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- 第2002回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
ロシア・ソヴィエトの作曲家、リャードフとプロコフィエフによる晩年の傑作が並んだプログラム。音を描写するような絵画的表現で「音の細密画家」の異名を持つリャードフとわずか一音の微妙な変化音で独自性を獲得し、「音楽のエンジニア」とも呼称されたプロコフィエフ。激動の時代を交差した2人の記念碑的作品は、天地を突き抜ける壮大な響きとなって、過去から現在、そして未来へと生きる希望を与えてくれることだろう。
(木本麻希子)
PROGRAM曲目
リャードフ/交響詩「キキモラ」作品63
19世紀から20世紀にかけて活躍したロシアの作曲家アナトーリ・リャードフ(1855〜1914)は、音楽家一家に生まれ、芸術的な環境に恵まれていたが、厳しい自己批判の精神を持っていたため、創作活動では労力を要する大規模な作品より、むしろ絵画的な管弦楽曲やピアノ小品などにおいて音楽的な独創性を発揮した。その職人芸的な精巧さは「細密画風(ミニアチュール)」と形容されることが多い。ピアニストでもあり、生涯に渡ってピアノ作品を作曲し続けるという創作姿勢は、弟子のプロコフィエフとも共通する。
晩年の名作となった《キキモラ》は「管弦楽のための民話」という副題を持ち、未完のオペラ《シンデレラ》の音楽的構想を用いて創作された。標題の「キキモラ」とは、I. P. サハロフの『ロシア民間説話集』(1849)から題材を得た邪神のことを指す。岩山の魔法使いのもとに住むキキモラの存在が俊敏な音の動きで幻想的に表現される。
第1部(アダージョ、ホ短調、4/4拍子)と第2部(プレスト、3/4拍子)という対照的なテンポによる2部構成。リャードフ特有の超自然的な世界が作品に具現化される。各々のモティーフが異なる意味を持ち、イングリッシュ・ホルンによる猫のテーマ、ピッコロとオーボエによるキキモラのテーマ、チェレスタによる水晶の揺りかごのテーマなどが次々に提示される。動き回ったり、高笑いをしたりするキキモラのイメージは、さまざまな音型的な変化を伴い、神秘的かつ躍動的な響きのなかで変幻自在に描写される。
(木本麻希子)
演奏時間:約7分
作曲年代:1909年
初演:1909年12月12日、アレクサンドル・ジロティ指揮、サンクトペテルブルク
プロコフィエフ(ソヒエフ編)/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
20世紀ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフ(1891〜1953)は、長年の海外生活のあと、社会主義リアリズムが加速する1930年代に祖国へ帰還。スターリンによる芸術統制のなか、映画音楽や劇音楽などの異なるジャンルの数多くの作品を同時進行で創作した。
シェークスピアの恋愛悲劇『ロメオとジュリエット』を題材とした音楽作品は、19世紀のベルリオーズ、グノー、チャイコフスキーに前例があるが、本作はバレエの委囑を受けて創作されたもので、音楽的な規模や内容面で傑出した存在感を示している。原曲のバレエ音楽は全4幕(52曲)の構成。管弦楽版の《組曲第1番》(全7曲)、《第2番》(全7曲)、《第3番》(全6曲)のほかにピアノ編曲版(10曲)も創作された。バレエ音楽では、振付師のラヴロフスキー、演出家で学者のラドロフ、劇作家のピオトロフスキーの協力を得て台本を仕上げ、原作のマイナーな場面をも忠実にバレエ化させた。愛と憎しみ、喜びと悲しみ、生と死という対極的な概念のなかで、登場人物の個性、心情変化、情景描写が、ライトモティーフで効果的に表現される。組曲では物語の進行と対応せず、原曲から抜粋された曲同士が結合や省略を経て再構成されている。本公演では指揮者トゥガン・ソヒエフ氏による選曲順で演奏される。
〈モンタギュー家とキャピュレット家〉(組曲2–1)─アンダンテ。不協和音の響きでヴェローナ大公が両家の抗争を鎮圧する場面が描写されたあと、アレグロ・ペザンテで上下行する分散和音の音型で踊りが表現される。
〈少女ジュリエット〉(組曲2–2)─ヴィヴァーチェ。急速な全音階的音型で初々しいジュリエット像が描写される。
〈修道士ロレンス〉(組曲2–3)─アンダンテ・エスプレッシーヴォ。叙情的な旋律が僧ロレンスの優しく温かい人間性を映し出す。
〈踊り〉(組曲2–4)─ヴィーヴォ。半音階的音型による変化音や調性をスライド的にずらす独自の技法が駆使される。
〈ロメオとジュリエットの別れ〉(組曲2–5)─レント。ドルチェッシモによる優美で魅力的なフルートのソロ。死の主題も含み、2人の別れの情景が描写される。
〈朝の踊り〉(組曲3–2)─アレグロ。スタッカートの同音反復を含む活動的な音型で民衆の歓喜の踊りが表現される。
〈アンティル諸島から来た娘たちの踊り〉(組曲2–6)─アンダンテ・コン・エレガンツァ。優雅さと不穏さを備えた神秘的な踊り。上下行の半音階的音型が異国風の響きをもたらす。
〈朝の歌〉(組曲3–5)―アンダンテ・ジョコーソ。牧歌的で瑞々(みずみず)しいチェレスタの旋律と弦楽器の急速なパッセージで新鮮な朝が描写される。
〈ジュリエットの墓の前のロメオ〉(組曲2–7)─アダージョ・フーネブレ。悲壮感が表出された死の主題が音響的な強調等を伴って回想される。
〈仮面〉(組曲1–5)─アンダンテ・マルチアーレ。マーチ風の曲調で、仮装したロメオたちの期待と高揚感が表現される。
〈タイボルトの死〉(組曲1–7)─プレチピタート。急速に疾走するテンポでマーキュシオや戦いの主題を提示。特有の半音階的音型やリディア旋法の使用もみられる。
(木本麻希子)
演奏時間:約45分
作曲年代:1935〜1936年
初演:[組曲第1番]1936年11月24日、セバスチャン指揮、モスクワ [組曲第2番]1937年4月15日、作曲者自身による指揮、レニングラード [組曲第3番]1946年3月8日、デクチャレンコ指揮、モスクワ
ARTISTS出演者
指揮トゥガン・ソヒエフ
1977年北オセチア共和国(ロシア)のウラジカフカスに生まれ、サンクトペテルブルク音楽院で指揮を名教師イリヤ・ムーシンに師事、さらにユーリ・テミルカーノフにも学ぶ。2008年からトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団音楽監督として同団の発展に寄与した一方、2012年から2016年まではベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を兼任、さらに2014年からはモスクワのボリショイ劇場の音楽監督を務めたほか、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団をはじめとする名門オーケストラや歌劇場への客演など、コンサートとオペラの両面で国際的に幅広く活動を展開してきた。2022年には愛する母国がウクライナに侵攻したことに心を痛めて、ボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団の両方のポストを辞任したが、以後も世界中から引く手あまたで、ロシア作品で示すダイナミックなスケール感、フランス作品での洗練されたセンス、ドイツ作品での正統的なアプローチの中での充実した表現など、的確な様式感とパレットの豊かさが高く評価されている。N響にもほぼ毎年客演して名演を聴かせており、今回もフランス、ドイツ、ロシアの3つのプログラムを通して、そうした彼の多様な表現力が発揮されるに違いない。
[寺西基之/音楽評論家]
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:モソロフ/弦楽四重奏曲 第1番― 第3楽章、第4楽章
出演者
MOVIEムービー
2024年1月N響定期公演について
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,600円 | 6,700円 | 5,300円 | 4,300円 | 3,300円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
定期会員券
発売開始日
年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]
シーズン会員券(WINTER)
2023年10月17日(火)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年10月12日(木)10:00am]
BROADCAST放送予定
NHK-FMベスト オブ クラシック
「第2002回 定期公演 Cプログラム」
2024年1月19日(金) 7:30PM~ 9:10PM
曲目:
リャードフ/交響詩「キキモラ」作品63
プロコフィエフ(ソヒエフ編)/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
指揮:トゥガン・ソヒエフ
収録:2024年1月19日 NHKホール