レスピーギ (1879 - 1936)

リュートのための古風な舞曲とアリア 第1組曲(約15分)

 レスピーギは、本作品と同名の組曲を全部で3作品残している。1917年に作曲された《第1組曲》は、イタリアの音楽学者であるオスカール・キレゾッティが19世紀末に編纂(へんさん)したリュート曲集から、16世紀の4曲を選び、管弦楽に編曲したものである。キレゾッティの曲集では、古いリュートのタブラチュア(奏法譜)の一例が掲載されたうえで各曲は五線譜にすべて書き換えられている。編曲当時、ローマの聖チェチーリア音楽院で教鞭(きょうべん)をとっていたレスピーギは、タブラチュアを学生たちに見せ、初演の数か月前には、指揮を担当するベルナルディーノ・モリナーリを前に授業で自作品を試演した。当時モリナーリが監督を務めていたアウグステオ管弦楽団では、古楽が積極的に演奏されていたようである。
 編成は各曲で異なるが、第3曲を除くすべてに、チェンバロが指定されている。当時チェンバロは、博物館の楽器から、20世紀の新しい楽器へと変化の途上にあった。第1曲〈オルランド伯爵〉は、シモーネ・モリナーロの1599年の作品。第2曲〈ガイヤルド舞曲〉は、ヴィンツェンツォ・ガリレーイの作。第3曲〈ヴィラネル〉と第4曲〈パッサメッゾ舞曲と仮面舞踏会〉は、作者不詳である。オーボエを主旋律においたバロック・オーケストラ編成(第1曲)から、チェンバロを斬新に用いた現代的な響きまで、簡潔な素材から自在にアレンジするレスピーギの管弦楽法の技を堪能(たんのう)できる。

作曲年代:1917年
初演:1917年12月16日、ローマ、ベルナルディーノ・モリナーリ指揮

(安川智子)