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定期公演 2022-2023シーズンBプログラム
第1988回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

ラフマニノフは、今年、生誕150年のメモリアルイヤーにあたる。《交響曲第1番》は、初演失敗後、時を経て復活再演された初期の代表作で、ロシア民謡風のフレーズなども含まれており、ラフマニノフが自身のルーツにも関心を寄せていたことがうかがえる。管弦楽書法の名手レスピーギは、バッハを、そしてグレゴリオ聖歌の世界を20世紀に装いも新たに蘇(よみがえ)らせた。こういった過去への眼差しに根ざした作品を名匠ノセダの指揮で味わう定期公演である。
(伊藤制子)

PROGRAM曲目

バッハ(レスピーギ編)/3つのコラール

オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)の名は、その名作「ローマ三部作」の作曲家として知られているのではないだろうか。壮麗で高度な管弦楽の名手としての顔に加えて、レスピーギは過去の音楽に独自の視点を加えて編曲、翻案したことでも知られている。イタリア音楽の豊かな伝統の上で、いかなる創作ができるかとレスピーギ自身が自問した結果ともいえよう。彼はローマのサンタチェチーリア音楽院の作曲科教授、院長を歴任したが、当地の図書館で膨大な過去の音楽資料に向き合う機会を得たのも功を奏した。
レスピーギが手掛けた編曲作品は未完や試作も含めて数多く存在し、モンテヴェルディやパイジェッロ、チマローザらのオペラからバッハ、ヴィヴァルディ、タルティーニ、ラモーといった作曲家の諸作品にまで及ぶ。その中には、本日の定期公演後半で取り上げられるラフマニノフ作品の編曲もある。《3つのコラール》はバッハのコラール前奏曲にもとづく編曲作品で、1930年に完成され、同年11月13日にトスカニーニ指揮のニューヨーク・フィルハーモニー交響楽協会で初演された。コラール前奏曲とは、プロテスタント教会でコラールを歌う前に演奏される短いオルガン作品をさし、バッハは数十曲書いている。レスピーギの編曲は、荘厳な第1曲〈きたれ、異教徒の救い主よ〉(BWV659)では弦とファゴットによるシンプルなものになっており、第2曲〈私の魂は主をあがめ〉(BWV648)では、木管の対話を浮かび上がらせている。第3曲〈目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ〉(BWV645)の原曲は、バッハが自身の《カンタータ第140番》から編曲した作品。よく知られた明朗な旋律が登場するので、聞き覚えのある方もいるのではないだろうか。レスピーギは金管を巧みに使い、華やかなオーケストラの響きを作り出している。
(伊藤制子)

演奏時間:約12分
作曲年代:1930年
初演:1930年11月13日、トスカニーニ指揮のニューヨーク・フィルハーモニー交響楽協会

レスピーギ/グレゴリオ風協奏曲*

レスピーギは、ヴァイオリン、ヴィオラ奏者としての顔をもち、一時サンクトペテルブルクで弦楽器奏者として活動していたこともあった。当地でリムスキー・コルサコフに管弦楽法を学んだことが、レスピーギが以後作曲するオーケストラ書法に少なからぬ影響をもたらしたと思われる。《グレゴリオ風協奏曲》はレスピーギのヴァイオリン協奏曲の中で、演奏機会に比較的恵まれている一曲である。イタリアでの協奏曲の系譜は、タルティーニ、パガニーニ、ヴィオッティらいわゆるヴィルトゥオーゾ系が少なくないが、レスピーギはそうした技巧面を強調するようなスタイルを指向していなかった。彼の協奏曲はソロの妙技を引き立たせるというよりも、ソロとオーケストラとが一体となった響きの織物のような様相を呈している。
1921年に書かれた《グレゴリオ協奏曲》は、レスピーギの過去の音楽への傾倒をうかがい知ることのできる1曲でもある。初演は1922年、旧知のヴァイオリン奏者マリオ・コルティのソロ、ベルナルディーノ・モリナーリの指揮によりローマで行われた。初演に反響はさほどなかったものの、同年出版され、ピアノ伴奏版も作成された。全体は3楽章からなり、ソロは宗教的感触に満ちており、全体は厳かで物憂い色調が濃厚である。第1楽章では教会旋法を用いたオーボエによる主題が提示され、中間部でもこの主題が展開される。再現部ののち、ソロによるカデンツァが入り、切れ目なく次の楽章に入る。第2楽章では敬虔(けいけん)な雰囲気もあるヴァイオリン・ソロ主題が軸になっており、大伽藍(だいがらん)のオルガンのような響きにも注目したい。「アレルヤ」の副題のついた第3楽章はロンド形式による。金管、そしてティンパニの活躍も目立ち、独奏とティンパニが巧みな掛け合いを繰り広げる部分も登場する。
(伊藤制子)

演奏時間:約33分
作曲年代:1921年
初演:1922年ローマ。マリオ・コルティのソロ、ベルナルディーノ・モリナーリの指揮による

ラフマニノフ/交響曲 第1番 ニ短調 作品13

セルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943)の家系は15世紀にまでさかのぼることのできる名門で、曾祖父や祖父、そして両親も音楽をたしなんでいた裕福な家柄だったものの、セルゲイの父の時代には没落していった。生地は鐘で有名なノヴゴロドの近郊セミョーノヴォ。ラフマニノフは幼い頃からロシアの文化的象徴である鐘の響きの中で育った。息子の才能を見抜いた母によって早くから充実した教育を受けたラフマニノフは、モスクワ音楽院を1892年に卒業。すでに《オペラ「アレコ」》や《幻想小曲集》で若き作曲家として注目されていた彼が、《交響曲第1番》に着手したのは、1895年1月のことであった。初演は1897年3月15日にサンクトペテルブルクで行われたが、作曲家キュイによる厳しい評が出るなど、大失敗となった。その真相について、指揮を担当したグラズノフの失態に起因する説があるが、音楽学者の一柳富美子氏は自著で、サンクトペテルブルク音楽界がラフマニノフに冷淡だったことが原因ではないかという説を紹介している。当時のサンクトペテルブルクでは、裕福な材木商で楽譜出版や演奏企画のスポンサーとして名を馳(は)せていたベリャーエフを中心とした派閥が楽界を牛耳っており、すでに海外でも注目されていたラフマニノフが疎まれ、初演失敗は既定路線だったのではないかという説だ。作曲者のショックは大きかったものの、この交響曲への深い愛着があったようで、ピアノ四手版もみずから用意していた。その後総譜が失われ、作曲者の死後、パート譜から復刻された版による再演が行われたのは、1945年10月17日のことだった。
初演の失敗はともかく、ラフマニノフらしい叙情味に、ロシア正教の旋法や民謡などを思わせる民族的な色彩が加わったこの交響曲は、復活再演後、広く知られるようになった。
全体は4つの楽章からなる。グラーヴェ─アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ニ短調、4/4拍子の第1楽章は、荘重な短い序奏に、ソナタ形式の主部が続くが、第1主題にはグレゴリオ聖歌《怒りの日》風のモティーフが見られる。展開部の対位法的書法にも注目である。第1楽章序奏部のモティーフが、以後の楽章冒頭でも回想のように姿を見せる。ロンド形式による第2楽章は、アレグロ・アニマート、ヘ長調、3/4拍子。第3楽章ラルゲットは変ロ長調、3/4拍子の3部形式で、ラフマニノフらしい息の長い甘美な旋律を織り込みながら、時折感情のたかぶりを表すかのように、展開する。第4楽章は、アレグロ・コン・フオーコ、ニ長調、4/4拍子で、3部形式。冒頭のファンファーレに象徴されるように、若きラフマニノフの情熱がみなぎるフィナーレである。
(伊藤制子)

演奏時間:約44分
作曲年代:1895年
初演:1897年3月15日、サンクトペテルブルク。グラズノフの指揮による

[アンコール曲]
6/21:バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 ― 第3曲 サラバンド BWV1004
6/22:バルトーク/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ BB124/Sz.117 ― 第3楽章 メロディア
(ヴァイオリン:庄司紗矢香)

ARTISTS出演者

ジャナンドレア・ノセダさんの画像 指揮ジャナンドレア・ノセダ

1964年、イタリア・ミラノ生まれ。現在、“大統領のオーケストラ”と呼ばれるワシントンD. C. のナショナル交響楽団の音楽監督と、ルイージの後任としてチューリヒ歌劇場の音楽総監督を兼任し、コンサートとオペラの両分野で活躍しているマエストロである。マリインスキー歌劇場の首席客演指揮者、スペインのカダケス管弦楽団とBBCフィルハーモニックの首席指揮者、トリノ王立歌劇場の音楽監督などを歴任。BBCフィルを指揮したレスピーギ、カゼッラ、ダルラピッコラなど、注目すべきCDを数多くリリースし、首席客演指揮者を務めているロンドン交響楽団を指揮したロシアの作曲家のディスクも高く評価されている。レアなレパートリーも積極的に取り上げ、スコアに込められた機微を鮮やかに掘り起こしたうえで、しなやかな歌心とドラマを存分に引き出す手腕には脱帽するほかない。
ノセダは、2005年に初めてN響に客演して以来、たびたび共演を重ねてきた間柄である。今回のプログラムも、カゼッラの《歌劇「蛇女」からの交響的断章》の日本初演があるかと思えば、生誕150年の記念年を迎えたラフマニノフの意欲作《交響曲第1番》、そしてショスタコーヴィチの《交響曲第8番》など、いかにもノセダらしい多彩な演目が並んでいるのが魅力的だ。ノセダとN響の意欲的な取り組みに大いに期待したい。
[満津岡信育/音楽評論家]

庄司紗矢香*さんの画像 ヴァイオリン庄司紗矢香*

昨秋もラハフ・シャニ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演でシベリウスの《協奏曲》を弾くなど、トップステージで音楽的な存在感を際立たせているヴァイオリニストだ。レスピーギの《グレゴリオ風協奏曲》も2021年夏、ロンドンのBBCプロムスで弾いている。
イタリア・シエナのキジアーナ音楽院でウート・ウーギ、リッカルド・ブレンゴーラに、イスラエルでシュロモ・ミンツに、ドイツ・ケルン音楽大学でザハール・ブロンに学び、1999年、ジェノヴァで開催された第46回パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少優勝を果たした。これまでにズービン・メータ、ユーリ・テミルカーノフの指揮で数多く協奏曲を披露。ジャナンドレア・ノセダともローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団などで共演している。CDも枚挙にいとまがなく、イタリアのピアニスト、ジャンルカ・カシオーリとはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集を制作。2022年にはカシオーリのフォルテピアノを交え、古典派時代の演奏法にならい、ガット弦、クラシック弓でモーツァルトのソナタを録音した。
N響定期公演への出演は2018年6月(アシュケナージの指揮、オラフソンのピアノとの共演によるメンデルスゾーン《ヴァイオリンとピアノのための協奏曲》)以来となる。
[奥田佳道/音楽評論家]

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TICKETチケット

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Bプログラム

第1988回 定期公演
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2023年3月1日(水)11:00am
定期会員について

一般発売日:2023年3月5日(日)11:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 8,900円 7,400円 5,800円 4,700円 3,700円
ユースチケット 4,000円 3,500円 2,800円 2,100円 1,500円

ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※発熱等の体調不良時にはご来場をお控えください。
※適切な手指の消毒、咳エチケットにご協力ください。
※「ブラボー」等のお声掛けをされる際は、マスクの着用にご協力をお願いいたします。

定期会員券
発売開始日

年間会員券 7月18日(月・祝)11:00am
 [定期会員先行発売日: 7月14日(木)11:00am]

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。

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お問い合わせ・
お申し込み

N響ガイド TEL:0570-02-9502

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主催:NHK / NHK交響楽団

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