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定期公演 2022-2023シーズンAプログラム
第1965回 定期公演 Aプログラム

※本公演は休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。

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ABOUT THIS CONCERT特徴

この作品は3重の意味で「辞世の歌」である。第1に、死を目前にしたグスタフ・マーラー(1860~1911)最後の完成作だということ。第2に、ウィーン古典派以来のドイツ/オーストリア交響曲文化を総括する作品だということ。そして第3に、第1次世界大戦によってほどなく崩れ落ちる運命にあったヨーロッパ・ベルエポックへの哀歌だということ。ブロムシュテットは2010年にもN響と本作品の超絶的名演を残した。本公演が一期一会のものとなることはまちがいない。(岡田暁生)

PROGRAM曲目

マーラー/交響曲 第9番 ニ長調

この作品は「死へ向けたひとつの吐息」である。この「息」は、第1楽章でさまざまに変奏されて広がり、深まり、最後は薄くなり、第2・3楽章における哄笑(こうしょう)や痙攣(けいれん)のモンタージュをはさんで、第4楽章で再び波のように寄せてかえし、そして消える。「提示部」や「展開部」といった楽章内の各セクションはもちろん、「第1楽章」や「第2楽章」といった枠すら、作品構成にとってかりそめのものだ。何より重要なのは、楽章を貫いて生成する絶えまない動機変奏を聴きとることである。連想の網目がはりめぐらされて密度を増し、やがて分解されていく。本作品が「死」を連想させずにおかないとすれば、それは生成と分解のこのプロセスが生命の営みそのものと聴こえるからであろう。
当然ながら本作品では、楽章を超えて無数の動機関連の糸が張られている。例えば第1楽章冒頭のため息のような2度下行(《大地の歌》の最後の別れのモティーフを引き継いでいる)。このモティーフは細胞分裂のようにどんどんヴァリアントを生み出す。「色」の連想も重要だ。構造的に同じものが、あるときは弦楽器でやさしく、あるときは金管の金切り声に、あるときはハープによる最後の時を告げる鐘へと変貌する。そして同じモティーフが、第2楽章でも唐突に戻ってくる。第1楽章の深い内面の物語とは対照的に、第2楽章はマーラーに独特の「意図的に愚劣に作られた音楽」といっていいだろうが、そこに急にため息のモティーフが戻ってくる。それはまるで、今日も繰り広げられる能天気な日常の営みを前に、「死にゆく私」が諦(あきら)めのため息をつく、といった風である。
第3楽章と第4楽章におけるターン音型も重要である。第3楽章で錯乱したように繰り返されるこの音型は、途中で突如として天国からの呼びかけのようなトランペットに変貌(へんぼう)する。悪魔が天使に姿を変える。やがて第4楽章へ引き継がれ、感動的なフィナーレの中心モティーフとなる。楽章の終わりで息が絶えそうな弱音のチェロ独奏が、このモティーフの反転型をかなでることも聴き落としてはならない。下行する吐息のようだった音型が上行型になる。帰依と微かな希望が見える。そして作品は閉じられるのだ。「死」といえば、第1楽章や第4楽章のとりわけ終わりにおける、徐々に体温が低くなっていくような薄いテクスチャーについてアルバン・ベルクは、「極めて希薄な空気─山々のはるか上方」と呼んだ。それは血肉ある本来の「音楽」の亡霊のようなものだ。魂は肉体を離れ影の世界にはいっていく。かつてレクイエムがそうであったように、本作は死の世界との交感であり、曲が閉じられたあとのブラボーがどうやっても寒々しくなってしまうのも、そのせいである。
ワルターによる初演はマーラーの死後、当時始まったばかりだったウィーン音楽週間の一環として楽友協会ホールで行われ、プログラム前半にはハイドンの《交響曲第95番ハ短調》が置かれていた。
(岡田暁生)

演奏時間:約80分
作曲年代:1909年夏から1910年4月にかけて
初演:1912年6月26日、ブルーノ・ワルター指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による

ARTISTS出演者

ヘルベルト・ブロムシュテットさんの画像 指揮ヘルベルト・ブロムシュテット

1927年生まれ、90代も半ばに差し掛かってきたブロムシュテットは、文字通りN響ともっとも強い絆(きずな)で結ばれてきたマエストロだ。初共演は1981年。それからは2年空くことはほとんどなく、隔年もしくは毎年のように来日してきた。独墺圏を中心とする王道レパートリーは言わずもがな、近年は北欧の作曲家も積極的に取り上げている(今回はBプログラムのグリーグとニルセン)。互いの音楽を知り尽くしたN響との共演は毎回深々とした感動を残し、まさに伝説が生まれる場所となっている。
ピアニストの母、牧師の父の間に生まれ、北欧で指揮者としてキャリアをスタートさせた。深い信仰を持ったこの音楽の伝道師は、1975年に長らく空席の続いていたドレスデン国立歌劇場管弦楽団の首席指揮者に就任してからは同団の黄金時代を築き、同時に自らの名声を世界に広げていく。旧東独政府の芸術への関与を嫌い、1985年にはサンフランシスコ交響楽団の音楽監督に就任(~1995)、さらに北ドイツ放送交響楽団(現NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団、1996~1998)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1998~2005)を率いた。その後は固定ポストを退いてはいるが、現在に至るまでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする世界中の名門オーケストラを指揮し続けている。N響は1986年に名誉指揮者、2016年には桂冠名誉指揮者の称号を贈っている。
[江藤光紀/音楽評論家]

フィルハーモニー10月号(PDF)
出演者プロフィール、曲目解説等をご覧いただけます。

TICKETチケット

定期公演 2022-2023シーズン
Aプログラム

第1965回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
Googleマップ
座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2022年8月4日(木)11:00am
定期会員について

一般発売日:2022年8月7日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円 2,800円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

定期会員券
発売開始日

年間会員券/シーズン会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

(要登録)

WEBセレクト3+

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になるチケットです。

WEBチケットN響のみでの発売となります

お問い合わせ・
お申し込み

N響ガイド TEL:0570-02-9502

WEBチケットN響

主催:NHK / NHK交響楽団

※AプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※A-2の開演時刻は2:00pmとさせていただきます

終演時のカーテンコールの撮影について

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