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定期公演 2023-2024シーズンBプログラム
第1991回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)若き日の「三大交響曲」(1770年代前半)と、モーツァルト晩年近くの「三大交響曲」(1780年代後半)をそれぞれ代表する作品。それらをいわば「額縁」とした上で、その間に1770年代後半の協奏曲を挟むという、凝りに凝ったプログラム構成である。そこから聴こえてくるのは、「神童」としてヨーロッパ中に名声をとどろかせたモーツァルトが、さまざまな事柄を学び続け、吸収し続ける「天才」であったという証にほかならない。

(小宮正安)

PROGRAM曲目

モーツァルト/交響曲 第29番 イ長調 K. 201

モーツァルトは少年時代、都合3回にわたり、故郷ザルツブルクをあとにイタリアへの旅をおこなった。そして彼の地でセンセーションを巻き起こしただけでなく、イタリア各地の音楽を吸収し、それを自らの創作活動に活用していったのである。
 1772〜1773年におこなわれた3度目のイタリア旅行から帰ったあと、矢継ぎばやに書かれた9つの交響曲もそうである。とりわけ1773年の秋から翌1774年の春先にかけて作られた《第25番ト短調》《第28番ハ長調》《第29番イ長調》の3作は、これら一連の交響曲群の中でも格別の水準を保っているものとして、昔から大きな評価を受けてきた。たしかに本日演奏される《交響曲第29番》を聴いても、神童時代に別れを告げ、気鋭の青年音楽家として活躍しはじめたモーツァルトならではの才能と創意があふれている。
 例えば、第1楽章の冒頭部分である。交響曲といえば、かつては舞台や演奏会の開幕を告げるべく華々しく始まるのが通例だったところ、そっとささやきかけるような出だしが逆に深い印象を与える。強奏になるのは、ようやく13小節目になってから。しかもこの強奏部分、第1ヴァイオリンの旋律をヴィオラと低弦が2拍遅れで模倣する凝りようだ。
 また交響曲がイタリア風序曲から派生したという伝統を汲(く)み、「急─緩─急」の3楽章形式で書かれるのが一般的だったところ、当時はまだ比較的珍しかった4楽章形式に基づいている点も目を引く。しかも交響曲といえばお馴染(なじ)みのソナタ形式が、第1楽章だけではなく、第2楽章、第4楽章にも出現するのが特徴である。
 なおモーツァルトにとって、件(くだん)の3度目のイタリア旅行こそ、奇(く)しくも彼にとっての最後のイタリア旅行となってしまった。もちろんこの時モーツァルトは、そのようなことを知る由もない。だが、太陽と音楽があふれるイタリアに寄せる懐古の情と、最先端の実験精神がこれ以上ないほど滑らかかつ密接に溶け合い、ここに若きモーツァルトの傑作が生まれた。

(小宮正安)


演奏時間:約27分
作曲年代:1774年4月6日完成
初演:不明

モーツァルト/フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K. 314

超有名曲であるにもかかわらず、成立についてはいまだに不明な点が多い作品だ。曲そのものが作られたのは、1778年と言われている。折しもモーツァルトが故郷ザルツブルクでの宮仕えを一旦辞し、マンハイムで求職活動をおこなっていた時期である。
 作品誕生のきっかけとなったのは、マンハイムで活躍していたヴェンドリングという名フルート奏者との出会い。彼の紹介で、モーツァルトは「ド・ジャン」なる人物(おそらくはオランダ出身の裕福な商人であり音楽愛好家でもあったデ・ジョン)と出会い、彼の依頼によって書かれた2曲のフルート協奏曲のひとつが、《フルート協奏曲第2番》である。
 ただし《フルート協奏曲第2番》は、これに先立って1777年にザルツブルクで作曲された《オーボエ協奏曲ハ長調》を改作したものではないか、というのが通説となっている。とはいえ、両方とも直筆譜が失われてしまっており、どちらが先に作られたのか結局のところよくわからない、というのが現在判明している状況である。2曲のフルート協奏曲に関し、モーツァルトに対するデ・ジョンからの報酬が元の契約の半額以下にとどまったことから、デ・ジョンが転用を知っていたという推測もできる一方で、モーツァルトが約束の曲数を作らなかったという事情もあるため、成立年代を廻(めぐ)る真相が未だ謎に包まれている。
 いずれにせよ、巷間(こうかん)フルート嫌いだったと伝えられるモーツァルトだが、当時発展途上の状態だったにもかかわらず、この楽器にそなわった優美さや輝かしさが存分に引き出されている。開放的な響きのなかにソナタ形式で展開されてゆく第1楽章は、まさにその典型。曲の冒頭ヴァイオリンによって提示され、やがてフルート独奏が受け継ぐことになる上行音型の旋律は、マンハイムで熱烈な恋に落ちたモーツァルトの青春の息吹そのものといってもよい。
 と思えば、緩徐楽章にあたる第2楽章では、一転して雅やかな哀しみに満ちた調べとなり、ここではフルートの切々とした音色が冴(さ)えわたる。第3楽章は、ふたたび活(い)き活(い)きとした楽想となり、遊戯性に満ちた音楽が次々と出現する。18世紀後半の音楽にそなわっていた「遊びの精神」が、このうえなく発揮された楽章だ。

(小宮正安)


演奏時間:約21分
作曲年代:1778年
初演:不明

モーツァルト/交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

モーツァルトの晩年は貧困と病のなかにあった、ということがかつて盛んに言われていた。だが近年の研究によれば、そうした状況はあくまで想像の域を出ず、むしろ、晩年になればなるほど彼が旺盛な活動をくり広げようとしていたことが明らかにされている。
 そうした「モーツァルト伝説」の転換を物語る典型が、「後期三大交響曲」(《交響曲第39番》《第40番》《第41番》)をめぐる見解の変化である。なにしろこれらの作品は、1788年初夏に作曲されたということこそ分かっているものの、初演されたという記録がない。
 そこで、尾羽打ち枯らした晩年のモーツァルトが、初演のあてもなくこれらの傑作を作ったと長年考えられてきたのだが、実は作曲の直後、ウィーンで催された夏の野外音楽会でまとめて演奏されたのではないか、という見方が生まれている(なお当時のウィーンでは、特に野外演奏会ともなれば、プログラム冊子が作られるなどということはほとんどなく、また宣伝用のポスターやチラシを保管しておくという習慣も存在しなかった)。
 特に、その冒頭を飾る《第39番変ホ長調》の場合、かつて19世紀には「白鳥の歌」という呼称が与えられていたこともある作品だが、その根底に滾(たぎ)っているのは、諦観や告別の情ではなく、むしろ旺盛な実験精神ではないか。
 そもそも「交響曲」というジャンルは、もともと劇の開幕ベル代わりに演奏される序曲から派生してきたものだったことは、《第29番》の解説中でもふれたとおりだ。そうした交響曲の性格付けは、モーツァルトの時代にあってもほぼ変わらず、演奏会の幕開けに第1楽章が朗々と演奏されるという習慣が存在していた。というわけで、この作品の第1楽章の序奏も、祝祭的な輝きを象徴する変ホ長調を基(もと)に華々しく始まる。……にもかかわらず、その長さは尋常ではない。つまり、当交響曲のみならず、3つの連作交響曲の幕開けを飾る、特別な序奏とも考えられる。
 第4楽章も、野心的である。第1楽章と同様ソナタ形式なのだが、冒頭にヴァイオリンによってくり出される第1主題から派生する形で、(本来であれば第1主題と対照的な性格となるはずの)第2主題が作られているからだ。
 つまり、ひとつのテーマが途切れることなく続いてゆくという仕掛けにほかならない。いわゆる「常動曲」というジャンルに近いが、常動曲はラテン語で「Perpetuum mobile」であり、「永久機械」という意味にもなる。永久機械とは、外部からのエネルギーを受け取ることなく動き続ける装置のことであって、モーツァルトの同時代にはその実現に向けてさまざまな実験がくり返されていた。そんな時代の動きを、音楽のなかに反映させたのが、文字通りこの楽章だったとはいえないだろうか。

(小宮正安)


演奏時間:約28分
作曲年代:1788年6月26日完成
初演:不明

[アンコール曲]
9/20:モーツァルト/歌劇「魔笛」―「私は鳥刺し」
9/21:モーツァルト /歌劇「魔笛」―「恋人か女房が」
(フルート:神田寛明)

はじめてのクラシック
「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」

ARTISTS出演者

トン・コープマンさんの画像 指揮トン・コープマン

トン・コープマンは1944年オランダのズヴォレ生まれ、アムステルダム音楽院でオルガン、チェンバロ、音楽学を学んだ。オルガン奏者およびチェンバロ奏者として、J. S. バッハやブクステフーデをはじめとするバロック音楽の優れた解釈者として名声を高め、また指揮者としても1979年に自ら設立したピリオド楽器によるアムステルダム・バロック管弦楽団(1992年には合唱団も併設)とともにバロックから古典派に至るレパートリーを取り上げ、作品の成立した時代のスタイルと奏法に基づく演奏によって高い評価を得てきた。バッハのカンタータ全集やオルガン曲全集をはじめとする膨大な数の録音もよく知られている。一方で近年はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする欧米の代表的なモダン・オーケストラも盛んに指揮して、古楽演奏家ならではの発想を生かしたアプローチで注目を浴びている。N響にも2017年と2019年に客演してオール・モーツァルト・プログラムを披露、《交響曲第40番》《第41番「ジュピター」》《レクイエム》などの名演を聴かせた。定期公演には初登場(2021年に予定されていたが、コロナで実現しなかった)となる今回も曲目はすべてモーツァルトで、コープマンらしい小気味よい躍動感溢れる演奏が期待される。N響首席フルート奏者の神田寛明との協奏曲の共演も楽しみである。

[寺西基之/音楽評論家]

神田寛明(N響首席フルート奏者)さんの画像 フルート神田寛明(N響首席フルート奏者)

NHK交響楽団首席フルート奏者。1991年に第5回日本フルートコンベンションコンクールおよび第8回日本管打楽器コンクールにおいて第1位を受賞。1993年に東京藝術大学を卒業し、1995年から1年間ウィーン国立音楽大学に留学。2007年には東京藝術大学大学院を修了。これまでに赤星恵一、金昌国、細川順三、ヴォルフガング・シュルツ、ハンスゲオルグ・シュマイザーに師事している。
N響には1994年に入団し、1999年から首席奏者を務めている。また、ソリストとして九州交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団などにも客演。多数のCDをリリースするほか、教則本の執筆、楽譜の校訂監修や60タイトルにおよぶフルート・アンサンブル作品の編曲を行うなど幅広く活動している。
日本フルート協会特任理事、アジア・フルート連盟東京常任理事。桐朋学園大学教授、大阪芸術大学客員教授、東京藝術大学講師として後進の指導にもあたっている。

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TICKETチケット

定期公演 2023-2024シーズン
Bプログラム

第1991回 定期公演
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サントリーホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2023年7月27日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2023年7月30日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMN響演奏会
「第1991回 定期公演 Bプログラム」

2023年9月30日(土) 4:00PM~ 5:50PM

曲目: モーツァルト/交響曲 第29番 イ長調 K. 201
モーツァルト/フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K. 314
モーツァルト/交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

指揮:トン・コープマン

フルート:神田寛明(N響首席フルート奏者)

収録:2023年9月20日 サントリーホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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