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定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
【公演中止】第1992回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※本公演は1曲のみの演奏のため休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

ヘルベルト・ブロムシュテットのブルックナーは、手兵ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との交響曲全曲録音や、2016年から新しく編纂中の『新アントン・ブルックナー全集』で《交響曲第4番》第2稿を献呈されていることが端的に示すように、国際的に篤(あつ)い信頼を獲得している。彼の端正でクリアな響きや構築力のある音楽づくりは、《第5番》を特徴づける緻密な作曲技法と楽曲の大きな流れ、そして均整のとれたプロポーションを最良の形で引き出してくれるに違いない。なお本日はノヴァーク版を用いて演奏するとのことで、来るブルックナー生誕200年を先取りする注目の公演である。

(髙松佑介)

PROGRAM曲目

ブルックナー/交響曲 第5番 変ロ長調

アントン・ブルックナー(1824〜1896)はオーストリア帝国リンツ郊外の小村アンスフェルデンに学校教員の息子として生まれ、20代は聖フローリアンを拠点に学校教員やオルガン奏者として、30代はリンツを拠点にオルガン奏者や合唱協会の指導者として活躍した。この頃には、教会音楽を中心とする合唱作品を多く作っている。
その傍らで30代にはジーモン・ゼヒターとオットー・キツラーに師事して作曲を基礎から徹底的に学んでいる。そしてその成果をもって40代から拠点をウィーンに移し、音楽院教授を務めながら交響曲創作に打ち込んだ。こうして、亡くなるまでの約30年間に、番号の付いた交響曲を9つ遺(のこ)した。経歴は一風変わっているが、ブルックナーは「交響曲作家(シンフォニカー)」を自任するほど熱意をもってこのジャンルと向き合い、ようやく齢(よわい)60にして《交響曲第7番》で国境を越えた成功を手にすることとなった。
ブルックナーの交響曲はどれも4つの楽章から成り、演奏会場では一作品で1時間を超えるような時空間を共有することになる。そしてその行路の最後には、主和音が高らかに鳴り響くのが常である。フリードリヒ・ニーチェが「神は死んだ」と説いた19世紀後半、キリスト教世界の価値観が根本から揺らいだ時代にあって、この神々しいほどの圧巻の音響に、聴き手が一種の法悦を感取したとしても不思議ではない。
《交響曲第5番》は1875年2月に第2楽章から、第1楽章、第3楽章、第4楽章の順で作曲された。1876年5月16日に総譜の最初の下書きを完成させたあと、ブルックナーは8月に敬愛するリヒャルト・ワーグナーによるバイロイト祝祭劇場のこけら落とし公演、《ニーベルングの指環》四部作の初演に招待されている。そして1877年に修正を施し、1878年1月4日に完成した。その後約15年にわたってオーケストラでの演奏機会がなく、1894年の初演にはブルックナーが健康上の理由で立ち会えなかったため、作曲者が唯一聴けたのは2台ピアノ版での演奏のみであった。
ブルックナーの人生において、この曲に取りかかった1875年初頭は経済的・精神的苦況の真っただ中にあった。彼は前年に教師養成学校での職を失い、音楽院の給料だけでは生活できず、ウィーン移住を後悔して「私の人生はすべての喜びや気概を失いました」と手紙に書いている。だが同年11月には好機が巡ってくる。1867年以来何度か試みながらも採用されなかったウィーン大学での教授職(和声法と対位法)に就くことが叶(かな)い、念願だった社会的地位と経済的保証が満たされたのである。
以上のような波乱の時期に成立した《交響曲第5番》だが、手紙での落胆ぶりとは裏腹に、この曲を見ると作曲家としての腕前と気概で満ちている。この曲は彼自身が「対位法上の傑作」と語ったと伝えられており、複数の主題を伸縮自在に組み合わせるポリフォニーの技術が駆使されている。特に第1・4楽章の展開部や、第4楽章第1主題のフーガに注目されたい。
第1楽章(序奏:アダージョ―アレグロ)は緩徐導入部に続いて3つの主題によるソナタ形式をとるが、主調の曖昧さが際立っている。第1主題にニ音ではなく変ニ音が用いられることによって主調の変ロ長調が遠ざけられ、変ロ短調/変ト長調の響きが遍在しているのだ。ゆえに漂うような神秘的な音調が生み出され、楽章末で鳴り響く変ロ長調が一層引き立つこととなる。
第2楽章(アダージョ:非常にゆっくりと)は、木管楽器による哀歌的なA主題と、弦楽器による力強いB主題が交互に現れるA―B―A′―B′―A″という5つの部分から成る。最後のA″部で万華鏡のごとく色彩豊かに変転する和声も聴きどころだ。
第3楽章(スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ)は、主部―トリオ部―主部の3部から成る。主部は、第2楽章冒頭を速めた伴奏を背景に始まり、木管楽器の第1主題と、テンポを落とした弦楽器の第2主題によるソナタ形式で構成される。素朴なトリオ部のバスに頻出する5度跳躍は、この交響曲の重要な主題に共通する動機要素でもある。
第4楽章(終曲:アダージョ―アレグロ・モデラート)は、第1楽章の導入部の回帰に続いて第1・2楽章の主要主題が顔を見せるという、ベートーヴェンの《第9》を模した形で始まる。これらの断片を繋(つな)ぐ動機からフーガが紡ぎ出され、このフーガ部分を第1主題とする3つの主題によるソナタ形式が構成される。第3主題と展開部との間には新たなコラール主題が登場し、展開部や再現部で効果的に用いられるのみならず、楽曲末の高揚にも貢献する。

(髙松佑介)

演奏時間:約75分
作曲年代:1875年2月~1876年5月16日、1877年改訂、1878年1月4日完成
初演:1894年4月9日、グラーツ、フランツ・シャルク指揮(ヨーゼフ・シャルクによる2台ピアノ版:1887年4月20日、ウィーン)

ARTISTS出演者

ヘルベルト・ブロムシュテットさんの画像 指揮ヘルベルト・ブロムシュテット

1927年にアメリカで生まれたスウェーデン人指揮者。ストックホルム王立音楽院などで学ぶ。
1954年にストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してデビュー。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、北ドイツ放送交響楽団(現NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者や音楽監督を歴任し、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団など、各地の一流オーケストラに客演している。
NHK交響楽団とは1981年に初共演し、1986年に名誉指揮者に就任。2013年からはコロナ禍で来日できなかった2020–21シーズンを除き毎シーズンN響の指揮台に立ち、2016年には桂冠名誉指揮者の称号を贈られた。昨年もマーラーの《交響曲第9番》などを指揮して、大好評を博した。楽譜に向きあう姿勢は真摯そのもの、しかし音楽は力むことなく洒脱にして爽快、そして清冽(せいれつ)だ。
今年は、1973年にドレスデン国立歌劇場管弦楽団の指揮者として初めて来日して以来、50周年の記念の年となる。ブルックナーとブラームス、母国と同じ北欧のフィランドのシベリウスにデンマークのニルセンと、お得意の作曲家の作品が並ぶ今回のプログラムでも、楽員との長く篤い信頼関係が、尽きぬ泉のごとく、潤いと輝きをもたらすことだろう。

[山崎浩太郎/音楽評論家]

TICKETチケット

定期公演 2023-2024シーズン
Aプログラム

【公演中止】第1992回 定期公演
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NHKホール
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2023年7月27日(木)10:00am
定期会員について

一般発売日:2023年7月30日(日)10:00am

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円 2,800円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券(AUTUMN)
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

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