NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

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2017年7月21日

下野竜也、モーツァルトとベルクを語る(2017年10月定期公演)

下野竜也

下野竜也

 

2017年1月のN響定期公演では、20世紀のチェコの作曲家、マルティヌーやフサの作品で素晴らしい演奏を繰り広げ、大喝采を浴びた指揮者の下野竜也。彼ならではのこだわりのプログラミングは、2017年10月のN響定期公演でも存分に発揮されています。モーツァルトとベルクという、ウィーンで活躍した新旧の作曲家の組み合わせの選曲の意図や聴きどころを本人に聞きました。

 

 

Q.今回はモーツァルトとベルクという、ウィーンで活躍した作曲家の特集です。しかしモーツァルトの数多くの歌劇の中でも、重厚なオペラ・セリアに属する《イドメネオ》《皇帝ティトゥスの慈悲》と、12音技法を用いて濃厚な情念の世界を描いたベルクの2作の組み合わせは、かなり異色なものに見えます。

 

下野:前回の定期公演では、チェコの作曲家を通して平和へのメッセージがプログラムの根幹にある選曲をさせていただきました。この様に、作品自体に何かしらのメッセージがある物を選ぶという方法もありますが、今回は、ベルクをプログラムの中心に据えたい、そして、ベルクの代表作をお聴きいただきたいと言う思いが、一番にありました。

 

Q.プログラムの前半では、ベルクの作品の中ではもっとも演奏の機会が多い《ヴァイオリン協奏曲》が採り上げられます。

 

下野:《ヴァイオリン協奏曲》はご存知の通り、あのマーラーの夫人であったアルマと、再婚相手の建築家グロピウスとの間に生まれた、美しい娘マノンが夭折(ようせつ)したのを悼んで書かれたレクイエムと言われています。ベルク自身、マノンをとても可愛がっていたようです。また、ベルクの恋愛遍歴がこの作品には、隠し絵的に散りばめられているという興味深い説もあります。

 

Q.後半は、魅惑的かつ破滅的な女主人公が活躍する《歌劇「ルル」》からの組曲です。

 

下野:ルルはその美貌で男たちを翻弄し続け、最後は凄惨な死を迎えます。純粋に美しいとは言えない様な凄まじい音楽も出現しますが、妖しい響きに満たされています。

 

Q.ベルクのそれぞれの作品の前に、モーツァルトの序曲を配した理由は?

 

下野:二人ともウィーンに縁があり、ベルクと同様にヴァイオリン協奏曲やオペラの傑作を遺したモーツァルトを並べることで、音楽の都ウィーンの歴史と言いましょうか、時空を行ったり来たりしていただきたいと思います。モーツァルトの最も有名な序曲を並べることも考えましたが、オペラ・セリアで、かつ、ベルクが女性を中心とした作品ですので、タイトル・ロールが男性のオペラの序曲を選んでみました。

 

Q.ベルク《ヴァイオリン協奏曲》を除けば、今回のプログラムはあまり採り上げられない作品ばかりです。コンサートにお越しになるお客様へ、演奏会をより楽しむためのヒントをお願いします。

 

下野:クラシックの愉しみ方は、様々だと思います。ご自分の好きな作品を、色々な演奏を比較する愉しみという事が、醍醐味の一つだと思います。今回の様に、あまり演奏会で採り上げられない作品の場合は、あらかじめ録音などを聴き込んで演奏会に臨むという方法も素敵だと思いますが、あえて、初対面の人と会うドキドキ感で、曲と出会うのもいかがでしょうか?ただ、今回の《ルル》については、オペラのあらすじをお読みの上、お聴きいただくのが良いと思います。皆さんとNHKホールでお目に掛かりましょう。

 

第1867回 定期公演 Aプログラム
2017年10月14日(土)6:00pm 15日(日)3:00pm

NHKホール

 

指揮:下野竜也

ヴァイオリン:クララ・ジュミ・カン

ソプラノ*:モイツァ・エルトマン

 

モーツァルト/歌劇「イドメネオ」序曲

ベルク/ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」

モーツァルト/歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」序曲

ベルク/「ルル」組曲*

 

 

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