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- 第2011回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2024年5月Cプログラム 聴きどころ
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809~1847)の音楽は、古典主義的な均整とロマン主義的な感性の融合した優美さが大きな魅力である。彼の管弦楽作品とりわけ演奏会用序曲は、のちにハンス・フォン・ビューローやフェリックス・ワインガルトナーが「交響詩」にたとえているように、「標題音楽」とも呼びうる性格を有している。音楽外の素材を音楽の中へと取り込むという、まさにドイツ・ロマン主義の作曲家たちが対峙した問題意識に率先して取り組んだメンデルスゾーンの成果を、じっくり堪能したい。
(髙松佑介)
PROGRAM曲目
メンデルスゾーン/「夏の夜の夢」の音楽-「序曲」「夜想曲」「スケルツォ」「結婚行進曲」
メンデルスゾーンは、哲学者の祖父モーゼスと銀行家の父アブラハムのもと、裕福なユダヤ教の血筋に生まれた。生まれはハンブルク、育ちはベルリンで、幼少期から英才教育を受け、音楽のみならず美術や文学の才能も示したことはよく知られている。1816年にはドイツ社会に同化しやすいようキリスト教(プロテスタント)へと改宗し、それ以来、元々のユダヤ系の姓「メンデルスゾーン」にドイツ系の「バルトルディ」を併記した。
ベルリンという土壌は、彼の思考や音楽性に大きな影響を及ぼしたように思われる。ベルリンは当時プロイセン王国の首都であり、宗教としてはプロテスタントが支配的であった。ヨハン・セバスティアン・バッハの《マタイ受難曲》もプロテスタントの典礼のために書かれたものであり、この作品の復活上演をメンデルスゾーンが1829年に最初に実現させたのもベルリンである。彼は、初期ベルリン・リート楽派として有名なカール・フリードリヒ・ツェルターに作曲を師事してバッハなど過去の作曲家の作品も指南され、その紹介でヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテと親交したり、大学ではゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの講義を受けたりしている。ゲーテやヘーゲルが、ウィーンを拠点に活躍した当時の前衛ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェンの音楽と距離を取る立場であったことは、保守的で伝統を重んじるドイツ北部の土地柄を象徴するようだ。しかしメンデルスゾーンは優れたバランス感覚を持ち合わせていたのだろう。ベートーヴェンの音楽に通じていたのはもちろん、同時代のジャン・パウルの文学も好むなど、伝統と革新をうまく融合させ、彼のスタイルを確立していったと考えられる。
《夏の夜の夢》は、まず演奏会用序曲として1826年夏に成立した。当時メンデルスゾーンは弱冠17歳、同名のシェークスピア喜劇を鑑賞したあとに作曲し、独立した作品として「作品21」を与え、1835年に出版している。そして1842年、プロイセン国王にポツダムの新宮殿のための劇音楽を委嘱されたことから、作曲家はすでに書いた序曲に12の劇中曲を付け加え、劇付随音楽を作り上げた。序曲の素材が曲全体に散りばめられていることを考えると、青年メンデルスゾーンの才能に目をみはるばかりである。
『夏の夜の夢』は言わずと知れたウィリアム・シェークスピアの代表作である。アテネ近くの森を舞台に、夏至祭前夜の狂気の沙汰をテーマとした夢幻劇で、4人の青年男女の恋愛関係のもつれが妖精の惚れ薬によって更にこじれるドタバタ劇が繰り広げられる。
〈序曲〉は先述のように単独で成立したが、さながら劇全体の縮図となっている。木管による魔法のような4つの和音で幕を開けると、スケルツォを先取りするかのような夜の森の情景が広がり、結婚式を暗示する堂々とした祝典音楽やクラリネットによる愛の主題が続く。
〈夜想曲〉は第3幕と第4幕の間に演奏される曲で、静かで満ち足りた森の夜にホルンとファゴットが歌っているかのようである。
〈スケルツォ〉は第1幕の後、妖精たちが登場する場面で演奏される。4小節単位で一定のリズム形を用いるスケルツォに典型的な特徴が、軽やかな妖精たちの曲調と見事に合致している。
〈結婚行進曲〉は、2組の青年男女が晴れて結婚式を挙げる第5幕への導入を担う。トランペットのファンファーレに始まる音楽は、現在でも広く親しまれている。
(髙松佑介)
演奏時間:約28分
作曲年代:[序曲]1826年夏 [劇付随音楽]1842~1843年
初演:[序曲]1827年2月20日、シュチェチン [劇付随音楽]1843年10月14日、ポツダム
メンデルスゾーン/交響曲 第5番 ニ短調 作品107「宗教改革」
この作品は、フィリップ・メランヒトンが起草したルター派教会最初の信仰個条「アウグスブルクの信仰告白」の300周年を記念する宗教改革祭(1830年)のため、委嘱を期待してメンデルスゾーンが作曲したものである。結果として委嘱はなされなかったものの、作曲者は何度も上演の機会を探った。しかし「宗教改革祭のための交響曲」として本人の指揮で取り上げた公開初演(1832年)でも、デュッセルドルフでの再演(1837年)でも芳しい評価は得られず、本人が「燃やしてしまいたい」とお蔵入りにしてしまった。ゆえに、2番目に作曲された交響曲ではあるが、没後の1868年に出版されたために出版順から「第5番」となった。
この交響曲は、宗教的モティーフで溢れている。キリスト教のミサの冒頭で「またあなたの霊とともに」という言葉に付けて歌われる、いわゆる「ドレスデン・アーメン」で始まり、ルター作のコラール《神はわがやぐら》で締めくくられるのだ。作曲者自身のプロテスタントとしての「信仰告白」とも捉えられよう。
フィナーレにコラールを用いるという構想を実現する際、ベートーヴェンの《第九交響曲》はひとつの参照点であったに違いない。ニ短調の第1楽章からニ長調の第4楽章へと至る構成は、一見すると「苦悩から歓喜へ」に当てはまるようだ。だが、本作において第1楽章はニ長調の序奏で始まり、第2楽章は変ロ長調とト長調、第3楽章はト短調を取るため、ニ短調は第1楽章の主部にとどまっている。闇から光へと一直線に進むわけでない調の多彩さは、多分にロマン主義的である。
第1楽章は、宗教的な装いの序奏に、ソナタ形式による主部(第1主題部:ニ短調/第2主題部:イ長調)が続く。「ドレスデン・アーメン」は明確な形では2回現れ、提示部と再現部を導入する役割を担う。
第2楽章は、スケルツォのように軽快な主部(変ロ長調)と、田園風のトリオ部(ト長調)からなる。冒頭主題は、第4楽章の第2主題と呼応する。
第3楽章は、哀歌調のコンパクトな緩徐楽章。ト短調を取り、続くト長調のコラールを導く役割も果たす。
第4楽章は、コラール《神はわがやぐら》による序奏に続き、快活な主部がニ長調で提示される。この楽章にはコントラファゴットとセルパンが付け加えられ、劇音楽や教会音楽の性格が補強されるのも特徴的だ(今回の編成にはセルパンは含まれない)。コラール主題は変形して何度も顔を見せ、曲の最後に強奏のトゥッティで回帰することで輝かしく締めくくる。
(髙松佑介)
演奏時間:約28分
作曲年代:1829~1830年、1832年改訂
初演:[公開初演]1832年11月15日、ベルリン
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2023年8月には首席指揮者としての任期が3年間延長され、2028年8月までとなった。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:ラヴェル(竹島悟史編)/組曲「マ・メール・ロワ」
出演者
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,600円 | 6,700円 | 5,300円 | 4,300円 | 3,300円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]
シーズン会員券(SPRING)
2024年2月16日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年2月7日(水)10:00am]
BROADCAST放送予定
NHK-FMベスト オブ クラシック
「第2011回 定期公演 Cプログラム」
2024年5月17日(金) 7:30PM~ 9:10PM
曲目:
メンデルスゾーン/「夏の夜の夢」の音楽-「序曲」「夜想曲」「スケルツォ」「結婚行進曲」
メンデルスゾーン/交響曲 第5番 ニ短調 作品107「宗教改革」
指揮:ファビオ・ルイージ
収録:2024年5月17日 NHKホール