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定期公演 2022-2023シーズンCプログラム
第1987回 定期公演 Cプログラム

※本公演は休憩がございません。開演後はお席にお着きいただけませんのでどうぞご了承ください。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、昨年、日本中でチャイコフスキーの《序曲「1812年」》の演奏を自粛する動きが起きたことは記憶に新しい。他方、古典オペラの新演出が作品のイメージを刷新するように、演奏を通して歴史的所産である音楽作品の意味や意義を読み直すことも可能だ。作曲から80年の時を経た今、独ソ戦の記憶を刻み込んだドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906~1975)の《第8番》は、我々に何を語りかけるのだろうか。
(千葉 潤)

PROGRAM曲目

ショスタコーヴィチ/交響曲 第8番 ハ短調 作品65

世界的な反ファシズム闘争の象徴となった《交響曲第7番「レニングラード」》(1941)から2年、《第8番》はスターリングラード戦の勝利を起点に、ソ連軍が攻勢に転じた1943年夏に約2か月で完成された。出来栄えに満足したショスタコーヴィチだったが、周囲が“《第7番》の続編”に寄せる期待からは大きく乖離(かいり)していたようだ。初演は冷たい反応で迎えられたのみならず、戦後における冷戦の始まりを背景に、ソ連国内のイデオロギー統制を再開したジダーノフ批判では、悲観主義・形式主義ゆえに演奏禁止処分を受けてしまう。ショスタコーヴィチの親友だった音楽学者ソレルチンスキーですら、“印象は絶大だが、その音楽は《第5番》や《第7番》に比べて格段に難しく辛辣だ”と語ったほどだった。
作曲者の表現によれば、全体は、1)アダージョ、2)行進曲、3)行進曲、4)葬送行進曲、5)パストラーレであり、第3楽章のトッカータ、第4楽章のパッサカリアを含め、バロック的な《ピアノ五重奏曲》(1940)の様式に近い。他方、全楽章は序奏動機によって統一され、第3楽章から第5楽章まで続けて演奏されるなど、交響曲としての一貫性や物語性も強固だ。強い印象を残すのは、両端楽章に登場するトゥッティの強烈なクレッシェンドであり、これがフィナーレを破局に導いたあと、音楽はひっそりと消えていく。当時、報道を通して戦地の惨状を頻繁に見ていたショスタコーヴィチにとって、これ以外の結論は不可能だったろう。いかに社会が戦意高揚を煽(あお)っても、真実を直視する芸術家は存在する。その勇気こそが、この力強い作品を生み出したことを忘れてはならない。
第1楽章 アダージョ、ハ短調、4/4拍子、序奏と第1主題(冒頭は《第7番》の有名な“侵攻のエピソード”と同じ)、5/4拍子による第2主題によるソナタ形式。展開部では叙情的な主要主題が金管中心の狂暴な行進曲と化し、胸を抉(えぐ)るような壮絶なドラマを繰り広げる。強烈なクレッシェンドで序奏が再現されたあと、緊迫した空気を一瞬で鎮静するイングリッシュ・ホルンのソロが効果的である。
第2楽章 アレグレット、変ニ長調、4/4拍子、スケルツォ風の行進曲。パロディを得意とした若き日のショスタコーヴィチが面目躍如する。楽章冒頭はリストの《ピアノ協奏曲第1番》、行進曲の主題前半は《ビア樽ポルカ》(戦前ドイツではフォックストロット《ロザムンデ》として愛好された)の仄(ほの)めかし、主題後半はショスタコーヴィチ自身が1938年に作曲したオリジナル版《ジャス組曲第2番》〈スケルツォ〉の転用である。他方、中間部の半音ずつ上下に広がっていく無機質な主題は、後年、作曲者が頻繁に用いることになる(《24の前奏曲とフーガ》フーガ15番、《交響曲第13番「バビ・ヤール」》など)。滑稽だった行進曲が次第に狂躁(きょうそう)の度を増し、やがて荒れ狂うフガートに至る再現部は、陽気な日常がいつの間にか恐ろしいファシズムへと変わっていく現代社会の見事なカリカチュアとなっている。
第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ、ホ短調、2/2拍子、3部形式。主部は機械的なトッカータであり(類似のアイデアは《交響曲第4番》第3楽章に見られる)、これにのって基本動機を変形した主題が爆弾さながらに下行する。独奏トランペットで始まる中間部は、軍隊行進曲または「ピオニール」(ソ連時代の少年団)のグロテスクなパロディだろうか。切迫したクレッシェンドが切れ目なく次楽章を導き出す。
第4楽章 ラルゴ、嬰ト短調、4/4拍子。殺伐としたトッカータにつづくのはパッサカリア形式の葬送行進曲であり、11回目の変奏のあと澄み切ったハ長調に到達する。
第5楽章 アレグレット、ハ長調、3/4拍子。ファゴットが朗らかにロンド主題を提示するが、展開部では大規模なフガートに発展し、やがて悲劇を呼び覚ますように第1楽章序奏が回帰する。次第に室内楽的なテクスチュアに移行しながら主題が再現され、最後は基本動機をつぶやきながら彼方へ消え行くように結ばれる(マーラー《大地の歌》やショスタコーヴィチ《交響曲第4番》のエンディングを彷彿(ほうふつ)とさせる)。
(千葉 潤)

演奏時間:約60分
作曲年代:1943年7月2日から9月9日
初演:1943年11月4日、エフゲーニ・ムラヴィンスキー指揮、ソ連国立交響楽団、モスクワにて

ARTISTS出演者

ジャナンドレア・ノセダさんの画像 指揮ジャナンドレア・ノセダ

1964年、イタリア・ミラノ生まれ。現在、“大統領のオーケストラ”と呼ばれるワシントンD. C. のナショナル交響楽団の音楽監督と、ルイージの後任としてチューリヒ歌劇場の音楽総監督を兼任し、コンサートとオペラの両分野で活躍しているマエストロである。マリインスキー歌劇場の首席客演指揮者、スペインのカダケス管弦楽団とBBCフィルハーモニックの首席指揮者、トリノ王立歌劇場の音楽監督などを歴任。BBCフィルを指揮したレスピーギ、カゼッラ、ダルラピッコラなど、注目すべきCDを数多くリリースし、首席客演指揮者を務めているロンドン交響楽団を指揮したロシアの作曲家のディスクも高く評価されている。レアなレパートリーも積極的に取り上げ、スコアに込められた機微を鮮やかに掘り起こしたうえで、しなやかな歌心とドラマを存分に引き出す手腕には脱帽するほかない。
ノセダは、2005年に初めてN響に客演して以来、たびたび共演を重ねてきた間柄である。今回のプログラムも、カゼッラの《歌劇「蛇女」からの交響的断章》の日本初演があるかと思えば、生誕150年の記念年を迎えたラフマニノフの意欲作《交響曲第1番》、そしてショスタコーヴィチの《交響曲第8番》など、いかにもノセダらしい多彩な演目が並んでいるのが魅力的だ。ノセダとN響の意欲的な取り組みに大いに期待したい。
[満津岡信育/音楽評論家]

PRE-CONCERT CHAMBER MUSIC PERFORMANCE開演前の室内楽

開演前の室内楽

曲目:ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏のための2つの小品(I エレジー/II ポルカ)

出演者

出演者の画像
ヴァイオリン
横溝耕一
出演者の画像
ヴァイオリン
森田昌弘
出演者の画像
ヴィオラ
中村翔太郎
出演者の画像
チェロ
藤森亮一

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TICKETチケット

定期公演 2022-2023シーズン
Cプログラム

第1987回 定期公演
Cプログラム

NHKホール
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座席表

1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2023年3月1日(水)11:00am
定期会員について

一般発売日:2023年3月5日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 7,400円 6,500円 5,200円 4,200円 3,200円 1,600円
ユースチケット 3,500円 3,000円 2,400円 1,900円 1,400円 800円

※価格は税込です。
ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。
※発熱等の体調不良時にはご来場をお控えください。
※適切な手指の消毒、咳エチケットにご協力ください。
※「ブラボー」等のお声掛けをされる際は、マスクの着用にご協力をお願いいたします。

定期会員券
発売開始日

年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
 [定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

シーズン会員券 2023年2月17日(金)11:00am
 [定期会員先行発売日:2023年2月14日(火)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

(要登録)

WEBセレクト3+

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になるチケットです。

WEBチケットN響のみでの発売となります

お問い合わせ・
お申し込み

N響ガイド TEL:0570-02-9502

WEBチケットN響

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第1987回 定期公演 Cプログラム」

2023年6月16日(金) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: ショスタコーヴィチ/交響曲 第8番 ハ短調 作品65

指揮:ジャナンドレア・ノセダ

収録:2023年6月16日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

※CプログラムはNHKホール改修工事の終了にともない、今シーズンより会場をNHKホールに戻して開催します
※C-1の開演時刻は7:30pmとさせていただきます

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