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第2064回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2026年5月Aプログラム 聴きどころ

ブラームスの友人かつ伝記作家であったマックス・カルベックによると、《ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲》は放棄された第五交響曲の素材をもとに作曲されたのだという。この説は現在では否定されているものの、ここにはブラームスの幻の「第5番」を諦めきれない同時代人の心情が反映されているように思われる。
一方、ブラームスの《ピアノ四重奏曲第1番》を管弦楽編曲したシェーンベルクは、この編曲をブラームスの「第5番」だと冗談めかしつつも誇らしげに語っている。若き日のシェーンベルクはブラームスの熱烈な信奉者であり、まだ存命中の巨匠を遠くから尊敬の眼差しで見つめることもあったという。もしかすると、ブラームスの「第5番」を誰よりも心待ちにしていたのは、青年時代のシェーンベルクだったのかもしれない。

(浅井佑太)

PROGRAM曲目

ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102

1887年、54歳のときに書かれたこの《二重協奏曲》は、ヨハネス・ブラームス(1833〜1897)がオーケストラを相手にした最後の仕事でもある。以後10年間、彼は主に室内楽やピアノ曲に身を捧(ささ)げ、管弦楽のために筆を取ることはなかった。
本作が初演に至るまでの経緯には、ある私的な事情が織り込まれている。当初ブラームスは、友人のチェリスト、ローベルト・ハウスマンからチェロ協奏曲を書くように頼まれていた。ところが彼は、この要求に正面から応えるのではなく、ここにヴァイオリン独奏を加えた《二重協奏曲》を書き上げる。初演の指揮はブラームス、チェリストはハウスマン、そしてヴァイオリニストは、かつての親友ヨーゼフ・ヨアヒムが務めることになっていた。
「かつての」と記したのには、もちろん理由がある。1880年にヨアヒムが妻と離婚裁判になった際、ブラームスが妻側に肩入れしたことが原因で、両者の関係は長らく冷え切ったままだったのだ。しかし《二重協奏曲》の完成間近に、ブラームスがヨアヒムに手紙で本作について知らせると、彼は直ちに強い関心を示す。こうして、ヨアヒムを独奏者とする初演の計画が進められ、その過程で両者は7年越しの和解を果たすのである。「ヨアヒムとブラームスは数年ぶりに言葉を交わした」──最初のリハーサルに立ち会ったクララ・シューマンは、1887年9月21日の日記にそう書き記している。
このエピソードと共鳴するかのように、《二重協奏曲》は「演奏者同士の対話」という点で極めて室内楽的な作品である。2人の独奏は競い合うのではなく、さまざまなかたちで結びつき、互いを照らし合う。協奏ソナタ形式で書かれた第1楽章(アレグロ)では、冒頭のカデンツァ風の導入でまずチェロが語り、やがてヴァイオリンが応え、力を合わせて息の長いフレーズを紡ぎ出す。その後もオーケストラが提示する素材を両者は分け合い、親密な対話の中で彫琢(ちょうたく)していく。続く第2楽章(3部形式:アンダンテ)でも、この会話が途切れることはない。そして快活な第3楽章(ロンド・ソナタ形式:ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ)では、多彩なエピソードが提示されたのち、最後に両者は同じワルツ風の旋律の中へ溶け込み、いわば音楽を通して手を握り合うのである。

(浅井佑太)

演奏時間:約33分
作曲年代:1887年夏
初演:1887年10月18日、ケルン、作曲者自身の指揮、ギュルツェニヒ管弦楽団、ヨーゼフ・ヨアヒム(ヴァイオリン)とローベルト・ハウスマン(チェロ)の独奏

ブラームス(シェーンベルク編)/ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25

管弦楽に室内楽の精神を持ち込んだのがブラームスだとすれば、アルノルト・シェーンベルク(1874~1951)は逆に室内楽をオーケストラの豊穣(ほうじょう)な世界へ移し替えてみせる。
1933年、ヒトラーの権力掌握を背景に激化する反ユダヤ主義を前に、シェーンベルクは59歳にしてアメリカへの亡命を余儀なくされる。その後、1936年には名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授になるなど一定の地位を築くも、彼の前衛的な作品は一般聴衆にほとんど受け入れられないままでいた。
こうした状況の中、旧知の指揮者オットー・クレンペラーの勧めもあり、シェーンベルクは古典作品の管弦楽編曲を通してアメリカの聴衆にアピールすることを試みる。題材として選ばれたのは、ブラームスの《ピアノ四重奏曲第1番》─彼が最も崇拝する作曲家のひとりの作品であり、青年期に友人たちと繰り返し演奏してきた作品でもあった。
編曲にあたって、シェーンベルクは「ブラームスの様式に厳密にとどまり、もし彼が今日生きていたとしても、彼自身がやったであろう以上のことはしない」よう試みたという。実際、シェーンベルクは原曲の音符を変える操作はほとんど行っていない。新たに対旋律や伴奏を付け加えるとしても、それは元のモティーフを際立たせるといった目的にとどまり、原曲の意図に反する改変は控えられる。
その一方で、音色効果の面では、シェーンベルクが自身に許容した手段は少なくない。そもそも、オーケストラの編成からして標準的とは言い難い。ブラームスがほとんど(あるいはまったく)使わなかった楽器──イングリッシュ・ホルン、E♭クラリネット、グロッケンシュピール、シロフォン、軍楽太鼓、タンブリン──が含まれることに加え、弦楽器には随所で特殊奏法が用いられる。その結果、原曲にあった「演奏者同士の対話」という側面は、しばしば管弦楽の分厚いテクスチャへと埋没し、ときに荒々しく蹂躙(じゅうりん)されることすらある。
とはいえ、前半の第1楽章((アレグロ)と第2楽章((間奏曲:アレグロ・マ・ノン・トロッポ)は、オーケストラ編曲としては比較的穏当なものといえるかもしれない。しかし、後半の第3楽章((アンダンテ・コン・モート)と第4楽章((ロンド・アラ・ジンガレーゼ:プレスト)に入ると、シェーンベルクはさらにアクセルを踏み込む。終楽章では、荒れ狂う打楽器によって、ロマ風の要素は危険なまでに増幅され、爆発的なクライマックスをつくり出す。あるいは、第3楽章中盤の行進曲風のパッセージは、ほとんどマーラーの交響曲の屈折した響きすら思わせるだろう。ここに室内楽の慎ましさは見る影もない。打楽器で誇張された3拍子のリズムには、金管の鋭い音色と木管楽器のトリルが絡み合い、ほとんどパロディのようなグロテスクさへと近づく。もしかするとシェーンベルクは、「古き良き時代」の象徴たるブラームスの音楽にさえ、ベルリンの街角で耳にしたであろうナチスの行進、さらには迫り来る第2次世界大戦の足音を聴き取っていたのかもしれない。

(浅井佑太)

演奏時間:約43分
作曲年代:[原曲]1855〜1861年 [シェーンベルク編曲版]1937年5月2日〜9月19日
初演:[シェーンベルク編曲版]1938年5月7日、ロサンゼルス、オットー・クレンペラー指揮、ロサンゼルス・フィルハーモニック

ARTISTS出演者

ミヒャエル・ザンデルリンクさんの画像 指揮ミヒャエル・ザンデルリンク

ドイツの指揮者界で存在感を増しているミヒャエル・ザンデルリンクは、名匠クルト・ザンデルリンクを父に持つ音楽一家の出身。1967年ベルリンに生まれ、当初はチェリストとして20歳でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席に就任し、ベルリン放送交響楽団の首席も務めた。
2000年に指揮者へと転身してからは、持ち前の瑞々(みずみず)しい感性と緻密なスコアリーディングを武器に評価を確立した。ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(2011〜2019年)を経て、2021年からはルツェルン交響楽団の首席指揮者を務めており、オーケストラの実力を引き上げる手腕には定評がある。
N響のステージに立つのは2015年以来、11年ぶり。ドイツらしい重厚な響きを継承しつつも、長身から繰り出される明快なタクトが推進力と見通しの良さを導き、スポーティーとも言うべき躍動感が聴き手をスリリングな音の旅へと誘う。
名手テツラフ兄妹をソリストに迎えた《二重協奏曲》、クリアなサウンドを狙ってシェーンベルクが大胆に編曲した《ピアノ四重奏曲第1番》と、ブラームスの2つの大作を引っ提げての再登場だ。ザンデルリンクは、この公演に先立ってベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団でも同曲を指揮する予定だが、N響の機能美がザンデルリンクのタクトでどんな色合いに変わるのかが楽しみだ。

[江藤光紀/音楽評論家]

クリスティアン・テツラフさんの画像 ヴァイオリンクリスティアン・テツラフ

名実ともに現代を代表するヴァイオリニストのひとり。1966年、ハンブルク生まれ。リューベック音楽大学でウーヴェ・マルティン・ハイベルクに、シンシナティ音楽院でワルター・レヴィンに師事。1984年、ミュンヘン国際コンクールで第2位に入賞し、国際的に注目される。2014–15年シーズンにはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のアーティスト・イン・レジデンスを務めた。若い頃は高度な技巧に裏打ちされたきわめて精度の高い演奏で名声を博したが、近年は、単なる美しい演奏に留まらない、チャレンジ精神に満ちた独自の表現に専心している。また、クロンベルク・アカデミーで後進の指導にもあたる。楽器は、オールドの名器ではなく、シュテファン・ペーター・グライナーが新たに製作したヴァイオリンを弾いている。
NHK交響楽団との共演も30年以上になる。初共演は、1993年4月のベルクの《ヴァイオリン協奏曲》。近年では、2018年5月のベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》などがある。ブラームスは彼が最も得意とする作曲家のひとり。《二重協奏曲》での兄妹共演が非常に楽しみである。

[山田治生/音楽評論家]

ターニャ・テツラフさんの画像 チェロターニャ・テツラフ

ターニャ・テツラフは、ソリストとして活躍する一方、兄のクリスティアン・テツラフとの室内楽演奏でも知られる。ハンブルク生まれ。地元にてベルンハルト・グメリンに、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院にてハインリヒ・シフに師事。1994年のミュンヘン国際コンクールで第3位に入賞。その後、ブレーメンのドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団の首席チェロ奏者を務めた。また、1994年より、兄のクリスティアンとともにテツラフ・カルテットのメンバーとしても活動している。そのほか、レイフ・オヴェ・アンスネスや兄との、あるいは、故ラルス・フォークトや兄とのピアノ三重奏にも取り組む。2024年からブレーメン芸術大学教授。使用楽器は、1776年製のジョヴァンニ・バティスタ・グァダニーニ。
NHK交響楽団とは、2017年6月定期公演でシューマンの《チェロ協奏曲》を共演した(指揮はパーヴォ・ヤルヴィ)。ブラームスの《二重奏協奏曲》は、2022年に、兄、パーヴォ・ヤルヴィ&ベルリン・ドイツ交響楽団と録音している。今回、新たにバージョン・アップされた兄妹の語らいが聴けるに違いない。

[山田治生/音楽評論家]

TICKETチケット

定期公演
Aプログラム

第2064回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2026年2月19日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2026年2月23日(月・祝)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 10,000円 8,500円 6,500円 5,400円 4,300円 2,200円
ユースチケット 5,000円 4,000円 3,100円 2,550円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

29歳以下の方へのお得なチケットです。
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定期会員券
発売開始日

年間会員券
2025年7月13日(日)10:00am
[定期会員先行発売日: 2025年7月6日(日)10:00am

シーズン会員券(SPRING)
2026年2月14日(土)10:00am
[定期会員先行発売日: 2026年2月10日(火)10:00am

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主催:NHK / NHK交響楽団

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