ステンハンマル (1871 - 1927)

交響曲 第2番 ト短調 作品34(約46分)

 スウェーデンのステンハンマルは、音楽院に在籍せず、ストックホルムとベルリンで私的な音楽教育を受けただけだった。才能豊かな彼は、1894年にベルリンで自作の《ピアノ協奏曲第1番》の初演で自らピアノを弾いて注目を集め、ベートーヴェンのソナタを得意とするコンサートピアニストとして活躍した。また、長年にわたって王立歌劇場やエーテボリ交響楽団の指揮者を務め、作曲家としても数多くの作品を残し、後期ドイツ・ロマン派の影響を受けた音楽を書いてきた。
 ステンハンマルの代表作《交響曲第2番》は、1911年にイタリアを旅行中にローマのボルゲーゼでスケッチが開始された。作曲は順調に進んだが、そこに至るまでの道のりは長かった。その10年ほど前に発表した《交響曲第1番》(1902~1903)は、自ら「牧歌的なブルックナー」と呼んだように、6本のホルンを含む大作だったが、初演直後に聴いたシベリウス《交響曲第2番》(1901~1902)に衝撃を受け、《第1番》を撤回した(そのため生前、楽譜は未出版だった)。その後しばらくオーケストラ曲の作曲から離れるが、1910年にデンマークの作曲家ニルセンの《交響曲第1番》を指揮したことをきっかけに、「北欧の作曲家」として作曲する方向を探り始める。民謡の引用や民俗舞曲のリズムを採り入れるだけではなく、対位法の勉強を一から始めるなど、伝統的な作曲技法を身に着けることで独自の作曲方法を編み出そうとした。
 全体は伝統的な4楽章構成で、ト短調となっているが、ト音を開始音とするドリア旋法(教会旋法の一種)に基づく音階が使われ、半音階進行が意識的に避けられている。
 第1楽章 アレグロ・エネルジコ、3/4拍子。ソナタ形式。古い民謡を思わせる力強い第1主題がユニゾンで示され、高音の管楽器の動機が軽やかに応える。この動機はその後もさまざまな楽器に現れ、第2主題は大らかでどこか懐かしい。展開部は、オーボエ・ソロに導かれて次第に熱を帯び、静かなファゴットから再現部へと向かう。長大なコーダはロマンチックに盛り上がり、最後はト長調の主和音で結ばれる。
 第2楽章 アンダンテ、2/2拍子。厳かな緩徐楽章。弦楽器の落ち着いた主題から始まり、哀しみの表情を見せたり、葬送行進曲のように重たいリズムが反復されるなど、音楽は波打ちながら高まる。
 第3楽章 スケルツォ:アレグロ、マ・ノン・トロッポ・プレスト、3/4拍子。主部は、強弱の対比が明快なドラマチックな舞曲。牧歌的な中間部は管楽器が活躍する。
 第4楽章 終曲:ソステヌート、4/4拍子─アレグロ・ヴィヴァーチェ、2/2拍子。全曲で最も規模が大きく、個性的な楽章。ゆるやかな序奏は、第2主題に由来する旋律が広がり、主部ではまず、弦楽器から明るくさっぱりとした第1主題によるフーガが始まる。情熱的な高まりから全休止を経て、今度はクラリネットから穏やかな第2主題によるフーガとなる。低弦のピチカートで始まるフーガも第2主題をもとにしたもので、さらに第1主題のフーガも加わる。歌謡的な部分も含みながら、対位法研究の成果が存分に発揮される。

作曲年代:1911~1915年
初演:1915年4月22日、エーテボリ音楽祭にて、作曲者自身の指揮による

(柴辻純子)