第1953回 定期公演
Bプログラム

2022年2月17日(木)
開場 6:20pm 開演 7:00pm

サントリーホール アクセス 座席表

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  • 2022年2⽉Bプログラム プログラム&曲⽬解説

    アメリカには、少なくとも10箇所以上の「ロンドン」があることをご存知だろうか。もちろん植民地時代の名残である。バーバーが育ったペンシルベニア州も、その命名はイングランド王チャールズ2世によるもの。こんなことからも明らかなように、アメリカのクラシック音楽の根底には、ヨーロッパ大陸ではなく、イギリスという島国が横たわっている。旋法性の薄さや、五音音階への志向はその顕著なしるしだろう。本日のプログラムは、こうした繫がりについてあらためて考えさせてくれる。
    (沼野雄司)

  • ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」- 4つの海の間奏曲 作品33a

    村というのは都市よりもはるかに文化的な場所だ。暗黙のしきたりが何重にも人々を取り囲んでおり、誰もがそこから逸脱しないように、注意深くふるまわなければならない。
    ベンジャミン・ブリテン(1913~1976)の《歌劇「ピーター・グライムズ」》の主人公は、こうした文化に馴染(なじ)むことができない。「ならば村から出てしまえばいいのに……」。我々ならばそう考える。しかし、それは都会人の発想なのだ。ここで育ったピーターにとって「村の外」など存在しない。彼は広大な海という、いわば都市の代替物の中でなんとか呼吸をしながら、ぎりぎりで生き延びているのである。
    《4つの海の間奏曲》は、オペラから4つの間奏曲を抜き出したもの。まずは、第1曲〈夜明け〉(第1幕への間奏曲)に注意したい。この曲は冒頭であらわれる3つの要素からなっている。(a)高音のヴァイオリンとフルートのむせびなくような音型、(b)ヴィオラ、ハープ、クラリネットによる切り裂くような上下行、(c)金管楽器のコラール。これらから、カモメの鳴き声、冷たく波打つ夜明けの海、さびれた港町の風景が浮かんでくれば、そこにはもう《ピーター・グライムズ》の世界がひらけている。
    第2曲〈日曜の朝〉(第2幕への間奏曲)では、ホルンの和音の上で木管の主題が跳ね回るが、これらは全体としてホ長調の全音階をクラスター(塊)にしたもの。第3曲〈月の光〉(第3幕への間奏曲)は、緩やかな海のたゆたい。ただし、時おりシロフォンとフルートが不穏な警笛のように響く。最後の第4曲〈嵐〉(第1幕2場への間奏曲)は、荒れ狂う海が拍子を細かく変えながら描写される。ブリテン版《春の祭典》だ。

    (沼野雄司)

    演奏時間:約17分
    作曲年代:1945年
    初演:1945年6月13日、作曲者指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

  • バーバー/ヴァイオリン協奏曲 作品14

    アメリカにはさまざまな音楽教育機関があるけれども「カーティス音楽院は特別」と語るアメリカ人は多い。錚々(そうそう)たる卒業生の顔ぶれはもちろんだが、徹底した少人数教育がどこか秘儀的な雰囲気を湛(たた)えているあたりに、その理由があろう。
    サミュエル・バーバー(1910~1981)の最初の幸運は、14歳の時、彼の住むペンシルベニアにたまたまこの学校が設立されたことだった。一期生となったバーバーは、作曲のロザリオ・スカレロ、指揮のフリッツ・ライナーといった面々から基礎を叩きこまれることになる。また、音楽院で同門だったジャン・カルロ・メノッティとは、その後生涯にわたってパートナーの関係を結ぶことになった。
    当時、アメリカの若手作曲家にとっての王道コースは、フランスに留学してナディア・ブーランジェに学ぶというものだったが、バーバーがイタリア留学を選んだのは(もちろんアメリカ・ローマ賞を得たことが直接的なきっかけではあるものの)、恩師と親友がイタリア系だったことと無関係ではないだろう。「旋律の国」イタリアで、まさに彼は天性のメロディ・メーカーとしての才能を奔放に開花させる。
    留学を経て、最初にものした大作が《ヴァイオリン協奏曲》である。着手したのは1939年、スイス滞在中だったが、しかし第2楽章まで仕上げた時点で、第2次世界大戦の影響からアメリカに帰国。結局、終楽章は母国で仕上げることになった。
    面白いのは、こうした経緯を反映してか、第1、第2楽章と第3楽章がかなり異なったムードを持っていることだ。最初のふたつがいかにもバーバーらしい、豊かな旋律美に溢(あふ)れている一方で、終楽章では、時に無調的なパッセージが音楽を横切るのである。
    第1楽章は、まず冒頭で独奏ヴァイオリンが主題を提示する。独奏とオーケストラの弦楽器群が2度の響きで重なるあたりが、ロマンティックな響きの秘密。ユニークなのは編成にピアノが入っていることで、この楽器は随所で重要な役割を果たす。6/4拍子による第2楽章は、しっとりとしたオーボエ独奏からはじまる。《弦楽のためのアダージョ》にまさるとも劣らない祈りの音楽。そしてティンパニの鼓動を独奏ヴァイオリンが受け取ると、第3楽章の幕が開く。無窮動なテーマは、わずか3小節でオクターブ内の11音を使い切るという無調的な響き。木管楽器の合いの手の複雑さも、バーバーらしからぬ凄みを湛えている。

    (沼野雄司)

    演奏時間:約25分
    作曲年代:1939年
    初演:1941年2月7日、ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団、アルバート・スポールディング独奏

  • エルガー/変奏曲「謎」作品36

    「謎は三つ、命はひとつ」といえば、プッチーニの《トゥーランドット》。一方、「謎は二つ、曲はひとつ」なのが、エドワード・エルガー(1857~1934)のこの作品だ。既に多くの方がご存知とは思うけれども、謎の所在を復習しておこう。
    作曲者によれば、14の変奏はそれぞれ友人たちの姿を描いている。各変奏にはイニシャルが付されているから対象人物はほぼ特定されているのだが、第13変奏だけは「***」と単にアスタリスクが記されており、誰を指しているのか不明。そしてもうひとつ、作曲者は「楽曲全体の背後には演奏されない隠された主題」があるというが、この主題が何なのかが不明。いずれの謎も、答えには諸説あるものの、現在にいたるまで決定打はないままだ。かくして、この曲は「謎(エニグマ)」という愛称で呼ばれることになったわけだが、しかし、実をいえば、謎なのはこの曲ばかりではない。たとえば彼の《ヴァイオリン協奏曲》の楽譜冒頭には「……の魂が埋め込まれている」という奇妙な言葉が記されている。いずれの曲の場合も、何か深い秘密があるのかもしれないが、あからさまに意味ありげな細工であることを考えれば、ごく他愛ないジョークなのかもしれない。
    さて、なんだかモヤモヤする背景を持ち合わせているとはいえ、《謎》は掛け値なしに充実した作品だ。幅広い上下行を繰り返す主題が魅力的なのはもちろん、おそらくは友人を思い浮かべて描写したためなのだろう、何より、各変奏がはっきりとしたキャラクター(まさに「人格」)を持っている。しかも、それらがワーグナー/リヒャルト・シュトラウス的な豊潤を湛(たた)えたオーケストレーションで処理されるのだから、面白くならないわけがない。
    曲はまず、短調で主題が提示される(この曲の正式タイトルは「創作主題による変奏曲」)。その後、妻アリスの名が与えられた清澄で美しい第1変奏、不穏で皮肉な第2変奏、のどかな第3変奏、激しい第4変奏という具合に、隣り合った変奏には、必ずはっきりと異なった性格が与えられている。半ばを過ぎた頃にあらわれるのが、有名な第9変奏〈ニムロッド〉。独立して演奏されることも多い叙情的な変奏だが、この変奏はもっとも明確に主題の形を保持しており、全曲の中で特別な位置を占めている。
    その後、チェロ独奏が含まれた第12変奏などを経て、全体のコーダにあたる第14変奏は、ついにエルガーの自画像。この曲で圧倒的に密度が濃い書法が採用されているあたりは、ちょっとずるい(?)気がしないでもない。

    (沼野雄司)

    演奏時間:約30分
    作曲年代:1939年
    初演:1941年2月7日、ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団、アルバート・スポールディング独奏

  • 指揮:尾高忠明
    指揮:尾高忠明※

    1947年生まれ。桐朋学園大学で齋藤秀雄に師事。1970年、第2回民音指揮者コンクールで第2位入賞。1972年、オーストリア政府から奨学金を得てウィーン国立音楽大学に留学し、指揮をスワロフスキーに、オペラをシュパンナーゲルに学んだ。以後、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団、読売日本交響楽団、紀尾井シンフォニエッタ東京、メルボルン交響楽団、新国立劇場等で要職を担い、現在大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督などを務める。ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBC交響楽団、ベルリン放送交響楽団、hr交響楽団など世界各地のオーケストラにも定期的に客演を重ねる。サントリー音楽賞、ウェールズ音楽演劇大学名誉会員、大英勲章CBE、英国エルガー協会エルガー・メダル、ウェールズ大学名誉博士号など受賞多数。指揮者デビューは、1971年、NHK交響楽団との放送収録。以後N響とは定期公演、全国各地での公演、放送収録など、さまざまな機会を通じて共演を重ね、2010年、正指揮者に就任。2012年には北京、天津、上海をめぐる中国ツアーを率いた。最近では、自身の曽祖父、渋沢栄一が主人公として描かれる2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』のテーマ音楽収録で指揮を担当したほか、同年末の「N響第9」の指揮台にも立った。2012年に有馬賞、2019年に日本放送協会放送文化賞を受賞。
     

  • ピアノ:反田恭平*
    ヴァイオリン:金川真弓※

    ドイツ生まれ。4歳の時、日本でヴァイオリンを始める。その後ニューヨーク、ロサンゼルスを経て、現在ベルリンを拠点に活動。同地のハンス・アイスラー音楽大学でコリヤ・ブラッハーに師事。名倉淑子、川崎雅夫、ロバート・リプセットにも学ぶ。2018年、ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールで第2位入賞および最優秀協奏曲賞を受賞。さらに翌年、チャイコフスキー国際コンクールで第4位となる。これまでにハンヌ・リントゥ、ユーリ・シモノフ、パスカル・ロフェ、ヒュー・ウルフなどの指揮者、マリインスキー劇場管弦楽団、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団、フィンランド放送交響楽団、ベルギー国立管弦楽団などと共演。最近では読売日本交響楽団、東京都交響楽団など国内の主要オーケストラの舞台にも登場している。使用楽器はドイツ演奏家財団によるドイツ国家楽器基金から貸与されたピエトロ・グァルネリ作(17世紀後期)。
     

【本公演のアンコール曲】アメリカ民謡/深い河(ヴァイオリン:金川真弓)

※当初出演予定のパーヴォ・ヤルヴィ(指揮)、ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)から変更いたします。

フィルハーモニー
2月号(PDF)

※掲載情報は1月中旬時点のものとなります。

出演者プロフィール&曲目解説等をご覧いただけます

チケット情報

チケット購入・空席照会

発売開始日
2月1日(火)11:00am
[定期会員先行発売日:1月28日(金)11:00am]

  S席 A席 B席 C席 D席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円
ユースチケット 5,800円 4,800円 3,800円 2,800円 1,800円
(税込)

WEBセレクト3+

2月定期公演での「WEBセレクト3+」の販売を休止いたします 詳細

お好きな公演を3つ以上セレクトすると、1回券がお得になります。
Autumn(9~11月)、Winter(12~2月)、Spring(4~6月)の各シーズン内の公演(9プログラム18公演)のうち、3公演以上まとめて購入すると、1回券の一般料金より約8%割引します。

WEBチケットN響のみでの発売となります。
1回券発売日からお申し込みいただけます。
割引の併用はできません。

  • ユースチケットのご案内(要登録/取り扱いはN響ガイドのみ)
  • ※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
  • ※この公演のお取り扱いは、N響ガイドおよびWEBチケットN響のみです。
  • ※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
  • ※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
  • ※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
  • ※未就学児のご入場はお断りしています。
お問い合わせ・
お申し込み
N響ガイド TEL:03-5793-8161
WEBチケットN響

主催:NHK / NHK交響楽団