NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

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2018年4月9日

パーヴォ・ヤルヴィ、シベリウス《4つの伝説》への想いを語る|2018年5月定期公演Aプログラムに寄せて

パーヴォ・ヤルヴィ、シベリウス《4つの伝説》への想いを語る_img1

 

 首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィは、5月定期公演でシベリウス《交響詩「4つの伝説」》を採り上げます。シベリウスの作品をこれまでも幾度かN響とともに演奏してきたパーヴォはエストニア生まれで、北欧の音楽には思い入れがあると言います。その理由と《4つの伝説》演奏への想いを語ってもらいました。

 

「私の苗字「ヤルヴィ」はフィンランドに多い苗字です。ファーストネームの「パーヴォ」はフィンランドの巨匠、指揮者のパーヴォ・ベルグルンドにちなんで命名されました。両親が親しくしていたのです。よく我が家を訪れた彼からは、シベリウス本人に実際に会ったときの話も聞いたことがあります。

 フィンランドとエストニアは地理的に近いだけではなく言語的にも似通っています。多くの大国から占領され続けた歴史を持つエストニアに比べ、フィンランドはエストニアよりもずっと早くに独立を勝ち得た「兄貴分」のような存在であり、そのフィンランド人シベリウスは北欧の音楽家誰もにとって、成功者としてとても崇(あが)められている存在なのです。

 かといってこれらのことが私のシベリウスの音楽解釈に影響することはないのですが、こうした繋がりがあるので彼に親近感を感じています。

 

パーヴォ・ヤルヴィ、シベリウス《4つの伝説》への想いを語る_img1

 

 《交響詩「4つの伝説」》は実に素晴らしい組曲で、4楽章からなる交響曲と呼んでもかまわないでしょう。それだけの音楽的内容を持っています。〈トゥオネラの白鳥〉と〈レンミンケイネンの帰郷〉が有名ですが、4曲とも実に見事に書かれた音楽だと思います。フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』に登場する興味深いキャラクターであるレンミンケイネンを題材にしています。レンミンケイネンはいったい善人だったのか、悪人だったのか、相反する要素を持つ人物で、フィンランド人の友人たちとその疑問について話題にしてきたものです。輝かしいことを成し遂げ、人を魅了するかと思うと、威圧的なそぶりをしたり、いわゆる女たらしだったりと、善悪を超えたような存在です。でも、これは人間誰しにも言えることかもしれませんね。

 

 私は《4つの伝説》シベリウスの管弦楽曲に新しい側面をもたらした意義深い作品と捉えていて、この交響詩を高く評価しています。すでにこの作品において極めて独特な語法をみせていて、その語法は後に交響曲や交響詩において発揮されることになるのです。

 ここで語られているシベリウスの『カレワラ』への真摯(しんし)な想いには、私も共感を抱きます。それを表現すべく演奏したいと思います」

 

第1885回 定期公演 Aプログラム
2018年5月12日(土) 6:00pm 13日(日)3:00pm

NHKホール

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ

 

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

シベリウス/交響詩「4つの伝説」作品22 ―「レンミンケイネンと乙女たち」「トゥオネラの白鳥」「トゥオネラのレンミンケイネン」「レンミンケイネンの帰郷」

 

 

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