ページの本文へ

  1. ホーム
  2. コンサート情報
  3. 定期公演 2022-2023シーズン
  4. Aプログラム
  5. 第1986回 定期公演 Aプログラム

定期公演 2022-2023シーズンAプログラム
第1986回 定期公演 Aプログラム

※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

18世紀ヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴッツィ(1720~1806)は、イタリアの伝統的な喜劇「コメディア・デラルテ」を下敷きに、民話やオリエントの物語を題材とした10編の寓話劇を書いた。『トゥーランドット』をはじめとする奇想天外な物語は、時代や国を超えて多くの作曲家を魅了し、本公演の作曲家も、その魅力に惹きつけられた2人だ。セルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953)のモダニズム、アルフレード・カゼッラ(1883~1947)のファンタジー。オーケストラの機能を最大限に生かした彼らの作品に、カゼッラ再発見も含め、情熱の指揮者ノセダは、どのようにアプローチするのだろうか。
(柴辻純子)

PROGRAM曲目

プロコフィエフ/交響組曲「3つのオレンジへの恋」作品33bis

1918年、プロコフィエフはロシア革命の混乱を逃れて日本経由でアメリカに渡った。ニューヨークに落ち着くと新天地での成功に野心を燃やし、ピアニスト、作曲家として自身を売り込んでいく。《歌劇「3つのオレンジへの恋」》は、シカゴ・オペラの総監督カンパニーニの依頼で作曲された。ゴッツィの同名の寓話劇(1761)を演出家メイエルホリドがロシア語に翻案した戯曲をもとに、台本もプロコフィエフ自身が手がけた。物語は劇中劇のかたちをとり、憂鬱症の笑わない王子が偶然転んだ魔女を笑って呪いをかけられ、3つのオレンジを探す旅に出かけ、3番目のオレンジの中から出てきた王女と結ばれる、というもの。オペラは、上演延期を経て、1921年12月に初演された。
プロコフィエフはオペラ初演後、6曲から成る交響組曲を編んだ。第1曲〈おどけもの〉物語を舞台上で観劇しながら王子に加勢する、おどけものたちの素材をつないでいく。ドタバタした雰囲気は、このオペラの性格をよく表している。第2曲〈地獄の場面〉2人の魔術師がカルタ遊びをする(第1幕第2場より)。第3曲〈行進曲〉プロコフィエフらしい諧謔(かいぎゃく)的な音楽。ピアノ編曲版で有名。第4曲〈スケルツォ〉王子一行は翻弄される(第3幕第2場より)。第5曲〈王子と王女〉東洋風の旋律で愛を語り合う(第3幕第3場より)。第6曲〈逃亡〉悪者一味は策略に失敗して逃げ出し、疾走するトッカータで結ばれる(第4幕第2場より)。
(柴辻純子)

演奏時間:約16分
作曲年代:[オペラ]1919年[組曲]1919~1924年
初演:[オペラ]1921年12月30日、シカゴ、作曲者の指揮[組曲]1925年11月29日、パリ、セルゲイ・クーセヴィツキーの指揮

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品16

プロコフィエフはサンクトペテルブルク音楽院在学中からモダニズムの旗手として注目を集めていた。《ピアノ協奏曲第2番》は学生時代の1912年に着手され、翌年4月に完成。4楽章構成の協奏曲は全楽章が短調で書かれ、プロコフィエフ自身の演奏を前提にしていた。「信じがたいほど難しく、無慈悲なまでに人を疲れさせる作品」と自ら評したように、初演は賛否両論が巻き起こり、「異常な音」と拒否する批評家もいれば、「10年も経てばヨーロッパ中の聴衆が作曲家を褒めそやすだろう」と評価する者もいた。鋭い不協和音、大胆な跳躍音程、野性的なリズム、鋭角的な表現など、モダニズムの語法とともに帝政末期のロシアを思わせる妖しさも漂う。ロシア・バレエ団の主宰者ディアギレフも終楽章の民謡風の主題を気に入り、バレエ化を真剣に考えるほどだった。
だが、この初演版の楽譜はロシア革命の混乱で消失してしまう。現行版は1923年に作曲家自身によって復元され、その際にピアノと管弦楽どちらにも手が入れられ、対位法的な書法を「いくらか複雑に」、形式ばらず「優美なもの」へと改訂された。
第1楽章(アンダンティーノ、ト短調)。夢見るような第1主題とリズミカルな第2主題が示され、ピアニスティックで華やかな長大なカデンツァの後、第1主題が静かに回想される。
第2楽章(スケルツォ:ヴィヴァーチェ、ニ短調)。プロコフィエフの音楽を特徴づける要素のひとつであるトッカータ風の軽快な音楽。独奏ピアノは常にオクターヴのユニゾンで演奏する。
第3楽章(間奏曲:アレグロ・モデラート、ト短調)。ファゴットやテューバ、低弦を響かせたオーケストラと独奏ピアノが絡みながら濃厚な表情を作り上げる。
 第4楽章(終曲:アレグロ・テンペストーソ、ト短調)。目まぐるしく動く主題はピアノを打楽器的に扱い、ゆるやかな民謡風の主題はロシア民謡の牧歌的な性格が表れている。
(柴辻純子)

演奏時間:約32分
作曲年代:1912年末~1913年4月。1923年に改訂
初演:1913年9月5日(旧ロシア暦では8月23日)、作曲者自身のピアノ、アレクサンドル・アスラノフ指揮、パヴロフスクにて

カゼッラ/歌劇「蛇女」からの交響的断章(日本初演)

今年生誕140年のカゼッラは、レスピーギやマリピエロとともにイタリアの「80年世代」と呼ばれる作曲家である。代々チェリストの家系に生まれ、1896年に渡仏。パリ音楽院でフォーレに師事し、20世紀初頭の百花繚乱(ひゃっかりょうらん)のパリの音楽界から多くの刺激を受けた。ドビュッシーの音楽に憧れ、ストラヴィンスキーやファリャとも交流をもち、第1次世界大戦勃発で帰国したあとには、イタリア現代音楽協会を発足させ、同時代の音楽の普及に努めた。その作風は、1920年代に新古典主義に到達し、晩年はファシズムに傾倒していった。
《歌劇「蛇女」》は、ゴッツィの同名の寓話劇(1762)を題材に、イタリアの劇作家チェーザレ・ヴィコ・ロドヴィチ(1885~1968)の台本により、1928年から1931年にかけて作曲された。ワーグナーの最初期の《歌劇「妖」》も同じ寓話劇から着想を得ているが、カゼッラは、妖精ミランダが蛇に変身するエピソードをそのまま残した。全体はプロローグと3幕から成る。テフリス国の王アルティドールは、素性を尋ねないことを条件に妖精ミランダと結婚した。しかし結婚8年目の終わりに王が素性を尋ねてしまったことで、ミランダは2人の子供とともに姿を消してしまう。アルティドールは、彼女を探し出したが、大臣の裏切りを知り、ミランダは愕然(がくぜん)とする王の前で蛇に姿を変える。アルティドールが魔法の試練を乗り越えると、蛇を閉じ込めた墓が崩れ落ち、人間の姿となったミランダと再会する。1932年にローマで初演されたのち、カゼッラは2つの組曲を編んだ。前半(第1組曲)はハンガリーの指揮者フリッツ・ライナーに、後半(第2組曲)はイタリアの指揮者ベルナルディーノ・モリナーリに献呈された。前半(第1組曲)の3曲は切れ目なく演奏される。
[第1組曲]〈アルティドール王の夢の音楽〉(アンダンテ)。チェロに支えられ、オーボエが神秘的なまどろみの旋律を奏でる。やがて、フルートとトランペットのコラール風の旋律へと移る。〈間奏曲〉(アンダンテ・モデラート)。トランペットとトロンボーンの弱音のファンファーレが3回登場し、徐々に高まる低音弦楽器と交替する。〈戦士の行進〉(テンポ・ディ・マルチャ)。行進曲の力強いリズムにのせて音楽はモノクロからカラーへと転じ、冒頭のモティーフは出現するたびにクリアになっていく。ニ長調となった後半は、ハリウッド映画風の壮大な音楽が広がる。
[第2組曲]〈シンフォニア〉(アレグロ・ヴィヴァチッシモ)。華やかな導入に続いて、リズミカルな主題が示され、オーボエが新しい主題を歌い出し、木管楽器による第3主題が加わる。管楽器が豊かな音色で活躍し、カゼッラのオーケストレーションの手腕が発揮される。〈前奏曲〉(レント・マ・ノン・トロッポ)。ホルンで反復される4音モティーフはミランダの嘆きを表す。嘆きが高まり頂点に達すると、再び音楽は静まる。〈戦いとフィナーレ〉(アレグロ・ヴィヴァチッシモ)。妻を取り戻すために王は試練に挑む。第1組曲の〈戦士の行進〉のモティーフも現れ、最後は勝利の行進曲で堂々と結ばれる。
(柴辻純子)

演奏時間:約27分
作曲年代:[オペラ]1928~1931年 [組曲]1932年
初演:[オペラ]1932年3月17日、ローマ、ローマ歌劇場

[アンコール曲]
6/10:ラフマニノフ/13の前奏曲 作品32 ― 第5番 ト長調
6/11:チャイコフスキー/こどものアルバム 作品39 ― 第18曲「ナポリの歌」変ホ長調
(ピアノ:ベフソド・アブドゥライモフ)

ARTISTS出演者

ジャナンドレア・ノセダさんの画像 指揮ジャナンドレア・ノセダ

1964年、イタリア・ミラノ生まれ。現在、“大統領のオーケストラ”と呼ばれるワシントンD. C. のナショナル交響楽団の音楽監督と、ルイージの後任としてチューリヒ歌劇場の音楽総監督を兼任し、コンサートとオペラの両分野で活躍しているマエストロである。マリインスキー歌劇場の首席客演指揮者、スペインのカダケス管弦楽団とBBCフィルハーモニックの首席指揮者、トリノ王立歌劇場の音楽監督などを歴任。BBCフィルを指揮したレスピーギ、カゼッラ、ダルラピッコラなど、注目すべきCDを数多くリリースし、首席客演指揮者を務めているロンドン交響楽団を指揮したロシアの作曲家のディスクも高く評価されている。レアなレパートリーも積極的に取り上げ、スコアに込められた機微を鮮やかに掘り起こしたうえで、しなやかな歌心とドラマを存分に引き出す手腕には脱帽するほかない。
ノセダは、2005年に初めてN響に客演して以来、たびたび共演を重ねてきた間柄である。今回のプログラムも、カゼッラの《歌劇「蛇女」からの交響的断章》の日本初演があるかと思えば、生誕150年の記念年を迎えたラフマニノフの意欲作《交響曲第1番》、そしてショスタコーヴィチの《交響曲第8番》など、いかにもノセダらしい多彩な演目が並んでいるのが魅力的だ。ノセダとN響の意欲的な取り組みに大いに期待したい。
[満津岡信育/音楽評論家]

ベフゾド・アブドゥライモフ※さんの画像 ピアノベフゾド・アブドゥライモフ※

1990年、ウズベキスタン共和国タシケント生まれ。5歳でピアノを弾き始め、8歳の頃、ウズベキスタン国立交響楽団との共演でデビュー。タシケントのウスペンスキー国立中央学院でタマーラ・ポポヴィチのもとで学んだのち、ウズベキスタン人で2001年ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール優勝者のスタニスラフ・ユデニチのもと、アメリカのパーク大学・国際音楽センターで研鑽(けんさん)を積んだ。
2009年のロンドン国際ピアノ・コンクール優勝を機に国際的なキャリアをスタート。2012年にプロコフィエフの《ピアノ・ソナタ第6番》ほかを収録したアルバムを、2014年には同《ピアノ協奏曲第3番》ほかを収録したアルバムをリリースした。これまでに、フィルハーモニア管弦楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニック、サンフランシスコ交響楽団、パリ管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団などと共演。
N響との共演は、アシュケナージの指揮でラフマニノフを演奏した2014年以来9年ぶり。今回は得意とするプロコフィエフから、《ピアノ協奏曲第2番》を届ける。
[高坂はる香/音楽ライター]

※当初発表の出演者から変更となりました。

DOWNLOADダウンロード

TICKETチケット

定期公演 2022-2023シーズン
Aプログラム

第1986回 定期公演
Aプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2023年3月1日(水)11:00am
定期会員について

一般発売日:2023年3月5日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 8,900円 7,400円 5,800円 4,700円 3,700円 2,000円
ユースチケット 4,000円 3,500円 2,800円 2,100円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
※発熱等の体調不良時にはご来場をお控えください。
※適切な手指の消毒、咳エチケットにご協力ください。
※「ブラボー」等のお声掛けをされる際は、マスクの着用にご協力をお願いいたします。

定期会員券
発売開始日

年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
 [定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

シーズン会員券 2023年2月17日(金)11:00am
 [定期会員先行発売日:2023年2月14日(火)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

(要登録)

WEBセレクト3+

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になるチケットです。

WEBチケットN響のみでの発売となります

お問い合わせ・
お申し込み

N響ガイド TEL:0570-02-9502

WEBチケットN響

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第1986回 定期公演 Aプログラム」

2023年6月15日(木) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: プロコフィエフ/交響組曲「3つのオレンジへの恋」作品33bis
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品16
カゼッラ/歌劇「蛇女」からの交響的断章(日本初演)

指揮:ジャナンドレア・ノセダ

ピアノ:ベフゾド・アブドゥライモフ※

収録:2023年6月10日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

※AプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※A-2の開演時刻は2:00pmとさせていただきます

閉じる
公演カレンダーを閉じる