社会貢献
音楽は人々を元気づけ、ひとときの安らぎを与えてくれます。
N響はコンサートホールを飛び出して、様々な場所、様々な人たちに美しい音色をお届けし、広く社会に貢献していきます。
子どもたちの未来を育む
優れた音楽芸術を追求し、これを教育に生かして子どもたちの豊かな心を育てます。
NHKこども音楽クラブ

"N響が学校にやってきた"をキャッチフレーズにNHKと共催し、楽員たちが全国の小中学校を訪ねてミニコンサートを開いています。2007年にスタートし、これまでに訪ねた学校は170校以上。楽器の解説や、N響メンバーによる伴奏付きの校歌斉唱などもまじえ、クラシック音楽に親しんでもらう貴重な機会をつくっています。この様子は、NHKの各放送局のニュースなどで紹介されるほか、子どもたちの豊かな表情を盛り込んだショート動画もNHKのホームページでご覧いただけます。
N響ほっとコンサート

夏休みにクラシックの名曲を集めて子どもと大人がともに楽しめるスペシャルなコンサートを毎年開いています。人気MCによる進行、指揮者や楽員のトーク、クイズを通じた客席とのやりとりなど、ふだんのステージでは見られない演出が盛りだくさん。NHK ホールでは、演奏会の前後、ロビーにたくさんの楽器を体験できるコーナーが設けられ、楽員たちがお客様と触れ合いながら演奏の手ほどきをします。初めて楽器にさわる子どもから部活動に取り組む生徒たちまで、体験待ちの長い列ができるなど毎回人気の催しです。この中から将来の音楽家が誕生することを願っています。
N響といっしょ!音を楽しむ!!

学校に入学する前の幼い子どもたちを対象にしたコンサートを2021年から行っています。その名も"おかあさんといっしょ"ならぬ"N響といっしょ"。N響練習所がある東京都港区の保育園児とともに、音に合わせて体を動かしたり、楽器の音が出るしくみを教えたりして音楽の楽しさを伝えています。会場は手作りの飾りに彩られ、子どもたちの思い出に残るひとときを演出しています。音楽や音楽家に身近に接してもらうことで豊かな心を育む取り組みに、これからも力を入れていきます。
優れた音楽家を育てる
鍛え抜かれた演奏技術を次の世代に引き継ぎ、プロの音楽家を育てていくことも私たちの使命です。
指揮研究員
1950年代、指揮を実践的に学ぶ場として設けたのが「指揮研究員」の制度です。有望な若手指揮者をオーケストラの現場に迎え入れ、国内外の巨匠たちとの音楽づくりに携わる機会を提供してきました。今は亡き外山雄三さん、岩城宏之さん、若杉弘さんをはじめ、現在、N響の正指揮者として活躍している尾高忠明さんら日本のクラシック音楽界を担う人材を数多く輩出しています。
N響アカデミー

2003年にオーケストラの演奏者の育成を目的に「N響アカデミー」を創設しました。 オーディションで選抜された受講生が、楽員からのレッスン、リハーサルや公演の参加などを通じて、常時10人前後がトレーニングを積んでいます。修了生はN響をはじめ国内外のオーケストラで活躍しています。
地域の人たちとつながる
各地の自治体や放送局と協力しながら音楽の楽しさを伝え、交流の輪を広げることに取り組んでいます。

全国のさまざまな団体、自治体から要請を受けて、クラシック音楽の普及や文化振興のお手伝いをしています。幼稚園、飲食店、ショッピングセンターで演奏したり、生徒たちにレッスンをするなど、地元に密着した活動を行っています。最近は各地の放送局のイベントに参加して演奏する機会も増えています。NHKのテレビとラジオで日曜のお昼に放送される『NHKのど自慢』では、審査の結果を伝える「鐘」をN響の打楽器奏者が担当することもあります。
病院や福祉施設に届ける
様々な事情でコンサートに足を運べない人たちに生の演奏をお届けし元気と安らぎを感じてもらうのも大事な仕事です。

N響メンバーが病院や高齢者施設を2~5人ほどの小編成で訪れ、ロビーなどでミニコンサートを開き、入院する患者さん、看病するご家族、お年寄りの方たちと演奏を通じて交流しています。ロビーには、移動式のベッドや車いすで訪れる方々もいらっしゃいます。音楽の果たす役割を肌で感じています。
災害の被災地を応援する
大きな地震や豪雨の被害は後を絶ちません。N響は被災された方々を応援することにも力をいれています。

2024年1月に起きた能登半島地震では、翌月にN響の楽員15名が石川県を訪問。弦楽、木管、金管の各五重奏のメンバーが、金沢市、白山市、七尾市、穴水町の4地域・6か所の避難所でミニコンサートを開きました。クラシックから愛唱歌まで30分程の演奏に、子どもからお年寄りまで多くの方々が耳を傾けてくださいました。これからも音楽を通じて被災者に安らぎのひと時をお届けする活動を続けます。
国際交流の輪を広げる
音楽は世界の架け橋です。演奏を通じた絆が世界中に広がることを願っています。
海外公演
1960年の「世界一周演奏旅行」以来、N響は海外での演奏にも力を入れてきました。近年は2025年5月にオランダ・アムステルダムでの「マーラー・フェスティバル」や「プラハの春音楽祭」に参加するなど、世界最高峰の舞台に招かれることが増えています。また2024年8月の台湾ツアーでは、高雄市の小学校を金管楽器のメンバーが訪れるなど、草の根レベルでの交流も深めています。


外国人留学生の招待
首都圏の50大学ほどと連携して、私たちが主催する公演に外国人留学生のみなさんを招待しています。来場する留学生は2024年度には900人以上にのぼりました。 公演後のアンケートには「初めてクラシック音楽の演奏会に来て感動した」「日本のオーケストラの力を再認識した」といった声もあります。
大学や専門家と連携する
異なる分野の人たちと手をたずさえ、デジタル活用などの新しい課題に取り組みます。
東京工科大学と連携したコンサート動画配信
N響が公式YouTubeチャンネルで行っているコンサート動画配信の一部は、東京工科大学の協力の下で行われています。メディア学部の学生たちが撮影、編集を担当し、NHK出身の職員らの指導を受けてプロ顔負けの作品に仕上げたものもあります。若者ならではの視点で出演者のインタビュー入りの番組動画も作り注目を集めました。学生たちの実践的な学びの場ともなった両者のコラボレーションは、お互いの貴重な試金石となっています。

様々な検証実験への協力

N響は医療や通信技術など様々な分野の専門家と協力して最新の知見やデータを得るための実験に協力してきました。コロナウイルスへの対策がまだ手探りだった2020年7月、業界団体が行った「演奏中の飛沫」を調べる実験に多くの楽員や職員を派遣。これにより舞台上の安全な楽器配置などがわかり、業界の統一したマニュアル作りに役立ちました。 また2022年11月の「NTT東日本 N響コンサート」では、「IOWN APN関連技術」の検証実験もあわせて行われました。これは離れていても同じ場所にいるように感じられるような、映像や音声の接続を実現する技術を指しています。実験では新宿・東京オペラシティと調布の学校施設を結び、新宿のオーケストラと調布のスネアドラムの演奏、さらに両会場のお客様の手拍子を送りあうことで、《ラデツキー行進曲》のリアルタイム・リモート演奏を成功させました。これからも学術や技術の進化のために協力していきます。