第1957回 定期公演
池袋Cプログラム

2022年5月21日(土)
開場 1:00pm 開演 2:00pm(休憩なし)

東京芸術劇場 コンサートホール 
アクセス 座席表

【重要なお知らせ(3/16更新)】
1回券およびWEBセレクト3+の発売について

  • 2022年5⽉池袋Cプログラム プログラム&曲⽬解説

     音楽社会そのものが変革していく激動の時代。ウィーン古典派が辛うじて作品の均整を全うしようとしていたものの、構成感、形式感を重んじていた時代の束縛は作品の内部より崩れ、表現はどうしようもなくそこからこぼれ落ちてゆく。ファビオ・ルイージは本公演で、そうした時代の矛盾と葛藤(かっとう)を強調しようとする。2曲の劇的な展開に満ちたモーツァルト、一方で、古典の再構築を目指したベートーヴェンの交響曲。後者は前者のニ短調ピアノ協奏曲を深く尊敬していた。本日のアレクサンドル・メルニコフのソロも必聴だ。
    (野平一郎)

  • モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲

    ロレンツォ・ダ・ポンテの台本による《歌劇「ドン・ジョヴァンニ」》は、《フィガロの結婚》《コシ・ファン・トゥッテ》《魔笛》と共に、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)が作曲した四大オペラのひとつであり、ドラマ・ジョコーソ(すなわち悲劇(オペラ・セリア)と喜劇(オペラ・ブッファ)を同時に包含するようなオペラ)の傑作である。アリアや重唱に器楽の諸構造を適用し、こうした「ナンバー」とレチタティーヴォが交代し、幕切れにさまざまな場面が継起するフィナーレを置くといった古典派の歌劇の構造は、ここで完璧なかたちを見出している。ドラマ・ジョコーソの特徴は、この素晴らしい演奏会用序曲にも反映されている。ドン・ジョヴァンニに殺された騎士長が亡霊の石像として現れ、主人公が地獄に落ちる壮絶な場面を序奏に、そして対照的に軽く明るい楽想によるソナタ形式の主部がそれに続く。その第1主題は半音階の上行ではじまり、一方、下行する第2主題はさまざまな対位法的処理を受ける。緻密(ちみつ)な管弦楽法や作曲技術が縦横無尽に展開され、モーツァルトの充実した創作を反映している。本日は作曲者による演奏会用の終結部が用いられる。
    言い伝えによれば、プラハでの初演の前々日になってもこの序曲は書かれておらず、モーツァルトは何とたった一晩で作曲、完成したという。

    (野平一郎)

    演奏時間:約7分
    作曲年代:1787年10月28日
    初演:1787年10月29日、プラハ、エステート劇場、作曲者自身の指揮

  • モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K. 466

    モーツァルトは、ウィーンに居を移して以来、自ら主催する予約演奏会を中心に自作自演を目的として「ピアノ協奏曲」を量産していった。特に《第20番》が作曲された前後の1784~1786年の3年間に12曲が集中的に作曲・初演されている。1784年に《第14番》~《第19番》、1785年に《第20番》~《第22番》、1786年に《第23番》~《第25番》という具合だが、この間のモーツァルトの音楽の発展─内面的にも技術的にも─は驚くべきものがある。特に6曲からなる弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》の創作(1783~1785)がモーツァルトにもたらしたものは大きかったと思われる。今までほとんど作曲されてこなかった「短調の」協奏曲、しかも感情的にも精神の内面をえぐるかのような激しい表現は、モーツァルトのこの後の創作へと繫がっていくだけでなく、ベートーヴェンやブラームスをはじめとする次世代の音楽家たちにも、深い影響を与えた。この2人はこの協奏曲に有名なカデンツァを作曲しているが、彼ら以外にもフンメルやライネッケ、クララ・シューマンやブゾーニのそれが知られている。
    第1楽章アレグロ、ソナタ形式。弦楽器によるシンコペーションと音階でうごめく低音による第1主題、そしてピアノ・ソロ導入部分が非常に重要な素材であるが、オーケストラとフルート(のちにピアノ)が対話する第2主題も美しく魅力的である。特に展開部で第1主題と交互に現れるピアノ導入の旋律の色彩が毎回変化する有様は圧巻である。第2楽章ロマンツェ、3部形式。優雅な変ロ長調の主部に対して、荒れ狂うト短調の中間部は非常に劇的でオペラの一場面のよう。第3楽章アレグロ・アッサイ。モーツァルトは、この時代のピアノ協奏曲に特有なロンド・ソナタ形式の構造を見出していた。なおカデンツァを境にして作品が長調に転じ、華麗に輝かしく終止する。このアイディアは、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第3番》、ブラームスの《ピアノ協奏曲第1番》をはじめ、このあとに書かれた幾多の短調の名協奏曲に採用されている。

    (野平一郎)

    演奏時間:約31分
    作曲年代:1785年2月10日完成
    初演:1785年2月11日、ウィーン

  • ベートーヴェン/交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

    ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770~1827)は、しばしばまったく異なった対照的な表現の作品を2つ、同時にもしくは続けて作曲することがある。交響曲でいえば、《第5番》と《第6番》、すなわち「運命」と「田園」がそれであり、1810年代になると、今度は《第7番》とこの《第8番》がそのケースに当たる。《第7番》がリズムの展開を重視することで新境地を開こうとしたのに対して、この《第8番》は比較的小規模で、全体の構成が単純化されていること、また9曲の交響曲の中で唯一メヌエットの楽章を持っていることからも、より古典の世界への回帰を目論んでいるようにも思える。
    第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ、ソナタ形式。潑剌(はつらつ)としたオーケストラのトゥッティによる表現。3拍子の持つ舞踏性と歌謡性が惜しみなく現れ、和声連結にも新機軸が試みられている。第2楽章アレグレット・スケルツァンド。管楽合奏による刻みの上に、弦楽器で歌われる主題。当時ウィーン宮廷の技師であったメルツェルが考案したとされる、メトロノームの影響がある。ベートーヴェンはこの機械の有用性に目をつけ、大いに利用した。第3楽章テンポ・ディ・メヌエット。スケルツォ一辺倒を廃し、この時代からベートーヴェンの舞踏の楽章は実に多様性を帯びていく。これも宮廷の優雅な舞曲というより、むしろ民衆的な世俗の性格を持っているようだ。トリオは、さらにのどかなホルンやクラリネットの旋律にチェロの対旋律が絡んでいく。第4楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ。ソナタ形式を基礎とする独特な構成。ベートーヴェン特有の「疾走する」楽章であり、オーケストラの扱いは大変洗練されている。大胆な調や音量の変化、多くの「驚き」に満ちている。聴く者を驚かせる仕掛けはもちろんベートーヴェン独特ではあるが、遠く青年時代の師ハイドンのものでもある。勝手な推察に過ぎないが、古典的な佇(たたず)まいを求めた作曲家が、遠いハイドンの記憶を呼び戻しているようにも聴こえる。

    (野平一郎)

    演奏時間:約27分
    作曲年代:1812年
    初演:1814年2月27日、ウィーン、レドゥーテンザール(前年1813年4月20日にルドルフ大公邸にて非公開の初演)

  • 指揮:ファビオ・ルイージ
    指揮:ファビオ・ルイージ

    ファビオ・ルイージ、2022年9月から3年契約でNHK交響楽団の首席指揮者に就任する─。この喜ばしいニュースは昨年4月に発表された。伝統と格式を誇るオペラハウス、フェスティバル、オーケストラで創造の喜びを分かち合うルイージとN響の新時代が始まろうとしている。
    1959年1月イタリア、ジェノヴァ生まれ。オーストリア第2の都市グラーツの歌劇場でコレペティトゥア(オペラの稽古(けいこ)ピアニスト)、指揮者として活動を開始。ほどなくベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場から招かれた。これまでにスイス・ロマンド管弦楽団、ウィーン交響楽団、ドレスデン国立歌劇場、札幌の国際教育音楽祭PMF、メトロポリタン歌劇場、チューリヒ歌劇場の要職を歴任。ザルツブルク音楽祭で指揮したリヒャルト・シュトラウスの《ダナエの愛》、メトロポリタン歌劇場での《ジークフリート》《神々のたそがれ》、セイジ・オザワ松本フェスティバルでの《ファルスタッフ》《エフゲーニ・オネーギン》も賞賛を博す。ブルックナー、マーラーの交響曲、フランツ・シュミットのオラトリオなど録音も枚挙にいとまがない。現在デンマーク国立交響楽団首席指揮者とダラス交響楽団音楽監督を兼務。
    N響との初共演は2001年。2004年以降は定期公演の常連で、昨年11月はブルックナーの《交響曲第4番「ロマンチック」》とチャイコフスキーの《交響曲第5番》に腕をふるった。
     
    (奥田佳道/音楽評論家)
     

  • ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ
    ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ

    アレクサンドル・メルニコフは、豊かな知性と表現力をもつ才気煥発(さいきかんぱつ)なピアニスト。1973年にモスクワで生まれ、モスクワ音楽院ではレフ・ナウモフに師事。スヴャトスラフ・リヒテルとも親密な関係を築く。卒業後はミュンヘンでエリソ・ヴィルサラーゼに師事。カール・ウルリッヒ・シュナーベルにも学んだ。1989年のシューマン国際コンクール、1991年のエリザベート王妃国際音楽コンクールなどに入賞し、欧州を拠点に国際的に活躍。また、歴史的鍵盤楽器奏法に関してアンドレアス・シュタイアーやアレクセイ・リュビモフに学び、同分野での探究と経験は、現代ピアノでの演奏表現にも綿密な知見を導いている。ロシア近現代はもちろんドイツ・ロマン派やウィーン古典派のレパートリーを得意とする。室内楽での信望も篤(あつ)く、近年はジャン・ギアン・ケラスやイザベル・ファウストと精力的に活動。来日も多いが、N響とは2008年、2011年以来の顔合わせになる。ファビオ・ルイージとすでに欧州での共演もあるモーツァルトのニ短調協奏曲《第20番》でよく吟味された演奏を聴かせることだろう。
     
    (青澤隆明/音楽評論家)
     

開演前の室内楽

1:15pmより舞台上で、N響メンバーによる室内楽のミニコンサートを行います。ご自身の座席で約15分の演奏を
お楽しみください。室内楽演奏中の客席への出入りは自由です。

出演者、曲目

モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581 ― 第1楽章

クラリネット:伊藤 圭

ヴァイオリン:白井 篤


ヴァイオリン:田中晶子


ヴィオラ:谷口真弓


 チェロ:西山健一

ファビオ・ルイージ インタビュー
5月池袋Cプログラムについて

フィルハーモニー
5月号(PDF)

出演者プロフィール&曲目解説等をご覧いただけます

チケット情報

チケット購入・空席照会

発売開始日
2022年4月13日(水)11:00am
[定期会員先行発売日:2022年4月7日(木)11:00am]

  S席 A席 B席 C席 D席
一般 7,400円 6,500円 5,200円 4,200円 3,200円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,000円 2,000円 1,400円
(税込)

WEBセレクト3+

SPRINGシーズンの「WEBセレクト3+」は5月・6月の2か月を対象として実施いたします 詳細

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になります。
Spring(5~6月)内の公演(6プログラム12公演)のうち、3公演以上まとめて購入すると、1回券の一般料金より約8%割引します。

WEBチケットN響のみでの発売となります。
1回券一般発売日からお申し込みいただけます。
割引の併用はできません。
定期会員の方は会員割引(約10%割引)をご利用ください。

  • ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
  • ※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
  • ※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
  • ※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
  • ※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
  • ※未就学児のご入場はお断りしています。
定期会員券
発売開始日

年間会員券 
 販売終了

シーズン会員券 
2022年2月25日(金)11:00am
[定期会員先行発売日:
2022年2月22日(火)11:00am]

お問い合わせ・
お申し込み
N響ガイド TEL:03-5793-8161
WEBチケットN響

主催:NHK / NHK交響楽団

託児について

東京芸術劇場 コンサートホールの託児室をご利用いただけます。
対象年齢、預かり料金、予約方法などは、お問い合わせください。

お問い合わせ:
株式会社ミラクス ミラクスシッター
TEL:0120-415-306
(平日9:00am~5:00pm/土日祝は休み)
ホームページ:
https://www.geigeki.jp/rent/kids/index.html