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定期公演 2022-2023シーズンBプログラム
第1973回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。

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ABOUT THIS CONCERT特徴

クラシック音楽が花ざかりをみせた19世紀は、いわゆる民族主義が盛りあがった時代でもある。それぞれの国が積みかさねてきた土壌から─ときに“自国と西欧”のぶつかりを見せつつ─音楽という植物が実をむすんだのである。本日は、ロシア民族主義の祖ともいわれるミハイル・グリンカ(1804~1857)にはじまって、ちょうど世紀が終わる年に初演されたセルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943)へとバトンがうつる。後半は、むしろインターナショナルの道へ進んだチェコの輝かしい名作をお楽しみいただこう。(堀 朋平)

PROGRAM曲目

グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲

ロシア音楽の展開はめまぐるしい。女帝エカテリーナ2世(在位1762~1796)のもとで西欧の路線に舵(かじ)をきったロマノフ王朝もしだいに傾き、やがて自国ならではのテーマに注目する動きが芽ぶいてゆく。その流れにあって、グリンカの自覚と功績はきわめて先駆的だった。多くの農奴を召しかかえる地主の家に生まれ、イタリア・ドイツで研鑽(けんさん)を積んだのちに帰国し、ロシアの伝統に根ざした力強いオペラを生み出してゆく。それはまさに当時のダイナミズムを凝縮したような活動であった。
本作は、文豪アレクサンドル・プーシキンによる物語にもとづく。魔法使いの罠(わな)をのりこえて結ばれる題名役の男女をめぐるメルヘンオペラ。5幕からなる長大な舞台は、楽器法のうえでも視覚的にも、ロシアの風俗をありありと描きとる。序曲は、ロッシーニ風の勢いをもってエネルギッシュに舞いあがる。西欧ロマン派の語法によりつつも、物語をたくみに凝縮した5分間である。

(堀 朋平)

演奏時間:約5分
作曲年代:1837~1842年12月
初演:1842年12月9日(旧暦11月27日)、サンクトペテルブルク、カルル・アリブレヒト指揮

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

時代はくだり、グリンカのおよそ70年後。あいかわらず自国と西欧がせめぎ合うなか、ラフマニノフが学んだのは「西欧」の路線をゆくモスクワ音楽院である。ピアノ科を卒業した翌1892年には指揮科も卒業、どちらも首席というエリートぶり。だが5年を経て世におくった大作《交響曲第1番》はひどい失敗に終わる。初演地サンクトペテルブルクが「反・西欧」派の本拠地だったという事情も大きかっただろう。すっかり自信を打ち砕かれたラフマニノフは、それから作品を発表することができなくなった。

音楽にはいつも催眠術が寄り添っている……などというとオカルトめくが、催眠療法(メスメリズム)の創始者メスメル博士がモーツァルトのパトロンだった事実にはじまり、感じやすい作曲家には理屈をこえた力がしばしば降りてくるようだ。精神科医ニコライ・ダーリ博士(1860~1939)がモスクワ大学を卒業したのもそんな時代であり、博士の治療をラフマニノフはすすんで受けることにした。トラウマに悩んでいたとはいえ、オペラ指揮者・ピアニストとしては精力的に活躍していたから、創造力を解きはなつよう、座椅子に体を横たえる作曲家に暗示をかける治療だったという─「あなたのコンチェルトは素晴(すば)らしいものになるはずです」と。かくして3年のスランプを乗り越えてラフマニノフは大喝采(かっさい)をうる。深い感謝を込めて、本作はダーリ博士に献呈された。

重苦しい「ハ短調」で幕を開けた第1楽章が、異例のホ長調による─ベートーヴェン《ピアノ協奏曲第3番》と同じ響きだ─讃美歌ふうの第2楽章をへて、第3楽章では冒頭楽章のテーマをなぞりつつ「ハ長調」で高らかな勝利にいたる。そのすぐれて古典的なドラマが、成功の秘訣かもしれない。

(堀 朋平)

演奏時間:約34分
作曲年代:1900年秋~1901年4月にかけて
初演:1901年11月9日(旧暦10月27日)モスクワ、アレクサンドル・ジロティ指揮、作曲家自身のピアノ

ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」

ウィーン古典派をはぐくんだハプスブルク帝国も、やがて縮小の一途をたどる。これに伴って、支配下にあった隣国ハンガリーやチェコの民族意識が燃えあがり、スメタナ《わが祖国》(1882年初演)などの名作を生むことになる。アントニーン・ドヴォルザーク(1841~1904)は、そのスメタナと同じボヘミア出身。それまでの形式や自然なメロディを基礎にしたため、保守派のブラームスに目をかけられ、30代前半にしてウィーンで地歩をきずく。
そんな作曲家に大きな転機が訪れた。ちょうど50歳を迎えた1891年の春、ニューヨークのナショナル音楽院から、アメリカの語法を生かして音楽を盛り立ててほしい、と招かれたのである。葛藤(かっとう)はあったものの、プラハ時代の25倍におよぶ俸給にも惹(ひ)かれ、翌年に一家(妻と6人の子供)をつれて渡米する。「チェコの国民的(ナショナル)な作曲家」は、ついに「インターナショナル」な有名人になりつつあった。
おりしも南北戦争後の「ゴールデン・エイジ」最後のかがやきに、国じゅう沸きたっていた時代。まもなくの大恐慌もあって在米は3年で終わるが、得たものは多かった。「アメリカの未来の音楽は、いわゆる黒人のメロディを基礎にすべきだと、私は考えるようになった」という文章が、まさに《新世界から》の筆がおかれる時期に有力紙をかざった(『ニューヨーク・ヘラルド』紙、1893年5月21日)。
思い出しておきたいのは、ドヴォルザークが、文学から音楽をたちあげる伝統にも浴していたことである。げんに第2・3楽章は、アメリカの詩人ロングフェローがインディアンの英雄をうたった叙事詩『ハイアワサの歌』(1855)にインスピレーションをうけたものだ、と作曲家は語る。とくに《遠き山に日は落ちて》で知られる第2楽章は、叙事詩に描かれた風景─帰途につく農民、英雄の恋人ミネハハの病、その埋葬─を喚起させる。
第1楽章 しきりに鳴る「短長(タターン)」は、黒人音楽によく用いられるリズム。シンプルな3つの主題を、きわめて豊かな和声がいろどってゆく。
第2楽章 その豊かな和声感覚によって、冒頭の20秒ほどで、まったく予想だにしない音世界がひらけてゆく(ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》の同じ箇所と似た演出だ)。
第3楽章 ユニークな2つの中間部を挟むスケルツォ。ひとつめの中間部のゆかいなテーマ(フルート&オーボエ)は、『ハイアワサの歌』に描かれる求婚歌。2つめの中間部では、弦楽器と管楽器の歌いかわしによって、鳥に変身したインディアンの鳴き声がユーモラスに響く。
第4楽章 いくつもの主題をまるで汽車のように駆けめぐる。この人は、誰にも負けない鉄道ファンだった。

(堀 朋平)

演奏時間:約40分
作曲年代:1893年1月10日に着手、同年5月24日に完成
初演:1893年12月16日、ニューヨークのカーネギー・ホールにて、アントン・ザイドル指揮


[アンコール曲]
12/14:ラフマニノフ/幻想的小曲集-「エレジー」作品3-1
12/15:リムスキー・コルサコフ(ラフマニノフ編)/熊蜂の飛行
(ピアノ:河村尚子)

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

1959年、イタリア・ジェノヴァ生まれ。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。
これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。
また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。
録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》の録音ではグラミー賞を受賞した。
N響とは2001年に初共演。2022年9月、N響首席指揮者就任。

河村尚子さんの画像 ピアノ河村尚子

拠点とするドイツを中心にヨーロッパ各国、そして日本でもソロ、室内楽、協奏曲と幅広いジャンルで活躍を続ける。デビュー15周年を迎えた2019年にはリサイタル・シリーズ「ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ・プロジェクト」を展開し、3枚のアルバムもリリース。映画『蜜蜂と遠雷』では主人公・栄伝亜夜のピアノ演奏を担当し話題となった。2022年はシューベルトの後期ソナタに取り組み、たえず自らの関心を深く掘り下げている。オーケストラとの共演も多く、これまでにウィーン交響楽団、モスクワ・ヴィルトゥオーゾ室内管弦楽団、バーミンガム市交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団などと共演。N響には2010年に初出演し、今回が6回目の共演となる。2006年ミュンヘン国際コンクール第2位受賞、2007年クララ・ハスキル国際コンクール優勝を経て国際的な注目を浴びる。出光音楽賞、日本ショパン協会賞、第51回サントリー音楽賞など多数受賞。現在、フォルクヴァング芸術大学教授、東京音楽大学特任講師として後進の指導にも熱意を注ぐ。

[飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター]

MOVIEムービー

【マエストロ・メッセージ】ファビオ・ルイージ/12月N響定期公演

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TICKETチケット

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第1973回 定期公演
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2022年10月27日(木)11:00am
定期会員について

一般発売日:2022年10月30日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円

ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

定期会員券
発売開始日

年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
 [定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

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N響ガイド TEL:0570-02-9502

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主催:NHK / NHK交響楽団

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