バラキレフ(リャプノーフ編)

東洋風の幻想曲「イスラメイ」(約9分)

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
管弦楽:NHK交響楽団

 

2016年6月11日収録

© NHK

 本作はピアノ独奏曲が原曲である。ロシアの民謡など伝統的な音楽を使って新しい国民音楽を創り出そうとしたバラキレフの関心は、ロシアのみならず、コーカサスなど東方の音楽にも向けられた。バラキレフは、数度訪れたコーカサスの荘厳で豊かな自然、そしてそれと調和して生きる住民の美しさに強烈な印象を受けてこの曲を作曲したという。
 第1主題はコーカサスの「レズギンカ」と呼ばれるリズミカルで勇壮な舞曲が基になっている。中間部には優しく明るい第2主題が現れるが、これはバラキレフがモスクワでクリミア出身のアルメニア人俳優から教わったクリミア・タタールの恋歌からの引用である。
 1912年、マリインスキー劇場の慈善バレエ公演に際し、東方的主題に基づく曲が必要となり、《イスラメイ》に白羽の矢が立った。当初は別の作曲家の編曲版が想定されていたが、バラキレフを師と仰ぐリャプノーフ(1859〜1924)が名乗りを上げ、自身の編曲版を提案した。彼の管弦楽編曲はバラキレフのオーケストレーションの様式に倣いながら、打楽器をふんだんに使い、原色使いのような濃厚な色彩感を前面に出し、コーカサス地方の色濃い自然や人々の陽気な踊りの姿を効果的に描き出している。

作曲年代:[ピアノ独奏用原曲]1869年8〜9月、1902年に改訂 [管弦楽編曲]1912年
初演:[ピアノ独奏用原曲]1869年12月12日(旧ロシア暦11月30日)、ニコライ・ルビンシテインのピアノ、サンクトペテルブルクの無料音楽学校の演奏会にて [管弦楽編曲]1912年3月23日(旧ロシア歴10日)、ニコライ・チェレプニンの指揮、マリインスキー劇場、サンクトペテルブルク

(高橋健一郎)