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- 第1975回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。
ABOUT THIS CONCERT特徴
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜1893)と彼を深く敬愛していたセルゲイ・ラフマニノフ(1873〜1943)。この巨星たちがそれぞれ音楽院卒業後に向かったのが、《交響曲第1番》と《幻想曲「岩」》であった。前者には《交響曲第4番》から《第6番》には見られないような発想や敏捷(びんしょう)な転換が、後者には重厚な標題音楽に向かおうとする気概が感じられる。いずれも若やかな感性がなんとも眩(まぶ)しい楽曲である。(中田朱美)
PROGRAM曲目
ラフマニノフ/幻想曲「岩」作品7
《幻想曲「岩」》は、弱冠20歳のラフマニノフの管弦楽作品である。ソ連の音楽学者アペチャーンによると、4手版ピアノ譜の自筆譜に「《幻想曲》/黄金色(こがねいろ)の雨雲が一夜を過ごした/巨人のように切り立った岩の胸もとで/レールモントフ」とあり、また自筆総譜の筆写譜にも、この曲がレールモントフの詩『切り立つ岩(断崖)』(1841)の印象にもとづいて書かれ、最初の2行を題辞とした旨が書かれているという。原詩は8行からなり、以前にはリムスキー・コルサコフらによって少なくとも15以上の歌曲が作られていた。
原詩には詩人が翻訳していたハイネなどドイツ語詩からの影響が認められる。また同じくこの冒頭2行を題辞として展開した作品に、チェーホフの短編小説『旅中』(1886)があり、ここでは雪をまとった松の木が南国の椰子(やし)を、切り立つ断崖が去った雲を想い涙するハイネ=レールモントフの寓意的情景が源泉になっている。老境の絶望的に不幸な男と若い娘が偶然、駅馬車の宿駅に居あわせ、会話を通じて互いに一筋の理解を見いだすも、やがて時間が来て娘は去り、見送る男に粉雪が重く降り積もる─。
実は《幻想曲》の標題はこの『旅中』でもあった。ラフマニノフは敬愛するチェーホフに出版譜を贈り、そこに「同じ題辞をもつ短編小説『旅中』の内容が本作の標題となりました」と認(したた)めている。作品は標題つき単一楽章のため交響詩にも類し、冒頭、半音で下行する暗澹(あんたん)とした第1主題、軽やかに飛翔する第2主題、どこか感傷的でさまざまに姿を変える第3主題を軸に展開する。ここには原詩の対照性を柱としつつも、一連の標題を総合したような世界観が感じられる。まさに先達との創造的対話の結晶と言える作品である。
(中田朱美)
演奏時間:約13分
作曲年代:1893年夏
初演:1894年4月1日(ロシア旧暦3月20日)、モスクワ、ロシア音楽協会モスクワ支部交響楽演奏会、サフォーノフ指揮
チャイコフスキー/交響曲 第1番 ト短調 作品13「冬の日の幻想」
1866年春、モスクワ音楽院で教え始めた25歳のチャイコフスキーは《交響曲第1番》の作曲に挑んだ。チャイコフスキー作品は当時、ときにその第一印象で、今からは信じられないような酷評を同時代人から受けたが、やはり《交響曲第1番》もその執筆時から批判にさらされていた。しかしチャイコフスキー自身も本作に多くの改善の必要を感じていたようである。
当初1866~1868年に作曲・改訂・初演された本作は、さらに出版に際して1874年以降、改訂が続けられた。その1874年の改訂で、チャイコフスキーは第1楽章第2主題をまったく新しいものに差し替え、第2、4楽章を短縮している。この稿(1874年稿)が翌1875年に出版(初版)されたあと、1883年に初演を迎えると、その前後でまたさらなる改訂を加えた。この頃チャイコフスキーがフォン・メック夫人に送った手紙では、「本質的にはほかの多くの作品よりも充実している作品だが、残念ながら出版譜にきわめて誤植が多く、かろうじて演奏できるレベル」と嘆いている。そして一連の修正が反映された第2版が作曲家の晩年となる1889年に出版された。苦悶(くもん)のなかに強靭(きょうじん)な意志を感じさせる道程である。
作品と第1~2楽章には広大なロシアの冬の情景を喚起する表題がつけられている。第2楽章をのぞき、セクションごとに総休止が入るのがおもしろい。第1楽章〈冬の旅の幻想〉はソナタ形式で第1主題を核としたダイナミックな構成。再現部冒頭、半音で重なるホルンはやがて霧が晴れていくように響く。第2~4楽章には自作の旋律も応用されている。第2楽章〈憂鬱の地、霧の地〉は序奏を経て、物悲しげな第1主題と、ここから派生した牧歌的な第2主題が交互に登場する。第3楽章はスケルツォ。弱拍アクセントの独特なリズムをもつ軽快な舞曲風主題と中間部のワルツ風主題の対照が妙。第4楽章はソナタ形式で、序奏と第2主題にはおそらくロシア民謡《私は花の種を蒔(ま)こうかしら》が引用されている。明るく勇壮な第1主題にはフガートのエピソードが続き、展開部はこのフガートで始まる。コーダでは第2主題の調べで大団円に至る。
(中田朱美)
演奏時間:約44分
作曲年代:1866年3月~1868年2月、1874年、1883年以後
初演:[第3楽章のみ]1866年12月22日(ロシア旧暦10日)、モスクワ、ロシア音楽協会モスクワ支部交響楽演奏会、ニコライ・ルビンシテイン指揮 [第2、3楽章のみ]1867年2月23日(同旧暦11日)、サンクトペテルブルク、ロシア音楽協会サンクトペテルブルク支部交響楽演奏会、アントン・ルビンシテイン指揮[全曲初演]1868年2月15日(同旧暦3日)、モスクワ、ロシア音楽協会モスクワ支部交響楽演奏会、ニコライ・ルビンシテイン指揮 [1874年稿初演]1883年12月1日(同旧暦11月19日)、モスクワ、ロシア音楽協会モスクワ支部交響楽演奏会、エルトマンスデルファー指揮
ARTISTS出演者
指揮トゥガン・ソヒエフ
ロシアのウクライナ侵攻後、トゥガン・ソヒエフは、2008年から音楽監督を務めていたトゥールーズ・キャピトル管弦楽団の役職と2014年に就任したモスクワのボリショイ劇場の音楽監督兼首席指揮者の座を自らの意思で退いた。
1977年、旧ソビエト連邦・北オセチアのウラジカフカスで生まれたソヒエフは、サンクトペテルブルク音楽院で伝説的な名教師ムーシンとテミルカーノフに指揮法を師事。1999年にプロコフィエフ国際コンクール指揮部門で最高位(第1位なしの第2位)を得て注目を集め、マリインスキー劇場での仕事を通じてゲルギエフの薫陶も受けている。コンサートとオペラの両分野で活躍し、ロシアの作品ではインパクトに富んだアプローチを繰り広げ、フランス音楽の指揮ぶりにも定評がある。また、2012年から2016年まで音楽監督兼首席指揮者を務めたベルリン・ドイツ交響楽団では、ドイツ系の作品でオーケストラを重厚に響かせるなど、40代半ばでありながら、多彩なひきだしを備えたマエストロである。
N響とは、2008年10月に初めて共演、2013年11月定期公演に初登場。以来、たびたび共演を重ねており、ロシア音楽だけでなく、ドイツ音楽、フランス音楽、さらには武満徹を取り上げている。近年、息の合ったコンビネーションを発揮しているだけに、今回の共演にも大いに期待したい。
[満津岡信育/音楽評論家]
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:モリコーネ(御法川雄矢編)/ガブリエルのオーボエ(映画『ミッション』から)
カプースチン/弦楽四重奏曲 第1番 作品88─第4楽章
久石 譲(御法川雄矢編)/君をのせて(映画『天空の城ラピュタ』から)
出演者
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料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,400円 | 6,500円 | 5,200円 | 4,200円 | 3,200円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
定期会員券
発売開始日
年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]
シーズン会員券 10月19日(水)11:00am
[定期会員先行発売日: 10月13日(木)11:00am]
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
主催:NHK / NHK交響楽団
※CプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※C-1の開演時刻は7:30pmとさせていただきます