シェーンベルク (1874 - 1951)

交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5 (約40分)

 アルノルト・シェーンベルクが、その創作初期に書いた交響詩。モーリス・メーテルリンクの同名の戯曲による。中世ヨーロッパを舞台にする象徴主義的な『ペレアスとメリザンド』は、19世紀末の初演以来作曲家の関心を集め、この交響詩以外にもドビュッシーのオペラ、さらにフォーレやシベリウスの付随音楽を生み出したことでも知られている。ワーグナーの楽劇で使われたようなライトモチーフ(指導動機:劇中の登場人物や事物、さまざまな状況や概念を音楽で表す)を用いながら、戯曲の筋に沿って音楽が展開する一方で、連続するひとつの流れの中に交響曲の4楽章構造が用いられている。
 全体はしたがって4部に分かれている。第1部:アルモンド王国の王子ゴローは森の中でメリザンドと出会い、城に連れ帰り結婚する。メリザンドは城でゴローの弟ペレアスと出会い、2人は互いに惹(ひ)かれ合う。第2部:しかしそれはゴローの嫉妬(しっと)心を誘発し、その怒りは頂点に達する。第3部:翌日に旅立つことを決めたペレアスは、メリザンドと城の庭園で最後の夜を過ごす。愛の場面。嫉妬に狂ったゴローはペレアスを刺殺。第4部:メリザンドは衰弱しベッドに横たわっている。ゴローは自分の行為を反省するが、未だペレアスとメリザンドの間の真実が分からずに嫉妬はおさまらない。しかしメリザンドの死期がせまる……。
 20世紀初頭の豊麗な大管弦楽の響きと、緻密(ちみつ)なモチーフの絡み合い、複雑な対位法、そして拡大された調性による新しい和声の響きが結びついた稀有(けう)な作品だと言えるだろう。

作曲年代:1902~1903年
初演:1905年1月25日、作曲者自身の指揮、ウィーン演奏協会管弦楽団(現ウィーン交響楽団)

(野平一郎)