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定期公演 2022-2023シーズンAプログラム
第1968回 定期公演 Aプログラム

※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。

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ABOUT THIS CONCERT特徴

「ショスタコーヴィチは自分だ」と豪語する井上。その言葉をまざまざと証した2016年の《第12番》、2019年の《第11番》の迫真の名演を経て、いよいよ最高傑作との呼び声も高い《第10番》は、井上がライフワークとしてきたショスタコーヴィチの集大成となるだろう。他方、ショスタコーヴィチと伊福部の意外な組み合わせは、2020年12月のコンサートでその面白さを実証済みだ。井上とN響の両者が納得のいく選曲での「完全燃焼」を期待したい。(千葉 潤)

PROGRAM曲目

伊福部 昭/シンフォニア・タプカーラ

「すべての芸術はその民族の特殊性を通過して共通の人間性に到達する」─これほど端的に伊福部昭(1914〜2006)の芸術観を表す言葉はないだろう。9歳からの3年間、北海道・音更(おとふけ)で接したアイヌの人々の歌と踊りが彼の音楽性の根本を形成したとすれば、それを芸術へと練り上げるモデルとなったのは、ストラヴィンスキーやファリャなど、ヨーロッパ周辺出身の作曲家たちだった。西欧的な主題展開を拒否したモザイク的な形式、息の長い旋律、執拗(しつよう)なオスティナートといった伊福部独特の音楽語法のエッセンスは、アイヌの立ち踊りにちなんで名づけられた交響曲《シンフォニア・タプカーラ》に凝縮されている。
第1楽章 レント・モルト、ニ短調─アレグロ、8分の4+3拍子。堂々とした冒頭の旋律が次第にテンポを上げてアレグロ主部に成長する。やがて、独奏トランペットによる息の長い第2主題、どっしり足踏みするような第3主題と入れ替わりながら進み、ホルンとチェロのカデンツァを挟んで、アレグロで締めくくられる。
第2楽章 アダージョ、8分の6拍子。ハープが奏するオスティナートを軸に、伊福部ならではの茫洋(ぼうよう)とした旋律が歌われる。イングリッシュ・ホルンの独奏で始まる中間部では、随伴する短いオスティナート音型がやがて激しい感情の爆発を導き出す。
第3楽章 ヴィヴァーチェ、4分の4拍子。騒然とした序奏につづき、主部では4拍子の陽気な踊りと3拍子+2拍子の陰りのある踊りが交替しながら進む。中間部ではまず独奏オーボエが奏する新しい主題がカノンを織りなし、さらにいくつかのエピソードが不規則に交替しながら成長を遂げる。主部再現ののち、これまでのエピソードが畳みかけるように盛り上げる最後は圧巻である。

(千葉 潤)

演奏時間:約31分
作曲年代:1954年、《タプカーラ交響曲》として作曲。1979年に改訂、《シンフォニア・タプカーラ》に改題
初演:[初稿版]1955年1月26日、ファビアン・セヴィツキー指揮、インディアナポリス交響楽団、インディアナポリスにて [改訂版]1980年4月6日、芥川也寸志指揮、新交響楽団、東京にて

ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番 ホ短調 作品93

1953年3月5日、奇(く)しくもプロコフィエフと同日にスターリンが死去する。厳しい批判を浴びた前作から8年間の雌伏の時を経て、ドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906〜1975)が満を持して発表したのが《交響曲第10番》である。同年末の初演は、長らく停滞したソ連作曲界の「雪どけ」に向けての決定的な一歩となり、《第5番》によって確立されたショスタコーヴィチの純器楽的な交響曲シリーズは、この曲で頂点を極めることになった。
この作品では、これまで彼が駆使してきたさまざまな表現イディオム(ユダヤ音楽、音名象徴、引用やほのめかし)が暗号のように張り巡らされる一方、楽章をまたいだ主題動機の回想や予告によって全体は幾重にも関連付けられており、魅力的な語り口とその意味の広がりは、浅薄な解釈を寄せ付けない。こうした謎めいた音楽の在り方こそ、まさにスターリン体制との紆余曲折(うよきょくせつ)のなかでショスタコーヴィチが練り上げてきたものであり、これ以降、彼がこのような様式に戻ることはなかった。抑圧的な体制の下で、時代と個人の真実を体現してきたショスタコーヴィチの交響曲だが、「歴史は繰り返す」の言葉どおり、作曲者が生きた体制や時代を越えて、その響きはますます現代の聴衆の共感を呼んでいる。
 第1楽章 モデラート、ホ短調、4分の3拍子。一貫して中庸なテンポによるソナタ形式。深く陰影に富んだ序奏、クラリネットが歌う叙情的な第1主題、拍子のずれたワルツのような第2主題の3つの主題が、長大な楽章を途切れることのない緊張の糸で貫徹する。展開部では、性格を極端に変容させた主題が重厚な対位法を織りなしながら、悲劇的クライマックスに向けて冷徹に歩みを進める。第1主題の再現かと思わせて第2主題に入れ替わる意味ありげな演出効果が絶妙だ。
第2楽章 アレグロ、変ロ短調、4分の2拍子。前楽章とは対照的に、疾風怒濤(しっぷうどとう)のように走り抜けるスケルツォ。冒頭の主題は、為政者の悲劇を描くムソルグスキー《ボリス・ゴドノフ》の序奏に類似しているが、クライマックスでトロンボーンが主題を再現する様は、むしろ《はげ山の一夜》を彷彿(ほうふつ)させる。引用やほのめかしを得意とするショスタコーヴィチならではの音楽である。
第3楽章 アレグレット、ハ短調、4分の3拍子、ロンド・ソナタ形式。舞曲風エピソードの動機はショスタコーヴィチの音名象徴(レミ♭ドシ)、中間部のホルン主題は、この時期に親密な関係にあった女性エリミーラの音名象徴(ミラミレラ)である(彼女宛ての手紙でショスタコーヴィチは、この主題が敬愛するマーラーの《交響曲「大地の歌」》の冒頭主題に類似していること、この主題が死や別離を意味する不幸の象徴であることを説明している)。中間部での第1楽章回想や第4楽章予告を経て、後半は2人の名前が織りなす激しい展開部となる。
第4楽章 アンダンテ、8分の6拍子、ロ短調─アレグロ、4分の2拍子、ニ長調、ソナタ形式。展開部のクライマックスで第2楽章の威嚇的な音楽が回帰するが、トゥッティによるショスタコーヴィチの音名象徴によって圧倒される。ユーモラスなファゴットの主題再現を経て、コーダでは、この音名象徴が勝ち誇るように何度も連呼される。

(千葉 潤)

演奏時間:約55分
作曲年代:主要な作曲時期は1953年6月から10月にかけて。第1楽章の完成は8月5日、第4楽章の完成は10月25日
初演:1953年12月17日、エフゲーニ・ムラヴィンスキー指揮、旧レニングラード・フィルハーモニー交響楽団、旧レニングラードにて

ARTISTS出演者

井上道義さんの画像 指揮井上道義

1946年東京生まれ。桐朋学園大学にて齋藤秀雄に師事。1971年ミラノ・スカラ座主催グィド・カンテルリ指揮者コンクールで優勝し、世界的な活躍を開始した。国内では、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督、京都市交響楽団音楽監督、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督(現・桂冠指揮者)を歴任。海外では、シカゴ交響楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団などの著名楽団と共演を重ね、ニュージーランド国立交響楽団首席客演指揮者も務めた。
2007年には日露5つの楽団とともに「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」を実施して大成功を収めた。2014年4月、病に倒れるも、同年10月に復帰。2015年と2020年に野田秀樹演出《フィガロの結婚》、2017年に大阪国際フェスティバルでバーンスタイン《ミサ》、2019年に森山開次演出《ドン・ジョヴァンニ》の総監督として唯一無二の舞台を創造した。だが昨年11月、自身のブログで2024年末での引退を宣言。今後は毎回がより貴重な演奏となる。
N響では1978年5月の初共演以来、海外での演奏を含む70公演以上を指揮。今年のN響「第9」にも登壇予定だ。得意とする伊福部昭、ショスタコーヴィチの傑作交響作品が並んだ今回のプログラムには、ひときわ大きな期待が集まる。

[柴田克彦/音楽評論家]

MOVIEムービー

【マエストロ・メッセージ】井上道義/11月N響定期公演Aプログラム

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TICKETチケット

定期公演 2022-2023シーズン
Aプログラム

第1968回 定期公演
Aプログラム

NHKホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2022年8月4日(木)11:00am
定期会員について

一般発売日:2022年8月7日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 8,900円 7,400円 5,800円 4,700円 3,700円 2,000円
ユースチケット 4,000円 3,500円 2,800円 2,100円 1,500円 1,000円

※価格は税込です。
ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

(要登録)

WEBセレクト3+

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になるチケットです。

WEBチケットN響のみでの発売となります

お問い合わせ・
お申し込み

N響ガイド TEL:0570-02-9502

WEBチケットN響

BROADCAST放送予定

EテレEテレクラシック音楽館
「第1968回 定期公演 Aプログラム」

2022年12月18日(日) 9:00PM~11:00PM

曲目: 伊福部 昭/シンフォニア・タプカーラ
ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番 ホ短調 作品93

指揮:井上道義

収録:2022年11月12日 NHKホール

配信でもご覧いただけます

NHKオンデマンド

※動画配信サービス(有料)/配信期限有り

NHKプラス

※同時配信サービス・登録制/放送後から7日間見逃し番組配信も行われます

主催:NHK / NHK交響楽団

※AプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※A-2の開演時刻は2:00pmとさせていただきます

終演時のカーテンコールの撮影について

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