※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。
ABOUT THIS CONCERT特徴
これぞドイツ・ロマン派 ブラームスとシューマンの 傑作を味わう
ロベルト・シューマンは作曲家であると同時に音楽評論を手がける文筆家でもありました。詩や小説などの文学作品や自分自身が思い描いた空想のイメージから着想を得た作品もたくさんあり、詩的で夢想的な性格は、シューマンの音楽を彩る大きな特徴となっています。今回取り上げる《ピアノ協奏曲》もそうした作品のひとつ。ロマン派時代にもてはやされた、ピアノの超絶技巧をこれでもかとみせつけるようなピアノ協奏曲とはひと味違い、幻想的で色彩豊かな響きが心をとらえて離しません。
今回は、シューマン作品で高い評価を受けるドイツ出身のピアニスト、マルティン・ヘルムヒェンをソリストに迎えます。確かなテクニックを持つヘルムヒェンだからこそできる知的なアプローチが楽しみです。 後半に演奏されるのはヨハネス・ブラームスの《交響曲第1番》。敬愛していたベートーヴェンの偉大な9曲の交響曲を受け継ぐかたちで、ブラームス43 歳の時に生み出されました。ベートーヴェンの《第 9》と同じ「苦悩から歓喜へ」というテーマを持っていますが、そこにはブラームス自身の奥底から湧き出てきたようなロマンティックな「歌」があふれています。
「これぞドイツ・ロマン派!」といえるこの 2 作品を、今、もっとも脂の乗っている注目の指揮者ダーヴィト・アフカムと、ドイツ音楽に絶対的な強みを見せるN響とのコンビで聴くことができる今回の演奏会。クラシック音楽の魅力をたっぷりと堪能できる、またとない機会となるでしょう。
( 室田 尚子/音楽評論家 )
PROGRAM曲目
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
ARTISTS出演者
指揮ダーヴィト・アフカム
1983年ドイツのフライブルク生まれ。フライブルク音楽大学、フランツ・リスト・ワイマール音楽大学で学び、「若き才能のためのベルナルト・ハイティンク基金」の第1号受賞者としてハイティンクのアシスタントを務めた。2008年ドナテッラ・フリック指揮者コンクール第1位。2010年ザルツブルク音楽祭ヤング・コンダクターズ・アワード第1回受賞者。2014年からスペイン国立管弦楽団のプリンシパル・コンダクター、2019年からはチーフ・コンダクター兼芸術監督を務めている。世界有数のオーケストラとの共演、また近年ではドレスデン国立歌劇場をはじめとするオペラ指揮でも高い評価を得ている。2018年以来N響にもたびたび登場。また、2019年東京・春・音楽祭でのワーグナー・シリーズ《さまよえるオランダ人》の好演は記憶に新しい。今回は、同世代でも傑出したバトン・テクニックと芸術性を持つアフカムによるシューマンとブラームス。ロマン派音楽の王道プログラムをどう表現するのか注目だ。
ピアノマルティン・ヘルムヒェン
1982年ベルリン生まれ。2001年クララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝。2006年「クレディ・スイス・ヤング・アーティスト賞」受賞。2024‒25シーズンではフランクフルト歌劇場管弦楽団のアーティスト・イン・レジデンスを務めている。これまでにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ほか世界の名だたるオーケストラと共演を重ねてきた。また、室内楽にも力を入れており、フランク・ペーター・ツィンマーマンとはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲録音を行っている。19世紀のピアノで録音したシューマンの小品集が2022年にリリースされ大きな話題となったが、今回は、そのシューマンによる《ピアノ協奏曲》をN響と初共演する。作品への知的なアプローチから得られる奥深い考察がヘルムヒェンの大きな特徴。ロマン派らしい堂々としたスタイルを持つシューマン唯一のピアノ協奏曲の本質を、きっと描き出してくれるにちがいない