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- 第1972回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。
ABOUT THIS CONCERT特徴
本日演奏される2作の交響曲は、いずれも作曲家が旅先で手がけたもの。それぞれ、ゆかりの地名で呼び親しまれている。《交響曲「リンツ」》はモーツァルトが数日で作曲したといわれるのに対し、《交響曲「スコットランド」》はメンデルスゾーンが着想から完成まで13年もの歳月を要したという違いがあるが、両曲とも、早熟の天才として知られる2人の作曲家の円熟期を切り開いた作品である。音楽的には、冒頭に極めて印象的な序奏が置かれている点が共通しており、そこに注目して聴き進めるのも面白いだろう。(星野宏美)
PROGRAM曲目
モーツァルト/交響曲 第36番 ハ長調 K. 425「リンツ」
リンツは、ザルツブルクとウィーンのほぼ中間に位置する。両都市を行き来する際に必ず通過する地点であり、モーツァルト(1756~1791)にとって幼少期から身近な土地だった。《交響曲第36番ハ長調「リンツ」》は1783年、27歳の時の旅に関連する。モーツァルトは1781年にウィーンに移住し、翌年には結婚。父の反対を押し切って独り立ちしたばかりの頃である。1783年夏、彼は新妻コンスタンツェを伴い、ザルツブルクに2年ぶりに帰省した。3か月の滞在のあと、ウィーンへと向かう帰路、リンツに逗留(とうりゅう)した彼は急遽(きゅうきょ)、演奏会を開くことになった。ザルツブルクの父にあてて彼は、「4日後に迫った演奏会のため、新しい交響曲を仕上げねばならず、大急ぎで書いている」旨を伝えている。
作品は、急・緩・舞踏・急の4つの楽章からなる。第1楽章の序奏は、複付点リズムが特徴的なアダージョ。モーツァルトが交響曲に序奏を付けたのはこれが初めてである。わずか19小節内で、ハ長調の明るく開放的な響きから半音階による深い陰影まで、表情が多様に変化する。続く主部は、軽快なソナタ形式。序奏の荘重な結びとコントラストを際立たせて、主要主題が弱音で生気に満ちて登場する。第2楽章は、牧歌的なヘ長調、8分の6拍子、アンダンテの優雅な曲調。楽章が進むにつれ存在感を増す管打楽器群、とくに緩徐楽章には珍しいトランペット、ティンパニによって崇高な力が漲(みなぎ)る。第3楽章は伝統的なメヌエット。中間部のトリオで小編成となり、オーボエとファゴットのソロの掛け合いが妙なる魅力を醸す。第4楽章は朗らかなプレスト。強弱のコントラストを生かしたソナタ形式による。大振りな推移主題が次々に転調する展開部がスケールの大きさを感じさせる。モーツァルトのウィーン時代の幕開けを輝かしく告げる交響曲である。(星野宏美)
演奏時間:約26分
作曲年代:1783年10月30日のリンツ到着後に総譜を書き始め、11月3日に完成
初演:1783年11月4日、リンツの劇場にて。作曲家自身の指揮による
メンデルスゾーン/交響曲 第3番 イ短調 作品56「スコットランド」
スコットランドは、ヨーロッパの北の辺境地である。生涯に10回、英国を訪れたメンデルスゾーン(1809~1847)にとっても、スコットランドは遠い異国であり、1829年夏、20歳の時にただ一度、訪れただけである。ロンドン・デビューを成功裡(せいこうり)に終えたあと、夏の休暇旅行として約3週間を過ごした。《交響曲第3番イ短調「スコットランド」》は、この時に着想されたものである。7月26日にエディンバラに到着した彼は、30日にホリルード宮殿を観光し、その晩、ベルリンの家族にあてて次のような手紙を書いた。「深い黄昏(たそがれ)のなか、私たちは今日、女王メアリーが人生を送り、愛を営んだ宮殿へ行きました。……思うに、私は今日そこで、私のスコットランド交響曲の始まりを見つけました」。
しかしその後、作曲ははかどらず、1830年代を通して模索が続けられた。1841年夏になってようやく本格的に作曲が進められ、1842年1月20日にベルリンにて総譜が書き上げられる。同年3月3日にライプツィヒのゲヴァントハウスにて行われた初演は、作曲者自身の指揮により大成功を収めた。この頃、メンデルスゾーンはゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督のみならず、プロイセン王の招聘(しょうへい)を受けてベルリンでの職務も兼任し始めており、名実ともに音楽界の第一人者として地歩を固めていた。
作品は、急・舞踏・緩・急の4つの楽章からなる。第1楽章の序奏と第4楽章の後奏が通常より拡充され、交響曲全体の出発点および到達点となっているのが特徴である。メンデルスゾーンは、各楽章の主題を密に関連づけ、また、楽章間を途切れなく演奏するように指示することによって、大規模な作品全体の統一を図った。
第1楽章の63小節に及ぶ長大な序奏は、1829年の着想を大幅に拡大し、3部形式としたもの。旅先でのメランコリックな気分を鮮やかに封じ込めている。主部はソナタ形式による。主要主題は、序奏主題の輪郭を色濃く残した変容であり、副主題ともに歌うような性格に貫かれている。第2楽章は明るく軽快なスケルツォ。クラリネットで奏される主要主題が副主題と縦横無尽に組み合わされ、戯れるように展開する。第3楽章は無言歌風の美しい旋律が特徴の長調部分と、葬送行進曲風の付点リズムが特徴の短調部分が交替しつつ進む。気高く壮大な緩徐楽章。第4楽章は激しく勇壮なフィナーレ。それまでの夢幻を絶ちきるかのように、鋭い付点リズムとスタッカートによる主要主題が奏される。副主題は再び序奏主題の変容である。大規模な後奏の主題もまた序奏主題の変容であり、交響曲の始まりからアーチを描くように、作品を堂々と締めくくる。(星野宏美)
演奏時間:約40分
作曲年代:1829年7月30日夕刻、エディンバラのホリルード宮殿の観光中に着想。1841年夏、ベルリンにて総譜起稿、1842年1月20日に脱稿。1843年3月の初版まで何度か改訂
初演:1842年3月3日、ライプツィヒのゲヴァントハウスにて。作曲家自身の指揮による
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ生まれ。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。
これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。
また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。
録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》の録音ではグラミー賞を受賞した。
N響とは2001年に初共演。2022年9月、N響首席指揮者就任。
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 作品18-3─第1楽章
出演者
MOVIEムービー
【マエストロ・メッセージ】ファビオ・ルイージ/12月N響定期公演
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,400円 | 6,500円 | 5,200円 | 4,200円 | 3,200円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
定期会員券
発売開始日
年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]
シーズン会員券 10月19日(水)11:00am
[定期会員先行発売日: 10月13日(木)11:00am]
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
BROADCAST放送予定
NHK-FMベスト オブ クラシック
「第1972回 定期公演 Cプログラム」
2022年12月 9日(金) 7:30PM~ 9:10PM
曲目:
モーツァルト/交響曲 第36番 ハ長調 K. 425「リンツ」
メンデルスゾーン/交響曲 第3番 イ短調 作品56「スコットランド」
指揮:ファビオ・ルイージ
収録:2022年12月9日 NHKホール
主催:NHK / NHK交響楽団
※CプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※C-1の開演時刻は7:30pmとさせていただきます