第1956回 定期公演
池袋Aプログラム

2022年5月15日(日)
開場 1:00pm 開演 2:00pm

東京芸術劇場 コンサートホール 
アクセス 座席表

【重要なお知らせ(3/16更新)】
1回券およびWEBセレクト3+の発売について

終了
  • 2022年5⽉池袋Aプログラム プログラム&曲⽬解説

    42歳のロベルト・シューマン(1810~1856)は、心が散り散りになる病に苛(さいな)まれていた。《ヴァイオリン協奏曲》はそんな晩期の問題作である。その13年前、亡きフランツ・シューベルト(1797~1828)の《ザ・グレート》に寄せた文章には、みずみずしい憧(あこが)れが綴(つづ)られている。それはあまりに完璧な音楽だったのだ。
    2人の “Schu”を隔てる何光年もの距離、それゆえに燃え上がる憧れと尊敬……本日のプログラムはそんなことを教えてくれるだろう。
    (堀 朋平)

  • シューマン/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調

    《ピアノ協奏曲》(1841/45)や《チェロ協奏曲》(1850)で、はやくも冒頭から、独奏楽器とオーケストラの溶け合いをシューマンは披露してきた。楽器どうしの対話がどんどん親密になっていくのが協奏曲の歴史である。これに対して本作は、堂々たるオーケストラ総奏の後にソロが入ってくる異例の(シューマン唯一の)構成。モーツァルト時代、さらにはバッハ時代に立ち戻ることで、むしろ決然とした性格とソロの技巧性がきわだつ作りになっているのだ。4年間務めてきたデュッセルドルフの音楽監督として新風を求めたのかもしれないし、同年に知り合ったヴァイオリンの名手ヨーゼフ・ヨアヒム(1831~1907)に霊感を受けて書かれた結果かもしれない。
    ところがヨアヒムは、シューマンの妻クララと相談して初演を見送ったばかりか、作品の公表すら控えた。非常な速筆であることも関係していただろう、ソロに対して単調なオーケストレーション、反復運動を強いる終楽章など、「ある種の疲労感、精神的エネルギーの欠如」(1898年、ヨアヒムの回想より)が感じられる箇所がままあったようだ。当時の作曲家はすでに幻聴などの症状に悩まされていたこともあって、華やかさの陰に病のしるしが、世紀を超えて読み取られてきた。初演は、ナチス政権の下ようやく行われる。
    第1楽章を推進するのは上昇的なエネルギー。第2楽章冒頭でソロが弾くテーマは、幻聴であらわれたメロディだという。シューマン自身がのちに「天使の歌」ないし「シューベルトの霊による」と述べたテーマと同型である。第3楽章では、ポロネーズのリズムで冒頭楽章のモティーフを変容させるクライマックスが光る。

    (堀 朋平)

    演奏時間:約31分
    作曲年代:1853年9月21日~10月3日
    初演:1937年11月26日、カール・ベーム指揮、ゲオルク・クーレンカンプ独奏、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  • シューベルト/交響曲 第8番 ハ長調 D. 944「ザ・グレート」

    前年はほとんど厄年だった。くりかえす梅毒の痛みで身体は疲弊し、渾身(こんしん)のオペラ《フィエラブラス》(D. 796)はスキャンダルでお蔵入り。親友たちの不在で、創作の源だった読書会も空中分解。ローマの親友L. クーペルヴィーザーに心を打ち明けた一通(1824年3月31日)には、「愛と友情の幸福」も「美への熱狂」も消え去ろうとしているんだ、と書かれている。その惨(むご)さは想像するに余りあるが、手紙はこう続く。いくつかの室内楽を足がかりに「僕は大交響曲への道を開こうとしているのです」。これこそ、英語でいう「ザ・グレート・シンフォニー」に他ならない。《未完成交響曲》(1822)のような内面への沈潜をやめ、顔を上げて堂々たる晴朗な交響曲をおおぜいの人に届けたい……人生最大の決意がひそかに宣言されたのである。
    この大望は、大自然の懐でゆっくり形をなしていった。1825年の初夏、4か月におよぶザルツブルク方面への演奏旅行で、作曲家は友に囲まれて大いに胸襟(きようきん)を開く。鞄(かばん)には、書き始めた交響曲草稿の束をたずさえて。初めて触れるザルツカンマーグート地方の雄渾(ゆうこん)な─自ら「神々しい」と呼ぶ─湖水と山岳に心揺さぶられ、旅先で紙を買い足しつつ筆は進められた。スコアは翌年の下旬には完成し、ウィーン楽友協会に献呈された。協会もすぐに礼状と謝礼金を送り、パート譜を作成するも、反復と冗長さが敬遠されてお蔵入りとなる。いや、「冗長さこそ天国のようなのだ」─この美点を見抜いて友人メンデルスゾーンに初演を託したのが、シューマンである。
    第1楽章 ホルンが先導する室内楽のような序奏から、音楽は膨らむ。主部に入って約3分後、おごそかな弱音で第3主題を鳴らすのがトロンボーンだ。交響曲に登場してまだ日が浅いこの楽器は、数分後には最強音で響きわたってクライマックスを築く。
    第2楽章 開始5分ほど、最初の主題が戻ってくる刹那(せつな)にシューマンは魅了された。「ホルンが彼方から呼びかけてくる箇所は、まるで異次元から降りてきたかのようだ。皆もここで耳を澄ます、あたかも天の賓客がオーケストラをそっと通り抜けていくかのように」。
    第3楽章 ホルンが主導する(なんと24個の)同音連打で始まる長大な中間部は、山岳への讃歌だろうか、交響曲全体の白眉である。
    第4楽章 音の反復はいまや最高度に洗練され、凱歌に酔いしれる。金管でさらりと引用されるベートーヴェンの〈歓喜の歌〉も聴きのがせない。

    (堀 朋平)

    演奏時間:約55分
    作曲年代:1825年初夏~1826年
    初演:1839年3月29日、フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

  • 指揮:マレク・ヤノフスキ
    指揮:マレク・ヤノフスキ

    1939年、ポーランド生まれのドイツの指揮者。ケルンで学んだのち、ドイツ地方都市の劇場でキャリアをスタートさせ、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送交響楽団などの要職を歴任。現在はドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督の任にある。オーケストラから引き締まった響きを引き出し、ドイツ物を中心に名演の山を築いてきた。N響とは2014年からスタートした東京・春・音楽祭での、精緻に構築されたリング・ツィクルスが印象的だった。ヤノフスキの《指環》と言えば、1980年から1983年にかけてのドレスデン・シュターツカペレとの録音が有名だが、これは国際的に名前が知られはじめた時期の仕事だ。N響との初共演はそのすぐあと、1985年9月で、それから1998年まで数年おきに登壇している。サヴァリッシュのもとで研鑽(けんさん)したヤノフスキの才能を、極東にありながらいち早く発見したのがN響だったというわけだ。
    ヤノフスキは1990年代よりオペラを離れオーケストラのレパートリーに専心し、“世界的マエストロ”へと評価を高めた。2010年から2013年のベルリン放送交響楽団とのワーグナー主要作品上演、2016年と2017年のバイロイト・リングと並び、“春祭リング”はヤノフスキのオペラ復帰後の偉業だったわけだ。これが呼び水となり、N響への定期的な客演が実現しているのは喜ばしい限りだ。
     
    (江藤光紀/音楽評論家)
     

  • ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ
    ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ

    キルギス(ソビエト連邦)のオシュ生まれ。5歳でカザフスタンのアルトマイに移転し、ヴァイオリンを始める。10歳でエドゥアルド・グラチに師事するためにモスクワに移り、モスクワ音楽院附属中央音楽学校およびモスクワ音楽院で学ぶ。その後、フランスでムスティスラフ・ロストロポーヴィチに、小澤征爾スイス国際アカデミーで小澤征爾に、イスラエルでシュロモ・ミンツに薫陶(くんとう)を受ける。2001年、16歳でヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールに優勝。2007年、仙台国際音楽コンクールで第1位を獲得している。レパートリーが広く、チャイコフスキーの《ヴァイオリン協奏曲》などのスタンダードな名曲のほか、シマノフスキの《第1番》と《第2番》、ショスタコーヴィチの《第1番》、カルウォヴィチ、シューマンらの協奏曲の録音も残す。ピリオド楽器にも関心を寄せ、18世紀オーケストラとも共演。NHK交響楽団とは、2019年2月、パーヴォ・ヤルヴィの指揮で、リヒャルト・シュトラウスの《ヴァイオリン協奏曲》を共演。今回も意外と取り上げられる機会の少ないシューマンの《ヴァイオリン協奏曲》の演奏が楽しみである。
     
    (山田治生/音楽評論家)
     

【本公演のアンコール曲】バツェヴィチ/ポーランド奇想曲(ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ)

フィルハーモニー
5月号(PDF)

出演者プロフィール&曲目解説等をご覧いただけます

チケット情報

チケット購入・空席照会

発売開始日
2022年4月13日(水)11:00am
[定期会員先行発売日:2022年4月7日(木)11:00am]

  S席 A席 B席 C席 D席
一般 8,900円 7,400円 5,800円 4,700円 3,700円
ユースチケット 5,500円 4,500円 3,500円 2,500円 1,500円
(税込)

WEBセレクト3+

SPRINGシーズンの「WEBセレクト3+」は5月・6月の2か月を対象として実施いたします 詳細

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になります。
Spring(5~6月)内の公演(6プログラム12公演)のうち、3公演以上まとめて購入すると、1回券の一般料金より約8%割引します。

WEBチケットN響のみでの発売となります。
1回券一般発売日からお申し込みいただけます。
割引の併用はできません。
定期会員の方は会員割引(約10%割引)をご利用ください。

  • ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
  • ※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
  • ※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
  • ※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
  • ※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
  • ※未就学児のご入場はお断りしています。
定期会員券
発売開始日

年間会員券 
 販売終了

シーズン会員券 
2022年2月25日(金)11:00am
[定期会員先行発売日:
2022年2月22日(火)11:00am]

お問い合わせ・
お申し込み
N響ガイド TEL:03-5793-8161
WEBチケットN響

主催:NHK / NHK交響楽団

  • ※NHKホールの改修工事に伴い、定期公演Aプログラムは東京芸術劇場(池袋)に会場を移し、「池袋Aプログラム」として行います。
  • ※池袋Aプログラム2日目の開演時刻は1時間繰り上げ、2:00pmとさせていただきます(1日目は今まで通り6:00pm開演)。
託児について

東京芸術劇場 コンサートホールの託児室をご利用いただけます。
対象年齢、預かり料金、予約方法などは、お問い合わせください。

お問い合わせ:
株式会社ミラクス ミラクスシッター
TEL:0120-415-306
(平日9:00am~5:00pm/土日祝は休み)
ホームページ:
https://www.geigeki.jp/rent/kids/index.html