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- 第1963回 定期公演 Cプログラム
※休憩のない、60分~80分程度の公演となります。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
※ご来場の際には感染症予防対策についてのご案内を必ずお読みください。
ABOUT THIS CONCERT特徴
2022年9月Cプログラム 聴きどころ
85年という長い生涯を歩んだリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)。父親の影響のもとに絶対音楽(器楽曲)を手がけ、やがて交響詩・オペラといった標題音楽の世界へと足を踏み入れたのち、最晩年にふたたび器楽曲の世界へと戻ってきた。短いモティーフから楽曲全体を組み立てる作曲家の技法はどの作品、どの時代にも共通し、職人としての腕の確かさは一貫して衰えることがなかった。若年、壮年、晩年、それぞれの代表作から、シュトラウスならではの作曲技法の冴(さ)えを感じ取れるだろう。(広瀬大介)
PROGRAM曲目
R. シュトラウス/交響詩「ドン・フアン」作品20
若き日のシュトラウスは、1885年6月、フランクフルトで指揮者ハンス・フォン・ビューローと、パウル・ハイゼの戯曲《ドン・フアンの最期》を観劇した、という記録がある。1888年初頭から、このプレイボーイを題材にとった新しい管弦楽作品の作曲が進められた。1889年11月11日、《ドン・フアン》と題された新作は、ワイマール宮廷劇場管弦楽団にて、作曲家自身の指揮によって初演された。
もっとも、シュトラウスが総譜の冒頭に掲げたニコラウス・レーナウの叙事詩『ドン・ジュアン』からの3か所の引用には、具体的な物語は含まれておらず、それは単に主人公の人生哲学に過ぎない。だが、音楽には精力的な主人公の描写に続き、女性との愛の場面(2か所)、仮面舞踏会の場面、決闘で剣を投げ棄て、胸への一突きで死を受け容れるといった標題的な場面も描かれている。
シュトラウスはレーナウの引用から、実際のドン・フアンの死を表す詩句を2行分削っている。音楽で描かれるドラマ的な具体的内容を詩と結びつけることを、敢(あ)えて回避したのだろう。ドン・フアンのテーマにホ長調(ハ長調)、愛のテーマにロ長調(嬰ハ長調)、エピソード的に差し挟まれるト長調/ト短調 、死を描くホ短調、という調関係の枠組みが先に作られ、その枠組みのなかでソナタ形式に従って推進していく音楽は、標題にとらわれぬ、器楽的に自立した新しい交響詩の在り方を示している。
(広瀬大介)
演奏時間:約17分
作曲年代:1888年初頭~9月30日
初演:1889年11月11日、ワイマール宮廷劇場管弦楽団、作曲家自身の指揮
R. シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調
シュトラウスが第2次世界大戦期に作曲した《ホルン協奏曲第2番》(1942)、《変容》(1945)、そして《オーボエ協奏曲》には、戦争と人道的犯罪への抵抗を示しつつ、同時に新たな時代を志向した作曲家の精神が息づいている。終戦後の1945年7月6日、シュトラウス邸を訪れた米軍兵士でオーボエ奏者のジョン・ド・ランシーによるオーボエ作品の作曲の勧めには、はっきり「否」と応えたシュトラウスではあったが、その3か月後には前言を翻(ひるがえ)し、協奏曲の作曲を短期間で終わらせる。作曲家はアメリカでの初演権をド・ランシーに与えようとしたが、所属するフィラデルフィア管弦楽団では第2奏者だったため、ド・ランシー自身が本作を演奏できたのは30年以上も後のことだった。
ごく短い伴奏音型が2度繰り返されたあとに突然始まるオーボエの独奏、という第1楽章の始まり方、そのオーボエに絡むヴィオラ独奏の扱いなどに、晩年のシュトラウスらしい闊達(かったつ)な筆さばきがあらわれる。このあとに続く主要主題が全楽章にわたってさまざまに変容して全体を統一する。第1ヴァイオリンに続いてオーボエ独奏が奏する中間部の主題のひとつが《変容》で用いられた主題に似ているのは、決して偶然ではないだろう(その後も登場)。休みを挟まずにそのまま移行する第2楽章冒頭も第1楽章冒頭の伴奏音型に導かれて始まる。第3楽章のカデンツァ後から、テンポはヴィヴァーチェからアレグロへと徐々に穏やかに。闇(やみ)から光明へと流れるような、しなやかな音楽によって、シュトラウスは次世代への希望の灯(ともしび)をつないだ。
(広瀬大介)
演奏時間:約25分
作曲年代:1945年10月
初演:1946年2月26日、チューリヒにて、マルセル・サイエ独奏、フォルクマー・アンドレーエ指揮、チューリヒ・ トーンハレ管弦楽団
R. シュトラウス/歌劇「ばらの騎士」組曲
20世紀に作られたオペラのなかでも、おそらく最高の人気と上演回数を誇るであろうシュトラウスの《ばらの騎士》。物語の舞台は18世紀のウィーン。陸軍元帥であるウェルデンベルク侯爵の夫人は、若い愛人のオクタヴィアンと情熱的な愛の一夜を明かす。そこへ、田舎からやってきたオックス男爵が登場し、商人の娘ゾフィーと婚約するために(そしてその財産を手に入れるために)、ウィーンへやってきたと告げる。オクタヴィアンは婚約の誓いである「銀のばら」を届ける「ばらの騎士」の役を担うこととなるが、当のゾフィーに一目惚(ぼ)れ。元帥夫人は、若い2人の前途を祝して2人を結びつけ、自らの恋にも幕を引く。
第1幕最後の元帥夫人の別れの決断、そして第3幕最後の女声三重唱により、これまでどれだけ多くの観客の紅涙が絞られたことだろう。
1911年の初演直後から、オペラの聴きどころを集めたオーケストラ組曲がさまざまに編曲され、シュトラウス自身も2種類のワルツ・メドレーを編曲した。また、1925年には映画伴奏音楽まで手がけている。今日もっぱら演奏されるのは、1945年に出版された、これらとは別の「組曲」だが、どのような資料をみても、それがシュトラウス自身の編曲なのかははっきり明示されていない。この編曲はポーランドの指揮者アルトゥール・ロジンスキによって、1933~1945年の間に、亡命先のロンドンでなされたもの「らしい」とされている。さらに、本作の総譜の筆跡により、編曲作業がシュトラウスではない他の誰かによって手がけられたことは確定的となった。実際の筋書きにほぼ沿った順番で音楽が並べられていることで曲全体の見通しがはっきりし、数ある組曲のなかでも本作がはるかに多い演奏回数を誇るまでに至った理由のひとつであろう。(広瀬大介)
演奏時間:約22分
作曲年代:[オペラ]1910年 [組曲(1945年)]1933~1945年編曲?
初演:[オペラ]1911年 [組曲(1945年)]ウィーン(コンツェルトハウス)、1946年9月28日。ハンス・スワロフス キー指揮
ARTISTS出演者
指揮ファビオ・ルイージ
1959年、イタリア・ジェノヴァ生まれ。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。
これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。
また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。
録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》の録音ではグラミー賞を受賞した。
N響とは2001年の初登場以来、9度にわたって共演している。2022年9月、N響首席指揮者就任。
オーボエエヴァ・スタイナー
エヴァ・スタイナーは1993年生まれのデンマークの若手オーボエ奏者である。9歳の時にコペンハーゲン音楽学校でオーボエを学び始め、15歳からはザンクト・アンネ・ギムナジウムでデンマーク王立管弦楽団のソロ・オーボエ奏者ヨアキム・ダム・トムセンに師事した。17歳からはデンマーク王立音楽院に学び、2009年にはベルリンスケ音楽コンクールで金メダルを受賞している。またエーレスンド・ソリスト・コンクールでは第2位を獲得した。2013年に南ユトランド交響楽団のオーボエ奏者となり、2014年にはデンマーク国立交響楽団の首席オーボエ奏者に就任、今日に至るまでこのポストにあり、同団の首席指揮者ファビオ・ルイージのもとで演奏している。ソロや室内楽などでも活発に活動しており、フルートのマリア・スタイナーとの姉妹デュオもよく知られている。N響初登場となる今回、彼女が披露するのはR. シュトラウスの《オーボエ協奏曲》。シュトラウス晩年の心境を綴(つづ)ったような味わいのあるこの曲を、気心の知れたルイージとの共演で彼女がどう表現してくれるのか楽しみである。
[寺西基之/音楽評論家]
フィルハーモニー9月号(PDF)
出演者プロフィール、曲目解説等をご覧いただけます。
PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽
開演前の室内楽
曲目:ジョゼフ・ジョンゲン/4本のチェロのための2つの小品 作品89─「伝説」「踊り」
出演者
MOVIEムービー
2022年9月からNHK交響楽団首席指揮者に就任し、9月定期公演[首席指揮者就任記念公演]に臨む、ファビオ・ルイージからのメッセージをお贈りします。
料金
S席 | A席 | B席 | C席 | D席 | E席 | |
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一般 | 7,400円 | 6,500円 | 5,200円 | 4,200円 | 3,200円 | 1,600円 |
ユースチケット | 3,500円 | 3,000円 | 2,400円 | 1,900円 | 1,400円 | 800円 |
※価格は税込です。
※ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
定期会員券
発売開始日
年間会員券/シーズン会員券 7月18日(月・祝)11:00am
[定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]
ユースチケット
25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)
主催:NHK / NHK交響楽団
※CプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※C-1の開演時刻は7:30pmとさせていただきます