NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

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2016年6月9日

森麻季からのメッセージ(アットホーム presents N響 Special Concert ほか)

2016年8月に行われる「アットホーム presents N響 Special Concert」をはじめ4公演でN響と共演する、日本を代表するプリマドンナ、森麻季(ソプラノ)からメッセージが届きました。

 

 

 

 

オペラ・アリアのドラマをお楽しみください

 今回選びましたオペラ・アリアは初めてのお客様にもお楽しみいただける親しみやすい曲想のものばかりです。オーケストラで聴いていただくオペラ・アリアですから、貴重な機会であり、私自身とても楽しみです。また、作曲の時代や様式によって声の出し方や歌い方が異なりますし、それぞれのオペラにはドラマがあり、その役柄の感情が加わるので、歌手には1つ1つまったく違う技量が求められます。

 

■グノー/歌劇「ロメオとジュリエット」― ジュリエットのワルツ「私は夢に生きたい」

 恋に憧(あこが)れるジュリエットが愛しいロメオを思って歌います。恋の喜びはつかの間、嬉(うれ)しい時は長くは続かないと歌いつつも、今は恋い焦がれること、愛することに没頭していたいと歌い上げます。喜びと不安に揺れ動く恋心がワルツのリズムに乗せて表現されています。

 

■ベッリーニ/歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」―「おお、いくたびか」

 これも同じくロメオとジュリエットのお話。こちらはイタリアの作曲家ベッリーニの作品で、恋い焦がれる切ない思いが美しくデリケートで切ないメロディに表現されています。ため息が風に乗っていくような繊細な息づかいも聴きどころです。

 

■プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」―「私のお父さん」

 皆様に一番耳なじみのある曲かもしれません。「お父様、どうかお願い、結婚を許してください」と切々と歌われます。可愛い娘の頼みに厳しい父親もついには心を動かす美しいメロディです。

 

■プッチーニ/歌劇「ボエーム」―「私が町を歩くと」(ムゼッタのワルツ)

 《歌劇「ボエーム」》は貧しい学生たちの悲しい恋の物語ですが、その中でこのムゼッタのワルツはクリスマスのにぎわいの中、着飾ってみんなの注目を受け、昔の恋人を見つけて振り向かせるために、大胆に自分の美しさを自慢する歌です。優雅で奔放なムゼッタの魅力にあふれる名曲です。

 

 

 

美しい音楽に乗せて祈りを込めて歌いたい

 私は幼い頃、ピアノやヴァイオリンを習っていました。音楽学校に通い、ピアノを専攻していましたが、音楽の先生から音楽性を豊かにするためにも歌を勉強してみたらと勧められて始めてみました。その頃の私の実力ではピアノの曲を仕上げるのは音楽の「く」が「苦」のようになっていましたが、歌の方は自分で伴奏も弾けて、美しいシンプルなメロディを歌うことがとても新鮮に楽しく感じられました。そして本格的に声楽の勉強を始めました。

 

 ピアノやヴァイオリンをはじめとした器楽も大好きなのですが、歌には大きな違いとして歌詞があり、また楽器も自分自身です。歌詞に対しては年を重ねるごとに解釈が深まり、声も成長してレパートリーが広がり、時間とともに音楽を掘り下げていけることも声楽の楽しみといえます。

 

 今年はオペラ・デビューをさせていただいてからちょうど20年、たくさんの舞台、素晴らしい共演者の方々、そして歌そのものから多くを学びました。舞台に関しては「うまくいかないかもしれない」と思うと、どんどん緊張や負のスパイラルに陥り、本当に声も出なくなってしまいます。ですから押しつぶされそうな緊張や恐怖に執着するのではなく、良いイメージを持って声を出すこと、音楽の素晴らしさ、美しいメロディ、そして深い内容の詩を表現することに集中することが大事なのだということも少しずつ体現できるようになってきました。

 

 そしてそれは歌だけではなく人生もそうなのでは?と思い始めています。苦しくなるのは自分の考え方のせいだったり、うまくいかないのも心の底から信じられないからだったり、同じこともとらえ方ひとつでまったく違って見えたり、悲しみや苦しみに集中すればますます自分を追い込み、同じ状況下でも楽観的に考えられれば前を向いて行けたり。そういう意味で、喜びと幸せを感じて生きることに集中すること、忘れがちですが、今すでに恵まれているものに感謝をして生きることが、幸せを感じられる秘けつなのではと考えています。

 

 生きていくうちには思いもかけない、乗り越えられないような辛い出来事も起こりますが、コンサートにお出かけくださる皆様が、いっぱいの幸せを感じて過ごされますように、美しい音楽に乗せて祈りを込めて歌いたいと思います。

 

森 麻季

 

 

アットホーム presents N響 Special Concert
8月21日(日)2:30pm

サントリーホール

 

グノー/歌劇「ファウスト」― ワルツ

グノー/歌劇「ロメオとジュリエット」― ジュリエットのワルツ「私は夢に生きたい」*

マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」― 間奏曲

ベッリーニ/歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」―「おお、いくたびか」*

プッチーニ/菊の花

プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」―「私のお父さん」*

プッチーニ/歌劇「ボエーム」―「私が町を歩くと」(ムゼッタのワルツ)*

チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調 作品36

 

指揮:ジョン・アクセルロッド

ソプラノ*:森 麻季

 

郡山、宇都宮、長野で行われる公演の詳細 

 

 

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