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- 第1966回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。
ABOUT THIS CONCERT特徴
進むべき方向が定まらぬままに何でも試してみる、おもちゃ箱みたいな「初期作品」もある。フランツ・シューベルト(1797~1828)でいえば室内楽やピアノ・ソナタがそうだ。いっぽう、はっきりした「型」に折々のしらべを注ぎ込んでゆく、当初から完成度の高いジャンルもある。交響曲がそれだ。
シューベルトの初期交響曲とよばれるのは、最初の6作である。めぐまれた環境で、16歳から21歳までほぼ毎年生まれたシンフォニーたち─本日はその第一作と最終作の取り合わせ。仲間たちと奏でられた、憂いなき響きをお楽しみいただこう。(堀 朋平)
PROGRAM曲目
シューベルト/交響曲 第1番 ニ長調 D. 82
シューベルトの少年時代は、ウィーンの花盛りにあたる。5つの劇場で芝居やオペラがぜいたくに上演されていた。巨星ベートーヴェンは新作を矢継ぎ早に発表し、他界して年も浅いハイドンとモーツァルトの音楽も街を賑(にぎ)わせていた。そんな帝都の市内に建つ帝室寄宿学校(コンヴィクト)では、生徒たちによるオーケストラがオペラ序曲の編曲や交響曲をのびのび響かせていた。このめぐまれた環境のなか、11歳の少年は聖歌隊で清らかなソプラノを歌いつつ、やがて学内オーケストラを支える存在となる。さまざまなジャンルを自在に吸収しつつ、“仲間と奏でる”音楽が培(つちか)われていったのだ。
声変わりを迎えてコンヴィクトを巣立ったその年に、16歳で初の交響曲が生み出される。上にあげた大先輩たちを完璧なバランス感覚で模倣しつつも、劇場から出てきたような管楽器の声も鳴り響く、じつにみずみずしいデビュー作だ。とはいっても出版や公の上演がめざされることはなく、パトロンが提供してくれる広い屋敷に最大で30人ほどのアマチュアが集まって合奏した。訪れる人も気軽にそれを愉しんでいたようだ。シューベルトがタクトをとる機会もあっただろう。
お気に入りだったベートーヴェンの《第2番》に通じるほがらかな第1楽章では、2本のトランペットによるスリリングな高音が後半できわだつ。シューベルトは管楽器の扱いには総じて穏健だったが、ここにはふつうの作曲家は(ベートーヴェンすら)まず書かない、例外的な声が聴こえてくる。ちょうど声変わりを迎えた少年の叫びだろうか。
おだやかな第2楽章は、モーツァルトの《第38番「プラハ」》(1786)をさらっと、だがはっきり引用している。メヌエットの第3楽章はオーストリアの田舎の踊り(レントラー)。ハイドンの様式をふまえた、もっとも伝統的な楽章といえよう。第4楽章では、小気味よいリズムにのって第1楽章のテーマを回想することで、約30分のドラマが円満にまとめあげられている。
(堀 朋平)
演奏時間:約29分
作曲年代:1813年10月28日完了
初演:1881年2月5日ロンドン。ただし作曲後ただちにウィーンで、なかばプライベートな環境で上演されたこ とは間違いない
シューベルト/交響曲 第6番 ハ長調 D. 589
みずみずしいデビュー作からおよそ5年、初期交響曲を閉じる《第6番》は、21歳の誕生日を少し過ぎたころに完成をみた。この間に、劇作品が6つも手がけられている。おりしもウィーンの劇場では毎週のようにロッシーニのオペラが喝采(かっさい)をあびていた。シューベルトもこのジャンルで成功して名を売るためにロッシーニ作品をいくつも観劇して称賛しつつ─ただし醒(さ)めた批判も忘れず─オペラ作曲家への道を邁進(まいしん)していたのだ。こうして南国のしらべは器楽にも流れ入り、かたい交響曲の型をたのしげな熱風で溶かしていた。この柔軟な陽気さは、古典派の模範たる《第1番》のあとでは、いちだんときわだってくるだろう。
ほかの交響曲に見られない最大のポイントは、管楽器による豊かな歌いかわしである。早くも初演のようすは「おびただしく吹きすさぶオーケストラに、弦楽器は従属しているようだった」と報じられている。そんな特徴を誇っていたのだろう、自筆譜には「大ハ長調交響曲(Große Sinfonie in C)」という堂々たるタイトルが記されている。おもえば、もっとも原初的な「ハ長調」にこれほど多彩な声をもりこむ交響曲は、モーツァルトの《ジュピター》(1788)以外には存在しない。7年後(1825~1826)になるとこの志向は、もうひとつの「大ハ長調=ザ・グレート」(《第8番》)となって結実することになる。
第1楽章 オペラの牧歌シーンのような序奏と、笑いさざめくテーマ(フルート+オーボエ)で始まる。これだけでもう前作までの、いや古典派の王道から大きくはずれている。
第2楽章 トランペットとティンパニに注目。静かな楽章ではふつう休んでいる楽器だ。このぶあつい緩徐楽章のスタイルは、のちの《大ハ長調》に受け継がれる。
第3楽章 はじめて「メヌエット」ではなく「スケルツォ」と表記された意欲作。ベートーヴェン《第1番》の第3楽章を模しながら、未曽有(みぞう)の規模に拡大されている。
第4楽章 どちらかというと緩徐楽章のスタイルではじまったメロディが、大きく渦巻きながら高揚してゆく。まるでオペラのフィナーレのような終楽章である。
(堀 朋平)
演奏時間:約27分
作曲年代:1817年10月に着手、翌年2月に完成
初演:1828年12月14日、ウィーンのレドゥーテンザールにて。ただし作曲後ただちにウィーンで、なかばプラ イベートな環境(パトロンであったハトヴィヒの邸宅)で上演されたことは間違いない
ARTISTS出演者
指揮ヘルベルト・ブロムシュテット
1927年生まれ、90代も半ばに差し掛かってきたブロムシュテットは、文字通りN響ともっとも強い絆(きずな)で結ばれてきたマエストロだ。初共演は1981年。それからは2年空くことはほとんどなく、隔年もしくは毎年のように来日してきた。独墺圏を中心とする王道レパートリーは言わずもがな、近年は北欧の作曲家も積極的に取り上げている(今回はBプログラムのグリーグとニルセン)。互いの音楽を知り尽くしたN響との共演は毎回深々とした感動を残し、まさに伝説が生まれる場所となっている。
ピアニストの母、牧師の父の間に生まれ、北欧で指揮者としてキャリアをスタートさせた。深い信仰を持ったこの音楽の伝道師は、1975年に長らく空席の続いていたドレスデン国立歌劇場管弦楽団の首席指揮者に就任してからは同団の黄金時代を築き、同時に自らの名声を世界に広げていく。旧東独政府の芸術への関与を嫌い、1985年にはサンフランシスコ交響楽団の音楽監督に就任(~1995)、さらに北ドイツ放送交響楽団(現NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団、1996~1998)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1998~2005)を率いた。その後は固定ポストを退いてはいるが、現在に至るまでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする世界中の名門オーケストラを指揮し続けている。N響は1986年に名誉指揮者、2016年には桂冠名誉指揮者の称号を贈っている。
[江藤光紀/音楽評論家]
フィルハーモニー10月号(PDF)
出演者プロフィール、曲目解説等をご覧いただけます。
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:シューベルト/弦楽四重奏曲 第6番 ニ長調 D. 74─第3楽章、第4楽章
出演者
料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,400円 | 6,500円 | 5,200円 | 4,200円 | 3,200円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
定期会員券
発売開始日
年間会員券/シーズン会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
主催:NHK / NHK交響楽団
※CプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※C-1の開演時刻は7:30pmとさせていただきます