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定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第2013回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年6月Aプログラム 聴きどころ

原田慶太楼と反田恭平、このコンビでN響と共演するのは3度目となる。前回の原田は、ストラヴィンスキー《火の鳥》の組曲版ではなく、あえて演奏機会の少ない全曲版を取り上げ、慣習にとらわれることなく色彩豊かで立体感のある解釈を披露。今回もやや珍しい曲目を選んだのはそういう狙いもあるようだ。《ピアノ協奏曲》は“ロシア風ショパン”ともいえる作品なので反田にうってつけ。だが実は初挑戦だというから楽しみである。

(小室敬幸)

PROGRAM曲目

スクリャービン/夢想 作品24

アレクサンドル・スクリャービン(1872~1915)の音楽を深く理解するためには彼が強く影響を受けた「神智学」や、独自の「神秘和音」について知る必要があると思われがちだ。しかし今回の3曲は24~30歳にかけて書かれたもので、そうした個性を発揮するより前の初期作にあたる。
モスクワ音楽院で学んだスクリャービンは、ピアノ科で優秀な成績を修めたが作曲科については先生のアントン・アレンスキーと馬が合わず、卒業することができなかった。1892年に学校を離れるとピアニストとして演奏活動を開始。ロシアの作曲家を熱心に支援していたミトロファン・ベリャーエフから気に入られたことが転機になる。1894年以降はベリャーエフの会社から継続的に楽譜が出版されるようになり、金銭的な支援も受けた。
スクリャービンにとって、後述するピアノ協奏曲に続く2作目の管弦楽作品となったこの《夢想》は、1898年11月にサンクトペテルブルクを訪れた際、ベリャーエフに贈ったサプライズプレゼントだ。1897年8月にスクリャービンが唐突に結婚したことに反対していたベリャーエフは、金銭的な支援を削減していたため、ご機嫌取りの狙いがあったのかもしれない。
当初の題名が「前奏曲」だったのは、スクリャービンが初期からたくさん書き続けたピアノのための前奏曲の延長線上に位置しているとみなしていたからなのだろう。形式も前奏曲に多い、3部形式になっている。だが、(舞台作品の前奏曲でもないのに)管弦楽曲にそのタイトルはふさわしくないとベリャーエフが提案し、作曲者本人と相談して《夢想》に落ち着いた。管弦楽法の名手であるリムスキー・コルサコフ(アレンスキーの師でもある)もこの作品を絶賛している。

(小室敬幸)

演奏時間:約4分
作曲年代:1898年
初演:1898年12月17日(旧ロシア暦12月5日)、リムスキー・コルサコフ指揮、ロシアのサンクトペテルブルクにて

スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20

ピアノと管弦楽のための作品を、スクリャービンは生涯に2つ作曲している。ひとつは彼にとって最後の管弦楽作品となった《交響曲第5番「プロメテウス(火の詩)」》(1910)で、音に対応した色彩が光で表現される「色光ピアノclavier à lumières」を想定して書かれた晩年の集大成のひとつである。もうひとつがこの《ピアノ協奏曲》(1896~1897)で、まだショパンの影響が濃厚に残る若書きの作品だ。
1894年からベリャーエフの支援を受けられるようになったとはいえ、どうやらピアニストとして名を売る必要から1896年秋、自作自演を前提にした協奏曲に取り組んだようだ。わずか数日のあいだに、あとはオーケストレーションをするだけという状態までもっていくも、この時点で管弦楽曲をきちんと仕上げた経験がなかったからか、肝心のオーケストラ譜は遅々として進まなかった。それでもベリャーエフは応援し続け、1897年4月にフルスコアが仕上がった。
第1楽章はソナタ形式。短い導入のあと、ピアノが最初に奏でるメランコリックな旋律が第1主題だ。続く第2主題は対照的に明るく甘い響きをもっている。対位法的に旋律が絡み合う展開部を経て、定型通りの再現部へ。コーダ(終結部)では冒頭にあった導入の要素も展開される。
第2楽章は、変奏曲になっている緩徐楽章。オーケストラが優しく提示する16小節の主題は感傷を極めたかのような旋律で、スクリャービンが10代で書いたものだという。第1変奏は、ピアノの細かいパッセージがセンチメンタルさを更に強調。第2変奏で前向きに動き出すがそれも一瞬、すぐに第3変奏で重厚なピアノが悩ましさを醸し出す。第4変奏は、管弦楽が対位法的に絡み合う。最後は回帰した主題をピアノが装飾してゆく。
第3楽章は自由なロンド・ソナタ形式。ショパンの影響が最も色濃い楽章だ。冒頭から登場する悲しくも力強い第1主題と、祈りが上昇してゆくような第2主題が核になっている。再び第1主題が登場するが、次第に展開部へとすり替わってゆき、第2主題のカノンでピークに達する。再現部を経て、最後はおもに第1主題が変奏されてクライマックスを生み出している。

(小室敬幸)

演奏時間:約29分
作曲年代:1897年4月
初演:1897年10月23日(旧ロシア暦10月11日)、作曲者自身によるピアノ、サフォーノフ指揮、ロシアのオデッサ(現ウクライナ・オデーサ)にて

スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

スクリャービンの交響曲といえば《第3番「神聖な詩」》(1904)、《第4番「法悦の詩」》(1907)、《第5番「プロメテウス(火の詩)」》(1910)が成熟期の作品として知られている。この《第2番》(1901)は演奏機会こそ少ないが、初期の集大成であると同時に、スクリャービンが音楽上で新しい道を歩み始めようとしている重要作なのだ。1901年夏、妻と子どもから離れて創作に集中するため滞在したパリでおもに作曲された。
すでに触れたように《ピアノ協奏曲》(1896~1897)ではショパンの影響が大きかったスクリャービンだが、1900~1902年にかけてはリヒャルト・ワーグナー(1813~1883)に熱狂しており、ニーチェの「超人」を題材にしたオペラの作曲まで構想していたほどだった。その音楽的影響は、声楽付きの《交響曲第1番》(1900)の時点で明らかだが、この《第2番》では更に一歩前へ進んでリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)にも接近しているのが興味深い。
全5楽章で、3部形式による第1楽章以外はソナタ形式。また第1~2楽章と第4~5楽章はそれぞれ切れ目なく続けて演奏されるので、3部構成ともみなせる。特に第1~2楽章の関係性や、最終的に第1楽章の主題が高らかに歌われてクライマックスを迎えるアイデアなどが、次の作品番号30にあたる《ピアノ・ソナタ第4番》へと繫がってゆくのも重要だ。
第1楽章(ハ短調)の冒頭でクラリネットが低い音域で奏する陰鬱な循環主題Ⅰと、中間部でヴァイオリン、次いでフルートが独奏する明るい響きの循環主題Ⅱは、全楽章を統べる主題となる。速くなるところからが第2楽章(変ホ長調)で、ノリの良いリズムで繰り返される第1主題は循環主題Ⅱを、最初はクラリネットが優しく奏でる第2主題は循環主題Ⅰを変奏したものだ。ミュートしたホルンの鋭い響きに導かれると展開部へ分け入ってゆく……。
第3楽章(ロ長調)はフルートによる鳥の鳴き声が印象的な緩徐楽章で、第1主題部は循環主題Ⅱを変奏したもの。やや分かりづらいが低音で執拗にリズム音型を繰り返す部分が第2主題部で、循環主題Ⅰに由来している。
第4楽章(ヘ短調)は嵐を描いたような音楽で、なおかつフィナーレの前兆であるため、ベートーヴェンの《田園》を意識している可能性がある。這(は)い上がってくるような第1主題は循環主題Ⅱを、落ち着いてはいるが悲しみが積もってゆく第2主題は循環主題Ⅰを変奏したものだ。展開部のあとの再現部では、第2主題、次いで第1主題の順で回帰する。続けて演奏される第5楽章(ハ長調)は、長調となった循環主題Ⅰが第1主題に、循環主題Ⅱが第2主題となり、第1楽章を再現する役割も担っている。

(小室敬幸)

演奏時間:約48分
作曲年代:1901年
初演:1902年1月25日(旧ロシア暦1月12日)、リャードフ指揮、ロシアのサンクトペテルブルクにて

[アンコール曲]
6/8:グリーグ/叙情小曲集 第8集 作品65-6「トロルハウゲンの婚礼の日」
6/9:ショパン/マズルカ 第34番 ハ長調 作品56-2
ピアノ:反田恭平

 

はじめてのクラシック
「アレクサンドル・スクリャービン」

ARTISTS出演者

原田慶太楼さんの画像 指揮原田慶太楼

欧米やアジアを中心に目覚ましい活動を続けている気鋭の俊才。1985年東京に生まれ、インターロッケン芸術高校音楽科で指揮をフレデリック・フェネルに師事した。2006年21歳のときにモスクワ交響楽団を指揮してデビュー。その後ロリン・マゼールなどの薫陶を受け、タングルウッド音楽祭やPMFにも参加した。シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オーケストラ、アリゾナ・オペラ、リッチモンド交響楽団のアソシエイト・コンダクターを経て、2020年シーズンからアメリカ・ジョージア州サヴァンナ・フィルハーモニックの音楽&芸術監督に就任。国内でも多くの楽団と共演し、2021年4月から東京交響楽団の正指揮者、2024年4月から愛知室内オーケストラの首席客演指揮者兼アーティスティック・パートナーを務めている。またオペラでも国内外で活躍。日本人初となるサー・ゲオルク・ショルティ・コンダクター賞のほか、渡邊曉雄音楽基金音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞など、受賞歴も数多い。
2019年8月に初めてN響を指揮し、その後たびたび共演。2022年1月以来の定期公演出演となる今回、既成概念にとらわれないアプローチで清新かつ生気に満ちた音楽を生み出す彼が、演奏機会の少ないスクリャービン作品の魅力をいかに伝えてくれるのか? 大きな注目が集まる。

[柴田克彦/音楽評論家]

反田恭平さんの画像 ピアノ反田恭平

2021年第18回ショパン国際ピアノコンクールにおいて日本人最高位の第2位に輝く。
2015年にデビューCDをリリース、翌年にサントリーホールでのデビューリサイタルを満席の聴衆で埋め尽くした。以来、古典から近現代に至る独奏曲・協奏曲のレパートリーを拡大。2020年にはパリのサル・コルトー、ウィーンの楽友協会でのデビューをはたし、国内外での実績を積み上げていく。これまでにロシア・ナショナル管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー管弦楽団などと共演。
モスクワ音楽院、ショパン国立音楽大学などでピアノを、ウィーンで指揮を学び、近年では弾き振りを中心に指揮者としての活動も目覚ましい。2019年にレーベル、2021年にはオーケストラの株式会社を設立。若き音楽家の活躍の場を創出し、有言実行のリーダー的存在として次世代を牽引(けんいん)する。N響との共演は2022年1月定期公演以来の2年ぶりとなる。19世紀末に書かれたスクリャービン初期の協奏曲をニュアンスに富んだ音色で聴かせてくれることだろう。

[飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター]

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2024年6月Aプログラムによせて

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TICKETチケット

定期公演 2023-2024シーズン
Aプログラム

第2013回 定期公演
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年2月28日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年3月3日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 9,100円 7,600円 5,900円 4,800円 3,800円 2,000円
ユースチケット 4,000円 3,500円 2,800円 2,100円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]


シーズン会員券(SPRING)
2024年2月16日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年2月7日(水)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2013回 定期公演 Aプログラム」

2024年6月13日(木) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: スクリャービン/夢想 作品24
スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20
スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

指揮:原田慶太楼

ピアノ:反田恭平

収録:2024年6月8日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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