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- 第1990回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※本公演は1曲のみの演奏のため、開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
だれもが一度は全曲に挑戦したいと思うはずのワーグナーの四部作《ニーベルングの指環》。約15時間の超大作を聴きとおすのはたしかに至難の業だが、その音楽世界を手軽に愉しむため、数多くの交響的な編曲が編まれた。フリーヘルの編曲は作品のストーリーと流れを重視した自然な作りが特徴で、多くの演奏機会を得ている。メトロポリタン歌劇場などで《指環》を率いたルイージが、類い希(まれ)な練達のオペラ指揮者であることが、今回も実証されることだろう。
(広瀬大介)
PROGRAM曲目
ワーグナー(フリーヘル編)/楽劇「ニーベルングの指環」-オーケストラル・アドベンチャー-
リヒャルト・ワーグナー(1813〜1883)は、1848年から構想・作曲した畢生(ひっせい)の大作《ニーベルングの指環》を、ドイツ・バイエルン国王ルートヴィヒ2世の援助を受けつつ、四半世紀後についに上演へとこぎつける目処を得た。1871年4月16日、ワーグナーはバイエルン王国北部のバイロイトを訪れ、街が醸し出す雰囲気をいたく気にいり、この地にみずからが理想とする劇場の建設、そして終(つい)の棲家(すみか)を作る決意を固めた。数々の苦難を乗り越えた末に、バイロイト祝祭(バイロイト音楽祭)は、1876年8月13日の開幕を迎えた。
四部作《ニーベルングの指環》は、前夜祭の《ラインの黄金》を皮切りに、第1夜《ワルキューレ》、第2夜《ジークフリート》、第3夜《神々のたそがれ》と続き、上演には4晩、計14時間以上を要する。作品全体は、北欧神話から構想を膨らませ、世界を支配することのできる指環をめぐり、神々の世界の生成・没落、英雄ジークフリートの死を描く壮大な規模へと発展した。
独立した聴きどころとしては〈ワルキューレの騎行〉などが有名だが、最近では、四部作の世界観を一気に味わうべく、その聴きどころをつなげる編曲が数多く登場している。今回演奏される編曲は、ヘンク・デ・フリーヘルが1991年に手がけたもの。1953年生まれのフリーヘルは、ロッテルダム音楽院で打楽器と作曲を学び、1984年からはオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の打楽器奏者として活躍した。全体は14の場面から構成され、それぞれにフリーヘルの命名(とそれ以前からの慣習的な命名)による標題が付けられている。
冒頭の《ラインの黄金》において、ライン川からの世界の生成を変ホ長調で描く〈前奏曲〉は、まさに遠大な世界観を持ち合わせる四部作の幕開けにふさわしかろう。ラインの乙女たちが川底で護(まも)る〈ラインの黄金〉を、〈ニーベルング族〉のアルベリヒが強奪し、世界を支配することのできる指環を作る。大神ウォータンはこの指環をアルベリヒから奪い取る。落成した〈ワルハラ城〉へ意気揚々と神々は入場するが、指環は城を作った巨人族に渡してしまい、その前途には早くも暗雲が立ち込めている(《ワルキューレ》第2幕最後の音楽が接続に用いられている)。
《ワルキューレ》で、ウォータンは指環を取り戻すべく自身の血を引く勇者を生み出す一方で、第3幕の前奏曲を兼ねる〈ワルキューレの騎行〉は、ニーベルング族の復讐(ふくしゅう)に備え、戦場で斃(たお)れた人間の英雄をワルハラ城へと連れてくるウォータンの愛娘、9人のワルキューレたちが、天空を馬で駆け回る勇壮な音楽。ウォータンの命令に背いたそのうちのひとり、最愛のブリュンヒルデに罰を与えるため、この世でもっとも強い英雄しか目覚めさせることのできない深い眠りを与える。愛娘に別れを告げざるを得ないウォータンの苦悩を、第3幕最後の〈ウォータンの別れと魔の炎の音楽〉が描き出す。
深い森の中で育った、大神の血を引く人間の英雄、3作目の主人公《ジークフリート》は、自分が生まれる前に亡くなった母親、そしてまだ見ぬ女性に想いを馳(は)せる。草木のざわめき、小鳥の鳴き声、あらゆる〈森のささやき〉が聞こえる自然の世界は、都会の工業的な文明の対極にあるものとして、ワーグナーが愛してやまぬものでもあった。やがて〈英雄ジークフリート〉によって、指環を持っていた巨人(大蛇)は斃され、英雄がはじめて目にする女性、ブリュンヒルデが目を覚ます(〈ブリュンヒルデの目覚め〉)。ヴァイオリンやハープが描くのは、陽の光に溢(あふ)れた輝かしさと煌(きら)びやかさ。
《神々のたそがれ》冒頭では、〈ジークフリートとブリュンヒルデ〉が互いの愛を確認し、さらなる冒険の旅に出かける(〈ジークフリートのラインの旅〉)。だが、指環を狙うアルベリヒの息子、ハーゲンの奸計(かんけい)にかかり、〈ジークフリートの死〉がもたらされる。荘重な〈葬送行進曲〉。持ち主に呪いをもたらす指環は、〈ブリュンヒルデの自己犠牲〉によって、もとの持ち主であるラインの乙女たちのもとへ。神々が作った世界の破滅、そしてブリュンヒルデの愛によって新しい世界が生成されることになる。
(広瀬大介)
作曲年代:1848年〜1874年11月
演奏時間:約64分
作曲年代:1848年〜1874年11月[フリーヘル編曲版]1991年
初演:[全曲初演]1876年8月13日《ラインの黄金》、14日《ワルキューレ》、16日《ジークフリート》、17日《神々のたそがれ》[フリーヘル編曲版]1992年2月7日、エド・デ・ワールト指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ生まれ。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。ハイドン、モーツァルトからマーラー、R. シュトラウスまでドイツ系を中心とする幅広いレパートリーで、丹念に磨き込んだ「歌」と、圧倒的な情熱で聴き手を虜にしている。
これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:ベールマン/クラリネット五重奏曲 第3番 変ホ長調 作品23─第2楽章*
(伝 ワーグナー/クラリネットと弦楽のためのアダージョ 変ニ長調)
ブラームス/クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115─第3楽章
出演者

松本健司

髙井敏弘

田中晶子

飛澤浩人

辻󠄀本 玲

西山真二*
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,600円 | 6,700円 | 5,300円 | 4,300円 | 3,300円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]
BROADCAST放送予定
NHK-FMベスト オブ クラシック
「第1990回 定期公演 Cプログラム」
2023年9月15日(金) 7:30PM~ 9:10PM
曲目: ワーグナー(フリーヘル編)/楽劇「ニーベルングの指環」-オーケストラル・アドベンチャー-
指揮:ファビオ・ルイージ
収録:2023年9月15日 NHKホール