような詩的な標題を持たない、単一楽章の協奏曲である。作曲家は左手1本の独奏パートが貧弱な印象を与えないよう、やや重めの書法と「伝統的な協奏曲に近い様式」を用いたと述べているが、同時に、1920年代のパリで大流行したジャズの効果がそこに多く含まれていることにも注意をうながしている。
冒頭、低音の混沌(こんとん)とした響きの中からコントラファゴットのソロによる旋律が立ち現れ、ホルンの3度下行を基盤とする主題がこれに続く。オーケストラが大きな盛り上がりを見せたところで主役の「左手」がここぞとばかりに登場し、限られた演奏手段を逆手に取ったソリストらしい雄弁な表現と、視覚的にも印象深い演奏技巧のほどを披露する。短い叙情的なセクションを経て作曲者が「ジャズ」と呼ぶリズミカルな音楽が始まるが、一見冒頭とは対照的なこの部分は「実は冒頭部分と同じ主題に基づいて作られていることがあとからわかる」(ラヴェル)。最初の部分の主題がテンポ・プリーモで回帰したあと、ピアノの長大なカデンツァが展開され、作品は短い「ジャズ」の回想で終結する。

(神保夏子)

演奏時間:約19分
作曲年代:1929~1930年
初演:1932年1月5日、ローベルト・ヘーガー指揮、パウル・ヴィトゲンシュタイン独奏、ウィーン交響楽団、ウィーン

ドビュッシー/夜想曲*

音楽用語でnocturne(夜想曲)といえば、ショパンのそれのような叙情的なピアノ曲がまっさきに想起される。しかし、3曲構成の管弦楽曲である本作で念頭に置かれているのは、そうした因習的なジャンルではなく、この語の本来の意味(「夜の」)──そしてそこから喚起されるあらゆるイメージである。
初演時に「これ以上に印象主義的な交響曲は想像しようがない」と評された本作は、《牧神の午後への前奏曲》(1892〜1894)で独自のスタイルを確立したクロード・ドビュッシー(1862〜1918)が、自らの管弦楽語法においてさらなる新境地を切り拓いた作品といってよい。作曲には2年ほどの歳月が費やされているが、そこに至るまでに、構想上関連すると思われる2つの未完の計画──アンリ・ド・レニエの詩による管弦楽曲《3つのたそがれの情景》(1892〜1893)と、同じく《夜想曲》の名を持つヴァイオリンと管弦楽のための作品(1894〜1896)──を経由していることもあってか、同時期に進行していた5幕のオペラ《ペレアスとメリザンド》(1893〜1902)よりもこの(管弦楽のための)《夜想曲》の3曲にはてこずった、と作曲者は述べている。
第1曲〈雲〉では、雲の動きを思わせるゆるやかな和音の連なりに、繰り返し現れるイングリッシュ・ホルンのくすんだ旋律が陰影を添える。終盤、フルートで提示されるペンタトニックの新たな主題は、モノトーンの響きのなかにたそがれの光が差し込むような印象深い瞬間をもたらし、最後は「わずかに白がかった灰色の苦悩で終わる」。
第2曲〈祭〉は「突然の光の輝きに揺れる大気の動き」と形容される、律動的で活気のある楽章。タイトルのルーツを問われたドビュッシーは、「ブーローニュの森の祭についての、もう遥(はる)か昔のものとなった印象」を挙げている。
第3曲〈シレーヌ〉では、船乗りを惑わすセイレーン(シレーヌ)たちの神秘的な歌声(女声合唱はこの楽章のためだけに用いられる)が、「月の光で銀色に輝く波間から」──すなわちオーケストラのゆらめく響きのなかに溶け込むように──聞こえてくる。

(神保夏子)

演奏時間:約22分
作曲年代:1897~1899年
初演:1900年12月9日(第1・2曲)、1901年10月27日(全曲)、ともにカミーユ・シュヴィヤール指揮、ラムルー管弦楽団、パリ

[アンコール曲]
6/14:チャイコフスキー/こどものアルバム 24のやさしい小品 作品39から「教会で」
6/15:シューマン/こどもの情景 作品15から 第7曲「トロイメライ」
ピアノ:デニス・コジュヒン

 

はじめてのクラシック
「クロード・ドビュッシー」

ARTISTS出演者

沖澤のどかさんの画像 指揮沖澤のどか

ベルリンを拠点に国際的に活動する、今もっとも注目される若手指揮者のひとり。2023年4月より京都市交響楽団第14代常任指揮者を務めている。
青森県出身。東京藝術大学で指揮を高関健と尾高忠明に師事、その後ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンで学ぶ。2019年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、あわせてオーケストラ賞と聴衆賞も受賞した。2020年から2022年6月末までベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミー奨学生およびキリル・ペトレンコのアシスタントを務め、2022年3月にはベルリンのベルヴュー宮殿でベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の「ウクライナのための連帯コンサート」を指揮した。また、同年5月にはキリル・ペトレンコとともにカラヤン・アカデミー50周年記念公演に出演している。以後、バーゼル室内管弦楽団、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団、MDRライプツィヒ放送交響楽団、ミュンヘン交響楽団など世界各地の楽団に客演しながら、日本の主要オーケストラとも共演を重ねる。セイジ・オザワ松本フェスティバル2022では、モーツァルトの《歌劇「フィガロの結婚」》でサイトウ・キネン・オーケストラと共演し、絶賛を博した。
N響とは2020年の「夏のフレッシュコンサート」で初共演。定期公演には今回が初登場となる。フランス音楽プログラムでN響から精彩に富んだサウンドを引き出してくれることだろう。

[飯尾洋一/音楽ジャーナリスト]

デニス・コジュヒンさんの画像 ピアノデニス・コジュヒン

1986年、ロシアのニジニ・ノヴゴロドで音楽家の家庭に生まれた。母の指導のもとピアノをはじめ、バラキレフ音楽学校で学んだのち、14歳でスペインのソフィア王妃高等音楽院に留学、ドミトリ・バシキロフとクラウディオ・メーネルに師事した。その後イタリアのコモ湖アカデミーでフー・ツォンやスタニスラフ・ユデニチらに、ドイツのシュトゥットガルトでキリル・ゲルシュタインに学んだ。
2006年リーズ国際ピアノ・コンクールで第3位、2010年エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝して注目され、翌2011年に初来日。N響定期公演への出演は2017年以来2度目となる。今回は、2017年の山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団との録音を始め、コジュヒンがたびたび披露しているラヴェル《左手のためのピアノ協奏曲》での共演とあって、すでに手の内に入った、鮮やかかつ遊び心あふれる表現に期待できる。レパートリーは幅広く、2023–24シーズンは、リゲティ、シェーンベルク、ルトスワフスキの記念年によせて彼らの協奏曲に取り組んでいる。

[高坂はる香/音楽ライター]

東京混声合唱団*さんの画像 女声合唱東京混声合唱団*

東京混声合唱団は1956年、東京藝術大学声楽科の卒業生有志により創立。中心メンバーの田中信昭が常任指揮者に就任、以後、日本における合唱音楽の発展をリードするかたちで実績を刻んできた。年間100回を超える一般公演や子どものための催し、内外のオーケストラとの共演、放送出演などに加えて海外公演も多数行い、日本の合唱作品の海外への紹介にも貢献。作曲委嘱活動は日本語の合唱作品がまだ少なかった創立当初からほぼ毎年つづけて、その数は250曲を超える。近年では海外の作曲家にも委嘱するなど、創作の幅は多彩に広がっている。
現在は田中信昭を桂冠指揮者に山田和樹が音楽監督・理事長を務め、常任指揮者にキハラ良尚、正指揮者に松原千振、大谷研二、コンダクター・イン・レジデンスに水戸博之、指揮者に高谷光信、山田茂を擁する。

[関根礼子/音楽評論家]

PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽

開演前の室内楽

曲目:ジョリヴェ/クリスマスのパストラール

出演者

出演者の画像
フルート
甲斐雅之
出演者の画像
ファゴット
水谷上総
出演者の画像
ハープ
早川りさこ

MOVIEムービー

2024年6月Cプログラムによせて

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TICKETチケット

定期公演 2023-2024シーズン
Cプログラム

第2014回 定期公演
Cプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年2月28日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年3月3日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 7,600円 6,700円 5,300円 4,300円 3,300円 1,600円
ユースチケット 3,500円 3,000円 2,400円 1,900円 1,400円 800円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]


シーズン会員券(SPRING)
2024年2月16日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年2月7日(水)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2014回 定期公演Cプログラム」

2024年6月14日(金) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: イベール/寄港地
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/夜想曲*

指揮:沖澤のどか

ピアノ:デニス・コジュヒン

女声合唱:東京混声合唱団*

収録:2024年6月14日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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